2023年3月20日 (月)

はんごろし

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 定位置たるこたつの麓を追われて、少しテンション低めな「ちち(仮名)」さん。それでもめげることなく、こたつを占領している飼い主のところへ来て、グイグイとお尻を押し付けてきてグゥグゥと眠る、という展開に持ち込むあたりはさすがというほかありません。

 今日は、お昼休みに外出させてもらって、創作おはぎのお店でお買い物。しかしながら、この呼び名については全面的に賛成というわけではありません。春のお彼岸なら「牡丹餅」ではないかというのが私の考えです。

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 お萩、っていうのだからお盆や秋のお彼岸だろう、と思うわけです。夏であれば「夜舟」で、冬ならば「北窓」とよぶ、という話もあります。餅と違って音を立てて「搗かない」ので、夜の船みたいにいつ着いたのかわからない、で夜舟。闇舟ではありません。「搗き」を知らないのは北側の窓から見てるから、というので北窓。昔の人の洒落はなかなか高度です。

 子どもの頃、年の瀬の私の誕生日は餅搗きの日でした。蒸し上がった餅米を臼にあけてそのまま搗くと米粒が飛び散るので、杵で少し押しつぶす、この「半殺し」が実に美味しいので、私たち子どもはつまみ食いが止まらず、「餅無くなるやろがっ!」と大人たちに叱られたものでした。

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 おはぎというもの、まさしくこの半殺しにあんこを塗りたくったものですが、体だけ大人になっている私は好きではありません。甘いものがダメなのであって、「半」殺しだから忌んでいるわけではないのです。萬年筆とは関係ありません。

 半殺しというのは、萬年筆で言えばどんなものなのでしょう。百貨店のショーケースに並んでいるような、定番品の、言ってみれば面白味のない萬年筆なのかもしれませんが、そういった萬年筆の中にも、後年、半一族(現在の一般的な用法)の魂を掴んで離さないようなものになるものがあるのかもしれません。

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 大和歳時記、と名付けられたおはぎ、鹿と大仏と古墳。残る二つは季節限定のこぼれ桜と檸檬です。ここに丸善の黄色い萬年筆を持ってきて記念撮影、という名前考えたのですが、それはあまりにもベタですのでやめました。ぼたもちの記事ですので。

2023年3月19日 (日)

とても綺麗

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 お布団に向かって盛んに吠えていた「ちち(仮名)」さんですが、「よしよし、お布団あかんなぁ、お父さんが怒ったろ」などと言いながら撫で撫でしてあげると、すぐに落ち着いて寝入ってしまいました。吠えまくっていた割には、お布団の形はそのままです。要するに入眠儀礼というか、人間の子どもが寝ゾロをいうのと同じなのでしょう。

 いいお天気でしたので、お昼前からフラフラと外出して、用もないのに電車に乗ってあちこち回って時間を潰す、という実に非生産的な日曜日を過ごしました。そんな暇があるなら冬タイヤを外して夏タイヤに付け替えるなど、やるべき事はいくらでもあったのに、です。ダメなおっさんです。

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 毎年、キャップレスの変わり種が出されると知っていながら、いつも売り切れてからその存在を知る、というのが常です。もっとも、ウォッチしていたからと言っていつもしっかりと手に入れられるか、というとそうでもありません。だいたい、常日頃から販売店に通ってお店の人と仲良くなっておかなければ、そういった情報も得られません。ですので、我が家にある萬年筆はそのほとんどが一度は人の手に渡ったものばかりなのです。まぁ、萬年筆にしてみれば、こんな時の不自由なオッサンに死蔵されるより、一度はきちんと使われた方が幸せというものでしょう。

 よく似た軸のネットブラックというのは、なぜか2本もウチにあるのですけれど、このリンクブラックとはご縁がありませんでした。どちらも胴軸にエンジンターンが施されているところが特徴で、キャップレスに限らずこういう軸が大好物という人も少なくありません。キャップレスの場合にはそもそも軸が黄銅製ですから、しっかりとした重みも感じられて余計にすばらしく思われます。

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 日本国内では通常手に入れることができない黒いニブ。どうクリアしたのか知りませんけれど、このモデルには黒いペン先がついてくるというのが最大の特徴であり、値打ちのあるところでしょう。ネットブラックの方はクリップその他、黒くない部分がありますが、このモデルは少なくとも外観についてはすべてが真っ黒です。このように胴軸を分解してペン体を出さない限り、黒くないところは見えません。

 少し前までなら、気楽にアメリカあたりの文具店に注文を出して、こういう黒いニブのついたペン体を手に入れることもできましたが、昨今はそれをすると損をしたような気分になってしまいます。

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 先日の泉筆五宝展で、たこ娘さんの手が空いたところを見計らってペン先を診ていただいたのですが、まぁ削るまでもないでしょう、ということで段差を修正していただきました。私のような素人がルーペで覗いてみても、非常に綺麗な形の球でしたので、段差を直していただいた後、すぐにインクを入れて、滑らかな書き味を楽しんでおります。

 けれども、こいつをキャップレスらしく持ち歩いて使っていると、写真に写しているあたりがどんどんと剥げてくることでしょう。それもまた味わいではあるのですけれど、躊躇してしまいます。そうやって、どんどん死蔵されるペンが増えていくのですね。

2023年3月18日 (土)

ありふれた日常

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 ご飯はまだかなぁ、とウロウロする「ちち(仮名)」さん。老齢ですが食欲は衰えず、今もまだ、肥満防止のためにと低カロリーなドッグフードを食べているほどです。横から見るとよくわかりますが、後ろ脚の筋力が衰えていて、歩くことはできますけれども簡単に尻餅をつきます。このようなフローリングの床で尻餅をつくとうまく起ち上がることができず、その場でキュンキュンと鳴くことしかできません。

 飼い主も、脚力の衰えを強く感じます。若い頃はどこへ行っても、「俺の前を歩かせはしないぜ」なんて感じで、一緒に出かけた妻や友人などは「もっとゆっくり歩いてくれないとはぐれてしまう。」と苦情を言ってくることが多かったものです。ところが最近は、決して歩くのが速いとは思えないお兄ちゃんやお姉ちゃんにも抜き去られてしまう始末。非常に情けなく感じます。

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 たくさん萬年筆があるというのに、いまだにオークションサイトなどを覗いてしまいます。そうした場所では、各社の周年記念萬年筆などはとても手が届かないようなお値段でやりとりされていて、皆さん、普段の生活は大丈夫ですか、などと要らぬ心配をしてしまいます。けっして良いお給料を貰っていたわけではない私ですけれども、萬年筆など蒐集しないでしっかりと貯蓄したり投資したりしておれば、今頃悠々自適な毎日を過ごしていられたはずで、そういう意味では、良くない趣味に身を投じてしまったなぁ、と反省しきりなわけです。

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 けれども、この趣味を持っていたことで知り合うことができた人たち、そしてそこから広がるこころの豊かさ。そういったものは、教員なんていう狭い世界で仕事だけに打ち込んでいては決して得られなかったものですので、形のない、それでいて大切な財産だということもできます。

 写真は、いつ頃、どのようにして手に入れたのか、もう忘れてしまったセイラーの75周年記念萬年筆。カーボンを素材としているのが特徴ですが、それ以外は特にこれといったところのない、普通の萬年筆です。ペン先にしても14K、ホンマに記念萬年筆かいな、という感じです。

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 大丈夫、きちんと12時です。この碇のマーク、上下を貫く線が時計の12時と6時を結ぶ線のように垂直でなければならない、ということになっております。その基準は、もちろんクリップ。工場で組み立てるときに、天冠を締め付けすぎても締め付けが足らなくても12時にはならないわけですから、ここは重要なところ、なのだそうです。

 たしか、どこかに箱もあったはず。そういうことも含めて、その辺に放り出しておかないで、綺麗に洗浄して箱に入れて、必要としている人にお嫁に出す、ということも考えていかないといけませんね。持っている萬年筆すべて、棺桶に入れて貰うなんて、とうてい無理ですから。

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2023年3月15日 (水)

重なる

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 かなり遅い時間にもかかわらず、未だケージに入ることなく、こたつの麓で寝ている「ちち(仮名)」さん。朝夕の食事の際にはビオフェルミンを飲ませているのですが、にもかかわらず本日はお腹が急降下。夕食はほとんど残すという珍しい状態となりました。

 その後、うまく気持ちの良いポジションを見つけてこの場所で眠り始めて、何度か目を覚ますものの、おやつをくれたらケージに入るよ、というおねだりもせず、また眠るということを繰り返しています。

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 プロピオネイト樹脂を採用したPILOTのカスタム。天冠や尾栓の部分がくるくる回ることもないので、まだまだしっかりしているように思えますが、手にとってよく観察すると、やはりこのモデルならではの衰えぶりがわかります。

 胴軸はなんとなく波打っているように見えますし、端から端まで軽く撫でてみると、不自然な段差があることに気付きます。

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 キャップリングのところにしっかりと溝があります。キャップが痩せてきているのもはっきりとわかります。これが他人のペンであれば、ちょっと拝見、とやる時にネジ式なのか落とし込みなのか分からないのでそっとキャップを引っ張ることになりますが、優しく引っ張ったのでは外れませんので、ならばと回してみることになります。

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 で、くるくると回すと胴軸が外れ、そこから引っ張っていくと吸入機構が見えるのですが、この位置で引っかかります。胴軸が痩せているのに対して造り付けのコンヴァータは痩せていませんのでこうなるわけです。少し力を入れるとするりと抜けますので、まだ軽症というべきなのでしょう。

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 エリートやシルバーンなどのベローズ内蔵のタイプと違って、これはこれで十分に反発力を感じさせ、しっかりと吸入できています。吸入機構が壊れることはあまり心配しなくてもよさそうです。それより、いずれ軸に収まらなくなることの方が心配です。

 ワンコも、萬年筆も、そして我が身も、静かに、体も確実に衰え、滅びに向かうのです。

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2023年3月14日 (火)

保留

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 そういえば今日はワンコもカメも写真を撮ってない、と思い出して、暗い中、慌てて撮りに行きましたら、「ちち(仮名)」さんは起きておりました。意識レヴェルが低くて、飼い主を見ても特に何も反応しなかったのは幸いでした。

 帰宅途中に車の燃料を補給しに寄ったガソリンスタンドで、事務所のガラスに映る愛車を見て、ヘッドランプの球切れに気がつきました。昨夜は無事点灯していましたので、ご臨終は本日のことだったようです。今となっては旧式のHIDですけれど、多分この車が最後の愛車になるはずですから、ちょっと上等なバーナーを買うことにしました。LEDにする、という選択肢もありましたけれど、歳をとると白すぎる光ではかえって走りにくいので、あえて低ケルビンのものを選びました。球が届くまで、明るいうちに帰宅するように努めなければなりません。本当なら、車動かしてはいけないのですけれど。

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 先日取り上げたパーカー45と一緒になっていた手帳、、、のようなもの。どうせ使わないので萬年筆ごとひとにあげようか、と中身を確認してみましたら、手帳ではありませんでした。

 パカっと開けてみると、ん、中身は?と思ったのですけれど、いわゆるジョッターのようなものだったのです。

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 クリーム色の紙片が何枚か、その上下をカヴァーに差し込んであります。この紙が、また萬年筆で書くのに具合の良さそうな紙なのです。

 私はとにかく吝嗇なので、あ、これよさそう、と思うと使わずに抱え込み、結局そのまま放置して、最後には捨ててしまう、という愚かな行動を繰り返してきました。これなども、書きやすそう、と思うのなら、持ち歩いてあれこれメモすれば良さそうなものですが、こんな良い紙に自分の汚い筆跡をなすりつけるのは、、、となってしまうのです。ならば、山のように集めた萬年筆、あれはなんなのだ、ということにもなりますね。

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 予備の用紙も、色違いのものがちゃんとセットされています。さて、どうしましょう。使う使わない以前に、メモを取る、っていう習慣が全くない、そのことを問題視すべきなのはわかっておりますが、、、

2023年3月13日 (月)

羊の皮を、、、

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 気持ちよさそうに眠る「ちち(仮名)」さん。もうそろそろおやつをもらってケージに入る時間なので、お母さんの動きを気にしてちょろちょろしていたのですけれど、どうやらまだその時期ではないようだ、と、判断すると、このように仮眠に入るのです。

 このような時こそ、シャッターチャンス。起きていると顔を背ける彼女ですが、さすがに寝ている時は無防備です。しっかり寝顔をいただきました。

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 プラチナ・シープというのですけれど、この、巻かれている革は羊の革なのでしょうか。そう思ってメーカーの商品説明を見ると、「耐久性に優れた羊の革を使用し」とはっきり書かれています。ま、そうでなかったらそれこそ羊頭狗肉みたいなことになってしまいますね。

 羊の皮を被った狼、なんてのは、特に自動車好きにはよく刺さる言葉ですけれど、この狼は仕留めた羊の肉を喰らって、綺麗に残した皮を被って相手を欺き、近づいて仕留める、ってことですね。なかなかの戦略家です。

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 この萬年筆は羊の革を巻いてあることで、細身、かつ見た目の優しさから女性にも使いやすい、というコンセプトであったようです。老眼を凝らして軸をくるくる回してみても、継ぎ目を見出すことができません。

 聞くところによると、革の下はアルミ製の軸なのだとか。そのあたりも、全体として細身に仕上げるための工夫のひとつなのかもしれません。世に出たのが昭和41年と言いますから、樹脂に関する技術は今ほどではなかったはずで、それもうなづける話です。

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 革の継ぎ目を探すなら、胴軸よりキャップの方が良い、とも言われますが、手元にあるものは「当たり」らしく、キャップからも継ぎ目を見つけることはできませんでした。

 天冠や尾栓部にもしっかりと革が貼られています。こういう、細かなところまでしっかりと作り込んだ製品というのは、これから先、なかなか出てこないように思われます。そんなことを考えると、ますますインクを通さないペンが増えていってしまうのですが。

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2023年3月11日 (土)

春の五宝展

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 薄暗がりの中、お耳を3時にしてもの思う「ちち(仮名)」さん。飼い主も本日のことがありますから、そんなに遅くまでお付き合いはしていられないので、ここで「おやすみ」です。

 朝、平日と同じ時刻に妻に声をかけてもらって、一瞬、今日は土曜日やん、起きんでも、、、と思ってしまった自分が怖い。ほんの数時間前、あれもよし、これもよしと準備万端整えてから床に就いたというのに、綺麗に忘れ去っているのですから。

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 そのような危機を乗り越えて無事に自宅最寄り駅まで歩き、そこから京都駅まで出て無事新幹線に。春の青春18きっぷシーズンですから、東海道筋にはまた中国からの観光客が押し寄せているかもしれませんので、今回は行きも帰りも新幹線利用です。

 早めの予約で安くなるこだま号のグリーン車で、空いてるわいと背もたれを倒して寝ていたのですが、途中から後ろの席に座った巨漢が、おそらく映画館に行ったことのない、猛烈にお行儀の悪い奴でした。何か恨みでもあるのか、というほどにこちらの背もたれを蹴りまくるので、あぁ、少し起こせよ、ってことだなと思ったのですが、おまえ、伝え方が悪いのでやり直し、などと思いつつ、そのままにしているうち、また寝てしまいました。さらにイカレてる人であったなら、シートごとブスっと刺されるかもしれんな、なんて思いながらまたウトウト。小田原か新横浜あたりで消えてくれたらしく、とりあえず生きて東京に着くことができました。

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 平日であれば、お昼休みが今終わりました、っていうような時刻に会場に到着。今回の会場入口の表示、何やら味わいのある字体で書かれています。この時点ですでにひたいに汗を浮かべていたのですが、会議室内はさらに暑くて参りました。

 一通り会場内を見渡して、今日は割合に普通だな、と思いつつ、参加されてる皆さんと歓談。人出はそれほどではなく、出展者も含めて60人を少し下回るほど、というのが本日の参加者数であったようです。

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 Taku★さん、だったでしょうか、海外のペンショウなどにも参加されて、オーダーを受けてペン先の魔改造に取り組まれている、という方から、色々とお話を伺うことができました。キャップレスの小さなペン先に、同じくキャップレスのペン先の一部を重ねて、夢のような書き味を実現。久しぶりに、うわぁ〜、と力が抜けるような感覚を味わいました。

 そのほか、H-WORKS製総チタン萬年筆を巡って、あぁでもない、こぅでもないと論議をするなど、たっぷりしっかり萬年筆した一日となりました。遊んでくださった皆様、ありがとうございました。

2023年3月10日 (金)

趣味の1日

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 寝ているところを撮られているのに気づいて顔を上げた「ちち(仮名)」さん。結果的に、バッチリお顔を撮られてしまいました。

 年次有給休暇をほとんど消化してない、最低でも5日は取ってもらわないと困ります!と事務局さんに叱られたので、本日はお休みをいただきました。今月1日から利用期間に入った青春18きっぷを使って、普通列車で東京入りして前泊し、春の泉筆五宝展にのぞむ、というのが当初の計画だったのですが、これと思ったホテルがどこも満室で断念。後に、土曜日に空室が出たので、後泊に切り替えて、明日はこだま号のグリーン車でゆっくり安く行きます。18きっぷで東海道を進むと、この時期、復活した中国からの観光客とかち合う公算が高い、というのも理由の一つです。

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 午前中は主治医を受診して、ほぼ潰れました。地域密着型の医院ですので、とにかく爺さん婆さんが列をなしているような状態です。しかも、お年寄りは朝に強いので、早めに行って受診してさっさと帰る、という技が使えません。みなさん、とても太刀打ちできないほど早くから来て待ってらっしゃいます。

 受診後、お昼ご飯を食べて、こんな良い天気なのでとドライヴ。南北に長い奈良県の北の端から、南北の真ん中よりはまだ北寄りという吉野を目指します。桜の季節にはまだ早いのですが、狙っていたものを手に入れて、続いて宇陀へ。看板のお菓子を手に入れるためです。

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 あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

 大海人皇子と結婚して子までもうけていた額田王ですが、その後別れて、大海人の兄、天智天皇(中大兄皇子)と恋仲に。で、その男性二人が出席している宴会の席でこの歌を詠んだというのです。この歌の「君」は大海人。かつての関係をネタにされたわけです。

 イジられた大海人も負けずに、

むらさきの にほへる妹を憎くあらば

人妻ゆゑに 我恋ひめやも

と返したと言われています。おおらかな時代だった、というべきでしょうか。

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 歌に出てくる標野、これが現在の宇陀市あたりにあったとされていて、

東の 野に炎の 立つ見へて 返り見すれば 月傾きぬ

という歌が詠まれたと言われている阿騎野もこの辺りではないかと言われています。

 お菓子そのものは、メレンゲをサイコロ状に整形して周りに黄身をつけてやいた?と思われるもの。甘いので私は苦手ですが、なんとなく不思議なお菓子なので、奈良へ来る人にはよく紹介しています。

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 で、夜は夜で、こんなイヴェントに。奈良に昔からあるホテルの社長と、僧籍を持つ新聞社の社員さんが、お水取りについてのトークを繰り広げる、というものなのですが、二月堂に張り付いてお水取りの声明などを聞いた人にとっては、あるある、な話の連続で、参加者は皆、静かに盛り上がっておりました。

 そして、明日もまた趣味の1日です。

2023年3月 9日 (木)

途中経過

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 こちらへ歩み寄ってくる「まりりん(もう確実に雄)」さん。日に何度か、こうして水槽から出して遊んでやると喜びますし、来館者の希望で水槽から出すこともあります。いずれの場合も、甲羅を撫でると前脚をグッとたてた後継姿勢になってぐんぐんと前に進みます。そのときに顔の前に指などを出しますと、グッと首を引っ込めて立ち止まり、前脚をひょいひょいと振ります。カメ、それも雄の習性で、これは単なる求愛行動に過ぎないのですけれども、人間から見ると「お手々振ってくれるのかぁ・・・可愛いなぁお前は(でれでれ)」となるのです。

 馴れている相手には、さらに近づいてきて鼻を突き出してふんふんと匂いを嗅ぎ、時にはカプッと指を噛んでくることもあります。歯はありませんからたいしたことはないのですが、まぁ噛まれたという感覚はしっかりあります。本来ならそろそろ冬眠から醒めて活動し始める時期なのでしょうが、この冬はずっと温泉に浸かって起きておりましたので、今もまださかんに甲羅の脱皮が続いています。

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 PILOTの国内には出していないコンヴァータを装着すべく、エリートやシルバーンの系統を探してこのペンケースに行き着いたのですが、仲間はずれも入っています。右端のカスタムは「悪名高い」前期型でしょうか、あちこち痩せてきていて、各リング類はくるくると回ります。

 その中でも、冬木立がさらに黒さを増してきているようですので、撮影してみることにしました。

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 ここまで黒くなってくると、もったいなくて普段から使うなんてことはできません。硫化しているのですから、使っていても銀色に戻ることはないのでしょうけれど、手の脂がついたりしてまだらに黒くなるとか、黒くなりつつある部分をこすってしまって少し銀色の方に戻るとか、そういう変化はあるかもしれないので、使わずに待機させています。本来なら、今日は木枯らしが吹きそうだから冬木立、なんていいながら、毎日のように使うペンをとっかえひっかえ、っていうことをやってみたいのですが、朝は起きて10分で身支度して家を出るような、そんな余裕のない生活をしている私にはとてもじゃないですができることではありません。もし、時間に余裕があったとしても、今度は使ったペンにインクを入れたままにして干上がらせる、という結末になるのが見えています。

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 ピカピカに磨いても、それはそれで綺麗だと思います。この模様なら、磨いて綺麗にすることができるでしょう。けれど、銀軸の最大の魅力はこの硫化だと思っていますので、せっかく黒くなっているものを磨いてどうするんだ、ということなのです。

 右の方が、より黒くなっているように見えますけれど、部分部分により硫化の度合いは違っていて、残念なことにまだらに黒くなってしまっているところなどもあります。そこはさらに時間をかけて、まだらが見えないくらい黒くなってくれることに期待しましょう。

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 右の方がまだらな感じですね。写真を撮って、少し明るく補正をかけていますので、実物のどっしりとした黒さがよくわからないのですけれど、冬木立という柄は、硫化していく銀軸のためにあるようなものだと思います。

 この冬木立、復刻してもそんなに人気が出るようには思えませんし、このご時世に銀軸なんてとんでもない話かとも思いますが、いつかそんな夢が実現すると嬉しいなぁ、と。そしてその折には、CON-40をつけて誤魔化すのではなくて、ぜひ、ほぼ本体と一体化されている吸入機構も復活させていただきたいものです。

2023年3月 8日 (水)

思った以上に

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 なかなか寝付けない様子の「ちち(仮名」さん。ケージの中でじっとしてはいますが、目は開いたままです。生ものですから、そういう日もあることでしょう。しかし、今夜はいつも以上で、一定時間ごとにキャンキャン鳴いたりしています。

 本日は館長が全員集合する会議があって、駐車スペースがないことが予想されたので、会場まで公用車で送って貰いました。スズキの軽自動車でAGSが装備されていますが、これが職員の中では実に評判が悪いのです。40代から50代の女性ばかり4人、みなこの車を悪く言います。曰く、変なところでつんのめる癖が強い車だと。要はマニュアル車のクラッチ操作と変速操作を自動でやってくれるものなので、私などは便利で楽ちんだと思いますし、クラッチを踏むタイミングで少し右足に込める力を抜けば、実にスムーズに変速・加速してくれるのです。けれど、AT限定免許の人はそもそもクラッチなんて存在すら知らず、加速するのだからとずっとアクセルは踏んだまま、というのが当たり前ですから、変速のたびにグンッとつんのめる感じがしてとっても嫌だ、というのです。

 本日は助手席に座らせて貰って、ようやくその意味がわかりました。下手くそな人がマニュアル車でシフトダウンするときと同様のショックが来るのです。2速発進で40キロも出れば5速までシフトアップするのですが、その間3回、前後に揺すぶられるわけです。運転してくれている職員も、なんで館長はこのショックなしに運転できるんですか、なんて言うので、クラッチ踏むタイミングで・・・なんて言うと、えっ? 左足も使うんですか、などと驚かれたことでした。バスの運転手さんがね・・・なんて説明しようにも、最近はATのバスが増えていますしね。

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 ちょっと興味を引かれたので、某巨大オークションで落札してみたパーカー45のメモ帳付き。私にとってパーカーは、アメ横のダイヤ商会でオレンジ色のデュオフォールド「平和のペン」を買ったことがあるぐらいで、他は中古で何本か75系統のものをもっている程度。これから萬年筆を使ってみたい、けれど国産の仏壇はちょっと・・・という人におすすめする際に口に出す程度のブランドです。しかも45ですから、萬年筆への興味はあまりなく、あ、昭和だな・・・ということで手を出してみたのです。

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 こういうケース類は、おそらく国内の代理店が用意したものなのでしょうね。何よりこの、中に入っている名刺サイズのカレンダー。こいつは昭和の時代には仕事をしているオッサンに必須のものだったようなイメージがありますが、最近はとんと見ません。こんなものがなくてもスマホでチラッと確認すれば良いだけですし、そう、そもそもスケジュール帳もデジタル化している人が結構います。

 私など、かつてファイロファクスなどのシステム手帳がブームになったときには、中味のリフィルよりもカヴァーにこだわってあれこれ手に入れて結局ほとんど活用しませんでした。オリヂナルのリフィルを作るぞ、と真っ白なリフィルを大量に買い込んで、それらは今もそこここから発掘されるので、そのたびに苦笑いです。まぁ当時は、今のように何でも写真を撮ってPDFにしてはスマートフォンに取り込む、なんていう情報の持ち歩き方ができませんでしたから、必要になりそうな情報はとりあえず紙にきちんとプリントして綴じて・・・となるわけですけれど、もしそんなことをきちんとやれる人間であったとしたら、今頃私はもっともっと成功した人になっていて、違う人生を歩んでいることでしょう。ただの爺さんとして日々だらだらと過ごしている現状からは、システム手帳の活用とか、7つの法則とか、そういうものとは無縁な人だというのがよくわかります。

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 今回は45をお買い求めいただきましたけれど、次はぜひ、という感じで、上級編のペンを紹介しております。45のペン先を引っこ抜いて違うものに取り替えたとしても、それはあくまで字幅違いということですから、次はぜひ金ペンを、ということですね。

 1973年、私は小学校6年生。前年の72年は日本の鉄道100年ということで、当時から鉄っちゃんだった私などは大いに盛り上がっておりました。今は京都鉄道博物館の一部になっている梅小路なども、その当時、現役バリバリの機関区から一般向け展示施設に転換したばかりの頃で、構内を歩くにも1本ずつレールを乗り越えなければならないような、逆に言うと、それだけ「生」な状態でした。今のように、歩き始めたばかりのお子さんを連れて行けるような場所ではなかったのですが、今よりもよほど楽しかったのも事実です。

 ものすごく便利にはなってきましたけれど、人間の能力とか、対応力とか、そういうものはどんどん衰えていく方向です。それでは一体、その便利なものを産み出している人たちって、この先も「供給」され続けるのでしょうか。そのことが一番心配ですけれど、それが問題になる頃にはこの世にいないので、心配しても仕方のないことですね。

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