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2023年5月

2023年5月31日 (水)

これぞ「半」

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 カメラを向けると首を横に向ける「ちち(仮名)」さん。視線を合わさないようにしている感満載です。ワンコは仲間内での争いを好まないので、バッチリ目を合わせるようなことは避ける傾向にあるのだと言いますが、いやいやいや、おいしいものを食べてると無茶苦茶目を覗き込んできます。消化管に毛皮を被せて脚をつけた、という生き物でもあるので、当然と言えば当然ですけれど。

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 汚い見た目してるだろ。ゴミみたいだろ。生きてるんだぜ。それで。

 萬年筆を愛でる人たちの会合に行くと、知らないオッサンが突然こういうものを目の前に突き出してきて、ねぇねぇ・・・と上のようなセリフを語り始めることがあります。

 1.その突き出されたものが一般受けしそうになく、何より、見た目も今ひとつで、

 2.その場の、それまでの会話の流れに関係なく突っ込んできていて、

 3.突き出したものについて一方的に語ると、月光仮面さながらに去って行く。

 こういうことがあったら、その人は「半」なのかもしれません。「半」は人なり、と申します。けったいな萬年筆を持っているとか、萬年筆に関して常人には理解できないほどの知識やコレクション、技能を持っているとか、そういうことであっても、社会的にまともな人は「半」であるとは認めがたい、というのが二右衛門半認定委員会としての見解です。

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 0.5ミリ芯を使うメカニカルペンシルですから、そうそう古いものでもないでしょう。しかし、発泡スチロールを成形した入れ物に透明なプラスチックのふたを組み合わせたパッケージであるとか、研究している人でなければ知らないメーカー名であるとか、これ、一体いつ、どこで、どんな経緯で手に入れたのでしょうか。かつて盛んに行われていた迷惑じゃんけん大会の景品として貰ってきたものなのでしょうか。亡き父が貰ってきた、どこかのノベルティものでしょうか。

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 きちんと、ケース入りの替え芯までセットされています。こりゃ相当に古いぞ、と期待したのですけれど、さて、どうでしょう。各部分の構造その他、ごくごく普通で、むしろ最近のものに近いので、入れ物は汚いけれどそんなに古いものではないのかもしれません。

 シャープペンシルというと、授業が退屈になったら先端のコーン部を取り外し、お尻の消しゴムにささっている針でシュコシュコとパイプ内をお掃除する、というのが定番でした。当然、こいつにも立派な針が附属しているはず、と思っておりました。

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 針はおろか、消しゴムすらないのでした。芯を入れるパイプ、それも細い目のもの、という相当にシンプルな構造になっております。普及価格帯の製品として割り切って作られたのでしょう。

 実際、よほどの緊急事態でもなければ、シャーペンのお尻の消しゴムで字を消したりしませんでした。消しゴムより針、だったのですけれど、割と早い時期に針は姿を消したように記憶しています。おそらく、学校の先生とかPTAのお偉いさんとかが金切り声を上げたのでしょう。実に下らん連中で、ロクなこと言わないのです。まぁ、私自身、かつてはその中に名を連ねていたのですけれども。

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 300円ですか。結構お高いものだったようです。10円でいろんなお菓子が楽しめました時代を経験していると、これ、300円って、相当に気合い入れて買わないといけないものだったはずです。

 「半」じゃない人は、ここまでゴミだらけになるような保管の仕方はしないのです。でも、「半」はそこら辺に転がしておくことが多いので、コンディションとしては文字が読めるだけマシと言うべきでしょう。萬年筆でしたら、大のお気に入りで毎日必ず使ってます、なんて言いながらそのペン先には固体になったインクがこびりついてる・・・っていうのが、やはり「半」としてのあるべき姿かと思います。さて今年のペントレには、「半」の候補になるような人、来るのでしょうか・・・。見つけたら認定しちゃいますよ。

2023年5月30日 (火)

長寿と繁栄を

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 本日もケージに入ることなくそのまま眠りに入った「ちち(仮名)」さん。飼い主や家族にとってはこれが一番です。朝からずっと雨模様で、十分なお散歩もできないだろうと心配していたのですけれど、最近はお散歩に出てもほとんど歩けなくなっているようで、後半は抱きかかえられておうちに帰ってくることも少なくないようです。

 飼い犬のみならず飼い主も歳をとり、85歳まで、という条件で借りた土地の上に建つ我が家も少しずつ傷んできております。門柱に組み込まれた郵便受けは、雨漏りして仕方ない状態になっておりまして、本日届いた郵便物もみな、しっとりと濡れておりました。

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 この圧着ハガキなどは、あまりに濡れすぎたせいで秘匿シールも剥がれかけており、そぉ~っとめくってみると秘匿されるべき情報はすべて雨に流されて、一部の情報だけがかろうじて秘匿シールの内面に転写されておりました。そこから読み取ることのできた、数少ない情報によれば、私はまだ、40代の頃に勤めていた職場にいることになっているようです。これまでも何度かこういうハガキを受け取っているはずですから、私が何もせずに放置した結果、同窓会名簿の内容もアップデートされることなく、そのままコロナ禍に突入してさらに疎遠になり・・・ということなのでしょう。同窓会名簿を作るべし、と頑張っていただいている皆様にとっては、私のように横着な同窓生の存在は頭の痛い問題でしょう。

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 このハガキに記載されていた勤務先の近くには、こういう風景がありました。「勝間田の池はわれ知る 蓮無し 然言う君が 鬚無き如し」という歌が萬葉集にあります。俗に「ヒゲ」などと言われている歌で、新田部親王に向けて奥方が詠んだ歌、とされております。その勝間田池の畔から東をのぞむと、こういう風景が見えるのです。

 この箱に入った萬年筆が発売されたことすら、当時は知らなかった、というか、それどころではない毎日を過ごしておりました。新車を買った教員は、一定期間、職員室の窓の前に優先的に駐車することができる、という内規がありました。見えないところに止めたら、新車が廃車になるかもしれない、というような学校だったからです。毎朝、歯ブラシを咥えては嘔吐く、という毎日でしたので、帰宅後や休日などでも、萬年筆を愛でるどころではなかったのです。

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 その当時、販売店に行っていたならば、この立派なPOPを目にして金策に走っていたことでしょう。発売から10年近く経って、個人経営の文具店で売れ残っていたのを引っ張ってきた、というお店で購入することができたのは実に幸運でした。定価で、なおかつこのPOP付きです。こういうのを、「縁」というのでしょう。その当時勤めていた学校では、全く信頼の置けない校長、教頭のもとで働いた後、たいへん尊敬できる校長、教頭にお仕えすることができました。管理職選考を受けてみないか、と言われて素直に聞きいれたなんて、私らしくもありませんが、尊敬という二文字がその理由だったのでしょう。

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 箱の中には、この創立85周年記念萬年筆の企画と薬師寺との関係などが述べられたリーフレット。薬師寺の東塔は創建以来、今日まで残っているもので、その美しさはフェノロサをして「凍れる音楽」と言わしめた(というのは俗説らしいのですが)ほどのものです。西塔を再建するにあたって参考にすべく、西岡常一棟梁はまるまる一日、東塔の前に座ってじっと見ていて、最後に一言「ゆがんでるわ」とおっしゃったとか。江戸時代に修復されたときに少し無理をしている部分があって、本来の形にはなっていなかった、ということのようです。西塔はきちんと再建されて、東塔も大修理を終えましたから、高さの違いはあるにせよ、どちらも完璧な形で並び建っている、その時代に生きていられる幸せ。某お隣の国の陰謀で燃やされたりしないように、しっかりと護っていきたいものです。

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 FFV-12MS-HTというのは、この萬年筆の型番なのでしょうか。1000本限定で、私のシリアルは・・・。最後まで手放さずに持ち続ける萬年筆になることでしょう。けれども、棺桶に入れてくれ、なんて言うつもりは毛頭ありません。ぜひ、しかるべき次世代の人に受け継いでいただきたいので、死ぬまでにはきちんとするつもりです。

 さて、同窓会の名簿、どうしましょうか。じつは、本来、私の学力では入学できるはずもなかった高校なのです。それが、今、私が一番大嫌いな夏の甲子園とかをやっている新聞社が、「中学3年生に業者テスト受けさせて進学先のアドヴァイスするなんてけしからん!」っていう報道を私が中学3年生の時に大々的に繰り広げてくれたおかげで、まぁ、行ってみればその年の高校入試は下剋上なんて当たり前の混乱状態になったので、その混乱に乗じて何とか潜り込んだのです。一学年に500人弱の生徒がいたと思いますが、私の成績はその中で500番あたりでしたので恥ずかしくて同窓会名簿に名前なんて連ねていられません。今回も、このハガキ、見なかったことにしましょう。ま、同窓生と母校に対しては、長寿と繁栄を、とお祈り申し上げておきます。

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2023年5月29日 (月)

お心遣い

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 梅雨入りしてジメジメと、かつ暑さも増してくるというのに、未だこたつを出したままの我が家。「ちち(仮名)」さんは、こたつ布団にもたれている状態からでないと、容易には立ち上がれないので、あえてこうしてあるのです。後ろに支えになるものがあると、運が良ければ自力で立ち上がることができます。そうでない場合、誰かが起こしに来てくれるまできゅんきゅんと鳴き続けるのです。急いでいるとき、誰の姿も見えないときなどは、案外自分一人(一頭)でスッと立ち上がったりもしますので、甘えているのだろう、という説が有力です。

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 神々しいブランドロゴの入った、見た目はご立派なプラスチックの箱。イヴサンローランっていうブランド、結構安売りをしているのか、あちこちでこのロゴの付いた商品を見かけます。どんどんコラボしていくとより多くの人の目に触れて認知されやすいということはありますけれど、一方で陳腐化してしまうという危険性もあるのではないでしょうか。このロゴを見ても、へへぇ~っ、という感じにはなりません。

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 中に入っていたのは、これまたキンキラキンの萬年筆。ボディはシャンパンゴールドというのでしょうか、そこにゴールドのリング。お洒落な方がバッグからスッと取り出してサインなどをなさるときに使う、ということでしょうか。

 そういう用途には、ある意味、たいへん適した萬年筆であると言えます。まぁ綺麗、なんて言う人がいたら、惜しげなく「よろしければお持ちください」といえるようなものですし、いただいた人も、その後の使用において何ら困るところはないからです。

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 ペン先には金の品位を示すような刻印などありませんから、特殊合金ペン先でしょうか。そう、鉄ペン先、なんて無粋なことは言いません。あくまでこれは、金色をした特殊合金ペン先を持つ萬年筆なのです。そう、特殊合金。どちらでお造りになっているか、よくわかる言葉で宇。

 宝飾品なども手がけているメーカーさんですから、こういうキラキラしたものを品良く造るのも得意なのでしょう。

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 気に入ったのならどうぞ、お持ちになって・・・と言われた人は、インクを使い切ったあと、どうすれば良いのでしょう。一般的には現物を手に百貨店の売り場なり大きめの文具店なりに行き、「これに合うインクください。」と申し出ることになるのでしょう。そして、いやしくも萬年筆を扱っているお店で、ちゃんとした店員さんがいたならば、「さぁ?」ってことにはなりません。今、中に入っているカートリッヂを見ただけで、「はい」と言えるはずだからです。

 「お客様の便宜」のために、専用のものでなくても使えるようになっております、という、なんとも泣かせる文句が効いております。

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 それはそうと、説明書の最後のあたり、最後から二つ目の「・」で始まる文章、これ、こういうこと書いても良いのでしょうか。PILOTのカートリッヂを、インクがペン先に送り出されるほどにしっかりと、すなわちカートリッヂがしっかりと凹むほどにつまむなんて、常人にできることなのでしょうか。ヘンタイならやる人がいますけれど、逆に、そんなことしたらカートリッヂが切腹する、と忌避する人も多いはずです。

 その昔のお医者様が注射器に薬液を吸わせてからやっていたように、ピンピンピンと指でカートリッヂを弾く、なんてことならわかりますが。そういえば、全然関係ないのですけれど、今もまだ、注射器に入れる薬液、茶色いアンプルに入っていてハート型のヤスリで首を切って、なんてこと、あるのでしょうか。毎月注射針は刺されておりますけれど、「お注射、一本いっときます。」はコロナワクチン以外、最近経験ないので。

2023年5月28日 (日)

のろい

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 事務室内をお散歩する「まりりん(すっかり雄)」さん。土曜出勤の際、あまりにも暇でしたので水槽の水を全部替えて、なおかつヌメリなども磨いてやろうということで外に出したのですが、油断していると足下に寄ってくるので納戸も踏み潰しそうになります。実に危ない状況です。亀はノロいと思われていますけれど、思った以上に素早く移動するので、ちょっと目を離した隙にどこかへ行ってしまい、見失ってしまうこともよくあります。お腹をこすらず、完全に持ち上げて移動するので、結構速いのです。

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 先日、イカペン企画で引っ張り出してきたモンブランの256。これ以上ないほどの仏壇萬年筆。国産ショート軸などのバネかつら嵌合のものですと、ここまで嵌まったらストップ、というのがわかりやすいのですけれど、このシリーズはキャップを嵌めるにもポストするにも、どこまで押し込んで良いのかよくわかりませんから、材質の問題ともあいまって、必然的にキャップにひびが入りやすいのでしょう。幸いなことにこの個体は今のところヒビも割れもありませんが、それはこれまで使わずに放置してあったから、ということでもあります。

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 149などより軸の径はないと思うのですが、それよりずんぐりとした印象です。インクを呑ませて書いてみましたが、字幅がEFということもあって、とろけて仕事にならない、というような耽美的な書き味ではありません。かといって、カリカリとするわけでもありません。けれどもその昔、さる人に書かせて貰ったモンブランのEFペン先付きの萬年筆、モデル名も忘れてしまいましたけれど、それはそれは素晴らしい、太字でヌラヌラなんてなくても良い、というような素晴らしい書き味を覚えているので、結局、まぁ普通やな、という感じでしょうか。

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 キャップには大きな穴が開いています。これ、傷じゃないだろうかと思うような大きな穴。本来こういう穴があるものなのかどうか、長い間、モンブランはほとんど蒐集していなかったし研究もしておりませんので、私にはわかりません。こんなに大きな穴が開いていると、インクが蒸発してすぐに書けなくなってしまうのではないかと思いますが、今のところそういうこともありません。

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 こちらは常識的な大きさの穴。このくらいの穴の開いたキャップを持つ萬年筆はいくらでもあります。キャップを引き抜いたときにインクが飛び散らないように、とか、子どもが誤ってキャップを口に入れても窒息しないように、とか、あれこれ言われておりますけれど、こう古いものになると、最初から空いていたものか、傷なのか、まぁ、使えるからいいじゃないか、ということで気にしてはおりません。モンブランの萬年筆に詳しい方であれば、馬鹿なこと書いてるよなぁ、という話になるのでしょう。来月のペントレに持って行って、詳しい方にお話を伺う予定です。人を呪わば穴二つ、なんて言いますけれど、誰も呪ったことはないんですよ、わたしは。

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2023年5月27日 (土)

うらやましい

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 寝ている最中にふっと目を覚ました「ちち(仮名)」さん。昼間は本当に生きているのかと心配になるほどよく寝ているのですが、日が暮れると起きている時間が長くなり、いよいよ家族が床につこうかという時間になるときゅんきゅん鳴き始めるという、実に困った生活リズムになってきております。写真はそんな夜の一瞬を捉えたもの。かつては、さぁBlog書いて屁こいて寝よか、となったときに写真を撮るので寝ている姿がほとんどだった彼女なのですけれど、最近はこういう、夜中にふっと目を覚ます、というショットが増えてきているのです。

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 こういうものを見るたびに、昔から続く文房具店の中の人とお知り合いだったらどんなにか良いことだろう、とよからぬ思いを巡らせてしまうのです。現在奉職している職場は古くからの街にあり、近くにはずっとシャッターが降りたままの文具店が何軒かあります。そのうちの一軒には以前お邪魔したことがあったのですが、「あぁ萬年筆なぁ・・・いっぱいあったけど、売れへんし邪魔やから、〇〇中学校へ持って行って、全部置いて来たんや。」なんて話を聞かされました。実にもったいないことです。学校の先生っていうのは、実は、文房具に関して一番関心の薄い人たちでして、ましてや萬年筆なんてもの、存在すら知らない人の方が多いくらいですから、恐らくはそのほとんどがそのままうち捨てられたものと思われます。いや、実に残念です。

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 セイラー萬年筆を取り扱う販売店に配られたものと思われるこの萬年筆。これと言って特徴的なものというわけでもありませんが、この時代の主流というか、よく売れていたであろう萬年筆だったのではないかと思われます。今や同社は高級萬年筆路線に突き進んでおりますので、かつてのヘンタイ的なものはなかったことにしたいのだろうな、と思います。

 ステンレス蝕刻のキャップや樹脂製の軸、これを木軸に変えたら、私の大好きなあのシリーズになるのだろうな、という造りです。

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 23Kのペン先、大先には象嵌。まさしく、萬年筆が大人の筆記具の主流であった時代らしい一本。今の時代にこういうものを出すと、むしろ中途半端な製品、ということになってしまうのではないでしょうか。こういうのを喜ぶのは、ヘンタイさんだけ。実用品としてなら、鉄ペン先のもので十分ですし、高級品としては見た目や姿がそれらしくない。こういう、ちょっといい実用品、というのは、今の時代、あまり面白くないものばかりであるように思います。

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 ペン先の23Kという刻印を正対して見たとき、ペン先の右側には字幅を示す-2-という刻印。そして左側には、セイラーのロゴと、これは何だろうという刻印とがあります。おそらく10と書かれていて、その次は何なのだろう、と思うわけです。周年の「周」なのでしょうか。このペン先を引っこ抜く術がありませんので、確かめることもできません。いつか、知ってそうな人に聞いてみることにしましょう。

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2023年5月26日 (金)

いかにも。

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 え、何撮ってるの、と目を開けた「ちち(仮名)」さん。こうしてケージの外で寝る生活が定着してきましたが、次に来るのは夜鳴き、徘徊なのかと思うと哀しいところです。足腰は弱っていますけれど、食欲はそこそこありますので、まだまだしばらくは我が家の一員であり続けることと思いますが、お互い、歳をとってくると先のことはわからないものですから、ま、生きてる間は楽しもうね、って声をかけております。

 飼い主が40歳代に突入したとき、職場で富士登山しようということになって、その訓練ということで三重県の御在所岳に登ったのですけれど、途中激しく足が攣って動けなくなり、這うようにして山頂にたどり着いて、皆とは別にロープウェイで下山したことから、糖尿病を疑った学年主任が速攻で医療機関の予約を取って強制受診、ってことがありました。アホなことに、受診の前日はその学年主任と大阪ミナミで呑み歩いていて、〆は金龍のラーメン。血液検査の結果は見るも恐ろしい血糖値で「立派な糖尿病です。」と診断されたのでした。まぁこの場合、ラーメンやらお酒やらはトッピングに過ぎず、節制していたとしても結構な数値が出たであろうことは間違いありません。

 以来、同じ主治医のもとで治療というか、まぁ月に一度の受診と血液検査、そして服薬治療を続けていますけれど、治療の効果が出ているために逆に体重が落ちない、というジレンマ。毎度、受診するたびにもっと減らせと言われております。いわゆる標準体重から10キロ程オーヴァーなので、なかなかに難儀です。

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 この1週間ほどは、例によって受診前のお化粧、すなわちあれこれ取り繕う期間なので、一切糖質をとらないぞ、くらいの意気込みで過ごしております。なぜか今回はなかなかよい成果が出ているので、間近に迫った受診日のあとも継続して、今度こそ夢の60キロ台突入、そして、何もしなくてもこのくらいの体重だ、というのを68キロくらいに持って行けたらな、などと、体がしぼむ夢を膨らませているのです。

 さて、写真左は先日登場したコヒノールの萬年筆。拙Blogで駄文を書くとSNSにリンクを載せるようにしているのですが、それを見た人が「イカペンとか言うけど、モンブランのノブレスとかと同じ感じでしょ。」と教えてくれました。素人の私を気遣って教えてくれたことに感謝しつつ、じゃあネタに、と引っ張り出されたのが右のノブレスさんなのです。こいつはキンキラキン、ペン先は14K。何度か書いていますように、私が初めて自分で買った萬年筆はステンレスのノブレスでした。懐かしいことに、ダイエー店舗写真集なんてものが公開されていて、その中に私がノブレスを買ったダイエー柏原店の写真もあります。文具売り場の硝子ケースの中に、それは鎮座していて、そう、輝いていたのです。

 書き味はもう、本当に酷いもので、書き出し掠れどころか全くインクの出ない個体でした。腹が立って、ギュゥッと紙に押しつけてばかりいた記憶があります。すぐに興味を失って、どこかへやってしまったように思います。

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 そんな、萬年筆を満足に扱うことのできなかった少年も歳をとり、なぜか手元には山のような萬年筆。ついでなので、同じくイカペンのお仲間と並べて記念撮影です。どうせなら、と、モンブランで一番大きなイカペンと並べてみました。これくらい大きくなると、根元の絞り込みの部分などもはっきりとわかります。ノブレスにインクを入れて書いたらどんな感じか、というのはだいたいわかっています。そして、萬年筆関連の会合に行くと、25Xシリーズを持っている人が普通にいて、書かせてもらえたりするのですけれど、これが実に気持ちよいのです。はたして私の手元にあるこのペン、インクを入れて書いてみたらどんな感じなのか。落ち着いたら、試してみたいと思います。

2023年5月25日 (木)

掘り出しもの

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 今夜もケージに入ることなく、昼間と同じ場所で眠る「ちち(仮名)」さん。好きなところで寝ていれば、夜中に起き出してキュンキュン鳴くこともないので気が楽ですが、本人(犬)は「おうちの外」で落ち着いて眠れるのだろうか、と気になります。夜中に目が覚めて水を飲みたいというときに、ケージ内の給水器で飲むことをせず、部屋の一角に置いた水鉢で飲みたいために、家族の誰かがやってくるまで鳴くのです。実に困ったものですけれど、この調子ではこの夏を越せるかどうかも怪しいので、好きなようにさせてやろうと思っています。

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 この棚に積み上がっている箱の中には、私のコレクションした萬年筆が収まっている、ということはわかるのですけれど、結構な量があるので一度に中味を確認することができません。本日最初に手に取った箱は、ごくごく普通のPILOTの箱。通常品を文具店や百貨店で買うと入れてくれる箱です。期待せずに開けてみると、緑色の742らしき萬年筆が出てきました。そもそも、742とか743とかでオリヂナルのモデルを作るのは結構力のあるお店でないとできない、と聞いておりましたので、これは一体何なのだろう、と一瞬思って、次の瞬間、長い間どこかにあるはずと思っていたアレだということに気づきました。キャップリングからもそれがわかります。

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 2009年、このBlogを書き始めたのが2008年の秋です。この萬年筆は良識あるヘンタイ倶楽部のメンバーとのお付き合いがあって手に入れたものですから、もうそんなになるのか、と感慨深いものがあります。Y.Y.Dayがまだ行われていない時代の萬年筆なのです。第1号のY.Y.Penが製作されたのがこの次の年です。奇しくも、どちらも緑色の軸です。

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 ペン先は10号のフォルカン。このペン先、手元にはない、と思い込んでおりました。ここにあったのですね。どんな書き味なのでしょうか。このペンにはCON-70がセットされておりますけれども、まだ一度もインクを呑ませたことがありません。この萬年筆を製作した団体は老舗の萬年筆愛好者の集まりで、実に尊敬すべき団体ですが、最近はあまり派手な活動はされていないように感じます。どんなグループでも、波というのか、そういうものがあります。かくいう良識あるヘンタイ倶楽部も、創立(?)当初から考えると、かなりメンバーが入れ替わりました。

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 天下のPILOTさんに、天冠まで独自仕様で作ってくれと要望して、実現してしまうなんて凄いことです。この赤い星は、言うまでもなく、北辰旗、そう、北海道開拓史のシンボルマークです。

 振り返ってみると、あぁ、あのときに何で手に入れておかなかったんだ、と後悔してしまうペンがたくさんありますけれど、これも、仲間に恵まれなければ存在すら知らないまま終わっていたであろう1本です。何せ飛行機に乗れませんので、北海道は異国も同然です。でも今はトンネルを通っていくこともできますので、いつの日か、北の大地を踏んでみたい、とは思っておりますが、そこまで寿命があるかどうか、が問題です。

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2023年5月24日 (水)

どこで使う?

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 ひたすら眠る「ちち(仮名)」さん。夜はケージに入らなくなり、外に出ているときには粗相をしてクッションを汚す、というわけで、ついにケージ内専用だったクッションが外に出てきました。このまま置いておいても本人(犬)がそこで寝ないので、ならば外で寝るときにもこいつを活用するしかありません。この先、梅雨に向かって、クッションみたいな分厚いものは洗濯しても乾くまで時間がかかりますから、洗い替え用として、ケージ内専用のクッションの活躍が期待されます。

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 先日のY.Y.Dayでしたか、広島半さんが興奮気味に「こんなのみつけたっ!」と寄って来て獲物を見せてくれたのです。最近、とんと見かけなくなったLAMY2000のEDITION2000でした。西暦2000年になっても古くさく見えないペン、と言うことをテーマにデザインされたのがLAMY2000で、それが実際に西暦2000年になっても現役で販売されている、ということで出された記念バージョン。ボディから何から、全部ステンレスです。デロリアンと同じく、朽ちない金属、ということだったのでしょうか。

 写真はそれではなくて、プルミエステンレス。EDITION2000はボールペンもセットにして購入し、販売店に送られてくるときの外箱まで大事にとって置いたのですけれど、当時の私は、とにかく手に入れた萬年筆は実用する、という主義でしたので、結構難儀をしたのです。

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 まず重たい。それはそれで、重たい萬年筆は嫌いではないのですけれど、ステンレス製の軸はよく滑る。普通の書きやすい萬年筆ですら十分にコントロールすることができない私ですから、重たくてつるつる滑る軸なんてもので字が書けるはずがないのです。

 加えて、LAMY2000であるということ。神戸は元町の専門店でペン先を調整して貰ったのですが、当時の調整はフローを潤沢にする方向でしたので、ペン先が滑らかに走りすぎて、これまたダメな方向。あまりにもスムーズに書ける萬年筆は面白くも何ともないのです。世間一般にはガリガリするペンをなだめすかして、あるいはこんなものだと諦めて字を書いている人の方が多いのでしょうから、贅沢極まりない悩みと言うべきかもしれません。

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 結局、手放してしまったEDITION2000。その後、不思議と目の前に現れることもありませんでした。そうなると惜しいという気持ちが湧いてくるのが蒐集家の悪いところで、次善の策ではありませんけれど、首軸からインクがにじみ出るという部分も改良されたプルミエステンレスを手に入れてしまったわけです。で、これも結局、使いませんでした。理由は同じです。

 LAMY2000は名作で、とても良い萬年筆です。人に聞かれればトヨタの車を買え、と言うくせに、日産の車に乗っている私。トヨタの車をマイカーにすることは死ぬまでないと思いますけれど、たまに出先のカーシェアリングで現行ヤリスなんかに乗ると、その楽しさに唸らされてしまいます。きっと、今買って一番楽しめる、後悔しないのはトヨタの車に違いないのですが、でも、嫌なのです。かつてはスバルも気になっていたのですが、アイサイトを大々的に宣伝し、トヨタと提携してから、乗ってる人の層が変わった(トヨタと一緒になった)ように感じていて、これもマイカーにはしないでしょう。かつてどヘンタイだったホンダも、いまでは普通で、これまたトヨタ的。日産だって、この先どんどんその方向に寄っていくことでしょう。萬年筆のように主流ではない筆記具でも、そういう流れが確実に来ているような気がします。そんなとき、昔は嫌だったけどLAMY2000、いいよなぁ、なんて思う日が来るのでしょうか。ま、そうなるまで命が続かない方に3000ペソ、ですけど。

 

2023年5月23日 (火)

不具合

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 ふと目覚めた「ちち(仮名)」さん。目は空開いていますが、意識はほとんどありません。この後、すぅ〜っと頭が下がって行って再び眠りに落ちるところを確認して、その後は飼い主の記憶もありません。仲良く一緒にいびきをかいていたようです。

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 先週火曜日の午後に集荷に来てもらって修理に出したワイヤレスイヤホン。左右一体のイヤホンと、それらを収める充電器を兼ねたケース。手の中に握り込めるぐらいの大きさのものを集荷に来てくれた人に渡すと、結構な大きさの段ボール箱に納めて持ち帰ってくれたそうです。そして、一週間後の今日、それはさらに大きな段ボール箱に入って戻ってきました。

 満充電して使用していると、本来なら4〜5時間ほど聴き続けられるはずなのに、2時間も経たないうちに「充電してください。電源を切ります。」となる。それも、片側だけ。同じような症状があちこちで出ているようで、むしろ私の個体は発症が遅かったのです。

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 修理の見積額は、現状、同じものを新品で買えるほどのお値段。それでもやっぱり、と修理に出しました。早い時期に修理に出した人は丸ごと新品になって帰ってきたりもしたようですが、数多くの症例に対応するうち、一定の方向性が出てきたのでしょう。私の場合は、激しく電池が消耗する方だけが交換となりました。保証期間も終わっていましたが、特殊な症例というか、メーカー側にも思うところがあるようで、無償修理となりました。新製品にすぐ飛びついた場合、こういうことはよくあります。

 実はこのイヤホン、この夏あたりに後継モデルが出るようです。またそいつに飛びついて、同じような目に遭うのでしょうね。


2023年5月22日 (月)

七三分け

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 ピーカンのもと、お散歩に連れ出されて困惑している「まりりん(誰もが知る雄)」さん。この時期でも、午後のお散歩は辛いようで、こうして首を伸ばして日陰を探してはそそくさと隠れてしまいます。亀の健康を保つために甲羅干しは欠かせないのですけれど、あまりに強烈な日射しでは熱中症になる危険もありますので、カメさんの様子を見て、これは嫌がってるな、と思えばすぐ水中に戻します。気持ちよく日光浴しているときには、首を出し、四肢もぴーんと伸ばしている状態になっているのでよくわかります。写真では前脚が出ていません。緊張、警戒しているのです。

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 そろそろ散髪に行きたいなぁ、と思っているのですが、なかなか日程が合いません。私の髪の毛は頭皮から垂直に立ち上がっていて、この歳にしてなお、ビンビンに元気なのだそうです。洗髪してタオルで拭いてそのまま寝る、なんてことをしますと、朝起きたらこの世のものとは思えない髪型、そう、コントの中でいかりや長介さんが爆発した建物から出てきて「ダメだこりゃ」という、そんなときの髪型になります。そんな私ですが、若い頃はパーマをあてて髪の毛をおさえつつ、最終的には七三分けにしていたのです。これも私の髪の特徴として、七三分けにすべきところできれいにパカッと割れるのだそうです。その後、パーマをあてつつオールバック、というのを経て、現在はアイロンを使って髪の毛を曲げ、押さえつけている状態。今、お願いしている理容師さんは相当に高齢なので、そう遠くない将来、頼めなくなります。そうなったら、再びジェルで固めてオールバックにするしかなさそうです。

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 以前にもご紹介したことのある、これ、絶対に代理店通って日本に入ったものじゃないだろ、というウォーターマン。外国製萬年筆で魅力的なモデルがあるのに、なぜか国内に入ってこない、というものがありますが、そういったものの中には、輸入代理店が「入れられない」と判断したモデルというのも一定数あるのだそうです。伊太利亜製のものなど、こんなの国内で販売したらクレーム処理で儲けが飛ぶどころか大損する、というので販売しなかったモデルも少なくないとか。

 この個体、普通に字が書けますし、どこと言って悪いところはないのですけれど、ルーペでペン先を見てはいけないものなのです。

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 ペンポイントの分割が変です。ついでに言うと、ハートアナのところまで見ていったとき、切り割りもちょっと変なのかも、と思います。欧米人は萬年筆を使うとき、書き出し掠れなんか気にもとめないで、ガンガン紙に打ち付けたり、ペンを振ったりして、それでインクが出ればOK、なんてことも多いようです。パーカーとかウォーターマンとか、少々ガツンとやられても何ともなさそうなペン先なのはそのせいでしょうか。

 こちら側から見ると、片側はほとんどイリジウムがないように見えますけれど、ペン芯側から見ると、もう少しある、とわかります。

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 そうであればこそ、文字を書くのに不都合なことはない、ということなんですが、いや、字を書くのに問題ないならそれで良い、というならばボールペンで良いのです。100円、いや、タダでもらえるボールペン、選挙の投票所で大量に使い捨てられる、ゴルフやるオッサンがスコアを書くのに使うようなプラスチックの鉛筆もどき、そういうものでも字は書けるのです。

 そうであるにもかかわらず、何万円もする萬年筆を何本も買い、とっかえひっかえ使う、あるいは使わずに眺めてニヤニヤする、そういうのは「ヘンタイ」です。けれど、何人といえども、人に迷惑をかけてはいけません。だから自分たちは良識あるヘンタイであることを意識していこうというのが、良識あるヘンタイ倶楽部(登記名。屋号はY.Y.Pen倶楽部)なのです。ちなみに、今が旬のChatGPT様に「良識あるヘンタイ倶楽部」について聞いてみると、「ヘンタイ」はけしからんのですぐに止めなさい、と諫められます。わかってませんね。AIもまだまだです。

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 例によってこの萬年筆も、長いことどこかに放り込まれていて最近明るいところへ出てきたので、カートリッヂがささったまま干上がっておりました。これまたしっかりと洗浄しなければなりません。日を追うごとに、洗うべき萬年筆が増えていきます。

2023年5月21日 (日)

注意喚起

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 クッションの上で座っている状態から、次第次第に頭が下がってきて、ついに眠りに堕ちた「ちち(仮名)」さん。後ろ脚の状態は非常に悪くて、そろそろワンコ用の車椅子を用意してあげないといけないかも、と思っております。基本的にオーダーメイドなので、お腹の下に手を入れて若い頃のようにしっかりと彼女を立たせ、あちこち細かく採寸しないと申し込みすらできません。で、そういうものをつけたからといって、そのままではおすわりもできないわけで、こまめに着け外しをしてやらないといけません。さて、この夏を越せるのか、なんてことも我が家では話題に上がりつつあります。

 彼女が一番慕っているのは長男ですけれど、薄情なことに長男は「次はぬこ」なんてことを言っております。我が家の男性陣は私以外、すべて猫派だったということが判明しました。重大な裏切り行為です。

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 昨年、コロナ禍で入荷がなく、日本国内では入手不可能な状態になっていた頃に、外国のお店から購入したものです。そんなに必要なものなら届いてすぐに梱包を解いて使えば良さそうなものですが、怠け者なのでそのまま放置しておりました。何より、紙で包んで、紐をかけて、さらにリボンまでつけて送ってくれたことに感謝、というか、もうちょっとこのまま、見て楽しもうかと置いてあったものです。

 このつつみは2個入りですけれど、その後、別のお店で1ダースほど注文したので、当分、困ることはありません。毎年、Y.Y.Dayの日に受付の外にこいつの空き瓶を置いて「ご自由にお持ち帰りください」とやっているのですが、昨年も今年も、瓶の数は8個ほど。私は年間8瓶、こいつを消費するということなのです。

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 アウロラのエウロパに長いことインクを入れっぱなしにしていたので、しっかり洗浄しようとローラー&クライナーのライニガーを吸入して、数日そのままにしておきました。説明書通りの使い方としては、吸入して5分ほどおき、それからその状態で文字を書くことで、洗浄液がペン先の方まで綺麗にしてくれる、というもの。ですので、長いこと吸入したまま放置しておくのはよくありません。

 もともと吸入してあったインクは色彩雫の竹炭で、そこにライニガー。ある意味、萬年筆キラーと言うべき組み合わせです。忘れてました。

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 以前、同じくアウロラの85周年レッドに、これも色彩雫の月夜を入れてあって、尾栓部が割れてしまったということがありました。インクに直接触れる部分ではありませんけれど、少し気になっておりました。ペリカンのM800にも色彩雫シリーズの紫陽花や朝顔なんかを入れていたことがあって、こちらはインナーキャップが割れました。色彩雫はPILOT以外の萬年筆に使わない方が良いのかも、と思っていたのですが、長いこと竹炭を吸入したまま放置してあったエウロパ、ひょっとして・・・です。

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 ライニガーを抜き、水ですすいでいるときに、スコッと胴軸が抜けました。正確には抜けたのではなくて、中で折れたのです。慌てて元の形にしてキャップを閉めると最悪で、今度は首軸がキャップの中にとどまってしまいます。

 よくよく洗って、元の順番にくっつけて、マスキングテープで仮固定。そこにそっとキャップを合体させて、くるくる回さずそのままに。あとは修理に出すだけです。

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 色彩雫もライニガーも、ある種の樹脂には攻撃性があるのだろうと思います。短時間なら良くても、長い時間は禁物です。萬年筆を洗うときは丁寧に手早く、その日のうちに、ですね。そもそも、長いこと漬けおかないといけないような、そんな状態にしてはいけないのです。これからは1日3本を目標に、インク入れっぱなしの萬年筆を綺麗に洗っていきたいと考えておりますが、その日のうちに勝負が付かないと思うものには手を出さない、というのもまた、一つの対応策かと思っております。そういうのは、休みの日に朝からじっくりと、ですね。

2023年5月20日 (土)

イカペン?

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 本日はわりと調子よく過ごしていた「ちち(仮名)」さん。優しくしてくれる長男が一日家にいましたので、彼女も日中のほとんどの時間を長男の傍らで過ごしていました。居間に戻ってきたときには、こんな風に自分のクッションの上にへたるように座って、そのままの姿勢で目を閉じてウトウトする、ということを繰り返しておりました。それが限界に達すると、ペタンと寝そべって眠るのですけれど、そのように寝てしまうと次に起き上がるのが大変だから、ということで、どうしても座った姿勢を維持したいような感じです。

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 過去の記事、それも13年前の記事を掘り返してみると、海外旅行に行った友人から貰った、とされている萬年筆。シンプルな外観ですが、実はあちこち凝った意匠が施されているものなのです。カジュアルな萬年筆という感じで、キャップはごく短いもの。写真左下の黒い部分の、そのまた一部分がキャップです。

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 ポストするのが好きな人はすれば良いし、そのままキャップを机の上に転がしておくのも良さそう。ヨーロッパ標準ショートタイプ対応です。軽い感じに見えますけれど、まぁまぁの重さで、そんなに安っぽい感じはしません。

 それでも、これ、結局使わないよなぁ、鉄ペンだし・・・とペン先をしげしげ見つめていて、ん?となりました。

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 根元、くびれてませんか? 立派なイカペンの形をしているように思います。だからといって50年代から60年代のモンブランみたいな書き味だというわけでもないのでしょうけれど、形はイカペンです。

 萬年筆の書き味とペン先の形状、関係があるようでいて、実はそれほどでもないように思います。いかにもよく撓りそうなペン先でも、書いてみるとガチガチに硬いとか、物理的には硬いのだけれど手に感じる書き味は実にソフト、というものまで。インクフローを含めた話になるので、一概にペン先の形だけでどうのこうのというのは間違いの元でしょう。

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 そのペン先を含む首軸はねじ込み式ですが、きちんと最後までネジを締めるとこんな感じ。ペン先とクリップとが揃いません。揃っていないにもほどがあるので、何度か締め直してみたのですけれど、変化はありませんでした。そういうところを気にするのは日本のユーザーだけなのかもしれませんね。近いうちにインクを入れて、イカペンの形になっている鉄ペンの書き味を確かめてみたいと思います。

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2023年5月19日 (金)

しきつめる

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 吸着マットの上をゆく「ちち(仮名)」さん。後ろ脚の筋力が衰えていて、「おすわり」の姿勢になるとお尻ではなく、腰のあたりが床についてしまい、立ち上がることができなくなるのです。フローリングの上では滑るので、歩くのにも難儀するような状態ですので、ホームセンターで適当なものを見つけて床に貼ってみました。

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 写真の上の方がリヴィングルームで、そこから玄関まで、ずっと同じものを敷いていく予定でしたが、それではドアの開閉に支障が出ることが判明。いつもながらの無計画さが出ました。十分なクリアランスがあるはずだったのですが、ドアの建て付け調整の加減でクリアランスが少なめになっていたのです。

 仕方なく、さらに薄手のマットを買うことにしたのですが、これがけっこう難航して、結局、見つけたのはこんな柄のものになりました。

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 何と、まさかの猫柄。これ以外に無地なものもあるにはあったのですが、あまりにもつまらない感じがしたので、あえての猫です。

 先に敷き詰めたもののおよそ半分の厚みなので、これなら大丈夫、と思ったのですけれど、やはりドアの傾きが大きすぎて、少しだけ干渉。

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 この部分、洗面所から玄関へと出るドアなのですが、ここまで開けると薄手の猫のマットにも干渉します。よくしたもので、このドア、綺麗に全開させようとすると置いてあるスリッパ立てにガツンとぶつかっていたので、ここまでの開きで止まるのはむしろ好都合、という奥様の一声で天下御免となりました。

 問題はこの先、いつまでワンコが動けるのか、ということですね。

2023年5月18日 (木)

サービス品

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 今日は帰りたくないの・・・という「ちち(仮名)」さん。一瞬、というぐらいの短い時間、ケージに入っていたようですが、意識不明の状態から蘇った飼い主の枕元には、こんなふうに鼾をかいている彼女がおりました。一端寝入ってしまえば何ということもないのですが、入眠時にはそばに飼い主がいないとダメなようです。これを喜ぶべきなのか、難儀なことであると嘆くべきなのか、難しいところです。

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 某巨大オークションに出ていたので、メーカー名だけで頑張って競り落としました。圏外就業率が全国第二位、明治の時代に堺県に編入されていた記憶のせいなのか、自分たちは大阪府の一部だと思っている県民が少なくない、ともいわれる奈良県。いや実際、大阪でマイホームを持つのはとても大変だから、電車で40分ほどの奈良で家を買う、なんて人は少なくないのです。かくいう私の実家も、その昔、だんだんに歳をとって弱ってきた祖父母と同居すべく、日曜ごとに両親に連れられて奈良県に家探しに通っていたことを覚えています。

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 センター萬年筆は、奈良県御所市で萬年筆を製造していたメーカーです。その昔、モリソン萬年筆の本社が御所にある、と訪ねていったという話をしましたら、二右衛門マスター氏に「何でセンター萬年筆に行かなかったんだ!」とWAGNERの会合でお叱りを受けたことがあります。そしてその会合でのペントレで、非常に程度の良いセンター萬年筆を世界のコレクター氏が発見してGETされる、なんてこともありました。私は恥ずかしながら、ちゃんとしたセンター萬年筆を手に入れたのはこれが初めてなのです。

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 奈良県のセンター萬年筆、あるいはモリソン萬年筆に限った話ではありませんけれど、昔は萬年筆製造に携わる人も会社もたくさん存在したので、今の時代であれば大手の会社でもなかなか製造販売できない、しないような製品をバンバン作って売っていたようです。ふるいけれど、結構キッチリしている、というか、普通にちゃんとした萬年筆がゴロゴロ売られていたわけです。羨ましい限りですが、その時代においては、それが普通だったわけで、誰もそれを珍しがったりしなかったのでしょう。

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 軸色が黒いものと緑色のもの、いずれも宣伝用サービス品ということで、販売店に配られたものだったのでしょう。U字形に折り曲げた金属でゴムチューブを挟んだ形の吸入器を備えたもので、今でも吸入器は生きています。奈良県で作られた14Kペン先付きの萬年筆です。センター萬年筆は、現在も会社が存続しており、萬年筆製造こそしていませんが、文房具の販売をされているようです。

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 JR和歌山線の御所駅から徒歩1分か2分のところにあります。左のグリーンの建物は奥行きも深いので、かつてはここが製造工場だったのかもしれません。ここから、この建物の奥の方へ向かって数分歩くと、そこにはモリソン萬年筆があります。主に舶来の筆記具を通販されていたのですけれど、現在はそちらをお休みというか、リニューアルオープンの準部中だとか。むしろ、カフェ&バーとして存在感を出されています。

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 お酒は全く呑めない私ですけれど、これはいっぺんお邪魔してみる必要がありそうです。問題は、この御所という街まで行くのがなかなか不便だということです。電車(世間一般の人が言う電車ではなくて、ほんとに電車)は基本的に1時間に1本。少し離れた近鉄御所駅を利用すれば、もう少しマシなのですけれど、私の住む奈良市は奈良県の北の果て。そこから奈良県の南北の真ん中より少し北、という御所まで行ってお酒など呑んで、少ない本数の電車に乗って帰って来るというのは・・・ぜひ、やってみたいです。

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2023年5月17日 (水)

えっ?

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 昨日までとはうって変わって、今日はおとなしくケージの中で寝ている「ちち(仮名)」さん・・・と思って写真を撮りに行ったところ、お目々が開いておりました。これ以上深入りすると、またきゅんきゅん鳴き出すので、早々に退散。二階に上がって、蒸し暑い廊下や納戸でコレクションの発掘と整理に励みます。

 これはいつ、どこで買ったもので、どういうものなのか、ということぐらいは記録しておかないと、目の前のものが何でここにあるのか、自分でもさっぱりわからない、ということになります。また過去にはWAGNERの会合で「迷惑じゃんけn大会」というものがありまして、使えるものでなおかつ貰って嬉しくなさそうなものを出品する、というのが暗黙のルールでした。私などはこれでかなりの数に人に災厄を与えた方ですけれども、人を呪わば穴二つ、というぐらいですから、自分も同じぐらい被弾しております。そういったものは会場から持ち帰っても一顧だにせずに紙袋の中で朽ち果てていく運命ですが、時折、ボコッと浮上してきて目に触れることがあって、これ何だったかな、となるのでしょう。

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 見るからにお宝っぽい箱。こういう箱には、定番のスーべレーンシリーズよりも、限定品なんかが収まっていることが多いのです。スリーヴになっている紙箱を取り除くと、中にはこれまた上等そうな、ビロード張りみたいなケースが入っております。

 私はトレドシリーズを追いかけてましたので、この箱も何本かあるトレドの空き箱だろうと思っておりました。

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 こういう、人を惑わすようなシールが貼られています。俗にペリカン150周年記念などと言われる金と銀のペンの金色の方ですね。確かに手元にありますけれど、こんな立派な箱に入っていたのかしらん・・・と。しかも、昔の私はBなんて字幅、実用にならないからと避けていたはずなのです。

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 萬年筆をとりだしたあとはアクセサリーなどの入れ物として女性に差し上げる、などというのも良いかもしれません。とにかく、コレクションとして置いておくのならともかく、インクを入れて実用に供するのなら、こういったケースは必要ありません。将来、そのペンをお嫁に出すつもりがあるのなら、このペンが入っていたケース、と明記して、必要になったらいつでも取り出せるように収納しておかなければなりません。

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 えっ? 何か入ってます。明らかに萬年筆ではありません。何でしょう。よっぽどけったいな、珍しいボールペンなのでしょうか。グリップの部分が握るとじんわりと凹むような素材になったツイスト式のボールペンです。いちおう、ペリカンのロゴは入っています。

 そして、もう一本は明らかに安っぽい、ノベルティと思われるボールペン。こういうものをわざわざ買ったのでしょうか。

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 そのノベルティ感丸出しのボールペンには、マルティニオークションの文字が。わざわざドイツのオークションサイトにアクセスして、何かを落札したのでしょう。その落札品に、オマケとしてボールペンが付いてきた、そして、本来このケースに収まっていた萬年筆はどこか別のところにある、ということです。ペリカンのボールペンも、おそらくはオマケだったのでしょう。

 こういうことがあると、整理整頓の手が止まります。それはしょっちゅうあることなので、いつまで経っても作業が終わらないのです。合掌。

2023年5月16日 (火)

わからない

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 お昼過ぎに携帯に送られてきた「ちち(仮名)」さんの情けないお姿。あまりにも汚れてきたので、シャンプーをお願いして、綺麗な姿になったのは良いのですが、若い頃からお風呂は大嫌いな彼女、加えてよその人に洗ってもらった(洗われた)ので、相当な恐怖、心細さを感じていたのでしょう。後ろ足の力が弱ってきていることもあって、腰が抜けたようになってしまっています。

 この状態からなかなか回復せず、深夜に至ってもずっとキュンキュン鳴き続けています。くたびれているはずなのにぐっすりと眠ることもできないようで、少しウトウトしては起き上がる、ということを繰り返しております。今夜もまた、彼女と添い寝しながら夜が明けるのを待つことになりそうです。

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 少し変なプロポーションの中華萬。最近は中華だからと馬鹿にすることもできない、なかなかの仕上がりのものがほとんどですが、それでもやっぱり、いつかどこかで見たような、というスタイルのものがほとんどで、そこのところは本当に何とかならないものかと思います。我らがセイラー萬年筆だって、世界に冠たるドイツ製の高級装飾品、もとい、萬年筆とそっくりやん、というのはこの際置いといて、関西の子供が見たら、「マネしゴンボ、ゴンボ持って走れ!」などと囃し立てられること必定です。

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 収納時は全長の半分以上がキャップ、というのはまんまカヴェコですし、そのキャップもご丁寧に八面になっております。比較対象にご本家のパンを並べる気にもなりません。

 憧れから真似をする、のではなくて、よく売れてるものに似せたら簡単に売れるだろうからと真似をする。モノとしての出来はそう酷いものでもなくなってきたので、余計にこのセコさが気に障ります。まぁ、そんなこと思われたって、作ってる方は屁とも思わないのでしょうけれど。

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 みんなが探しているコンヴァータもついてます。萬年筆本体は誰かにあげて、コンヴァータだけ使う、というのでも良さそうです。実際私は、中華萬を手に入れたらコンヴァータを保管しておいて本体はほったらかし。イヴェントなどの景品にしてしまいますので、インクを入れて使ったことがほとんどありません。

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 字幅EFとF、一方にはLISEURとありますが、これ、メーカー名か何かでしょうか。多分インク入れて書いてみたら、何の不満もない仕上がりなのだと思います。

 大昔、日本製の自動車や家電製品がどんどん入ってくるのを苦々しく思っていた青い目の人たち、やはりこんな気分だったのでしょうか。この先、もっともっと品質が上がって、国産品が圧迫されるようなことになっても、萬年筆とだけにたいして話題にもならないのでしょうね。

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 大きさ比較。おそらく私は、小さいサイズの萬年筆、ってことから、こいつに手を出したのだろうと思います。使いもしないのに、この小ささに何を期待したのでしょうか。整理を進めていけばいくほど、その時の自分は一体何考えてたんだろう、アホちゃうか、いや、疑うたらアカンわ、と一人でツッ込んでいるのです。

2023年5月15日 (月)

やっぱり

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 体は起こしたけれどやっぱり眠たい、という「ちち(仮名)」さん。お歳のせいで、どうもシャキッとしません。食欲だけは若い頃のままでしたけれど、それも最近はおとなしめになってきました。そういえば、同じ年齢の中ではよく食べるというか、要するに卑しい私なのですけれど、最近は食べることは食べても、あとから後悔する、お腹がもたれて苦しくなる、ということが増えてきました。健啖家と言われる人たちは年齢を重ねてもなお、びっくりするぐらいよく食べるそうですから、私も結局は普通のお年寄りに向かってまっしぐら、ということのようです。

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 ガサゴソと探してみたら、プラチナブランドではなかったものの、これ、おんなじやん、というモノを見つけてしまいました。左上の、シャンパンゴールドに輝くショート軸がそれです。こいつを見つけて、まずやってみたことは尻軸を外すこと。中にはしっかり(期待通り)使用済みのインクカートリッヂがささったままになっていました。そのお尻の形を見て頷いたのですけれど、念のために引き抜いてみると、中で小さな球がコロンと動くのが見えました。間違いなくこれは、プラチナ製のカートリッヂが使える他社製の萬年筆でした。

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 IMSってどこのメーカーでしょう。うしろのJAPANとありますから日本製なのでしょうけれど、まだ萬年筆が大人の筆記具として普通のものであった時代、こういった今では存在したことすら知られていないメーカーがたくさんあったのですね。電化製品その他でも見られることですが、そういったメーカーは今も残る国産三社の製品を自社の工場で生産することを請け負っていたのかもしれませんし、単に、カートリッヂを独自の仕様で用意することを避けて、それら大メーカーの仕様に併せて作ったのかもしれません。当然、断りは入れていたことでしょうし、場合によってはパテント料みたいなものを支払っていたのかもしれません。あとこのキャップの刻印、まるで手作業で彫ったみたいな感じですね。

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 右がプラチナのツーウェイ、左が今回見つけたIMSです。基本的に同じ構造で、プラチナの方が大きめで見栄えの良い造りになっています。いずれにしろ、ペンポイントは太い方の字幅の側に合わせて付けられていますから、かつてセイラーのペンクリニックなどで、こうするとこっち側でも書けますよ・・・とやられていたのと同じ発想のようです。逆さまにして書いたときのインクフローを確保するために、両ベロみたいな感じにしてあるのでしょうか。それにしては、プラチナの方など特に、ペン先と完全に離れているのですけれど、これは単に経年劣化なのか、そういう仕様なのか。そのあたりは、インクを入れて書いてみないことにはわかりません。某オークションに出ていたものに手を出さなくて良かったというお話でした。

2023年5月14日 (日)

あるかも

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 めずらしく起きていてお目々ぱっちりの「ちち(仮名)」さん。ですが、この態勢になるまでには大変な労力を要するのです。まず寝そべっている状態できゅんきゅんと哀しげな鳴き声をあげて、その後、ジタバタと暴れてそこら辺にあるものを倒したり落としたりしながら、ようやくこの姿勢になるのです。そして、それでも後ろ脚はこんな風に、ちょっと尻餅をついたような状態にしかなりません。ワンコは後ろ脚の筋力が弱りやすいのだと言いますが、それを地で行く彼女なのです。

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 プラチナのツーウェイ。パーカー180みたいに、ペン先の表と裏、両方で異なる字幅の文字が書けまっせ、という製品です。さすがに色ものだと思ったのか、ペン先はステンレス製と思われるものが付いています。高級版として金ペン付きのものなどもあったのでしょうか。そこら辺まで突っ込んで調べていくのが萬年筆愛好家だろうとは思いますが、私はただの素人なので、単に変なペンがあるな、と手に入れただけなのです。

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 まだまだ萬年筆がよく使われていた時代だからこそのお遊びなのか、あるいは萬年筆が斜陽化しつつあるからと新しいユーザー層を開拓すべく出したものなのか、そこら辺も調べておりませんが、誰しも同じようなことを考えるものなのですね。

 実際、趣味でもなければ筆記具なんて数が少ない方が管理しやすいので、1本で複数の字幅を使い分けられるというのは魅力的です。今の時代でも何色かのボールペンとシャープペンシルを一体化したものが人気です。で、そういうものをきちんと使いこなせる人、無条件に尊敬します。私などは「4色使い分けて、消せるメモもシャープでバッチリ!」という安心感だけで満足して、実際にはシャープと黒ボールペンしか使わないという人間です。なのに、新製品が出ると手を出してしまうのです。

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 オークションサイトを覗いていると、ショートタイプでこのようなペン先を持っているペンが出ておりました。ならばコレクションに加えるかと思ったのですが、いや待て、自分のことだからひょっとしたら知らないうちに手に入れているかもしれない・・・と。ふと思ったのです。悪い予感ほど当たるものだ、と言われますが、はたしてどうなのでしょうか。あちこち引っかき回して、少し探してみようと思います。

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2023年5月13日 (土)

WAGNER名古屋

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 グゥ~という鼾の音すら出さずに熟睡している「ちち(仮名)」さん。お腹の調子が良くなってきたことと、概日リズムが良い方へズレてきたのでしょう。今夜こそ、朝まで鳴かずにケージの中で眠ってほしいものです。

 飼い主は、このところ彼女のお付き合いでリヴィングでごろ寝というのが続いたこともあって、WAGNERの会合に参加するため名古屋へ往復する車中でずっと眠っておりました。奈良から名古屋へ行く場合、自家用車で行けば、混んでいない限り90分ほど。京都へ出て新幹線を使うと、これも90分ほど。それらに対して、ほぼ全行程を近鉄にまかせると3時間弱かかります。このあたりを逆手にとって、近鉄で行けば名古屋に着くまで一眠りできますよ、なんていう宣伝もしていたほどです。往きはアーバンライナー、帰りはひのとりと、いずれもデラックスシートを奢ったのですが、「でんしゃのなかでは、まわりのひとにめいわくをかけないようにしましょう。」と小学校で教えてもらえなかった人ばかりでしたので、ずっとノイズキャンセリング機能付きのイヤホンで音楽を聴きながら眠っておりました。

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 本日の会場は国際センター。名古屋駅から地下街を歩けばすぐに着く会場です。あえて地下鉄を使うと、結構運転間隔の空いた路線ですので、よーいどんで名古屋駅を同時に出た場合、よほどの幸運に恵まれない限り地下鉄組が負けます。それでも、名古屋のことはよく知らないフリをして地下鉄に乗っていきました。

 相変わらず感熱ロール紙を使う拡大コピー機で作られた「本日のイベント案内」です。お役所系では結構生き残っているようですが、どこでもデジタルサイネージが普通に見られる今となってはなかなかレアなものといえるでしょう。

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 本当に静かな会場。参加者も少なめでしたが、結構皆さん、熱心に萬年筆談義をされていました。ミニペントレといいますか、萬年筆を販売している方が参加者の半数近く、なんて状況で、参加者が少なかった割には結構ものの動きがあったようです。

 今回、関西方面からの参加は私だけ。かつては名古屋でWAGNERがあれば必ずそのお姿を見ることができた人を全く見ないなぁ、という話題が出て、その方の現況を知って一同大喜びでした。現在の活動が一段落したら、ぜひまた、WAGNERに参加していただきたいものです。

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 本日の参加者からN御大が買い取られたメカニカルペンシルを、そのまま譲っていただきました。セイラー萬年筆謹製のカートリッヂ式シャープペンシルというものです。現在ではシャープペンシルの芯は折れないことが前提、常識となっておりますけれど、かつてはその逆で、小学校の先生がシャープペンシルを目の敵にして絶対に禁止、というのを譲らないのも、それが一因なのかもしれない、と思います。知らない人も多いと思いますが、かつて、シャープペンシルってものはお尻のキャップを外すと現れる消しゴムに「針」が付いているのが当たり前でした。とにかく芯がポキポキと折れて、それが芯の経路に詰まるので、それをお掃除するためについていたのです。そこから、授業中にシャープペンシルの分解に没頭されては困る、ということで、小学校の先生達はシャープペンシルを悪魔か何かのように忌み嫌い、教室から永久追放しているわけです。

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 シャープペンシル、所詮は鉛筆なのですから、カートリッヂ式でランニングコストがかかるのは致命的にダメでしょう。でもこの方式が主流となっていたなら、小学校の先生達も許してくれたかもしれません。低学年の子どもなど、とにかく筆圧のコントロールがうまくできませんから、そういうことを第一に考えると鉛筆、それも芯の硬度が低いものが最適ですが、いや、もっと効果的に筆圧を下げるなら萬年筆です。もし、鉛筆より筆圧コントロールを身につけることに向いていて、正しい持ち方、とめ、はね、はらいもバッチリ、というようなシャープペンシルがあったとしても、そういうもの、すなわち、「これまでなかったもの」を極端に嫌うのが学校の先生という人種の特質ですから、結局、どれほど優秀な筆記具があったとしても、えんぴついがいはぜったいだめ、という状況は変わらなかったと思います。

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 少子化で子どもが減って・・・と言ってたと思ったら、今度は空前の教員不足で、免許がないと教壇には立たせない、免許を持ってても怪しいのが多いから10年ごとに更新が必要、といってたのを、もう免許なんかなくてもいいから先生になって頂戴、という手のひら返し。その一方で教員不足の大きな要因のひとつ、いや、ひょっとしたら最大の原因である部活動の指導に関しては、地域や民間に委託するにあたって国家資格をなんて言い出してます。これまではタダで使い放題だった先生達が「やだ!」と言い出したので、仕方なく他の人に頼むことにするけれど、ここはひとつ、新たな利権の元を作ろうじゃないか、ということなんでしょうね。

 自分がその仕事をしていたにもかかわらず、学校の先生ってものが大嫌いな私ですけれど、それ以上に、学校の先生その他、学校にまつわることでまっとうではない方法で甘い汁を吸い続けようとする連中、本当に腹立たしいですね。シャープペンシルには何の関係もないのですけれど。

2023年5月12日 (金)

二兎

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 昨夜のことを思うと、今夜は実に楽そうに眠っている「ちち(仮名)」さん。これならおやつで釣ってケージに入れても、朝までそのまま眠っていそうな感じですが、彼女の言い分は、みんなの見える場所、自由に動ける場所で眠るからこそ落ち着くのだ、ということらしいので、とりあえずこのまま朝まで放っておくことにします。撮影時点で、すでに3時間ほど、飼い主の右腕にお尻を押しつけて寝ていたので、もう十分に甘えられたものとしてよいでしょう。

 特にこれといった仕事もしないまま1週間が過ぎました。私の職場では、年次有給休暇取得の最低単位は1時間なのですが、例えば、20日間の有給休暇が付与されている職員が3時間のお休みをとると、残りの有給休暇は19日と5時間、となります。1日の勤務時間は7時間45分ですけれど、お休みをとるときは1時間単位に切り上げ計算となります。昨年度、ある職員が取得した年次有給休暇について、ある日の何時から何時までと4時間の休み、と申請したものが、実際には5時間だった、という計算ミスがあって、事務方はどこが間違っているのかの追跡に大変な時間をかけたのだそうです。申請書類を見て、これで良し、とハンコをつくのは私の役目ですから、書類に記載した時間と実際に取得した時間とが違っていたのを見落として決裁してしまった、というミスを犯しているわけです。こういう面倒を避けるために、エクセル君に助けて貰うことにして、せっせとワークシートをこしらえておりました。1時間の昼休みを挟んで年次有給休暇を取得する場合の処理など、いろいろと頭の体操になりました。ボケ防止にはなかなか良いと思います。

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 昨日は、色は変だけれどものとしてはごくごく普通なセイラー製の萬年筆を出しましたので、本日はセイラーらしい(?)ヘンテコなものを。一見、普通の萬年筆。普通の会社員や公務員が仕事用に使うような、どこといって特徴のない萬年筆に見えます。強いて言えば、そういう用途には仏壇萬年筆でしょう、というところですが、軸の色はこの際問題ではないのです。

 こいつは萬年筆とボールペンとが合体した筆記具です。パーカー製でしたか、萬年筆のお尻に浸透式のネーム印がくっついているものなんかがありましたが、萬年筆で書くのには適さない、複写式の書類などに記入する際にはひっくり返してボールペンを使いましょう、ということです。だいたい、日本で最初にボールペンを売り出したのはセイラーではなかったかと。おぼろげな記憶ですが。

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 残念なことに、現状、この部分を回してもお尻からボールペンのリフィルの先が顔を出すことはありません。この部分で胴軸を外すと、組み立てるのに難儀するほど強力な反発力を持つバネが仕込まれています。名手ボールペンとして書けないか、それは、リフィルがないからです。

 書けなくてもいいので、リフィルが入っていれば、というのは惜しまれるところです。おそらく、今は手に入らないヘンテコなリフィルが使われていたはずですが、そこら辺、ボールペンのリフィルを目的に合わせていじくることに長けている知り合いは少なからずいますから、こういうものが入っていた、ということさえわかれば、萬年筆とボールペン、両方使えまっせ、と日々持ち歩いて見せびらかすことができます。

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 こんなヘンタイな萬年筆であるにもかかわらず、ペン先はしっかり14K。どうも、力の入れどころを間違えているような気がしてなりませんが、金色の派手な軸であることから、入社祝いとか昇進祝いとか、そういう用途を考えて世に出された可能性もあるでしょう。純然たるビジネス用であれば、仏壇の方が無難に使えるのですから。ただ、大先の部分の色を見ますと、女性にも使ってもらえたら、という意図があったのかも、とも思います。全体的にスリムなペンですし、おしゃれだといえないこともありません。

 今後も、このペンに入っていたボールペンリフィルはどんなものなのか、というのを調べて、書けなくてもいいので現物を手に入れられたら、と思っております。どこかにないかなぁ、とずっと思い続けている、というのも、趣味の世界ならではです。

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2023年5月11日 (木)

とどまった・・・

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 今夜は一度もケージに入ることなく、昼の間、眠っているクッションの上で夜を過ごそうとしている「ちち(仮名)」さん。昨夜はいわゆる「お腹の急降下」という状態が続いて、1時間おきに起き出しては玄関の三和土までいって用を足し、近くの部屋で起きている長男に「出た!」と報告に行く、ということを繰り返しておりました。やがて長男も床につくような丑三つ時になっても、お腹の調子は戻らず、結局、飼い主が彼女の傍らに枕を持ってきて横たわる、という状況で朝を迎えたのでした。

 夜が明けて、お爺さんはシバを刈らずにクサかった、という状態で仕事に行き、お婆さんはお兄さんの運転する車でワンコとお医者さんへ。予想していたことではありましたけれど、車の中でもお腹が暴れたので、お医者様に診てもらうサンプルも採れて、細菌性のものではないと判明。きゅんきゅん鳴きながら点滴して貰って、お薬いただいて帰宅したものの、本日は念のため晩ご飯抜きとなりました。

 帰宅したお爺さんを玄関まで迎えに出てきて、空っぽの餌鉢の前まで一緒に来ると、餌鉢とお爺さんの顔とを交互に見る、という、実に泣かせる演出を見せたのですが、心を鬼にして無視を決め込むお爺さんなのでした。

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 先日の第14回Y.Y.Dayでは、毎年恒例のことではありますけれども、とにかく来てくださる方に満足して貰いたい、ということでえぇモンもパチもんも取り混ぜて、とにかくお土産を持って帰って貰おう、ということにしておりました。かといって、私の手元にはお土産になるようなものは何一つありませんから、仕方なく、使いさしのインク瓶をごっそり会場に持ち込みました。拙Blogでは、PILOTの色彩雫シリーズが出るたびに「こんな色です」と綿棒で紙に線を引いてお見せするという企画をやっておりましたので、綿棒を1回か2回つけただけというインク瓶が大量にあったのです。色彩雫シリーズだけでなく、主にセイラー製の、いろんなお店のオリヂナルインクなんかもありましたので、とにかく目をつぶって箱に放り込み、会場の入り口に並べておきましたところ、ありがたいことにみんな持って帰って貰うことができました。

 そのインク大量処分の嵐の中、我が家に踏みとどまったのは、写真のような形の瓶に入ったインクたち。かつて、セイラーのインクはこういう形の瓶に入っていたのです。今でも、ナガサワ文具センター名物のKobeINK物語シリーズなんかはこの瓶ですけれど、基本的にはセイラーのインクは縦長の瓶に移行してしまいました、安定感のある形ですし、ちょっと惜しい気持ちがありましたので、最終的に、この形の瓶に入っているインクだけは手元に残しました。写真の極黒、私のようにずぼらな人間にとっては非常に危険な顔料インクですけれど、かつては日常的に使用していたものなのです。

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 こちらはY.Y.Dayの会場内で、良識あるヘンタイ倶楽部のメンバーから譲っていただいた 1882 シルエット。ナガサワ文具センター130周年記念の萬年筆のうちのひとつで、蒔絵の高級バージョンなどと比べると常識的な、お手頃価格のものであったのですが、当時は購入することを思いとどまってしまったのです。

 どうしようかな、う~ん、今回はやめとこうか・・・っていう決断は、結局、後悔することにつながります。普通のプロフィットなのですが、とにかく黒い。マットブラックの外装、金具類やペン先はすべてIP仕上げ。同梱されているコンヴァータまでも黒い、というものなのです。腹黒い私にとっては、やはり手に入れておくべき1本でした。

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 今回、これだけ黒いのを手に入れたのだから、やっぱり極黒入れるよね・・・となるかどうかは微妙です。わざわざ危ないインクを入れるか、ということです。私の場合、絶対にほったらかして干上がらせてしまう自信がありますから、顔料インクを入れるのはよろしくない。あぁ、それなら、お土産にどうぞ、と並べて置いた中に色彩雫の「竹炭」があったよなぁ、あれだけでもおいといたら良かったかなぁ、などと思うのですが色彩雫シリーズはこれまたちょっとクセのあるインクなので、PILOT社製以外の萬年筆に使うか? となると、芋を引いてしまう感じです。

 買うのを思いとどまったペンに、上げるのを思いとどまったインク(瓶)を入れる、っていうのはBlogネタとしては面白いかもしれませんけれど、萬年筆を大切に使いましょう、という観点からは、それこそ思いとどまった方が良い、のです。

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2023年5月10日 (水)

Y.Y.Pen 14号

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 このまま朝まで静かに寝るかな、と思われた「ちち(仮名)」さんでしたが、どうにもお腹の調子が悪いらしく、夜中に鳴き始めて室内を徘徊し始めました。その後、どこへ行ったのかな、と思っていたら、玄関の三和土に降りてすべきことをしておりました。小山が二つ残されておりましたので、一発で気持ちよく終了とは行かない、実に決まりの悪い状況だったものと思われますが、それでも動かない後ろ脚を引きずって三和土に降りて用を足す、その健気さに思わずヨシヨシしてしまいました。やはりワンコは可愛いものです。

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 受け取ったまま桐箱のふたも開けずにおいてあった今年のY.Y.Pen。以前にご紹介しましたように、名古屋の東急ハンズが緑色の軸の萬年筆を出したのを見て、緑色のものにかけては少しばかりうるさい我らが親方が企画・製作したのが第1号。全世界に15本しか存在しないという希少なペンです。大阪難波のOCATで開催された第1回のY.Y.Dayで納品されることになっておりましたので、工場から届いた箱に入ったまま会場に持ち込み、購入した人に手渡すべく準備をしておりました。こんな大事なもの、そこら辺に置いておけない、と、親方が肌身離さず持ち歩いていたはずだったのに、さぁ配るぞ、という段階で15本の万年筆が雲か霧の如く消えてしまったのです。

 〇〇お!、萬年筆どこやったんやぁ・・・と絶叫する親方。関係者一同、胴軸よりも自分の顔色が緑色になったんではないかと思うほど心配をいたしましたけれど、やがてにっこり笑ったのは親方でした。この日に備えてお揃いで買った信三郎帆布のエプロン、その前ポケットに後生大事にしまい込まれていた、というオチでした。

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 1号から12号まではセイラー萬年筆謹製。これらに続く神戸ペンショウ記念萬年筆から笑暮屋さんに製作をお願いすることになって現在に至ります。この12本を製作する中で、エボナイト製の軸にしよう、という話は何度か出ていたのですが実現せず、製作をお願いする会社を変えてようやく実現したわけです。まぁその、笑暮屋さんにお願いするのだからエボナイト製になるのは当たり前ですけれど。

 何も言わなければ、これもセイラーに頼んだの?と言われるかもしれない神戸ペンショウ記念萬年筆を経て、13号はずんぐりむっくりな特徴的なフォルムとなり、そして今年の14号は胴軸の太さはそのままにぐんと大きなボディになりました。実は昨年、にやっと笑った親方が見せてくれたのが、13号に漆を塗った萬年筆でした。年季の入ったメンバーになりますと、「あ、それ欲しい!」などとは言いません。なるほどね、次はそれでいくのね、と納得するのみです。

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 青、白、ピンク、どの色にしますか、という話でしたので、オッサンの私は青。実に立派な萬年筆です。私は歴代のY.Y.Penのどれにもインクを入れていないので、これも同じように死蔵してしまうことになるのかもしれませんし、この先、どんどん手持ちの萬年筆を処分していって、手元に残ったのは一連のY.Y.Penだけ、となったらそれらにインクを入れて使い始めるのかもしれません。

 太いです。軸が細かろうが太かろうが、私の書く文字が汚いことに変わりはないのですが、字を書く真似をして握ってみると実に良い感じなのです。第1回のY.Y.Dayでは、解錠に血圧計を持ち込んで、これ欲しい!という萬年筆を前にしたらどのくらい血圧が上がるのか、という趣向で楽しんで貰おうとしていたのですが、この萬年筆を見たらたいていの人は血圧が上がることと思います。これでお値段がそれ相応ならスッと血圧も下がるのですが、おっと、手が出るやんか、というお値段を聞いて再び血圧が上がり、もうすべて売り切れて手に入らない、と聞いてまた血圧が上がるということになります。

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 右からキャップレス、コノソアール、そしてこのペン。コノソアールも決して細いペンではありませんけれど、それが余裕で入るスロットでもこのペンを入れるとキツキツです。だからこそ、yurieさん謹製の錦のペンケースが付いてくるわけです。

 第1回のY.Y.Dayでは、せっかく持ち込んだ血圧計、表示部がないから測定しても無駄だよ、とその道の権威(ホンマもんの指導医)~指摘されて大騒ぎになり、担当者は知り合いのお医者さんのところへ別の血圧計を借りに走ろうか、なんてことになったのですけれど、よくよく見れば血圧計が表裏逆さまに机の上に置いてあっただけだった、というオチがついたのも懐かしい思い出です。さて、来年は区切りの第15回。どんな萬年筆が出てくるのでしょうか。何にも考えないで「欲しい!」というだけ、というのは最高に気楽です。

 

2023年5月 9日 (火)

くじら

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 こたつ布団にもたれて眠る「ちち(仮名)さん。本日は一度もケージに入ることなく、昼間ウトウトして過ごしていたこの場所で、そのまま一夜を過ごすことになりました。それでも本人(犬)は、近くに家族がいるのを感じながら気持ちよさそうに寝ていますので、まぁこれはこれで良いのかと。柴犬ってのはわがままで、頑固で、そのくせ甘えん坊で、と言われますけれど、そういうところをすべて持っているのが彼女です。

 大型連休が明けての月曜日は来館者が少なめだったのですが、本日は久しぶりにたくさんの人間を見たので、カメの「まりりん(普通に雄)」さんも興奮気味でした。飼い主は帰り道に彼女の水槽周りの道具類を見繕うためにホームセンター巡り。かつては自宅周辺にたくさんのホームセンターがあったのですが、撤退や合併、店舗の移転などがあって、その頃と比べると不便になりました。カメさんの水槽周りのものを揃えようとすると、ペットショップ専門のところよりもホームセンターのペット用品売り場の方が充実している、というのも地方都市ならではです。

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 先日のy.y.Dayで手に入れた布具屋さんのくじらペンポーチ。手前にあるのはマクドナルドのハッピーセット、トミカの水族館トラック。本体に附属のシールを貼って完成させるというもので、手で押して走らせると透明な荷台に収まったジンベイザメが左右に揺れ動きます。長女はこういうのが好きなので、大の大人でありながらのハッピーセット買いで、早々に手に入れておりました。

 そういうことがあって、y.y.Day当日、去年より大幅に進化したと思われるクジラを見てしまったのです。布具屋さんの中の人とお話しをしていて、今後、ひょっとしたらジンベエザメも作るかもしれない・・・ということもお聞きしたのですけれど、その他のプロジェクトも進んでいるようですし、いつのことになるやらわかりません。とりあえず、遠目には見間違うかも、ということでクジラをお迎えしたのです。

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 お口をガバッと開けると、当然ながらヒゲも歯もありません。大きめのペンポーチですので、これならかなり大きなペン、長いペンでも入りそうだ、ということで、手持ちの中で長いものを選んで入れてみました。

 逆に言うと、普通のサイズの筆記具をこいつに入れますと、こうやってお口を開けたときにお姿が見えない、ということも考えられます。お尻の方へ行くほど絞られていますから、実際、使っていく中ではそれほど問題にならないというか、むしろ、これくらいの余裕がないと使いにくいのでしょう。自分自身、社会人になってから筆入れやペンケースに各種筆記具を入れて持ち歩いた、という記憶がありません。とにかく字を書くことが嫌いで、採用された初日の新人研修会でメモをとらないことを叱責されたというぐらいの人ですから、それも当然でしょう。私の場合は、ペンケースというのは萬年筆の集まりに行くときに見せびらかし用のペンを入れていったり、会合で手に入れたペンを持ち帰ったりするのに使うもの、単なる運搬具に過ぎないのです。要は、ペンケース持っていても仕方ない人、なんですね。

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 デスクペンと、それに匹敵する長さの萬年筆。M1000でもここまで長くはないので、実用的な筆記具をたくさん入れて持ち歩くのには何の不満もないペンケースということです。

 で、これを使ってくれるかな、と思っていた長女も、結構マメに文字を書く妻も、この大きさがネックになって実際には使わないという判断を下してしまったようです。今のところ、リヴィングルームの一角でぶらんぶらんとしております。いつの日か、お腹いっぱいに何かを詰め込んで活躍してくれる日が来ることを祈っております。

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2023年5月 8日 (月)

おまけ?

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 ケージの外に出て、ようやく熟睡モードに入った「ちち(仮名)」さん。今朝からお腹の調子が悪くて何度もお散歩に連れて行ってもらい、最後は仕事から帰ってくる長男を玄関で待ち構えていて、そのままお散歩に。これでようやくスッキリしたらしく、夕方から手をつけていなかったご飯を平らげ、ゴロンと横になっている飼い主のそばに来てイビキをかき始めたのでした。おそらくこれで、そばに人がいなくなっても朝まで鳴くことなく寝てくれるでしょう。毎晩この調子だとすると、夜泣きする子ども並みに難儀です。

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 先日のy.y.Dayに景品として出そうと思っていたのが銀色の万年筆。クリップに彫られた雑誌の付録でした。1000円もしない雑誌の付録だなんて、ホンマかいな、という見た目とクォリティ。本屋さんルートで日販が流している萬年筆より遥かに良く見えます。ここら辺は樹脂軸の萬年筆にはなかなか越えられない壁みたいなものでしょう。

 で、黒い方はそのy.y.Dayで身内から萬年筆を買うという暴挙に出て、そのおまけとしてもらったもの。金属軸で仏壇、けっこうずっしりとしていて、知らない人ならおぉ、萬年筆、とありがたがってくれること間違いなしです。

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 私みたいな萬年筆初心者には、これで十分なのです。上等な萬年筆を使ったところで綺麗な文字が書けるわけでもありません。書いた文字数で万年筆のお値段を割り算してみれば、自分がいかに愚かな行為を繰り返しているか、ということがわかるはずなのです。

 ある地点から別の地点へ移動する手段として車を買う、となると、総合的にみて軽自動車か、初期投資で中古のコンパクトカーあたりを選ぶのが良いでしょう。室内スペースのゆとり「感」とか走行時の余裕「感」などを理由に大きめの車を選ぶのは、愚かなことです。

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 その両方、やってしまっている私は、いわゆる老後破産予備軍なのでしょう。毎晩こんな駄文を垂れ流して、定期的に萬年筆系のイヴェントに出ては浪費を繰り返す、こういう生活をやめないと、まあ、先は見えてますね。

 さて、ゆたかな生活ってなんなのだろう、と考えるのですけれど、車にしろ萬年筆にしろ、それ自体よりもむしろ、それを趣味にしていることでお付き合い願えている人たち、これが一番尊いもののように思います。おまけはどっちなんだろう、という、、、

 ま、そうやって何なりこじつけないと、バカらしくてやってられないわけですけれど。

2023年5月 7日 (日)

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 おもちゃのたい焼きをお布団に入れてもらって、それでも寝付けない「ちち(仮名)」さん。今日は朝からずっと雨で、家族も仕事に行く人が多くてあまりかまってもらえず、面白くない休日だったようです。かくいう飼い主も、ずっと寝転がって録りためた海外ドラマを見てばかり。雨が上がるのを待っていたのですけれど、一向にやまないので、仕方なく日が暮れてから亀さんの様子を見に行ってみました。3日間、餌をもらえなかったので、久しぶりのお食事、好き嫌いも言わずにしっかりと食べておりました。

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 今回、y,y,Dayに出す景品として考えていた萬年筆の中に、できれば国産のショート軸を入れたいな、と考えておりました。写真右側のペンはそのときにピックアップした、というかタイミング良く発掘されたものですが、よくよくラべルを見ると、PILOTでもセイラーでもプラチナでもない、ということがわかって、それならばもう少し我が家にいて貰おう、となりました。

 それで迎えたy.y.Day当日、N御大が見せてくださったのが写真左側のペン。キャップに描かれた蒸気機関車と、1972-1072の数字。N御大としてはこれは何なのだろう、と理解に苦しんでいらっしゃったようですが、日本全国、鉄っちゃんだという者でこれの意味がわからないというなら、モグリとも言えないでしょう。

 高輪ゲートウェイ駅の開業に連動して周辺を開発していたら明治時代に築かれた築堤が出てきた・・・と話題になりましたが、明治5年に鉄道が開業したとき、そういう妖しげなものはできるだけ遠ざけたい、という心理が働いたのでしょう、陸の上と言うより、むしろ海の中に線路が敷かれていたのです。全国各地で、鉄道を通すという話に反対して遠ざけた結果、その街自体がさびれてしまった、という話はいくらもあります。東京の場合は都市がどんどん拡大して、海だったところまで地面になってしまいましたから、今では想像もできませんけれど、当時はウォーターフロントどころではなくて、今よりかなり手前まで海が来ていたわけです。

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 1972年は日本の鉄道100年、ということで大いに盛り上がりました。当時にわか鉄道ファンだった小学5年生の私は、その後猛烈に勉強というかハマりこむというか、とにかく鉄道の技術的な面をガンガン掘り下げる鉄っちゃんになりました。映えるから、などと人の迷惑顧みずに写真を撮り漁る撮り鉄とか盗り鉄とか、そういうアホな連中とは性根も年季も違うのです。

 その2年後にはエリザベス女王が来日されて、伊勢神宮へ参拝されることになり、近鉄がお召し列車を運行したのでそれを写真に撮るぞ、などと遠くまで出かけて行ったこともありました。晴れの日ならごーろく、ピーカンなら8かな、程度の知識しかない少年がたいしたことないカメラで走っている列車を撮れるはずもなく、あえなく失敗に終わりましたけれど、そのときのお召し列車に使われた車両は「あおによし」という観光特急に改装されて未だに現役です。大きな声では言えませんけれど、近鉄のこの「改装」で仕立て上げられた観光特急ってのは、「あおによし」にしろ「青の交響曲」にしろ、機械部分は元のままですから、現代の特急列車としては乗り心地その他に問題が残ります。まぁ、そんなことを気する人はほとんどいませんけれども。

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 14Kロジウムメッキのペン先を持つフェルムのショート軸。キャップと嵌合する部分の胴軸にキラキラリングで加飾されています。私がまだ本当に小さな子どもだった頃、母が当時の最高額紙幣であった5000円札を財布からポロリと落とした(と思われる)ことに大きなショックを受けて、それ以来、ガマ口のお財布は一切使わないと決めた、という話を良くしておりました。ガマ口のお財布だと、お札を何枚か重ねた状態で折りたたんで入れるので、目的とするお札、たとえば500円札を取り出す際に一緒に5000円札も出てきてポロリ、となる可能性が高いからということでした。2000円、高いものだったのでしょうね。

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 そういうことを考えますと、趣味で萬年筆を買って使いもしないでニヤニヤしている、というのは実に罪深いことと言うほかはありません。私がこの先どれだけ生きるか、父母の享年を足して二で割るとあと1年ほどしかないことになりますので、しっかりと身辺の整理をすすめて、不要な萬年筆は愛してくれる人のもとへ嫁がせるということをしっかりと進めていかなければなりません。

 そんなことを言いつつ、スタッフに徹するぞ、と思っていたy,y,Dayが終わると手元の萬年筆の本数が増えている、というのは、現代の皆既とでも言うべき出来事です。真相を究明して、有効な対策を考えなくてはなりません。

2023年5月 6日 (土)

第14回y.y.Day

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 帰宅してみると、「ちち(仮名)」さんはくったりと眠り込んでおりました。ここ数日はうまいことリズムが回っているようで、夜中に鳴き出すということがありません。このまま行けば良いのですけれど、おそらく、大型連休明けで何となくけだるい感じのする週明けから、また夜中に鳴くようになるのではないかと思っています。もちろん、そうならないのが一番良いのですけれど。

 金曜日の夜に主なメンバーが集結して、打ち合わせ、という名目で酒食を共にして、土曜日の朝、神戸に集まる。最初の頃は主に大阪で、最近は神戸で、こういうことを14回繰り返してきたのです。はじめは本当に規模も小さかったので、打ち合わせといっても「じゃあ、明日よろしく」で終わっていたのですけれど、回を重ねるごとに来てくださる人が増え、100人を超える参加者を迎えることが普通になってきて、最近では「我々にしては」けっこう綿密な打ち合わせをしております。出展者とスタッフ併せて32名、来場してくださった方が86名、合計118名の参加者を得て、盛会のうちに無事、終えることができました。来場していただいた皆様、ありがとうございました。

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 心配された空模様は、幸いなことに午後ゆっくりめに雨が降り出すという状況で、来ていただいた皆さんにとってもほどよいお天気だったのではないかと思います。会場のひとつ下、9階のホールにはたくさんの人が来られていて、お昼時やイヴェント終了時など、結構な数のおばさま達で施設内が埋め尽くされて、そういう方々の会話が苦手な私にとってはまさしく阿鼻叫喚地獄でしたけれど、当事者の皆さんにとってはコロナ禍も収まった(ように思っている)ということで、ぱぁ~っと発散する機会として大いに楽しまれていたのでしょう。とっても迷惑でしたけれど。

 で、我らがy.y.Dayを一言で総括すると、「萬年筆のイヴェントやったなぁ・・・」ということになります。y.y.Pen倶楽部のメンバーによる萬年筆類の販売、N御大とFさんによるお宝満載の萬年筆販売、そしてひとヒネリもふたヒネリもあるところへ捕まったら絶対何か買わされるという恐ろしい助手を得た師匠のブース。そこへショーンデザインさんにローレッツさん、Nib Shaperさんと、萬年筆を中心に取り扱うブースが並んでいて、来られた皆さんも口々に、「萬年筆のイヴェントですねぇ・・・良いですねぇ・・・」とおっしゃってました。

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 画像右手、奥の方にはN御大、左手にはy.y.Pen倶楽部。萬年筆をずらりと並べたブースにはいつも人垣ができていました。全国各地で結構頻繁に開催されている宇宙遊泳系のイヴェントでは、やはりインクとガラスペン、そして紙ものが中心で、萬年筆はむしろ少数派という感じなのですが、そういうイヴェントもいいけれど、もっと萬年筆したい、という方には喜んでもらえたようで、それこそが我々の意図したところでもあります。もっとインクや紙もの系を充実させていくと、それはそれで来場者も増えてさらに盛り上がる可能性もあるのですけれど、あえてそういう方向に行かない、そういうイヴェントがあっても良いのではないか、と。

 来場者を見ると、宇宙遊泳系のイヴェントに来られる方々とは明らかに構成が違っていました。ですが、SHINARIさんや布具屋さんなど、萬年筆そのものを扱うのではなく、萬年筆を護る、よりよく見せる、というときに「あってよかった!」と思わせてくださる出展者もなかなか盛況でしたし、萬年筆にはやっぱりインクが必要ですから、ギフショナリーデルタさんや北晋商事さんなど、きっちり周辺のものを扱ってくださるお店もある。順番待ちの番号札を発行して忙しくされていたNib Shaperさんに、忘れてきたと思っていたルーペが見つかって午後から調整を受け付け始めた萬年筆研究会さんなど、これこれ、こういうのが私らがやりたかったイヴェントやねん、という感じになって幸いでした。

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 それを生業とされている方に萬年筆で絵を描くことを指導して貰えるという、またとない機会。空きがあったので、スタッフも結構参加して、それぞれに初めてとは思えない仕上がりの絵を持って帰ってきていました。

 4本のヘミングウェイ、っていう本の話を持ち出すまでもなく、今日、萬年筆がけっこう売れて興味を持つ人が増えてきている状況、この人がいなかったらこうはなっていなかったかもしれないのです。そういう萬年筆界の伝説とも言える人に直接指導してもらえるなんて、素晴らしいと思うのですが、私はとてもとても、、、なのではじめから辞退。字も書けないし絵もダメ。萬年筆を一体何に使っているのでしょうか。

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 私が中学生だった頃は、中1の夏休みの宿題として、アルファベット26文字×2、大文字と小文字をすべて筆記体で書けるようになること、というのがあって、練習帳をなぞるところから始めて、うまくいくと調子に乗ってそこらじゅう書きまくって・・・だったのですけれど、今ではそういうことを指導しませんので、授業で英語を習っていても筆記体の読み書きはできない、という子どもがほとんどです。カリグラフィ講座の講師を務めてくださったShinさん曰く、「筆記体のことをカリグラフィの字、って言うんですよ、若い人たちは。」とおっしゃってました。

 今回のワークショップではそれ専用の筆記具で練習していただきましたけれど、文字が書けない、何書いてあるか自分でも読めない、という私でも、萬年筆で華麗に(?)筆記体を書く、それも連続して(当たり前)ことができます。でも、このワークショップに参加させてもらったら、きっと酷い仕上がりになって落ち込むことでしょう。参加された皆さんは満足そうにされてましたので、何よりでした。

 今年はこの後しばらく、神戸では萬年筆関係のイヴェントがあまりないようです。でもご心配なく。ナガサワ文具センターさんもあれこれ企画されることでしょうし、6月24日には京阪天満橋駅直結のOMMビルでNANIWAペンショウも開催されます。これからも楽しく萬年筆しましょう。

2023年5月 5日 (金)

思い出す

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 みどりの日の今日も、いつもと変わらずイビキをかいて眠っている「ちち(仮名)」さん。昼間、ずっとこうして眠っているから夜中に起き出して騒ぐのだ、という声もありますけれど、もともとワンコは日の大半を寝て暮らす生き物ですし、何といっても15歳の高齢犬ですので、ここはそのまま寝させておいてあげましょう。この場所は家の中でも人の往来が一番激しいところなのですけれど、そこが彼女のお気に入りの場所なので、家人は皆、ここを避けて迂回しております。ときおり踏まれたりすることもありますけれど、何? と一瞬頭を上げるだけで、すぐにまた寝入ってしまいます。年季が入ってますので、少々のことでは動じないのです。

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 子どもの頃、そう、その頃はまだ、世間一般に、こどもの日というのは男の子の節句だという認識が強かったのです。柏餅を食べるというのが苦手だったので、ちまきはないのか、と親に聞くのが常でした。理由は単純で、あんこが入っているモノは食べられなかったからです。ちまきはあんこが入っていないし、それでいてほんのりと甘いので好きでした。

 甘いもの、というのは基本的に苦手です。お菓子の甘いのはまだましなのですが、ちゃんとした食事に出てくるもので甘いもの、これが苦手で往生します。豆の炊いたものなんかは特にダメですが、豆に限らず野菜全般、おいしいといわれるものはたいてい、自然な甘みをもっているので食べられないことが多いのです。でも、サツマイモの天麩羅なんてのは大好物なのですから、結局、ただの好き嫌いです。

 本当に偏食が凄くて、母親はずいぶんと苦労したことだろうと思います。卵焼きってものはオレンジ色だとずっと思っていた子ども時代。野菜を食べない私に業を煮やした母親が人参をすって混ぜていたのでしょう。そう、そういえっば人参の甘みは大の苦手。ステーキとかに付け合わせで出てくると、それだけでステーキがおいしくなくなったかのような気持ちになってしまうほどに嫌いなのです。

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 昨年のこの日、私は家族に告げずにふらりと東京へ行っておりました。日が暮れて、萬年筆仲間と共に御徒町あたりでお食事をしておりましたら、「帰りに菖蒲買ってきてね。お風呂に入れるから。」という妻からのメッセージ。時刻は午後6時を回っておりましたでしょうか。

 大都会の真ん中、繁華街で菖蒲を探すことの難しさ。これが生活感のある街ならばスーパーなど探して飛び込めば、何といっても5月5日ですから売り切れていない限りは菖蒲なんて簡単に手に入るはずですが、上野、御徒町といったあたりでは困難を極めます。一緒に呑んでいた人たちの協力も得て、あそこはどうだろう、ここもダメか、とさすらって、某百貨店にはいっているお花屋さんだったか何か、とにかく、菖蒲を見つけて、あとはこれを家人がお風呂に入るような時間に間に合うように持ち帰ることだけを考えれば良い、ということになりました。

 幸いなことに、我が家は皆お風呂に入るのが遅い目なので、新幹線をトバして帰宅して、何事もなかったかのように我が家は菖蒲湯を楽しむことができたのでした。あの日、東京で遊んでくださった皆様、その節は大変お世話になりました。

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 明日、第14回のy.y.Dayにお越しいただく皆様、おうちの人には「神戸で清く正しく遊んできます」ときちんと伝えて家を出るようにお願いいたします。こどもの日は終わっていますから、日が暮れてから菖蒲を買ってこいと言われることはないと思いますけれど、おうちの人が心配するといけません。どこへ行って、誰と遊ぶのか、おうちの人に言って出る、ということは、小学校で教わったはずです。

 午前10時開場です。9時頃から出展者やスタッフがウロウロしておりますけれど、その中に知っている顔を見つけても、おぅ!と挨拶するぐらいにしておいてください。間違っても、知り合いがいるからと開場前に会場に入ったりなさらないように。優しく、愉快なペン倶楽部ですので不愉快な思いをする人がないように運営したいのです。あの人、中の人と知り合いやから優遇されてるわ・・・なんてことを思ったり思われたりするのは、おたがい、愉快ではありませんから。

 お車で来場される予定の方、兵庫県民会館には24時間営業の駐車場があるのですけれど、打ち切り計算はなく、昼間は30分200円です。近隣のコインパーキングなどは1日1200円とか1400円とかそんな感じですので、イヴェント開催中だけ駐めておくならそんなに変わりはないかと思いますが、一応情報として。中の人の場合、朝9時に駐めて夜7時に出すと驚愕の4000円! なのです。

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 さて、明日皆さんをお迎えするための最終打ち合わせも滞りなく終わりました。今夜は尼崎工業大学の宿舎に泊まって、明朝、神戸で皆さんをお待ちしております。

2023年5月 4日 (木)

準備一端

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 本日は珍しくケージの中でぐっすりと眠っている「ちち(仮名)」さん。いつもはケージに入ったあと、お布団のどこかが気に入らないと数分間キャンキャン鳴きながらガサゴソしているのですが、本日はすぐに寝息を立て始めました。こういうときには飼い主始め家族の者も安心して眠れるので、さっさと床につくべきなのですけれど、本日はもう5月4日で、まもなく5月5日。かつてこの日は憲法記念日とこどもの日とに挟まれた、みんなに喜ばれることのない日でしたが、挟まれた日はお休みにする、という法律ができて、やがて、昭和天皇の誕生日であった日が堂々と昭和の日を名乗ることができるようになって、ようやくみどりの日という名の祝日になりました。めでたいことです。

 ネット上でチラッと見かけたのですが、6月に「川の日」って祝日を作るように政府に呼びかけましょう、なんて署名活動もあるようです。実際、6月は結構しんどい感じがしますから、お休みがあっても良いのかも。東京でオリンピックやろうぜっていう騒ぎの時には、2年連続で祝日の移動とかいう妙なことをやりましたから、10月がとってもしんどかったことを覚えています。定年退職した身にはそれほど影響のない話ではありますけれど、日本人はもう少し休んでもバチはあたらないと思います。

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 明日は子どもの日。そろそろ、大型連休でどこかに遊びに行っている人が家に帰ろうという動きが出てくる頃でしょうから、道路も混雑するのでしょうね。昨日今日と、割合に道路が空いていましたけれど、この人ホンマに運転免許持ってるの? いや、絶対持ってないハズや、こんなんに免許やるような公安委員会は信用できん! ってなドライヴァーが山のようにいて、道路が空いていても差し引きチャラやなぁ、ってな状態になっておりました。明日あたりからはそういう人たちも含めて一斉に路上に出てくるでしょうから、私は6日の第14回y.y.Dayに遅刻しないように、本日から兵庫県内で宿泊する予定です。

 そうなると、いつも直前までガサゴソやっていた準備を早めに終わらせる必要が出てきます。とりあえず、入場券はできました。ご家族で来場される場合は、ご家族でこの入場券1枚。そんなん、抽選券も1枚しかないやん、と気づいた方は、あえて、2人、3人と別々に入場料を払っていただいてもかまいません(大歓迎)。入場するだけでも、お土産の嵐ですけれど、午後4時頃に会場にいられる(戻ってこられる)というなら抽選会に参加してください。かつてのじゃんけん大会に代わるもので、とにかく、景品が山のように集まるので、司会進行が大変、ということで一人1点だぞっ、と、どーむさんあたりに釘を刺されております。入場券にくっついている抽選券を、会場内にあります水色、または紺色の抽選箱に入れておいてください。午後3時を過ぎたら中の抽選券を一つにまとめて、親方が萬年筆調整で鍛えたゴッドハンドでくじをひきます。当選された方は、恐れ入りますが午後4時頃までに景品をお引き取りください。それ以降に残った景品は、出展者やスタッフで山分けしちゃいます。

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 会場は兵庫県民会館。アクセスはこんな感じです。近畿圏の方は、JR元町駅の西口改札を出て正面のセブンイレブン前を右へ。階段を上り、横断歩道か歩道橋を渡って緩やかな坂道を上ります。その途中には、かの有名なPen and message.さんもあります。兵庫県公館という歴史のありそうな建物にぶち当たったら道なりに右手へよけて、次の信号を割ると兵庫県民会館です。

 遠方の方は空港からリムジンバスで三宮駅へ。もしくは、新幹線で新神戸駅まで来て、神戸市営地下鉄に乗り換えて2駅目、県庁前で降りると地上に出たところに兵庫県民会館があります。神戸というとみんなが行きたがる異人館街も、そんなに遠くありません。お天気は少し心配ですが雨の神戸はさらに美しいので、ご家族と一緒にいかがでしょうか。

 春は神戸で萬年筆、秋も神戸で萬年筆。怖いことはありません。萬年筆が好きな人が集まってきますけれど、萬年筆なんか使ったこともないしなぁ、というような人でも、馬鹿にされたり威嚇されたりされることはなくて、ただただ楽しめることと思います。他所で萬年筆の集まりなんかに参加して、少し違和感を感じた、という人も、ここなら遊べるかもしれません。ぜひ、お越しください。

2023年5月 3日 (水)

青紅葉

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 お食事中にじっと見られて、「なぁに?」という感じの「まりりん(孤独な雄)」さん。大型連休中は、2日に一回ぐらいの割合で様子を見にやってくる館長ぐらいしか、自分以外の生き物を目にすることがないので、そういうときは大興奮でなかなかご飯を食べません。ようやく食べ始めたところでそっと覗くと、食べるのを中断して「遊ぶ?」と期待に満ちた表情になるのです。実に可愛いカメさんです。

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 この貸切列車に乗るべく、夜の京都、洛北まで行って参りました。叡山電鉄の鞍馬線、市原駅から二ノ瀬駅の間には、紅葉のトンネルと呼ばれている区間があります。単線の線路ギリギリにたくさんの楓が生えているので、5月末まで、その区間で列車がゆっくり走るのです。今日からの3日間は沿線の貴船神社で新緑ライトアップが行われるのに合わせて、紅葉のトンネルもライトアップされるのです。

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 で、紅葉のトンネルに差し掛かると、結構な勾配区間であるにもかかわらず、列車は車内を消灯して最徐行。これ、運転技術的には相当に難しいことなのだそうです。

 本日のみ運行される貸切列車は、何とこの区間て、本線上で停車してくれるのです。それでも通常よりやや短い時間で鞍馬駅に到着してしばし休憩したのち、帰途は二ノ瀬駅でしばらく停車して、ホームにある見事な楓の木を撮影する、という趣向もあります。

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 手前のきららは定期列車。我らが貸切列車にはデオ801-851の編成が充当されました。鞍馬からの帰途、二ノ瀬駅でしたか、青紅葉ラッピングのきららとの離合という場面もありました。鉄道には興味ないけど綺麗な青紅葉は見たい、という人の方が多かった感じですが、鉄っちゃんも少しは混ざっていたようです。二両の電車に30人ほどでしたので、ゆったりと楽しむことができました。観光客も皆ホテルに入ったあと、というような時間帯、さすがの京都も人が少なくて、快適な行程でした。

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2023年5月 2日 (火)

その中の

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 世間では明日から大型連休後半、なんて騒がれておりますけれど、そういうことに関係なく普段通りの生活を送る「ちち(仮名)」さん。飼い主もその点は同じで、まだ子どもが小さかった頃こそ連休だ夏休みだと騒いでおりましたけれど、もともと人混みは大嫌いな人なので、世間の皆様がお出かけを楽しまれているときには家で寝ている、ということが多くなりました。

 明日から五連休、という人も少なからずいらっしゃるかと思います。本日、私の職場にやってきた中学生達は、明日から5日間、部活動ぎっちり詰まってるぅ~、と嬉しいのか嫌なのかよくわからないような表情で訴えておりました。この会話、普通に聞き流してしまってはいけません。日本の公教育が崩壊の危機に直面している、そのひとつの原因がこれです。給料貰うお仕事が明日から五連休です、という人。家族構成は夫婦と子どもという場合に、この五連休、夫または妻、あるいはその両方共が、五日間、給料をもらえない「仕事」で早朝から日が暮れるまで家を空けるという状況を考えてみてください。あなたが家に残る夫婦の一方、あるいは両親ともにいない休日を過ごす子どもだとして、この状況、子どものためだから仕方ない、と納得して受け入れられますか?

 私の勤務していた県では、休日に4時間以上部活動をみた場合、書類を書いて申請すると特殊業務手当として3600円が支給されます。今日は顧問をしている野球部の試合だぁ、と早朝5時から自分の車にバットやボールを積み込んで2時間かけて試合会場へ行き、日が暮れるまで監督や審判をこなして3600円です。時給300円、交通費の支給無し。年に60回はある休日の内、こんな業務に40日ほど費やすのです。話題になっている地域移行で想定されているのは、1日1万円とか2万円で指導者を雇うということですが、そうなるとその財源は? となるので、先生にやらせとけばほとんどタダで済むじゃん、というのが行政の本音ですし、保護者にしても、その負担を求められたら困るでしょう。何より子どもたちにも、大型連休に部活動に参加しないで家で過ごす、という選択肢が与えられていないことが多い、というのも問題なのです。これを部活動による子どもの支配、と私は呼んでいますけれど、ある意味、教員の労働問題以上に深刻な問題なのは、昨今の顧問による暴力やセクハラなどの報道からもうかがい知ることが出来るはずです。

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 で、そういうオモロくない話をしているとゴールデンウィークが台無しになるので、体を休め、気が向いたら無理のない範囲でお出かけをして心を豊かにする、そういう風に過ごすのがおすすめです。部活動にイヤイヤ参加するしかない、と思っている中学生や高校生は、勇気を出して「休みます」と連絡を入れましょう。仮病を使ったり親戚の誰かに死んでもらう必要はありません。休みたいから休むのです。何なら、兵庫県民会館で面白そうな催しが開かれるので、それに参加するために部活動には行きません、と堂々と宣告するのもアリです。

 いや実際、5月6日(土)というと、そろそろ憂鬱な雰囲気になってきます。今日と明日が終わったらまた学校、あるいは仕事やぁ・・・と。その重苦しさはもう、毎週日曜日にやってくるサザヱさん症候群の比ではありません。明日から学校(仕事)かぁ、でもまぁ、きのうはあれだけ楽しい思いをしたんだから、まぁ1週間頑張れるなぁ、と。なんで連休中、部活動休んだんやっ! と部活動するために出勤しているような怖い先生に絡まれたら、「y.y.Dayに出てこい、って尼崎の怖いおっちゃんが言うてたので・・・」と、悪びれずに答えましょう。

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 シェーファー・インペリアル、スターリングシルヴァー軸の古い方、タッチダウン式です。この図体にしては小さめのクリップには信頼の証、ホワイトドット。シェファー大好きなんです、とか言ってる私ですけれど、詳しいことは何も知りません。見た目ただの筒型ならタルガやなぁ、けどプラスチックやしちょっと太めやからコノソアール? え、まさかノンナンセンスかぁ(がっかり)ぐらいの感じで集めてきました。銀軸ということで、例によって硫化するのにまかせていますから、見た目は汚いのです。

 タッチダウン式なので、これ、人前でインクを吸入してますと興味をひきます。逆に言うと、そんなわざとらしいことしないと大量筆記はできないというほどにインクが入りません。タッチダウンはまだマシな方で、スノーケルになると何のためにこんな面倒なことしてるんやろ、どうせすぐに書けんようになるのに・・・などと思いつつ、右やったかな、左やったかな、と思いながら尾栓を回していたりするわけです。こういう、役に立たん変なモンばっかり集めていたら今のようになった、というのが私のシェーファー好きの正体であって、泰斗というべきシェーファーの愛好家の皆様とは根本的に異なるところなのです。

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 何も考えずに見たら食いつく、という感じで集めていたので、たまにはこういうペン先に出くわすこともあります。シェーファーって、米国人が作って使うペンだとは思えないほど細字率が高い、という印象があります。ま、あの特徴的なペン先の反りにしても、出荷先の国によって反り具合を変えてある、という米国人らしからぬ話も聞くので、日本に入ってきた、特にセイラーが代理店をしていた頃のものは、細字系が多いのも当然と言えば当然なのかもしれません。

 ミントなものであればペン先を裏返すとあるいは・・・という期待もありますが、こいつの字幅は、ってことをペン先に彫ってくれてはいないので、実際にインクつけて書いてみて、あぁこんな感じか、とやるしかありません。けれど、写真の左の方は期待できると思いませんか。逆に、こうして並べられてしまうと、右の方、ホンマに字書けるんか? と心配になってしまいます。

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 軸の素材が銀である、というのと、軸そのものは真鍮だが表面には金を張ってあるのだ、というのと、どっちの方が高級、もしくは上級なのでしょうか。インペリアル、なんて昔の日本だったら不敬罪に問われかねない名前のペンと、それだけでは足りずに匠の技を凝らしてます、などと名乗っているペン。張ってある、というとチープな感じですけれど、いやいやいや、そんな難しいことしてますからお値段もそれなりなんですよという売り方でしょうか。

 インペリアルなど一連の「この形」の萬年筆は、とにかくキャップの嵌合部がよくできていると思います。ここの部分だけで金張りなんぞしていなくてもソボリンなのって良いでしょうというぐらいに。首軸に設けられた三つの小さな突起。キャップを外すときには少し音がしますけれど嵌めるときにはほとんど無音で、なおかつ、カチッという感覚もほとんどない。国産各社のショート軸萬年筆みたいな幹事でキャップが嵌まっていって、さいごに音も衝撃もなく、なおかつ、カチッと嵌まったとわかる。こういう精緻な物作りが、アメリカの人にもできるんだ、というのは昔の日本人だからこその感想でしょう。アメリカ車を買ったら走行中に何度もドアが開いて困った、なんて話を良く聞いて育った世代ですから。実際そういうのは、米国人が不器用だとかエェ加減だとかいうのではなくて、その当時の労使問題が影を落としていたということでしょう。月曜にラインを流れた車は買うな、とか、大事な顧客の車は「〇〇〇(組合の有力者)の友人用」という紙を張って製造ラインを流すとか、そういうことが普通に語られていた時代です。ホンダがオハイオに工場建てて、まずオハヨウっていうことから始めて高品質な製品を作ることに成功したという話が出るより前。米国人も本気出したらけっこうやりまっせ、っていう話なんですね。

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 このソボリンはごくごく普通のカートリッヂ・コンヴァータ両用式。しかしそのコンヴァータがスモーク樹脂を使っていてインク残量ほとんどわかりまへん、というのがいかにもシェーファー。そう、シェーファー使うのならインクの残量なんか気にしていてはいけないのです。インクが切れたら補充するだけ。逆に言うと、いつ切れてもいいようにインクの用意だけは忘れちゃダメよ、というのがシェーファーです。ほとんど字を書かない私にはなかなか相性が良さそうではありませんか。

 で、いざインクを補充する段になってもイライラしないように、尻軸と首軸を結合するネジはとっても速いのです。写真でも、けっこうキツい角度が付いていることがわかります。実際に回してみると、本当に速い。大橋堂のキャップを外すのとシェーファーの胴軸を外すのとでは、最初から勝負にならないのです。

 さて、憲法記念日からみどりの日、そして子どもの日。何して過ごしましょうか。家の中に散在している不要品をかき集めてy.y.Day入場者に押しつける準備でもする、というのが一番ですかね。どこ行っても混んでますから。

2023年5月 1日 (月)

揃い踏み

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 とりあえずケージに入って寝る姿勢を見せている「ちち(仮名)」さん。これから少し眠ったら、周囲の状況を見て、鳴くか黙って眠るかを決めるのでしょう。

 大型連休の谷間ですが、カレンダー通りのお仕事ですから、飼い主はいつも通り出勤して、帰りに主治医のところへ顔を出してお薬をもらってきました。今月末には再び顔を出して、今度は定例の検査です。それまでに体重が70キロを切っているかどうか、なかなか厳しい挑戦です。

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 最初に使う萬年筆がこれっていうのはいかがなものか、なんて書き込みを某SNSで見かけたのですけれど、いや、むしろ最初に使う萬年筆としては好適なのではないでしょうか。

 PILOTのミュー、これ以上ないだろうというガチニブなので、ボールペンに慣れている人でも違和感なく使えるのではないでしょうか。インクフローが良ければ、書き慣れるにつれて少しずつ筆圧も下がっていって、その頃にはもう少し撓るペン先をもったものが欲しくなるかもしれませんし、高筆圧のままかもしれません。結局は書き手次第なのです。

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 オリヂナルのミュー、蝕刻ストライプのミュー、そしてミュー90です。いずれもバネかつらを使った、刀の鞘みたいにするりと収まる嵌合のようでありながら、実はキャップと噛み合う小さな突起が胴軸というか首軸というか、そちらの側についていて、小さくパチンと音を立ててしまります。

 軽いし、軸の太さ、長さも適当で、萬年筆をこれから使っていこう、という人にとっては、このミューに限らず、国産各社のショートタイプというのはなかなか良い選択肢ではないかと思うのです。なおかつ、このモデルのようにキャップがパチンとしまるものですと、手帳などと一緒に持ち歩いていて気がついたらキャップだけになっていた、なんてことにもなりにくいと思われます。

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 オリヂナル、復刻版ともに、お尻からペン先に向かって右側になる側面に製造年月の刻印があるのですけれど、ストライプ柄のものにはミューのロゴがくっきりとあるのですけれど、製造時期を示す刻印は見つけられませんでした。さて、どこに隠れているのでしょうか。

 あと、復刻版にはキャップトップに青い石がハマっています。カボション、というのでしょうか。パッと見て、これがオリヂナルでこれが復刻版、というのは分かりにくいのですが、手にとってみると何となく違う、という程度の差は感じ取れます。見つけたら一本、手元に置いておくと良いのではないでしょうか。

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