
ケージの中からじっとこちらを見ているので、それでは、と写真を撮りに行ったら視線をそらす「ちち(仮名)」さん。遊んでくれたりおやつをくれたりするのは良いけれど、写真など撮ってはなるまいぞ、ということなのですが、この場合は本気で写真を撮ってほしくない、というところが歌とは違うところです。
先週土曜日に開催されたWAGNER岡山には、初参加という方がお二人。まずは受付の人から丁寧な説明を受けて、それから会場内を見て回るのですが、幸か不幸か、「会場内が寂しかったりするといけないから」と無理を押して名古屋方面から出店されていたどーむ商店に吸い寄せられてしまいました。そして、萬年筆らしい萬年筆、149などお買い上げになった模様ですが、そうなると今度は、気持ちよく書けるように調整して貰おう、となるのは必然ですし、周りもそれをすすめますので、これまたすぅ~っと親方のところへ。そこで、そもそも良い書き味とはどういうものか、というところから、じっくりと親方の講義を拝聴されていたのですが、受付の人が行け、行けというので、私も仕方なく、たまたま持参していたキャップレスを2本、お二人のもとへ持って行きました。

萬年筆に興味がある、という人は、まず真ん中のような形のものに行くのが普通です。実際、149を手に入れられていますからそのまんまなのですが、キャップレスをお持ちしましたところ、「あ、キャップレス・・・これってどうなんですか?」と興味を示されましたので、これはすでに病が進み始めているものと拝察いたしました。
遠く本州の西の端の方から岡山までクルマを飛ばしてこられたのですから、それも当然のことです。昔のことを思い出してみますと、私自身、まだ新大阪駅前で開かれていた頃の関西地区大会に参加して、綴じられていた会場のドアを決死の覚悟で押し開けて中に入ったのでした。受付には怖そうな大きな人がいて、机の上にはヘミングウェイが無造作に転がしてある。反対側ではヘンテコな組み合わせのモンブランが何本も、ハイブリッド(正式名称:ガッチャマン)と称して売られていて、奥の方では師匠が調整に励んでいらっしゃる。そういうのを見渡してから、深呼吸をして受付の人の説明を聞き、畏れ多いのでヘミングウェイは使わず、持参したPILOTの飛天で申込用紙に記入。大量に汗をかいていたことを覚えています。WAGNERに限らず、初めての会合に参加するのって、なかなか勇気が要りますね。しかも、会場内にはヘンタイが山のようにいるのですから。

広島半こと羅炊屋さんがご夫婦(奥様は二右衛門半継承順位一位)でデビューされたのも、ここ岡山でした。2次会の会場で、そこら中からさまざまなペンが出てくる様は、まさに魔術師。広島半さんのポケットは、ドラえもんの四次元ポケットよりも奥が深いのではないかと噂されているのです。残念ながら諸事情により東京へのお出ましはかなわないようですが、将来、条件が整えば、ぜひ東京へお出ましになって、昨今の必ずしも正しく理解されているとはいえない「半」というものへの認識を改めさせていただきたいものです。
写真は、キャップやら胴軸やらが痩せてきている3776ですが、こういうものがあると、どこで拾ってきたのかわからないヘンテコなペンにこのペン先を移植して、あたかも最初からこんな風でした、というようにして見せびらかす。そういうところは、すでに二右衛門マスターを超えつつあるのではないか、とすら思います。

で、そのWAGNER初参加のお二人ですけれども、受付の人の悪だくみの通り、キャップレスにやられてしまったようです。左は普通のもので、右が親方渾身の作。まぁこれで、一直線に萬年筆の高みに堕ちていくのが見えました。
その後も、周りの悪い人たちがこれはどうだ、こんなのもあるよ、と悪さをしまくったので、この先、このお二人は堕ちていくしかないのでしょう。実に幸せなことです。ゴールデンウィーク終盤のy.y.Dayですとか、例年より一月早く10月に開催される予定の神戸ペンショウなどにも参加されましたら、さらに高いところへと堕ちていかれること、間違いありません。これからもたゆまず精進されますことをお祈り申し上げております。宇宙遊泳系統でも少しだけ色合いの違う6月のNANIWAペンショウ、こちらもおすすめですね。
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