怪人のペンケース
熟睡している「ちち(仮名)」さん。この後、ケトジェニックな生活を目指す飼い主が、脂肪たっぷりの豚肉を食べていたところで目覚めて、ひとしきり騒いでおりましたが、その最中に寝床で粗相。突然静かになったのは、それを隠蔽するための努力を始めたからでした。歳をとって体がいうことをきかなくなっても、積み上げた経験と知恵でカヴァー、というところでしょうか。
先日の神戸にて、広島の怪人こと羅焚屋さんに見せていただいた、いや無理やり見せられた一本。堆朱の軸がポイントなのかな、とも思いましたが、金色に輝くキャップも妖しいオーラを出しています。
間違い探し的な感じで、違和感を感じるところ、あるいは、ごく素直に、このペンの特徴的なところはどこか、と探してみます。難解です。そもそも、広島の怪人があたりまえのペンなど見せてくるはずがありません。
手に入れる時はダボハゼ状態で何でもかんでも吸い込んでいきますけれど、その後、じっくりと観察したりいじくり回したりするのが恐ろしいところです。一旦そこに収まったら最後、普通のペンであっても普通ではなくなる、それが怪人のペンケースなのです。実に恐ろしい。

手に入れた段階で、すでにエクボなどがあって状態の良くなかったキャップを、さもそれが普通であるかのように、パーカーの、それも金キャップに替えられています。割とよく合うんですよ、とこともなげにおっしゃるそのお姿に、正当な「半」の血脈を感じました。ホンマもんです。
かつて、四日市の「ほう」にお住まいの二右衛門マスターに見せていただいた国産ショートタイプの萬年筆。キャップ、首(胴)軸、そして胴(尻)軸が、それぞれ国産大手3社のものでした。どうやって合わせたんです? と問うと、こともなげに「手に入れた時からこの状態やった」と返すマスター。風格、です。

記事にするならこのペン先、しっかりと紹介しなさい、という、広島半さんからの強いご指導がありましたので、この写真を。桜の花のような模様の中に「共」の文字を見つけて、思わず中華萬ですかと問う私。まだまだ初心者から抜け出せません。これは、農協の萬年筆なのだそうです。
そして、衝撃の21Kに、全体的にはイカペンと言われる形状。そして、KUMIaIの文字。あらゆる意味で、これはもう、持つ人を選ぶペン、としか言いようのない変なモンです。
そして、広島半大師匠の別れ際のお言葉。今度会う時には、もっと凄いモン持ってくる、と。岡山でのWAGNERが待ち遠しく思われてなりません。
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