一体化 その2
こたつ布団がなくなった、インナーだけのこたつに寄り添って寝ていた「ちち(仮名)」さん。哀れに思ったお母さんが、ほいっとクッションを投げてくれたので、結果として間に挟まって快適に眠っています。
それ以来、このスタイルを気に入ってしまい、何とか良いポジションにクッションを持ってこようとするものの、自分ではどうすることもできず、家族をじっと見つめて「何とかして」と要求する、それがここ数日の彼女なのです。
多面体断面を持つキャップレスといったら、これです。マットブラックの樹脂軸。本来、樹脂軸よりは金属の軸野木軸の方が数倍好きな私なのですけれど、こいつは別です。さまざまなキャップレスの中で一番、といったらこれです。
38年間の教員生活、6つの学校でお世話になりました。3年、12年、3年、11年と、ここまでは中学校。次いで7年間の小中一貫校で、後半の4年間は教頭。最後は人手不足のため、登用されるはずなどないはずの校長として、小学校に2年。どれも思い出深い学校ですけれども、3年しか勤めていない学校というのは、お察しの通り、相性が良くなかったということです。
12年も勤めた学校を出て次の学校に行ったら、そこはしないでも名門と言われる学校から流れてきた人たちばかりの閉鎖的なところで、何かというと「名門の〇〇校では・・・」という話が出てくるのです。そのたび、ここはその学校じゃないだろう、と腹が立つことばかり。嫌いだと思っていると良くないことに遭うもので、この学校では大橋堂のエボナイト軸とマット軸のキャップレス、2本も萬年筆を借りパクされました。赴任したその日、100円もしない透明軸のボールペンに、誰も彼もが自分の印鑑を捺した小さな紙片を入れているのを不思議に思ったものでしたが、要するにその程度の民度の職員室だった、ということなのです。なので、3年が過ぎたとき、来年は過員になるから誰か異動してくれ、と校長に言われたとき、一番に飛びついたのでした。
当時はまだ、高価な萬年筆を次々と買えるような状況でもありませんでしたから、特殊合金ペン先で廉価版だったこのキャップレスを買って、日常のメイン萬年筆にしていたのです。気合いの入った書類、長文などを書くときには、おもむろに大橋堂を出してきて、何度も何度もキャップを回して書き始める、という具合。
マット軸の多面体キャップレス、クリップにはPILOTと彫ってあって、そのほぼ裏側には、JAPANと彫られております。8000円という価格シールの貼られた方はほぼミント。WAGNERの会合でN御大から譲っていただいたものです。そしてもう一方は、毎日胸ポケットに挿して持ち歩いているもので、まっとじくとはいうものの軸はテカテカで、金属部分は黒い塗装が剥げてきているところもあります。
もう1本か2本、この多面体キャップレスを手に入れたいものです。ほぼ未使用の方は、なぜか中のペン体がこんなものなので、畏れ多くて、とても使う気になれません。まぁ、うちには山のようにキャップレスがありますから、とりあえず軸だけでも見つかれば、適当なペン体を入れて普段使いにしたいと思っております。
ちなみに、今、普段使いしているものは超絶気持ちの良い書き味で、なおかつ実用的。書き味に溺れるようなこともなく、細かな文字を書き連ねて行くときにもしっかりと書けます。金ペンでなくてもここまでやれる、という見本のようなペンです。ま、書かれた文字は酷いものですが。
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