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2022年12月13日 (火)

多面的にみる

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 オットセイなのかアシカなのか、はたまたミズガメか、といった感じにあんよを広げてくつろいでいる「ちち(仮名)」さん。久しぶりに無警戒なところを写真に収めることができました。カメラが迫っていてもそちらに注意が行かない、いったい、何に気をとられていたのでしょうか。

 月曜日に私の職場にやってきて、悪逆非道の限りを尽くして帰って行った子どもが本日も来館。よし、ここは一発シメてやらねば給料泥棒だ、と気合いを入れたのですけれど、昨日とは別人のような良いお子さん。まぁアホではないので、一人になってから昨日の行いを内省したのかもしれません。そう考えると、どれだけスカタンを繰り返してもちっとも反省もせず、従って成長することもない私などよりよほど優れた子ども、ということになりますね。ちょっと引きをとってみてみることも大切なのでしょう。

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 国産の革を巻いて貰ったキャップレスデシモと、廃盤品ですので投げ売りです、という銀座三越の広告を見て電話注文した古いキャップレス。たしか、これの他に黒と赤もあるはずです。いずれもMニブで、現役時代には書類を綴じて保管しておく際に表紙にタイトルを書いたりするのに使っておりました。日常的にそこらに転がされていたモノですので、傷だらけではありますが、なかなかタフな相棒という感じです。

 それこそ売るほど萬年筆があるのに、実際使っているのはその中のごく数本。それが、手に馴染むとか、自分の用途に合っているとか、そういうことなのでしょう。逆に言うと、そうでない萬年筆は手元にあっても眺めてニヤニヤしているだけです。ニヤニヤしているのならまだマシな方で、どこかにしまい込まれて存在すら忘れてしまっているものも少なからずあるはずです。

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 ペン先が出てくる部分の位置を揃えて並べてみると、わずかながらデシモの方が長いのです。デシモはスリムで携帯しやすく、握って書くときも細身なので手に馴染む、なんて言いますけれど、その細さを悪用して神戸の鞄屋さんが革を巻いたのをみて、自分も欲しいからやってくれ、と頼み込んだのです。その頃は、WAGNERの会合などでもN御大のところへ飛んでいって、軸が汚いモノで良いから安いデシモをください、・なんてお願いをしていたものです。

 しかし、さすがはその道の泰斗だけあって、たとえ革を巻いてしまうものであっても、軸に傷が付いているモノなんておやめなさい、きっと、長く使ううちには何かしら不具合が出てくるでしょうから、と諭されたのを覚えております。萬年筆の軸というモノは、ただ見ためのためにだけあるものではないのです、という教えでありました。

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 この時代のキャップレスの軸は、単なる円筒形断面ではなくて、いわゆる多面体断面の軸を持つのが特徴です。特に奇をてらったモノではなくて、それが握りやすさ、書きやすさにつながっているところに、実用品としての凄みのようなものを感じます。この時期の形で復刻版などが出てくれば良いのですけれど、金型を起こすことになるでしょうから、そうそう簡単なことではないでしょう。これらは実用モデルでしたので、特に大切にされることもなく、いわば消費されて最後は捨てられる、という運命をたどった個体も少なくないものと思われます。もしくは、どこかのヘンタイさんが後生大事に抱え込んで他人の目には触れさせない、ということなのかも。傷だらけではありますが、愛用してやろうと思います。

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コメント

先日から流行り病に罹患し、余りのキツさに、もしもの時の萬年筆達の行く末が頭を過りました。
売るほどある萬年筆は心の安らぎではありますが、心配の種でもありますね(笑)

軸に国会議員石原○○と記されたいかにも選挙用グッズとおぼしき格安キャップレスをWAGNERで入手し、神戸の鞄屋さんに持ち込んで「傷モノだから」と革巻きにしてもらいました。
〇〇のところが裕次郎とか慎太郎ならコレクターズ・アイテムだったろうに。

 すいどう さん

 私は話題のウィルスが巣にしているような職場で3年、何ともないのは幸いですが、昨今では十分な対策を、と言いつつ、対策をとるとご不満な様子で抗議される方も増えてきて、先日などは身内に後ろから鉄砲を撃たれるという目に遭いました。そうなると維持でも対策バッチリ続けてやるぞ、というひねくれた根性をご存じなかったようで。

 で、もし私が罹患しましたら、その苦しさに世をはかなんで、なんでことになるでしょう。残された萬年筆、良いところへ嫁いでゆくと良いのですけれど。

 Lady P Love さん

 まぁそう言わず、息子も大事にしてやってくださいな。父親や叔父が凄かったからという理由だけでそんな風に言われては気の毒ですし、気がつけばもう、重鎮と言うべきお歳に近づいているではないですか。浪人してますけどね。

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