袋入り
長いクッションの三分の一ほどのスペースに丸まって眠る「ちち(仮名)」さん。せっかくの広々としたクッション、そんな窮屈そうに寝なくてもいいのに、という疑問が、解決へのスタート地点です。
おかしいな、何故だろうな、というのは科学的探求の第一歩。「余っていた」クッションを探索すると、彼女の落とし物を発見しました。老齢ゆえ、朝夕のお散歩と排泄のタイミングをうまく合わせることができなくなってきているのです。落とし物を取り除いて、本来ならクッションを取り替えてやるところなのですが、あまりにもよく寝ていますので、明朝、目が覚めてから、ということにしました。
落とし物ではないのですが、なぜか袋に入っているキャップレス。なんでこんなところに、いや、そもそもなんでこのモデルがあるのだろう、という疑問。このタイプ、結構カラーバリエーションがありますので、それを揃える中で黒いのも、となったのだろうか、とあれこれ考えていて思い出したのは、使わないからあげます、といって貰ったものだということでした。
貰ったからと言って、私も使いません。使うことはできますけれど、キャップレスはたくさん持っていますので、敢えてこのモデルを使う必要がありません。実際、これを使うとなると、少々面倒です。
これをくれた人は、「14Kペン先のキャップレスは良いぞぉ」と聞いて手に入れたのだそうです。確かに、私も見つけたら保護するように覇気をつけています。気の毒なことに、これを手に入れた人は、使う手だてを持っていなかったのです。どうすれば実用できるか、あれこれ調べた結果、自分には向いていない、ということで手放されたのです。
そういうことで手元に来たのですが、手元にカートリッヂがあっても、それを挿す勇気があるかどうか、ということと、そもそも貴重品であるということ。ではコンヴァータで、となりますが、キャップレスにコンヴァータは似合いませんし、第一、面倒です。
こうした古い目のキャップレス全般、「がさつな人には扱えないないんだよな、これが」などと通ぶって初心者をいじる、という趣味の悪い遊びにも使えます。例えばこのモデルですと、何故かノックボタンが塗り分けられています。黒く塗られたところが見えなくなるところまでノックして、スッと力を抜く。この加減を会得していないと、ペン先が出た状態で固定されず、すぐに収納されてしまいます。ボールペンのように、力加減も何もなしにグイッとノックしてはダメなのです。不便といえば不便なのですけれど、持ち主ならばこそ、の力加減、これもこの萬年筆の楽しみ方のひとつなのかもしれません。
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