教材
熟睡する「ちち(仮名)」さんですが、この直前まで、近所迷惑にもほどがある、というぐらいに鳴いておりました。おそらく、ケージに入った時におやつを貰ったのを忘れて、まだ貰ってないよぉ、と訴えていたのでしょう。ホンの少しだけおやつを追加して貰って、気持ちよく眠りに落ちたのでした。昨日粗相をしたので、クッションが変わっております。
外側にはあまり可愛くない柴犬が大きくプリントされたペンケース。手帳の市か何かで、るぅのさんのブースへ行って「猫ばっかり・・・」と文句を言っておりましたら、「ほれ、犬ですよ!」と出されて連れ帰るしかなかった、というもの。現在はTWSBIのダイヤモンドを2本と、ガニ目、そしてゴム板という内容でいつでも持ち歩けるようにスタンバイしております。そう、これは教材なのです。
宇宙遊泳系のイヴェントに親方が出展される際に、TWSBIの萬年筆を分解して洗浄し、再度組み立てる、というワークショップをされることがあって、最初は賑やかしのつもりで参加しておったのですが、(当たり前のことながら)他の参加者のあまりにも戸惑った様子を見かねて、ここはこうですよ、とか口出ししてしまうようになって、ならばいっそ、お手伝いしてしまえ、というわけでこのセットを用意したのです。
TWSBIがオリヂナルの萬年筆を作り始めたときは大変な話題になって、いったいどうすれば手に入れられるのだろう、とあれこれ調べたところ、e-Bayで試験販売されているというのがわかって、ジャンクな英語でメールを書いて数本まとめて購入しては、送料込みの金額を本数で割ったお値段で仲間内に頒布する、なんてことをやっておりました。その後、秋田の文房具屋さんが取り扱うようになり、あれよあれよという間にメジャーなところでも店頭に並ぶようになって、いつしか、普通に買えるような萬年筆になりました。実に喜ばしいことです。
こいつは最初期のダイヤモンド。萬年筆そのものより、附属するガニ目が欲しくて欲しくて、みんなそれ目当てで買っていたという話もありますが、あくまで噂に過ぎない事実です。
青インクと赤インク、実に汚いです。この、汚い状態の透明軸のペンを見ると、こりゃお掃除しないと大変だ、という気持ちになるでしょう。いろんな薬剤を駆使して、可能な限りきれいにする、ということに挑戦するのも面白いのですが、今はこれ、汚いペンとはこういうものです、というのを萬年筆を使い始めて間もない人に見せるための教材なのです。
細かいことを言えば、いろいろと余計な手を加えているので、そこを質問されてしまうと答に窮したり、まぁ、まぁ・・・と誤魔化したりと、それなりに難儀なのですけれど、そういうこともまた、この趣味の楽しみのひとつなんですよ、ということで最後はまとめてしまいます。
そのとき、そういう悪いことをするのは自己責任ですよ、というのを付け加えないといけません。趣味にどっぷりはまっている私たちは忘れがちになりますが、「普通の人」は数本、或いは1本しか萬年筆を持っていないものなのです。その1本がこんな風にひびが入っている状態では、心底哀しくなるでしょう。いや、そうなったら次のを買うから、業界全体が活性化して良い結果になるのだ、という話もありますけれど、この先日本はどんどん貧しくなっていくはずですし、今、一部で途上国から研修生として就労しに来ている人たちに結構酷い仕打ちをしている、そんなことをそう遠くない将来、日本人がされてしまう、というのが当たり前になるのかもしれません。なので、今持っている萬年筆は大切に、末永く使っていくようにした方が良いでしょう。
聞くところによると、12月10日、11日に浅草で開かれる宇宙遊泳、ここでも親方のワークショップがあるようです。「クリパ」っていうサブタイトルからして、私のような薄汚いおっさんが参加できる雰囲気ではないので、今回はパスなのですけれど、少しでも興味のある方、まだ空きがあるなら、ぜひ申し込んで体験してみていただきたいと思います。
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