悪い癖
お誕生日のケーキを前に、思わず「ペロリ「と舌なめずりの「ちち(仮名)」さん。このケーキがお腹によくなかったらしくて、この日から彼女は毎晩夜中に鳴き叫んでお散歩を要求し、水様便に近いものを絞り出して、そこからは気持ちよくお休みになるという日々に入りました。現在は健康そうな便に戻っているのですけれど、この夜中に行くお散歩、というのが気に入ったのか、生活リズムに組み込まれてしまい、体調が悪くなくても夜中に鳴く、という困ったことになりました。これ、ひょっとして痴呆が入って来てるのかな、という疑いもありますが、飼い主は毎晩、居間ですやすや眠る彼女の傍らで自然死する生活を続けています。
久方ぶりに飼い主の目の前に現れたセンチュリーマイカルタ。手になじむ素材、って言われてますので、これは使い倒してやらなければ、と思いつつ、どこかへしまい込んで所在が分からない・・・といういつもの悪癖で、そのお姿を見ることなく夏の終わりを迎えようとしていたのですが、そこはそれ、抜けた夫にはしっかりした妻、ということで、奥様がきちんと保管してくれてあるのを見て、引っ張り出してきました。
萬年筆の収集をはじめた最初の頃は、とにかく細字派でした。あらかじめ用意された様式に文字を書き入れる、その単調極まりない苦行を少しでも楽しく済ませることができたら、というのが出発点ですから、ぶっとい字幅でぬらぬらと、っていう快楽に溺れることはあまりなかったのです。それが、まだ新宿西口の細長いビルにあった頃の王国に足を踏み入れて、BBペン先付きのシャルロッテに出会い、そいつに濃紺系のインクを入れたときに、あまりに見事な濃淡に魅了された、そのあたりから太字もよいなぁ、となり、さらに本数が増える、と。
このペンは中字。でもそれはどうでもよいことで、この、一応は「布」のお仲間といわれるマイカルタにねじを切ってあるところ、そしてその見た目が、なんとなくこのまま、ねじの部分が摩耗していくんじゃないか、というはかなげな様子であるところ、こういうのもまた、実用品でないが故の魅力だったりします。
そういえば今週末は神戸でWAGNER 萬年筆研究会の会合があります。これ持ち込んで、調整師の方にちょこっと「いらんこと」してもらって、日常使っていけば、軸の表情にも変化が見られるかもしれません。
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