西班牙或いは葡萄牙
おやつを貰っておうちに入り、早く眠りたい。けれどお母さんは私の方を向いてくれない・・・というところで、颯爽と優しいお父さんが登場して、「ハウス」と言うなりおやつをくれたのだけれど・・・勝手が違って、どうしたらよいのかよくわからない、困惑気味の「ちち(仮名)」さんです。
最近、SNSにアップされた可愛らしい柴犬の写真や動画を見ては「可愛い可愛い」と家族が相好を崩している様子に、何故かはわからないけれど危機感を覚えている彼女。グテッと寝ていても、家族がそれをやり始めると起き上がって近づいてきます。可愛い、っていう言葉は自分にだけ向けて欲しい、と静かに訴えているかのようです。そういうときは、思いっきりワシャワシャやりながら、可愛い可愛いしてあげますと、安心して元のポジションに戻ってゆくのです。こういうところが、ニャンコにはない(と思っている)ワンコの良いところなのです。
沼に萬年筆を落として途方に暮れていると、水の中から親方が現れて「落としたん、どれや?」と聞いてくれました。さて、どう答えますか。親方のところは師匠でもタコ娘さんでも、その他お好きな人に置き換えてもらってかまいません。
写真の3本だったら、未使用品っぽくラベルが残っていて、しかも鮮やかな赤い軸を選んでしまう人が多いのではないでしょうか。それ、ある意味正解なのですが、親方が本当にそれで満足してくれるかどうかは別の問題です。
恐ろしいことに、赤い軸は鉄ペン。黒いのと紫っぽいの、どちらもパッとしない軸ですけれど金ペンなのです。ただ、これを持って現れたのが親方である場合、鉄ペンのヤツを念入りに調整して、こら金ペンいらんわ、というような書き味にしてある、という可能性もあります。
木こりが湖に斧を落としたとき、出てくるのは「みずうみのあくま」ではなく女神で、その手には金の斧と銀の斧。ここで正直に、私が落としたのは鉄の斧です、と答えることが大切です。柔らかな金や銀の斧では木が伐れませんから、斧は換金しなければならず、また、新しく木を伐ることができる斧を調達しないとその後の生活が成り立ちません。
萬年筆は実用品でありながら工芸品やアクセサリー、コレクションとしての性格も強いので、軸が気に入ったらペン先はどうでもいい、なんて人も増えてきているようです。私なんかは頭が古いので、どうせ持つんなら金ペン、なのですが。
手元にはボールペンもシャープもなく、萬年筆ばかり。クァトロ、と言いますけれど、スペイン語なのかポルトガル語なのか。で、こいつは実用に堪える良いペンだと思います。軽く、細く、遠慮なくあっちこっちに持って行って使える。そう考えると、これよりあとに出たコムプライト製の大きくて重たいのとは、名前は似ていても全く別のペンだと言うことができそうです。
あなたが落としたクアトロは、鉄のクアトロですか、金のクアトロですか、それとも木のクアトロですか、なんて聞いてくれる何者かが、沼の水の中から出てきたとしたら、あなたはどう答えますか。
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