399段
暮れの忙しいときにちょろちょろして邪魔、とお母さんに叱られ、ケージに放り込まれておとなしく寝ている「ちち(仮名)」さん。叱られてるぞ、これはいかんぞ、というのは敏感に感じ取るので、姿勢を低くして嵐が過ぎ去るのをじっと待つのです。
飼い主もお母さんに叱られながらあちこち散発的に片付けらしきことをして、何とか新年を迎える準備ができました。
隠国の 泊瀬の山に 照る月は 満ちかけしけり 人の常なき と詠まれた初瀬。そこに建つ長谷寺の観音万灯会というものにお参りしてきました。大晦日の夕刻5時、山門から観音堂までの399段の「登廊(のぼりろう)」に祈願された灯籠が置かれます。うまくすると約12時間灯り続けるので、朝陽を感じる午前5時頃に自然に消える、というものです。お正月三が日も釣り灯籠は点されますが、こうして石段に置かれるのは大晦日だけです。
降りるときに見下ろして撮った1枚。猛烈な人出かとも思いましたが、思いのほか静かで、幽玄な感じすらしておりました。わいわいがやがやは好きではないので、こういうのは大好きです。
自宅から長谷寺に向かう途中、本当に運転免許持ってるのか? というようなクルマがそこら中にいたので、思わず山越えの道へと迂回しましたら、きっちり雪で覆われておりました。3年履いているスタッドレスタイヤがまだ使える、ということも確かめられてまぁよかったです。昔の人はこういうのを、観音様のお導き、と信じたのでしょう。私もそう思っております。
長谷寺というと牡丹の花でよく知られております。それを雪から護るこも被りにも灯りが点されていました。こちらは灯籠とは違って、日付が変わってしばらくしたところで消えてしまいます。
399段を上るのは、正直なところしんどいですが、上れないほどの段数でもありません。しんとした静けさの中、本堂を目指して一歩一歩、上っていくというのは、横着な私らしくなくてたまには良いことかと思います。観音様には、この一年のお礼と、新しい年のお願いをして帰って参りました。今年一年、お世話になった皆様、どうもありがとうございました。
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