衣替え
お顔ないない・・・で眠る「ちち(仮名)」さん。犬の嗅覚は人間の数千倍などといわれます。この状態、自分の匂いでむせかえってしまわないのだろうか、と中二男子のような疑問が頭から離れない飼い主なのです。
思い返せば20年ほど前、実家を引き払うのに伴って、もうすぐ解体されるというアパートの一室で飼っていた「クマ(実名)」さんを、現在の自宅に連れてきたときのこと。折からの雨に打たれながらも、なかなか犬小屋に入ろうとしない彼女。バスタオルで拭いてやって、そのタオルを小屋に敷いてやるとすんなりと中に入った、ということがありました。ワンコは自分の匂い、家族など親しい人の匂いで安心する、ということを実感した瞬間でした。
先々週あたりからの急な冷え込みで、さすがの私も長袖のシャツにジャケットを着て出勤しています。内ポケットはペンの住処。あ、これ家に持って帰ろう、とか、これ職場に置いておこう、なんてペンもここに挿して運搬するので、エラいことになっております。
もう間もなく、この中のキャップレスLSさんが里帰り手術を受けることになります。黒くて細い文字を書類に記入するのはキャップレスの黒マット(多面体)さんのお仕事で、メモ書きや封筒の宛名書きなどに出てくるのがLSのお仕事だったのですが、これがいなくなると不便です。
以前は魚の名前がずらずら書かれた布ペンケースで持ち運んでいたこの3本。京都手書き道具市での萬年筆手ほどき講座にお供して以来、そのときに鞄に放り込まれたままになっていたので、こちら編吟革盤舎のケースに収めました。
右からプラチナ3776、セイラープロフィットレアロ、WAGNER伍周年記念(PILOTシルヴァーン)の3本。3776は親方の手を煩わせて大掃除と調整をしてもらったもので、黒インクで細字。レアロは赤インクで太字。そして伍周年は太字、カートリッヂの青インクです。
このペンにはいつも申し訳ないと思っております。持ち主が偏屈なせいで銀軸だというのに磨き上げても貰えず、早う黒くなれ、などと呪いの言葉を浴びせ続けられているのに加え、挿されるカートリッヂは半分ほどしかインクが残っていない古いもの。水分が抜けているので、ネットリとしたものになっていて、サラサラと伸びの良いのが身上のPILOTインキとも思えない状態です。実験状態に置かれているのです。
で、オッサンには似合わない、今は亡きBPの小さなバッグに、iPad miniと共に収まって、毎日職場と家との間を往復することになります。神戸は六甲アイランドの鞄屋さん、ル・ボナーの奥様に、ことあるごとに「せんせい、いけません」と言われる私。とにかく鞄の類を持ち歩くのが嫌いで、可能な限りポケットに詰め込んで体ひとつで出歩く人なのです。ですから着る服はどれもこれも、もともとが安物なのにシルエットはさらに崩れ、さらにみすぼらしい外観となってしまうのですが、そういうのも半世紀続けるともう、個性の一部なのかも知れません。それほど鞄を持ち歩くのが嫌いなのに、革の鞄は大好き、というヘンタイなのです。持たれる鞄はいい迷惑だ、という声は無視して、さぁ、ほぼ三週間後に迫った神戸ペンショウでは、またル・ボナーの鞄を買ってしまいそうです。また、「せんせい、いけません」と言われちゃうのかなぁ。
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