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2021年10月

2021年10月31日 (日)

喜八洲

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 ケージから顔だけ出して目をつぶる「ちち(仮名)」さん。飼い主は本日締め切りの原稿を抱えていて、それが書けるまで寝てはならん、と思いつつプチ自然死。ふと蘇生したとき、もうワンコはケージに入って寝たのか、と思って起き上がると、こんな状態でありました。

 もうケージに入って寝たいのでおやつ頂戴、と訴えるのですけれど、今日はお母さんもお姉さんも相手にしてくれなかったようで、それならばとまずケージに入ってアピールするはずが、眠たいので思わずウトウト、ということのようです。ワンコは飼い主に似る、というのは本当です。

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 どこを見てもハロウィーン。あんたら、何がそんなにめでたいねん? と思いますが、お菓子屋さんの努力なんかもあって定着してしまってますね。学校でも子どもたちにハロウィーンパーティーをやらせようとするぐらいなので、相当に重症です。これはその次にやってくるクリスマスも同様で、なんで日本の学校ではハロウィーンとクリスマスにひっかけていろんな行事をするんだろう、と常々疑問に思っています。

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 なので、カボチャなんか出さないぞ、と心に決めつつ、とりあえずカボチャみたいな色のLAMYサファリ。最初期のテラコッタなんかが手元にあれば良かったのですけれど、我が家にはそんな値打ちのあるペンはありません。

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 もしも子どもが悪戯しないのと引き換えに攻めてきたら、嫌がらせも兼ねてみたらし団子をあげよう・・・というわけでもないのですが、大阪ではその名を知られたみたらし団子の老舗、喜八洲さんに行って参りました。大阪は十三という駅のすぐそばにあるお店です。

 新年度にお花見、ゴールデンウィーク、夏休み、運動会と続いて、そろそろ秋も深まったし落ち着いて暮らそうよ、と思ったところでハッピーハロウィーン、クリスマス。でも、バレンタインデーとホワイトデーは学校では敵視されていて,ほとんど禁止とか黙殺とかそういう扱いです。学校の先生の身勝手な感じが良く出てると思います。

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 我が家ではいつも、普通のみたらし団子ばかりでしたので、これを見た妻は、「ネギみたい」と。なるほど、焼き鳥の串に刺さったネギ,この向きですね。みたらし団子というとまん丸なお団子が串に刺さっているイメージですが、このお店のはこういう形なのです。

 本日はお店が忙しそうでしたので、「普通焦げ」です。もう少し余裕があると気でしたら、「よぅ焦げたのにしといて」と頼むところですけれど、今日はこれぐらいにしといたるわ、というわけです。

 秋が深まってきたらハロウィーン、ではなくて、秋は神戸で萬年筆、です。11月20日(土)、21日(日)に神戸でお会いしましょう。

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2021年10月30日 (土)

QuatRo

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 敷物の上に布団を置いて眠る「ちち(仮名)」さん。この敷物は人間様が座るところなので、フローリングの方にお布団を追い出すのですが、気がつけばこうして敷物の上に移動させてその上で寝ています。自分の体全てをお布団に載せれば、そこがフローリングの上であっても問題ないと思うのは人間の方だけで、彼女にとっては敷物の上、というのが重要なポイントであるようです。

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 神戸ペンショウまで3週間。かつては拙Blogなどで盛大に案内をしていたのですが、いまはもうSNSの時代です。次から次へと情報が流れて行ってしまうFacebookの海の中で、神戸ペンショウ関連の話題をしっかりと見つけられますように、QRコードを作りました。

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 なので(何が?)本日はPILOT Quatro。赤いのと黒いの、どちらかあげますと言われたらどっちを取りますか。ここで普通の人は、赤い方が見た目綺麗だし、というような選び方が多いでしょう。でも、ヘンタイな人はあれこれ考えます。揚げ句の果て、キャップ取って中見ていい? なんてことを言い出すわけです。

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 Facebookはおっさんが使うもの、だとかで、今や見ない使わないという人も少なくないようです。そこでTwitter用。こちらには出展者情報のまとめなんかもありますので、お目当ての品物を事前にリサーチしたい、という方はこれ一択でしょうか。

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 なんて言ってる内に、どちらを選ぶか決めましたか? ヘンタイさんだとこの写真である程度決めてしまうかも。けれど、どちらを選ぶのかはそのヘンタイさんの趣味趣向によって違ってきます。私はマイルドなヘンタイさんなので、やっぱり黒い方ででょうか。

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 写真撮ること自体へったクソな私は、「映(バ)える」こと至上というInstagramには手が出ませんけれど、SNSとしては主流に近い感じも出てきておりますね。もちろん、そこにも神戸ペンショウの話題はしっかりございます。チェックしてみてください。秋は神戸で萬年筆、です。

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 さて、本日のお題。黒い方は14Kペン先で、赤い方はそうではない、ということです。けれども赤い方のキャップには値札がついているので、こいつは未使用である可能性が高い、ということもあります。ワザのあるヘンタイさんなら2本ともくれ!と声を上げて、首尾良く手に入れたならば黒いヤツのペン先を赤いヤツに移植、なんてことを考えるのかも知れません。ただ、キャップの造りがこんな風に違いますので、それが可能かどうかは詳しい人のみぞ知る、でして、私のような素人には想像もつかない世界です。

2021年10月29日 (金)

競合

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 何ということもない、いつものように寝ている「ちち(仮名)」さん。ただ、写真の左端の方を見ると、後ろ脚がちょっとだけ、体からはみ出して見えています。そこがなんとも可愛らしい、と親馬鹿で撮った1枚なのです。

 正統派の萬年筆系Blogなのに、最近お馬さんが山のように出て来るので「顰蹙を買って」いるという某Blog。管理人さんは「馬だらけ」と批判を受けるたびに、「いやいやいや、犬ばっかり出てくる萬年筆系のBlogもある!」と主張しては非難をかわしているそうです。なんとも名誉なお話ですので、さっそく相互リンクさせていただいております。犬だろうが馬だろうが、動物と萬年筆の相性が悪いものではありません。

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 かつて某巨大オークションで入札して落とし損ねた1本。なかなかにしぶとい競合相手がいて、最後は競り負けてしまいました。モノとしては住友林業が50周年記念として作ったモノですが、ブライヤーの軸、銀のパーツと、これでペン先が金ペンだったら言うことないんだけどな、という1本です。

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 後日、神戸で開かれたWAGNERの会合に出ましたら、「猫さん」と呼ばれている方がこのペンを誇らしげに見せてくれたのでした。参った、とはこのこと。私たちはお互い見知った間柄でありながら、狭い画面の中で値をつり上げ合っていたのです。同じようなことは以前にもあって、畏れ多いことにかの「二右衛門半」氏と同じ品を競り合っていたこともありました。ヘンタイの世界は意外に狭いのかも知れません。

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 イタリア、ボルギニ社の製品。金属パーツのかなりの部分は銀製で、いい感じに黒くなっています。そして軸やキャップの主要部はブライヤー製。そうは言っても、表面だけ薄板を貼ってあるだけかもしれませんけれど、とにかくブライヤーは偉い、という雰囲気に応えるものです。

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 モノクロ写真で撮りたいような、いい雰囲気が出ています。ヨーロッパ標準規格のミニカートリッヂが2本、銅軸内に収められています。未だインクを通したことも、ペン先にインクをつけて試し書きをしたこともないので、どういう書き味なのかは不明です。そう、これは持っていて、人に見せ、そして自分で撫でさすりつつ見て楽しむ、というペンとなっているのです。

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 当時競り合って、最終的に「猫さん」の手中に収まったペンは、今も元気でいるでしょうか。私はその後、再びこのペンを見かけた際に入札して、今度は首尾良く手に入れることができたのです。ノベルティですから、あちこちのおうちの抽斗の中に眠っている仲間がたくさんいることと思いますが、この1本はこれから先も、我が家でさらに黒さを増していくことになるでしょう。

2021年10月28日 (木)

衣替え

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 お顔ないない・・・で眠る「ちち(仮名)」さん。犬の嗅覚は人間の数千倍などといわれます。この状態、自分の匂いでむせかえってしまわないのだろうか、と中二男子のような疑問が頭から離れない飼い主なのです。

 思い返せば20年ほど前、実家を引き払うのに伴って、もうすぐ解体されるというアパートの一室で飼っていた「クマ(実名)」さんを、現在の自宅に連れてきたときのこと。折からの雨に打たれながらも、なかなか犬小屋に入ろうとしない彼女。バスタオルで拭いてやって、そのタオルを小屋に敷いてやるとすんなりと中に入った、ということがありました。ワンコは自分の匂い、家族など親しい人の匂いで安心する、ということを実感した瞬間でした。

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 先々週あたりからの急な冷え込みで、さすがの私も長袖のシャツにジャケットを着て出勤しています。内ポケットはペンの住処。あ、これ家に持って帰ろう、とか、これ職場に置いておこう、なんてペンもここに挿して運搬するので、エラいことになっております。

 もう間もなく、この中のキャップレスLSさんが里帰り手術を受けることになります。黒くて細い文字を書類に記入するのはキャップレスの黒マット(多面体)さんのお仕事で、メモ書きや封筒の宛名書きなどに出てくるのがLSのお仕事だったのですが、これがいなくなると不便です。

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 以前は魚の名前がずらずら書かれた布ペンケースで持ち運んでいたこの3本。京都手書き道具市での萬年筆手ほどき講座にお供して以来、そのときに鞄に放り込まれたままになっていたので、こちら編吟革盤舎のケースに収めました。

 右からプラチナ3776、セイラープロフィットレアロ、WAGNER伍周年記念(PILOTシルヴァーン)の3本。3776は親方の手を煩わせて大掃除と調整をしてもらったもので、黒インクで細字。レアロは赤インクで太字。そして伍周年は太字、カートリッヂの青インクです。

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 このペンにはいつも申し訳ないと思っております。持ち主が偏屈なせいで銀軸だというのに磨き上げても貰えず、早う黒くなれ、などと呪いの言葉を浴びせ続けられているのに加え、挿されるカートリッヂは半分ほどしかインクが残っていない古いもの。水分が抜けているので、ネットリとしたものになっていて、サラサラと伸びの良いのが身上のPILOTインキとも思えない状態です。実験状態に置かれているのです。

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 で、オッサンには似合わない、今は亡きBPの小さなバッグに、iPad miniと共に収まって、毎日職場と家との間を往復することになります。神戸は六甲アイランドの鞄屋さん、ル・ボナーの奥様に、ことあるごとに「せんせい、いけません」と言われる私。とにかく鞄の類を持ち歩くのが嫌いで、可能な限りポケットに詰め込んで体ひとつで出歩く人なのです。ですから着る服はどれもこれも、もともとが安物なのにシルエットはさらに崩れ、さらにみすぼらしい外観となってしまうのですが、そういうのも半世紀続けるともう、個性の一部なのかも知れません。それほど鞄を持ち歩くのが嫌いなのに、革の鞄は大好き、というヘンタイなのです。持たれる鞄はいい迷惑だ、という声は無視して、さぁ、ほぼ三週間後に迫った神戸ペンショウでは、またル・ボナーの鞄を買ってしまいそうです。また、「せんせい、いけません」と言われちゃうのかなぁ。

2021年10月27日 (水)

似て非

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 灯りの落とされた部屋の片隅でぐっすり眠る「ちち(仮名)」さん。小さな子どもが入眠前にグズることを、私の地方では「寝ぞろを言う」などと言うのですが、今日は寝ぞろを言うことも無く、ケージに入るとほぼ同時に眠りに入った彼女。よほど眠たかったのでしょう。

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 長女がこのような「間違った」ものを買ってきました。TKGだ、などと偉そうに言っておりますが、私はこれを認めておりません。卵に醤油を垂らして溶き、そこに熱々の炊きたてご飯を投入して混ぜる。これこそが正調「卵ご飯」である、という主張を曲げるつもりはありません。

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 しかもこやつ、卵の黄身の部分がぷよぷよしていて、そこを押すと黄身が光る、などというギミックまでついております。黄身の上に醤油が垂らされているバージョンもあって人気だそうですが、いずれにしても「間違って」いることに変わりはありません。

 TKG至上主義の人の中にも諸派あるようで、まずはご飯に醤油だけをかけて混ぜてからそこに卵を割り落とすべし、なんていう一派もいるとのこと。まぁ、卵かけご飯は卵ご飯とは別の食べ物ですから、お好きにどうぞ,というほかないのですが。

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 シャーファー・ノンナンセンスのステンレス軸。日本で売られていた頃は、ステンレス スチール の名でカタログに載っていたようです。軸の素材から来るイメージほどには重くなく、手に取ると思ったより軽く感じます。

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 ま、こういう悪戯をする人がいた、ということで。わかりますでしょうか。事故ではありません。ワザと、です。聞くところによると、悪戯をした状態でお店で売られていたのだとか。真偽のほどはわかりませんが、見つけたら面白がって買う人が絶対にいます、ここに。

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 書き味はというと、筆でまんねん、そのものです。筆でまんねん、には金ペンからこしらえたものもありますけれど、ペン先の材質より何より激しく反っている、そのことが全てですね。それだけで面白く書くことができるのですから、金ペンでなくても良いのです。実際どんな筆記線を見せてくれるのか。長くなりましたので次回以降に送ります。

2021年10月26日 (火)

Qapla'

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 みんなおいしそうなもの食べてるのに、私には無いの???と食卓の方を見やる「ちち(仮名)」さん。今、食卓の前にいるのはお母さんとお姉さんなので、怖いから吠えたりはしません。これがお父さんとか大きなお兄さんとかであった場合、くれないのは良くないことだ、と吠えまくるのです。やはりワンコは、家族の中で誰が怖いのか、誰がやりやすいのかをよく知っております。

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 手術から2ヶ月目ということで、妻が受診。画像診断の結果を聞きに妻が入室した後、私にも入れと言われましたので一瞬ドキッとしましたけれど、幸いにも腫瘍の再発は認められず、綺麗に治ってます、ということで一安心。要するに、まれに見るほど綺麗に治っているのでぜひ見ておいてください、ということだったようです。けれども、次回の検診までの間、抗てんかん薬は引き続き服用するように指示されました。

 お薬の名前がイーケプラ、というのを聞いて、「今日は(薬を)飲むのに良い日だ、カプラッ!」なんて叫んでしまうあたりはトレッキーヘンタイ症候群です。「お薬はイーケプラ。カプラ、って何よ」と聞く妻に、「関西弁で言うと、『ほなっ!』って感じやな」などと答えてしまうに至っては、相当に重症と言わざるを得ません。

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 ちょっと軸間違えてませんか? という一本。萬年筆趣味でいろんな方とお付き合い願っておりますと、萬年筆の一部分だけが突出してる、というようなペンが手元に集まって来やすいのです。これも、ペン先そのものはこちらで告知されているものですけれど、軸はごく普通の市販品。いろいろな事情があって、このペン先がこの軸につけられて手元に来てくれた、その幸運を喜ぶことにしましょう。

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 バトラフ。それもただのバトラフでは無くて、特に「カーレスの剣」と呼ばれるもの。この左右に広がった先端部の形状にインスパイアされて世に出たのがバトラフシェイプという研ぎの形状なのだとか。すばらしいものらしいですが、残念ながら「変なモン」専門の我が家にあるくらいですので、刻印こそBS(バトラフシェイップ)ですけれど、ペンポイントの形状はそうではないのです。

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 いや、本来のBS研ぎであったとしても、私の筆記能力ではそれを活かした文字を書くことは難しいでしょうから、刻印を愛でることができるだけで十分以上に幸せです。このペンを握って、「今日は書くのに良い日だ!」なんて、ね。

 

 

 

 

2021年10月25日 (月)

書き心地

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 どこか気持ちが悪いようで、顔をしかめている「ちち(仮名)」さん。ワンコはかわいいものですけれど、時に、とんでもなく恐ろしい顔をすることがあります。犬は元々がオオカミで、その血筋を色濃く受け継いでいるのが柴犬ですから当然ですが、タオルや靴下などで引っ張りっこをするときなどは本当に「狩り」のときみたいに真剣になって、唸りながら怖い顔でカプッと来ます。

 しつけの行き届いたお利口さんなワンコですと、そんなときでも決してかまないように気をつけてくれるのでしょうが、我が家のは歳は食っていても中身は子ども、という飼い主そのままのワンコですので、やっぱり彼女と遊ぶと少なからず「痛い」のです。

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 apple pencilが一緒に収まるケースを見つけたので、シェーファー・タルガと並べて記念撮影。pencilを充電するにはiPadの右側面につける必要がありますが、それでは何かの拍子に外れてしまいます。

 以前、iPad Proを入れていたケースは、右側面にpencilホルダーがあって、常時充電状態でしたので、肝心なときにiPadの電池が無くなっている、なんてこともよくありました。こちらのケースではその心配は無いのですが、いざ使おうというときにpencilの電池がすっからかん、ということがよくあります。一長一短ですね。

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 純正状態のapple pencil。先端部から軸にかけてスムーズなラインが続いています。この状態でiPadの画面に文字を書こうとすると、滑って滑って、それでなくても下手くそな文字がさらに判読不能なものへと「進化」してしまいます。

 解決策として、ペーパーライクなフィルムを貼るというものがありますが、それをすると画面の鮮やかさがスポイルされます。ペーパーライクなフィルムを貼った状態の、ザラッとした書き心地は大好きなのですが、その点で踏み切れないのです。

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 ならば、ということでpencilの先端部を交換してみました。この製品の高摩擦タイプのチップです。ペーパーライクフィルムを貼った状態ほどではないですが、かなり書き心地が改善されます。要するに、ペン先がしっかりと「止まる」のです。

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 萬年筆で筆記することを好む人の中には、柔らかなペン先こそ至高、という人が少なくないように思います。確かにぐぅぃんぐぅぃんと撓るペン先は面白いですし、撓る際にペン先のスリットが開いてインクが大量に出ることで、筆記線に濃淡がうまれやすいことも魅力です。ただ、そうした筆記はきちんと筆記具をコントロールできてこそ、なので、私には絶対に無理です。

 シェーファーなど、このペン先を見る限りではどこにも柔らかさのかけらもありませんが、書いてみるといいタッチなので驚かされます。上に反っているペン先、これがその秘密なのでしょうけれども。

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 文字はその人となりをあらわすものである。そう言われるたびに、亀さんみたいに首をすくめ、見つからないようにして生きてきました。記憶にはありませんが、おそらく、小学校に入ってすぐの頃には先生も手を焼くほど文字の書けない子どもだったはずです。

 それがこの職業を選ぶと、年に一度は大量の「所見」というものを書く必要に迫られます。そう、若い頃には一人一人の通知票にも「所見」を書いていました。とにかく苦痛でした。ボールペンが嫌いになりました。

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 ですので、その「文字を書く」という苦行でしかない作業を少しでも気を紛らわしながら進めるために、萬年筆を使いました。悪いことに地元の百貨店に、毎年2月ごろに「仙台大橋堂」さんが実演販売に来ていたのです。大量に文字を書くのは3月ですので、そのときに書く紙を持参して、植原さんに相手をしてもらい、あぁでもないこぅでもないと言いながら、結局は結構お高いペンを毎年のように買っておりました。

 そういう苦行を通して、私には、そこそこ固め、そしてペン先が滑りすぎない、そういう萬年筆が向いているなぁ、とわかったのです。遊びで使うなら、しなやかに撓るペン先でいたずら書きも楽しいのですが、人に読んでもらうために書くのであれば、少し引っかかりのある、それでいて全体的にはなめらかなペン先、というのもが理想です。私の手元にある萬年筆たち、ありがたいことに皆、そんな状態になっています。

2021年10月24日 (日)

「遺」品整理・2

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 いつも日曜日はこんな写真。家族が家にいるので落ち着いている「ちち(仮名)」さん。ちゃっかりファンヒーターの温風があたる場所で眠っています。放っておくとクッションごとファンヒーターに近づいていくので、「こげるよ!」と注意しつつ引き離す。こたつが登場するまでしばらく続く光景です。

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 歴戦の強者、って感じのThinkPadX61改。自分ではできませんけれど、器用な人の手によってSXGA+、1400☓1050解像度の液晶に交換されています。メモリは8GB、512GBのSSDにCPUはT9300ですので、十分に使える性能ですけれど、使っていると左手に熱風が吹き付けます。USBポートがときどき挙動不審になったり、WiFi接続が不安定になったり、そんな状況でだましだまし使ってきましたけれど、ついに起動不良となりました。それでも、ハード的なものでは無く、よくあるWindowsが壊れた、というやつです。チラッと見えているSSDには危険なデータも大量に保管されていますので、データを待避させてから破壊処分することにします。

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 USBポートの挙動が不審、WiFi接続が不安定、そんな状況でだましだまし使ってきましたけれど、ついに起動不良となりました。それでも、ハード的なものでは無く、よくあるWindowsが壊れた、というやつです。チラッと見えているSSDには危険なデータも大量に保管されていますので、データを待避させてから破壊処分することにします。

 おそらく明日の朝までかかるでしょう。なので、昨日、以前の職場から引き揚げてきたものをご紹介するシリーズ、第2弾です。

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 こういうものが生徒の間で高値で取り引きされている、というたれ込みがあったので、捜査開始。というより、こんなものを扱うのはあの子に決まってる、とにらんで、いきなり直球勝負でお話。あっさりと認めましたので、高値で取り引きされている現物を没収しました。

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 卒業するときに返そうか、と言ったところ、先生にあげます、ということだったのでありがたくいただいたのを、異動のどさくさで段ボール箱に放り込んだまま、新しい職場に持って行くのを忘れていたのです。

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 フリスクのケースに組み込まれたメカニカルペンシルです。あちこち穴が空いているのは、これが試作品だから。試行錯誤を繰り返してうまく動作するようになった、記念すべき一本なのです。

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 こうやって握り、ノックします。肝心なところが見えにくいですが、フリスクのケースの蓋がズレている、それをきちんと合うようにノックすると、先端から芯が繰り出されるのです。これ、作ったのを褒めました。今後は無料で人にあげなさい、と。才能は伸ばしてあげないと、ですが学校で商売やるのはよくありません。必ず、エスカレートしてトラブル起こすヤツが出てきますから。

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2021年10月23日 (土)

「遺」品整理・1

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 休日の朝。ゴロゴロしている飼い主の傍らにやってきて寝そべる「ちち(仮名)」さん、何を思ったのか、飼い主の脚の上に顎を乗せました。ただ、さすがにその姿勢は無理があったのか、短時間で顎を落とし、再びぐぅぐぅと寝息を立てて寝始めました。

 そうなると、動かずじっとしていてやりたい、そんな気持ちになるのですが、本日の私はけっこうあれこれやらなければならないことがありますので、心を鬼にして立ち上がったのですが、彼女は知らん顔で眠り続けておりました。気にしただけ損した気分です。

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 一昨年まで7年間勤めていた職場へ行って、書類作成のお手伝いです。私が在籍していた当時に作成完了しているべき書類が一部未了だったということで、お手伝いに召喚されたのですが、現在の管理職は大変にきめ細やかな方ゆえ、いろいろと気遣ってくださり、それがかえって作業の進行を妨げますので、休日にやろうか、となりました。

 当時のデータが保存されているHDDから必要なデータを検索し、サルヴェージするのと並行して、書類の印字に必要な大判のインクジェットプリンタ(私物)を起動して、ノズルのクリーニング。私が異動するとき、使いたいのでしばらくの間このまま置いていって欲しい、と言われたものですが、結局はあまり使われていないようで、顔料タイプのインクを使う機種ということもあって、しつこくノズルクリーニングをしないと使い物にならないのです。それらの作業が完了するのを待つ間、異動時に持ち出さなかったものを整理しておりました。この「色彩雫」インク、色からして、採点用に使っていたものかと思います。箱を開けてみると、ほとんど使われないまま残っておりました。

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 棚の奥の方でホコリまみれになっていたペンスタンド。どのように使うつもりでこんなものを手に入れたのか、自分でもわかりません。机上の整理が苦手な私のデスクには、こういうものを置く隙間もありません。ましてや隣にインク瓶、インク壺なんかを置いたら、毎日のように大惨事が起こること必定です。それとも、ここには黒と赤のボールペンでも立てておくつもりだったのでしょうか。

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 ホコリの中に、PILOTの文字が見えます。実はこれ、写真を撮る前に掃除をしようかと思ったのですが、下手に拭き拭きすると、あちこち剥がれおちてしまいそうな状態でしたので、あえてそのまま。まずはそぉ~っと優しく水洗いするなどして、トントンとおさえるように拭き鳥をしてようすを見ようかと思っています。で、ようすを見て、そのあとどうするのか。自分にもまったくわかりません。

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 惜しかったのがこれ。この夏、容量1.3GBの光磁気ディスク(MO)を粉砕処分したのですが、そのときにこれがあれば、中身を確かめることができたはずです。GIGAMOも最初はSCSI接続で、その後ATAPI接続、そしてこれなどはUSBバスパワーです。順調に進化していったのに、メディアとしては終わってしまいました。私は最盛期には容量2.3GBのディスクなんかも使っていましたが、バックアップ用としてはあまりにも書き換え速度が遅いので、だんだんと使わなくなり・・・・・ということになりました。

 残念ながら萬年筆は出てきませんでしたが、それ以上にけったいなものがいろいろと出てきましたので、順次ご紹介していこうと思います。

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2021年10月22日 (金)

公開捜査

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 クッションに埋もれて眠る「ちち(仮名)」さん。こうやって寝ていられるのは幸せだろうなぁ、と思いつつ、いつも遊んで遊んでとねだるのは退屈だからだろうと思うと、それもまた難儀やなぁ、と犬の気持ちになって考えてみる飼い主なのでした。実際、退屈なのには本当に耐性の無い私ですから、わんこの生活、毎日好きなだけ寝て暮らせるからと言って、体験してみたいとも思いません。

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 結婚するまで暮らしていた実家の居間には安物の電池式振り子時計がかかっていて、少し立派に見える書棚が置いてありました。昭和30年代半ばの建売住宅ですから、今時のおうちとは比べものになりませんが、懐かしい我が家、です。振り子時計はいつしか壊れてしまったので、実家を売却して取り壊すことになったとき、書棚と母が使っていた鏡台だけを今の家に持ってきました。その書棚の引出から出てきた箱です。

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 中身はこれ。金一色のペン。まぁボールペンか何かでしょう、と思っていたら、萬年筆でした。考えてみると、私が子どもだった頃は記念品というと萬年筆、だったのです。中学生むけの雑誌の最初の付録なんかも萬年筆だったのですから、その頃は今の中華萬なみに安い萬年筆が市場にあふれていたのだろうと思います。

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 プロフィットとほぼ同じ長さ。けれども、たいへんに細い軸。おしゃれ、を狙ったのでしょう。一体これは何なのだろう、といじくり回していたら、胴軸の中からカートリッヂが出てきました。それは国産三社のどれでもないもの。もちろん、ダブルや極細のものでもありません。

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 落とし込み嵌合式のキャップは、お尻にもパッチンとはまります。けっこうちゃんとした萬年筆です。キャップをポストしなくても十分な長さですし、ポストすれば相当に寝かせて書く人にも対応できるでしょう。

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 鉄ペンですけれど、なんだか柔らかそうなことが書いてあります。どうなんでしょうか。何よりペン先の先端部、ちょっと変わった形です。わかる人なら、こういうのを見て、あぁこれはこれこれのメーカーのなになにという萬年筆、と言うことができるのでしょう。私は萬年筆に関して素人ですから、全くわかりません。

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 外箱にはイタリアと書いてありましたが、カートリッヂにはオーストリアと書いてあります。最初の文字が、PなのかLなのか、はたまたSなのか、よくわかりません。いろいろ他のものを嵌めてみましたところ、カートリッヂの口径は、PILOTのものとほぼ同じです。さて、一体これは何という萬年筆なのでしょう。わからないのもまた面白いですけれど・・・。

2021年10月21日 (木)

あと1月

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 思いっきりあくびをする「ちち(仮名)」さん。写真の隅に人の脚が写っていることからもわかるように、人のそばまで布団を引っ張ってきてきゅんきゅんいいながらベッドメイキングをした後、しっかりとお休みになるのです。で、時折目覚めてはこうやって大きなあくびをして、気が向いたら起き上がってお水を召し上がります。実に優雅な毎日ですが、このところの急な冷え込みでファンヒーターが出てきたので、さらに優雅で暖かな毎日をお過ごしになっているのです。

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 懐かしの「うを佐」の手提げに詰められて出番を待つエプロン。コインランドリーで洗濯して、長女にアイロンがけをしてもらったものです。どういうエプロンか、言うまでも無く、神戸ペンショウのスタッフエプロンです。

 この「うを佐」っていうのは、JR難波駅から近鉄日本橋駅まで続く地下街にあったお寿司屋さんで、大阪へ出かけて帰るとき、もう遅いから晩ご飯買って帰ろうか、なんて時によく利用したお店なのですが、いつの間にか消えてしまいました。同名のお店が大阪市内の別の場所にありますが、業態を変えたのか、そもそも全く別のお店なのかは不明ですが、お寿司を買って持ち帰ったこの袋、15年ほど前のものかと思いますが、よくぞ今まで残っていたものだと感心します。

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 あと1ヶ月です。11月20日(土)、21日(日)は神戸、北野工房のまちで、神戸ペンショウ2021開催です。前の週には浜松町で東京インターナショナルペンショウというイヴェントが開かれるようですが、同じペンショウと名乗っていても、両者の性格は全く違います。その違いを実際に神戸に来て確かめてください。きっとハマってしまって、毎年長袖を出して着るようになると神戸に行きたいと思うようになります。

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 では賑やかしに、緑色軸のセイラー萬年筆。手近に転がっていたので写真を撮って載せました。インクも入っていないし、ふだん使っていないペンですので、きっと書き味はたいしたことないのだろうと思います。でもその昔、こういう、ごく普通のセイラーの萬年筆にいろいろと仕掛けを施して、ぐぐぐっと書き味の良い萬年筆にすることを教えてもらいました。それまで、正直なところセイラーの萬年筆にはあまり食指が動かなかったのですけれど、それ以降はセイラーの萬年筆がどんどん増えることになったのでした。

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 いつもならこうやって撮った写真、少し修正して、ペンが水平になるようにしてから載せるのですけれど、今日はあえてそのまま。つまりこれは、このペンは平らなところに置いたとき、お尻の方が浮きますよ、ということを言いたいわけです。皆さんもこういった紡錘形の萬年筆をおもちでしたら、机の上に置いて観察してみてください。

 ペンの長さや形状にもよるのですが、個人的には、お尻の浮き方が少ない方がバランスが良いように思います。そのために、お尻の方を重たくするためにいろいろといじくり回したりしたのも良い思い出です。そして恐ろしいことに、今ではそういう工夫を施したペンが標準品として売り出されております。私なんぞは教えて貰ってやったクチですが、最初にやり始めた人にとっては、何してるねん、って気持ちでしょうね。

2021年10月20日 (水)

下暗し

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 笑っているかのような「ちち(仮名)」さん。実はハァハァと息が上がっているだけなのですが、写真は撮りようです。当然、長女の手になる1枚です。いつも言ってますように、写真は読んで字の如く、「まことをうつす」ものです。私のように邪心が人の形をしているような者には、けっして縦縞の写真は撮れません。撮れる写真はボーダーぎりぎり、ってことですね。

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 本日からこういう催しが開かれるらしい。やっぱり都会はいいなぁ、なんて思ってましたが、よく見ると地元の百貨店での開催でした。これは行かねばならぬ、と早めに仕事を切り上げて会場へ向かいましたが、そこは田舎の百貨店の悲しさ、あるいは催しの内容が必ずしも一般受けするものではないということからなのか、会場はフロアの一角に仮設された、一般の催しよりも一段格下の感じがするものでした。けれども、やはりこういうのが「来てるぞ」というのはわかってるからこその企画なのでしょう。けっこう充実した内容になっておりました。

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 エスカレータを降りると、正面に見える催し会場。パスポートすら持っておらず、たとえ日本が沈没しても海外には出ない、と決めている私にとって、台湾であろうが地球の裏側の国であろうが、伝聞とそれに基づく想像しかないわけで、ましてやその国の文具などという狭いジャンル、どんなものがあるのか想像もつきません。その想像の範囲でも、この会場の正面、なんとなくそれっぽい雰囲気であるようには思われます。

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 台湾にも実に様々な萬年筆やボールペンのブランドがあるのだなぁ、と思いながら見て回ると、平井木工や大西製作所、セイラーなど、なじみのある名前も見られます。「台湾と日本の」ですから当然ですね。あと、同じ建物の中にあるKAKUさんが、ラメインクのバイキング?みたいなことをされています。インク大好き、ラメ盛り盛りという方、行かねば、ですよ。

 本日はそういうわけで、台湾PENLUXの雨林(RainForest)と、今はなきカトウセイサクショカンパニーのカレイドスコープを並べてみました。カトウセイサクショカンパニーの「精神」と「製品」は大西製作所に引き継がれていると思いますので、こういうセレクションなのです。

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 デカイです。149よりほんのわずか長いのです。実に立派な萬年筆です。台湾の各メーカーにしても、大西製作所にしても、あえて金ペンにせずに鉄ペンで出しているというところがあるように思います。ウチのカレイドスコープも、いいドナーが見つかったら金ペンに替えてやろうと思ってはいるのですが、今はまだ金メッキのペン先のままです。より多くの人に、気軽に萬年筆を使って貰いたい。だから鉄ペンで安く世に出すというのがカトウセイサクショカンパニーの哲学でした。それを思えば、使いもしない萬年筆をたくさん集めて悦に入っている私は、加藤社長に叱られること必定ですね。

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 PENLUXの方は、器用な人に手を加えて貰っています。いわゆる「要らんことしてる」バージョンなのですが、やはりこの堂々としたボディには金ペンを与えてあげたいと思うのは自然なことでしょう。

 少し前に出ていて、今はもうカタログ落ちしてるようなTWSBIの萬年筆が欲しい人は、近鉄奈良線、京都線の大和西大寺駅を降りてすぐの近鉄百貨店に急ぎましょう。この催し、TWSBIのちょっと古いモデルばっかり集めたコーナーがありました。DRACOあたりに手を出しそうになりましたが、18Kコーティングとはいえ、さすがに鉄ペンでこのお値段、ポンとは行かんなぁ・・・と出しかけた手を引っ込めた、そんな私を、誰か褒めてやってください。

2021年10月19日 (火)

妖しい顔

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 完全なるおっさんの顔をして眠る「ちち(仮名)」さん。4年ほど前に撮られた写真です。我が家では一応、この娘は「長女のもの」ということになっております。その昔、自分の学力で合格可能性の高いA高校を受検したいという長女に、中学校教員である両親揃ってB高校を受検しなさい、とすすめたことがありました。特に私などは、教諭としての32年間過ごした内の22年が中学3年生担当という人間ですので、「それほどの経験を持つ教師でありながら、我が子にそんな無茶な受検をすすめるなんて!」と泣きながら抗議する長女、という修羅場。

 そこはそれ、ベテランだからこそ知る「ツボ」がありました。嫌な言葉ですが、いわゆる「ランク」は、B高校の方が上。けれど、A高校は成績中位、ボリュームゾーンの生徒が多数受検するので競争率が高く、合格者の点数分布もある範囲に集中する傾向ですが、B高校は合格者の点数分布も広くなる傾向にあるのです。そこを狙って、というわけで、長女はありがたいことに合格。そのお祝いが、「ちち(仮名)」さんというわけです。そして長女は、いわゆるおやじギャル。成人後は日本酒を好み、アテはエイひれを軽くあぶって、なんて奴なので、ワンコは飼い主に似るという原則から言っても、おっさん犬になるのは必然だったのです。

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 さてこちら、マ風器というもの。「ま」がどういう文字なのか、「魔」だったら面白いな、などと思いつつ手に入れました。お隣韓国には、KF94というマスクの規格があるそうで、我が国でもその規格に準拠したマスクが人気だそうです。肝心の我が国にはこれと言ったマスクの規格はないそうで、まぁ、普通に真面目に作られたものならどれでも大丈夫、ということなのかなぁ、と気楽に考えてしまいますが、これだけコロナ禍が長引きますと、やっぱりしっかりとした規格に準拠したものが安心、ということになるのでしょう。思い起こせば昨年の春はマスク不足で難儀をしましたし、そんな中で手に入れたかの大国産のマスクにはかなりえぇ加減な製品もありました。この製品は韓国製。マスクの内側に装着して呼吸を楽にしてくれる、というものです。

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 真ん中にある白いものが圧力調整バルブ。ベンツのマークと同じ位置三カ所に切れ込みが入ったものも附属していて、そちらは付け方を変えることで空気の流量を調節できるようになっています。しかし、このように「閉じた」状態が本来の機能を発揮させる使い方のようです。その名の通り「風」を吹かせることがでいるのです。

 マスクをつけると蒸れるのが気になって仕方がない私。人通りの少ない屋外を歩くときなどはマスクを外しています。一人でくるまに乗っていてもマスクをつけたまま、という人の方が多い、いやほぼ全員がそうだという我が国においては、マスク警察の摘発対象になること必定ですが、不愉快なものは不愉快ですから、必要のないときは誰がなんと言おうと外します。でも、一日中周りに人がいる、という環境ではそういうわけにもいきませんから、何とか快適に過ごせれば、と買ってみたわけです。

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 我が国が世界に誇るSHARP製マスクに取り付けてみたところ。中心部からみて右上に見ある銀色のものが固定用のピンをとめるアンカーです。マスクの表側からピンを刺し、それをマ風器のあちこちに開いている穴に通して、このアンカーで固定します。

 付け心地は悪くありません。マスクの下にさらにプラスチックのカップをつけているわけですので、人と話すときはしっかり発声しなければなりません。また、外したマスクを無造作にポケットに突っ込むこともできません。デメリットはそれくらいでしょうか。なかなか良いです。

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 問題はマスクの表側に出てくるピンの頭。かわいらしいラブピース(死語?)が描かれているのは余計かと思います。ペリカンの天冠と比較してそのはっきりとした大きさがおわかりいただけるかと思います。えぇおっさんがマスクに飾りをつけて歩いているようにしか見えないのが残念なところです。

 けれども、呼吸は楽ですし、何より蒸れません。これが一番です。ウレタンマスクや布マスクについては、ほとんど気休め程度の効果しかないことが明らかになっていますので、息苦しいとか蒸れるとか、そういうのが嫌な人には良いのでは、と思います。

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2021年10月18日 (月)

お土産・2

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 大きなあくびをして、パタンと寝てしまった「ちち(仮名)」さん。昨日の写真の続きです。飼い主もまた、どこでも寝られる人で、暇さえあれば寝ている感じです。新幹線に何度か乗るとポイントがたまってグリーン車に乗れる、というのがあって、喜び勇んでグリーン車に乗ってもやはり寝ております。

 一説によると、グリーン車に乗るような人は寝たりせず、移動時間であっても有効に使っている。いや、そういう人であるからこそグリーン車で移動できるようになるのだ、ということなんですが・・・。普通車が混雑していて、ABCのB席にも人が座るような状態になったら、迷わずグリーン車に乗ってしまう、仕事もできず、お金も貯まらない、実にどうしようもない人、それが私なのです。

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 今回、東京へのお土産として持っていったものがこちら。肝心なところはうまく光って見づらくなっています。石切名物、って書かれていますけれど、正確ではありません。仕入れたラムネをこのお店オリヂナルのパッケージに詰めて販売されているのです。このレインボーラムネ、年2回、ハガキによる抽選で購入権が得られる、という人気の駄菓子なのですけれど、最近はその抽選も停止されております。かつては全く売れず、もう廃業かというようなこともあったそうですが、頑張って今に至る会社です。その、あまり売れなかった時代から取り引きの続いているようなお店では、今でも販売されているわけです。いいときばかりで無く、しんどいときも付き合う、ということは大切なのですね。

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 クリスマスカラーとして緑の革を使ったペンケースを制作されたわけですけれど、この1本用は内側も革です。補色で映えるかな、とペリカンのルビーを入れてみましたけれど、こいつは光が通り抜けてこその綺麗な赤なので、ケースの奥に置かれるとただの暗い色になってしまいます。

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 ならば、それ自体派手なヤツを、というのでオオイタメイドの藍染めを。そこそこ映えますね。それに、このペンはクリップがないので、こういうケースに入れて持ち歩くというのもいい感じです。せっかくのケースですから、中から出てくるペンはそこそこ人目をひくようなものがよいと思います。まぁでも、そういうのは人に見せることを意識している場合であって、自分が大切だ、好きだ、と思っているペンが一番ですから、お手頃価格のペンを入れても全く問題はないのです。

 ここ、重要です。テストに出ますよ。萬年筆の価値はお値段ではないのです。使い込んでクリップがとれそうになっているLAMYサファリでも、そのオーナーにとってはかけがえのない1本なのかもしれませんから。ちなみに会場では、白いサファリが見本として入れられていました。

 

 

2021年10月17日 (日)

お土産・1

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 日曜日はねむにゃいワン、という「ちち(仮名)」さん。日曜日に限らず、365日いつでも眠たいのですけれど、本日は家にいる人が多いので落ち着き方が違います。飼い主がカメラを手に取るまでは死んだように眠っていたのですが、撮影しようとごそごそやっていたら顔を上げたのです。けれども、そこまでがやっとで、この後大きなあくびをして、前脚をペロペロと舐めて、パタンと頭を落としました。

 この前、散髪をしたのが8月の終わりでしたので、朝起きたときには爆発に遭ったいかりや長介みたいな頭になっています。そいつをなでつけるのが大変に手間なので散髪に行かねば、と思いつつ、私がお世話になっているお店は完全予約制。いつも月曜日に思い出して、明日は必ず電話しよう、などと思いつつⅠ週間忘れて過ごす、ということが続いておりましたが、ついに本日、さっぱりとした頭になりました。一般的には3週間もしくは1ヶ月に1度散髪する、っていうのが大人の常識らしいですから、とんでもなく横着なヤツなのですね、私は。

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 こちら、昨日某所にて手に入れてきたペンケース。編吟革盤舎(ペンギンカバンシャ)さん謹製、クリスマスカラーということで緑です。中に何も入れていない状態で撮ったものですが、この状態でもふっくらとしていい感じです。

 以前にもこちらのペンケースをひとつ手に入れて、そのままどこかへしまい込んだままになっております。そいつはグレーの革を使ったもので一目惚れだったのですが、さて、今頃どこでどうしているのでしょうか。もう少し汚部屋の整理が進めば、出てくることでしょう。購入時にはふだん使いのペンを入れて職場で活躍、というつもりだったのですが、職場にいるのもあと半年。間に合うのでしょうか。

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 とりあえず、手近にあったペンを3本入れてみました。あっちこっちに何本もペンがあると、こういうときにかえって時間がかかります。今回は透明軸の万年筆を3本、入れてみました。少しだけ国際色を加味したのですが、わかりますでしょうか。

 本当はこの3本挿しだけで満足、というところだったのです。何せ緑色ですから、購入後は親方に見つからないようにさささっと鞄に押し込んだのですが、その親方から、もうひとつ、アレも買いなさい、というご言葉が。それが1本用なのですが、それについてはまた後日。

2021年10月16日 (土)

花の都

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 長女が撮った「ちち(仮名)」さんのアップ。長女にはこの距離でも嫌がらずに撮らせるのですが、飼い主に対しては3m先からであっても拒絶するのです。結果、どうしても寝ている写真が多くなってしまいます。

 土曜日というのに、朝早く起き出して某所へ。奈良県生駒市のふるさと納税返礼品にもなっているお菓子が品薄で、店頭販売がほぼ全滅という悲しい状況を受けて、あそこならあるいは・・・と出かけていったのです。狙いは的中して、目的の品も手に入れたので、ならばこれをお世話になっているあの方にお届けしよう、と長距離の列車に乗りました。

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 白昼の死角。まぁこれくらい人が少ない方が良いのです。列車の座席を予約するのも、あえて発車間際に。そうすることで、少しでも近くに人がいないような席に座っていこうという魂胆です。

 そうは言いながら、お世話になっている方に品物をお渡しした後、メイドさんやセイラー服のお姉さんが路上に多数、という街へも行きました。かつては大阪日本橋にもそのような面白いお店がけっこうありましたが、今は多くが無くなってしまいましたので、怪しいもの、変なモンを手に入れたければ、やっぱり中央線が避けているのに中央通りのある、あの街に行くしかないのです。

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 さて、お世話になった人もいるはずの室内のようす。いつもなら受付にいるはずの人がいないのですが、それもまた一興。聞くところによると辺境の地を訪ねていてお留守なのだそうです。代わりに受付を担当されているのは、なんとこのイヴェントの主催者。ふだんとは違って、来場者と二言三言、言葉を交わすことがとっても楽しい、とご満悦の様子でした。

 さて、それより何より、受付の横に屹立する、本日の秘密兵器、これが大切です。ある意味、こいつに出会いたくてはるばるやってきた、という説もあるほどです。入場者の検温とアルコール噴霧による手指消毒をこれ一台でこなしてしまう、デキるやつ・・・のはすなのですが。

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 まずは上部、液晶の少し下、お手々の絵があるあたりにに手をかざして検温し、これならば入場してもよろしいという体温であったならば、その下、受け皿のあるところに手を差し出して消毒する、という流れです。落ち着いて考えてみれば、アルコール噴霧と検温を同時に、というのは無理があります。技術的に可能であったとしても、検温の正確性が下がることも考えられます。そう考えるとこれは、以外と理にかなった「正しい」マシンなのかと思います。さらにこの会場、換気性能が抜群なので、当節、人が寄るには適している場所と言えます。

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 もう絶対やらへん、と言ってましたけれど、頼まれると断れない親方。時間と体力を消耗するキャップレスヘロヘロ改造です。何か台になるものの上にサンドペーパーを置き、そこにキャップレスのペン体をこすりつけて厚みを減じるのです。ペン芯と合体したままですので、ペン先の裏側は弄りませんから、インクフローなどに問題が生じることもありません。まぁ自己責任の世界ですけれど、改造が完了したキャップレスを受け取って試筆している人は、例外なく驚き、そしてだらしなくニヤニヤしております。同好の士が集まるというのは、楽しいものですね。

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2021年10月15日 (金)

UnBox

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 ピラミッド型の箱に興味津々の「ちち(仮名)」さん。箱そのものに興味があるわけではなく、箱に残る香りが気になって仕方がない、野が本当のところでしょう。三色のリボンからも推察されるように、これはお菓子屋さんの箱。もちろん中身は我が家の女性陣の成長に使われましたので、「ちち(仮名)」さんには残り香を楽しむ機会だけが与えられました。

 9月30日からの3週間、土曜と日曜はきちんとありましたけれど、なかなかにハードな毎日でした。あと2週間、このパターンが続苦のかと思うと暗澹たる気持ちになりますので、ついつい、ピックアップできたりしないかなぁ、とリンゴのお店を覗いては「残念!」と言いながらもホッとする毎日を過ごしておりました。主に妻が使用している最初期世代のiPad Proを下取りに出すと2万円値引いてもらえると知ってからは、名古屋あたりまでならピックアップ、ナンボでも行きますよぉ、というような気持ちになっておりました。

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 クリスマス前になると新しいゲーム機が発売され、世のサンタクロース達は絶望的な思いを胸にプレゼントとなるべきものを求めてさまよい歩くことになるわけですが、そんなときは木曜日を狙う、というのが作戦のひとつでもあります。土曜日曜に備えて、お店にブツが入ってくるのは木曜日であることが多いから、というわけです。

 ウソか誠か、そこら辺は門外漢ですからわかりませんが、水曜日まで毎朝早起きしてチェックしてみてもすっからかんだったものが、木曜日のお昼過ぎにひょこっと在庫が見つかりました。前髪しかないという幸運の女神と、見事に出会い頭。しっかり前髪を掴むしかありません。

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 新しいiPad miniは、こんなサイズです。横幅はM800とほぼ同じ。そして縦は、比較のために出てきてくれた149と比べて、大体の感じがつかめるでしょう。

 これまで、お出かけの際はル・ボナーのペーパームーンショルダー に iPad Pro を入れてお供にしておりましたが、これが実に重い。大体、鞄というものを持ち歩かないのに鞄をいろいろ集めているというヘンタイな私ですが、同じル・ボナーでももう少し身軽なオブレの方がもっと好みなのです。とにかく小さい、軽いことが偉い、ということです。このサイズなら、オブレにもらくらく入ります。

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 iPad Proと並べて、環境移行中。工場出荷状態でWiFiを掴む設定すらしていない、そんな iPhone や iPad を、それまでつ買っていたものと並べて置いておくだけで、各種設定がしっかりと移行されます。のんびり一晩おいておけば、いろんなものを片っ端からインストールしてある私の端末であっても、一晩おいておけば新しい方の端末にインストールされた状態になります。どんどん人間、横着でアホになりますね。まぁ小さくて軽いのがいい、なんて言ってる人間に批判する資格はないのですけれど。

2021年10月14日 (木)

文具店

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 また撮ってるわぁ。嫌やって言うてるのに・・・という「ちち(仮名)」さん。飼い主が帰宅したので喜んで寄って来たところにカメラを向けられたので、やや憮然としつつ顔を背けております。よっぽど撮られるのが嫌なのでしょう。

 偶数月の1日には、Bun2というフリーペーパーが発刊されます。全国各地の文房具店で「ご自由にお持ち帰りください」と配布されるのですが、奈良県には配布店舗がひとつだけしかありません。かつては奈良市内にも「中條アートル」っていう、ここに勝てるような街の文具店はそうそうないだろう、っていう立派なお店がありました。セイラーの川口師によるペンクリニックも開かれるようなお店だったのですが、次第に床面積を縮小していき、ついには閉店となってしまいました。非常に残念というほかありません。

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 年に6回発行されるBun2。1500円払えば1年間、自宅に送ってもらえます。1冊当たり250円ですから、大阪や京都まで電車賃を使って出かけるよりよっぽど楽だし経済的なのですが、偶数月の1日が近づくと、「大きな文房具屋さんに行かなくちゃ」と松尾芭蕉さながらに、そぞろ神のものにつきてこころを狂はせ・・・となってしまうのです。

 この10月はとにかく忙しい日が続いていたのですが、本日ようやく「Bun2を貰いに」出かけることができました。この夏あたりまで、同誌を配布していたお店のいくつかが抜けてしまったので、今回は新しいところを開拓しました。コロナ禍にあっても夜9時まで開けてくれているので頼もしい限りです。萬年筆やインク沼関連の記事もチョコチョコ載っております。

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 そういうお店に少しでも貢献できれば、という思いがあります。ラッキー、Bun2置いてくれてる、と貰うのは良いのですけれど、そのお店がやっていけなくなると困ります。そもそも文房具屋さんというのは100円200円のお商売。数万円の筆記具がポンポン売れるなんてことはあまりないわけです。よし、お店に貢献するぞ、なんて言っても、買ったものはこの程度。例によってジョークグッズです。たくさん売れることが見込めない商品だからでしょうか、レジでお値段聞いて一瞬ひるみましたが、まぁそんなところでしょう。

 もう2日辛抱すれば土曜日なのに、なんで閉店間際のお店に駆け込むのか、ってことなんですが、まぁ、今回は別のものをピックアップ氏に行ったついでに、文房具屋さんに寄った、というのが正確なところです。品薄で1ヶ月以上先にならないと手に入らないのが普通なのに、何故か在庫があった、というのは、幸せなのか不幸なのか。まぁ、そうやって意識を失うことは萬年筆を前にしてもよくあることですね。

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2021年10月13日 (水)

ゆぅ、て・・・

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 寝ている「ちち(仮名)」さんを撮りました。ケージの中にそぉ~っとカメラを入れて撮ったのですが、老眼のオッサンが無理な姿勢でカメラを保持して撮ったので、フレーミングも何もあったもんではありません。手前にあった餌鉢がきっちり大きく写り込んでしまいました。まぁしかし、毛皮を被った消化管、の異名をとる彼女のことです。命の次に大事な餌鉢がしっかり写り込んでいた方が面白いかも、と採用した次第です。

 先日、ガス機器の点検に来てもらったところ、給湯器がそろそろ危ないかも、という診断が下されました。製品寿命とされる期間を過ぎていますし・・・と。さらに追い打ちをかけるように、「半導体不足」という殺し文句まで出てきました。いざ給湯器が壊れたときに補修部品や代わりの給湯器なんかがすぐには用意できない可能性が高い、と、これから冬に向かう時期に言われると、まぁ負けとくか、となります。

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 新しい給湯器のリモコン。「ゆ」って。ど真ん中に、ただ、「ゆ」って。この青い輪っかの範囲に収まるようにガスを使いましょう、ということのようです。オレンジのところに突入したら、それはエネルギー使いすぎですよ、ってことなんだそうです。

 それにしても、「ゆ」って。標準語、あるいはそれに近い感じなら、フラットに「ゆ」と発音しますね。でもここは関西。「ゆぅ」と伸ばしつつ、語尾を下げて発音します。妻と次男は無反応でしたが、私や長男、長女は大喜びで、「ゆぅ」ってなぁ・・・と話題にしておりました。給湯器のリモコンにひらがな一文字表示されてるだけで「せんど」遊べるんですから、気楽な兄ちゃん姉ちゃん、オッサンですね。「せんど」というのは、そうですねぇ、いっぱい、しきりに、たくさん、むちゃくちゃ、めっちゃ、みたいな感じでしょうか。

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 コーヒー、紅茶、日本茶にウーロン茶、ココアなど、お湯で作る飲み物には色がついていますけれど、お湯をそのまま飲むこともあります。「ゆ」にこじつけて、本日は透明な萬年筆、PILOTの組み立てペンです。組み立てやすいのはもちろんですが、組み立ててしまったあとも萬年筆の「中身」がよく見えるように、キャップのインナーキャップが省かれています。

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 ペン芯にペン先を載せて、首軸にググッと挿し込む。その後、首軸を胴軸と組み合わせたら、ペン先をお湯につけてくるくるかき回します。アニリングというのだそうで、ペン芯とペン先とを密着させる効果を狙って行うものだそうです。確かにこの二つがうまく寄り添ってくれないと、インクの供給が不安定になってしまいます。

 笑ってしまうのは、この萬年筆を探していたらセイラーやプラチナの透明な萬年筆も出てきたこと。我が家にはまだまだ、私自身が忘れてしまっている萬年筆がいっぱい潜んでいる可能性があります。最近サボってますが、しっかり汚部屋の掃除に励むべきなのかもしれません。

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2021年10月12日 (火)

叫び・・・ませんか?

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 何度トライしても、バッチリのお顔を撮らせてくれない「ちち(仮名)」さん。とにかく、写真を撮られるのが嫌いなのです。ワンコは飼い主に似るといいますけれど、本当ですね。飼い主も写真を撮られるのが大嫌いで、中学生の頃は遠足や行事などで集合写真を撮るときはいつも逃げておりました。はぁい、では撮りますよぉ、ここ(レンズ)診てくださいよぉ~というタイミングでスッと隠れたり離れたりするのです。それはもう名人芸の域に達しておりました。授業参観の時などにそういう写真が掲示されていて、保護者がそれを見て注文するのですが、私がどこにも写っていない、というので、そのたびに母親にシバかれておりました。今の保護者なら先生をシバくところですね。

 挙げ句の果て、高校の卒業アルバムには写真がない、という事態になりました。高校では、旧友も担任も、「飼い主、逃げるなよ!」ってのが決まり文句になっておりました。ここまで来るともう、名物とか風物詩とか、そういう領域でありました。

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 今の仕事、教諭として32年務めた中で22回は中学3年生所属で、管理職としては今年を含めて6年。何と、26冊もの卒業アルバムに顔写真を残してしまっているわけです。叫びたくなるほど、嫌なのですけれど、さすがにこればっかりは逃げることができません。今、職員室の先生方や教頭先生に、なぁお願いや、3月にワシがおらんようになっても、校長室に写真掲げるのだけはやめてやぁ、とお願いしているところです。

 さて、その辺に転がっていた青海波模様のペンケース。はて、これに何が入っているのだろう・・・。シバ犬が潜んでいますから、さぞ大切な萬年筆が入っているのかも、と思ったのですが、実際にはそうでもありませんでした。

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 何かの雑誌の付録だった中華萬です。ムンクの叫び。ただただ、そんな模様の軸を面白がって購入したものです。インクを通してもいませんし、これを大切にコレクションしておくつもりもありません。話のネタに、という程度の気持ちでした。

 そんな、萬年筆に対して失礼とも言える態度をとっているとバチがあたるよ、と誰かが言ったとか言わないとか。どうなのでしょう。

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 あたってますね。何をどうしたら、クリップがこんな風にひしゃげるのでしょうか。別に手荒な扱いをした覚えはないのですが。もしこれが大事な大事な萬年筆であったならば、思わず叫んでしまいますね。

 はい、これが言いたかっただけなんです。

2021年10月11日 (月)

無責任

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 ようやくポジションが決まってご満悦の「ちち(仮名)」さん。しばらくはこうやって満足そうにしていますが、やがて身繕いを始めたかと思うと、ふぅ~っと息を吐いてクタッと寝てしまいます。あれほどこだわっていたポジションも関係なく、あっちこっちと寝返りを打って、最終的にはクッションからほとんどはみ出して眠っている、という状態になります。お婆さんなので睡眠時間はグッと伸びておりまして、日中は時折起き出して水を飲みに行く以外はほとんど寝ているようです。

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 学校の先生と言えばこれ、というプラチナのソフトペン。あの独特のピンクがかったインクで〇、☓が打たれた答案用紙、知らないという人の方が少ないのではないでしょうか。小学校であれば、あのピンクのインクで花丸。花丸も、先生によって書き方が違っていて、右回りもあれば左回りもあり、花弁(?)の形もそれぞれに特徴があります。

 プラチナのソフトペンには、必ず専用のインクを使うように、という指示があります。けれども、特に中学校の先生の中には、ピンクに近い色を嫌って萬年筆用のカートリッヂを入れる人がけっこういました(私の周辺の場合ですが)。

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 ならばいっそ、コンヴァータを挿して好きなインクを吸わせれば、と思うのは自然な成り行きです。ご覧のようにきちんとはまり、その状態で胴軸もちゃんと最後までしまります。でも、やはりというべきか、予想通りの悲しい結果になりました。

 フェルトのペン先を介してインクを吸い込むことはできないのです。カートリッヂからインクが供給されるのですから、カートリッヂの方へ空気を送り込む動きもありそうなものですが、萬年筆のそれと比べて大変にゆっくりとした、穏やかなものなのではないでしょうか。

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 コンヴァータ単体でインクを吸い、それをセットして使う、ということは可能です。我が家にはセイラーやPILOTが出していたこのタイプのペンもありますけれど、それらで試してみたところで結果は同じだろうと思われます。それであるなら、からになったカートリッヂにシリンジでインクを注入しても同じことですね。

 最近の学校では、うかつに☓をつけると保護者から猛烈な抗議が来ます。漢字の点画で、止め、はねなどは、正直、もう、何でもあり名状態になっております。文部科学省は「正しい字形を学ばせる」ように通知しておりますけれど、文化庁は「一律に一つの字形を強制するな」という意味のことを言っております。なので、先生方には、正確な字形ではないけれど大体OK、というような漢字を書いたら赤ではない色でマルを、と言っております。まぁこれでもいいんだけれど、正確に書くんならこれとは違うんだよ、と子どもに知らせるためです。これからは、何色もの色違いのインクを入れたソフトペンを使い分ける先生も増えてくるのではないでしょうか。

2021年10月10日 (日)

がまん

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 暑くもなく、寒くもない。時折吹く心地よい風がカーテンを揺らす。まだ10月ですし暑い日も多いので、Indian Summerというわけでもないのですが、この場所で眠るのが大好きな「ちち(仮名)」さんです。実はこの場所、彼女がまだ赤ちゃんだったときにケージが置かれていた場所、寝床だった場所なのです。窓際で寒暖の差も激しく、あまり良い環境ではないので、リヴィングルームにあった電子ピアノを当時勤務していた学校に寄付して場所を空け、そこに移ったのですが、ケージの柵越しにゆらゆらする白いカーテンに噛みついて破ってしまった、小さい頃からやんちゃなワンコだったのです。

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 今日は日曜だというのに、朝から職場に出てお仕事をしておりました。封筒を60ほど用意して、明細書を印刷して封筒に貼り、記載されている金額を確かめて現金を入れていく、という単純な作業。もちろん明細は表計算ソフトで作成したもので、合計金額131万円、というのはバッチリ合っているのです。そして、両替手数料を取られながらも金種計算したとおりに引き出してきた現金も同じ額。それなのに、何回も確認をくりかえしてもやっぱり500円余る・・・・・。足りないよりはマシです。万が一、封筒の中身が明細に記された金額より少なければ、受け取った人が申告してくれるでしょう。日曜日の大半をこんな計算と地味な仕事に費やしてしまったので、残念で仕方ありません。

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 そうは言ってもこの作業、本当なら金曜日に終わらせておくこともできたのですが、校長室っていうのはけっこう人の出入りが激しいところですので、大きな額の現金を広げて作業するのには向いていません。何より、普通でも集中力に欠ける私のこと、作業中に誰かに声をかけられたら一巻の終わりですので、金曜日には準備作業まで終わらせておいて、あえて本日に作業を残しておきました。土曜日に作業することもできたのですが、色々あって潰れてしまいましたので、この週末は2日間ともお仕事に捧げてしまったのでした。実に無念残念です。

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 このアウロラ85周年レッド、実は一度、尾栓がポロリと折れてしまい、本国へ戻った経歴の持ち主です。例によって銀製品は黒くなるのにまかせるという主義ですので、どんどん黒くなってきました。これ以降のアウロラの銀軸は何かコーティングが施されているのか、放置しておいてもなかなか黒くなりません。あぁ、すっきり磨いてみたいなぁ、と思いつつ我慢する、それもまた銀軸の魅力ではな委でしょうか。

 金曜日に教育委員会事務局へ顔を出したのが運の尽きで、この週末、もう一つ仕上げなくてはならない仕事が追加されてしまっています。まずは駄文を書き散らしてから、いつでも倒れ込めるように風呂にも入って、睡魔に倒されるまでとりあえず取り組んでみよう、というお仕事。週末に仕事を振ってきて、月曜日にはよろしく、なんてことは絶対に他人に言わないようにしよう、と固く誓ったことでした。

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2021年10月 9日 (土)

見た目

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 少なからず苛立っている「ちち(仮名)」さん。お気に入りであるモフモフのクッションを出して貰ったのはよいのですが、ただモフモフなだけでは気に入らないようで、自分好みの寝床にしようと悪戦苦闘しているところです。しかし残念なことに本日は調子が今ひとつのようで、どれほど頑張ってホリホリしても気に入った状態にならず、思わずきゅ~ん、くぅ~んと鳴きながら頑張っているところです。

 そのようすを見た飼い主が笑いながら話しかけるので、少し怒った顔でこちらを見ております。いずれにしても、時間が経てばドカッと体を預けて寝てしまうのですけれども・・・。

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 さてこれはモンブランの何というモデルなのでしょう。私は知りません。学校に「先生」でない人に来ていただいて、お話をして貰ったり、あるいはその人の得意なことをご披露いただき、児童生徒もそれを体験させて貰う、などという取り組み、最近の学校では流行っていました。過去形なのは、コロナ禍によって「外の人」を学校に入れることがためらわれる状況になったため。特に私が校長になった昨年度以来、そのような取り組みはほとんどなくなってしまいました。

 で、それよりも前に、点字の研究と普及に尽力されているサークルの方においでいただいたことがあります。とても良い方でしたが、私がメモをとるのに使っていた萬年筆(M800)を見て、その方は「あらぁ、綺麗な緑色のモンブランね。」と褒めてくださったのでした。

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 いやいや、これはモンブランではありませんが、確かにこの緑縞、気に入ってます、と応えたのですが、「あなた、何も知らないのね。そういうペンはみんな、モンブラン、っていうのよ。まだお若いから知らないのでしょうけれど、私なんか結婚前からモンブラン使ってますよ。」と見せてくださったペンは3776でした。「ほぅら、これ、地味だけれど良いペンですよ。プラチナのモンブラン。」

 まぁ、それ以上議論しなかったのはもちろんです。私たちより上の世代の人は、ピックアップトラックを見ればダットサンと呼びますし、今ではもう死語に近い「ライトバン」を見ればトヨペットと呼ぶ、それが当たり前でした。今時の車種で言うなら、ハイラックスをダットサン、ADバンをトヨペットと呼んではばからない、そんな感じです。ですから、もう、それでいいのです。

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 で、本日ご紹介したペン、いずれも「モックアップ」なのです。かわいそうにモンブランの方は、キャップをポストした状態に固定されています。渾身の力を込めて引っ張ってもキャップが外れることはないでしょう。いや、それ以上に力が強ければ、壊してしまうだけのことです。

 ペリカンの方はもっと悲惨で、キャップを開けることができません。きっとペン先なんてついてないのでしょう。これと普通のM400とを並べてペンケースに収めていて、たまたままともな方のM400のキャップが固く締まっていたので、「あれ、デモンストレータ2本もあったかなぁ?」などとしばし悩んだりしましたが、もう一度しっかりと握って回してみると、まともな方はキャップが外れました。当然ですね。

2021年10月 8日 (金)

地味め

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 華金、って最近は言いませんけれど、それだけ世の中、しんどくなってきてるのでしょうか。金曜日の晩の開放感は相変わらずなのですけれど、パァッと飲みに行くのもはばかられる状況ですから、家に帰って写真の「ちち(仮名)」さんと同じような姿勢でクッタリ、というのがこのところの金曜日の常です。やっつけきれなかった仕事が残っているので、この週末は潰れてしまうことが確定。気の重い金曜日は嫌ですね。

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 写真の整理をしていて見つけた1枚。この土曜日曜と体が空いていたなら、さっさと電車に乗ってこれを食べに行っていたかもしれません。ご存じ、豊橋カレーうどんです。手打ち麺を使うとか、卵必須とかいろいろルールがあって、それさえ守ればお店ごとにユニークなものがあるようですが、個人的には豊橋駅前の「玉川」さんの、ある意味オーソドックスなものが好みです。この写真はそれに大エビ天を追加したものでカレーうどんとも言えないような支払いをすることになってしまいます。

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 エビ天を片付け、カレーうどんをやっつけると、とろろのかかったご飯が出てきます。これこそが豊橋カレーうどんの神髄でしょうか。糖質に満ちあふれたメニューですので、痩せたいと思っている方は食べない方が無難でしょう。私はもうすでにけっこうな体型ですから、今更何をどうこう言うこともない、と誘惑の海に飛び込んでしまえます。

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 こちらはその昔、名古屋の松坂屋でイヴェントが開かれていたときに手に入れた1本。カレーうどんに似合いそうなものとして引っ張り出してきましたが、先日の夜、大和西大寺のミラーボールの前で手に持っていたのもこれです。これだけ地味なものが夜でも写るのか、ということだったのですが、結果は見事に玉砕でしたね。

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 背景が白いと余計に地味に写るので、少し抑えめの木のテーブルに載せるとこんな感じ。地味に見えて、けっこういろいろな色が入っているのです。それなりに華やかな萬年筆だと思います。

 この週末、お近くの方は豊橋カレーうどん、いかがですか。

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2021年10月 7日 (木)

棚卸し

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 しっかりと何かを見つめる「ちち(仮名)」さん・・・ではなくて、カメラを向けられて顔を背けているところです。こうして見るとなんともしっかりしたワンコに見えますが、実際には甘えん坊で喰いしんぼうで、お散歩も気が進まなければ行きたがらない、かと思えば夜中に連れて行けと鳴き叫ぶなど、とんでもなく難儀なワンコなのです。しかし、それでも可愛らしいと思えてしまうのは親馬鹿なのでしょう。

 飼い主は今年を最後に退職ということで、市内の小中学校の校長先生たちの集まりでいろいろとお世話をする係にまつり上げられています。それぞれの校長先生が親分になっている「教科研究会」というものがあって、それぞれの活動に補助金が出るのですが、それを計算して、銀行からお金を下ろしてきて封筒に分けて入れ、それぞれの校長先生に手渡しをして領収書をもらう、なんていうのが今のところの大きなお仕事。そのために昨日まで計算ばっかりやっていて、その最中に「うちは計画が変更になった!」なんて連絡が来てまた計算やり直して、やっと金種計算までたどり着いたところです。明日は銀行でお金を引き出して封筒に詰めなければならないので、また眠る時間が削られます。

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 そういう、たいして面白くもないお仕事をするときの息抜きは、やっぱり萬年筆。もし私にペン先調整なんかをやる力があったら、ストレスのあるときにはペンポイントなくなるほど研磨してしまうかもしれません。ご先祖様はそういう私の特性をよく知っていて、ペン先を弄る力を持たせないようにしてくださっているのだと思います。

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 ヴィスコンティの12本入りレザーペンケースを前にして、12本全て同じテーマの萬年筆で埋めるとなれば、この組み合わせになります。

 これが噂の、いやもう伝説となったY.Y.Penフルラインナップです。左端から順に、1号、2号と呼んでいて、12号まで。セイラー萬年筆に製造を依頼したものです。

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 マットな軸でギャザード仕上げ。これが基本仕様でしたが、吸入式のレアロはギャザードとは両立しないということで、それまでよりも一層ペン先やクリップなどにこだわりを注ぎ込んだものになりました。といっても、企画したのは親方で、私たちはただ、口を開けて待っていただけですが・・・。諸事情により、セイラー萬年筆製のY.Y.Penは以上12本で打ち止めとなる可能性大です。

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 11月20日、21日に神戸、北野工房のまちで開催予定の神戸ペンショウ2021には、オリヂナルエボナイト製のこちらの萬年筆がお目見えします。Y.Y.Pen第1号が世界限定15本だったことを考えると、その倍ほどの本数が世に出ますけれど、実物を手に取って見られる人、マイペンケースに収めることができる人は限られます。自分の運を信じて神戸に行く、というのも一興ですね。

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 yurieさん謹製のペンケースとともに。このペンケースの生地は特製で、歴代Y.Y.Penが柄として織り込まれています。描いたものではありません。

 残念ながら私は、Y.Y.Penの書き心地を知りません。神戸ペンショウ限定萬年筆を手に入れることができたとしても、このペンケースの中でずっと過ごして貰うことになる可能性が高いと思います。などと言いつつ、すでにペリカン製コンヴァータを3本ほど確保していることは内緒です。長いこと棚の上で眠っていたペンケースに、一度もインクを通して貰っていない萬年筆。ある意味かわいそうな組み合わせですね。

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2021年10月 6日 (水)

棚上げ

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 これも昨日、お風呂に入れられた直後の「ちち(仮名)」さんのようす。呆然としている感じです。悲劇から1日経った本日、すでに十分乾いている体毛ですが、まだこの写真と同じように毛羽立ったような妙な感じのままです。昨日、無理矢理お風呂に入れた人たちを避けることもなく、いつものように人なつっこくそばに寄ってきてくれているのが何よりです。

 日常的にブラッシングを続けていればもっと綺麗なワンコでいられるのでしょうけれど、そもそもブラッシング自体を嫌います。もっと小さな内から慣れさせておけば良かったなぁ、と今になってつくづく思います。こういうのは飼い主の根本的な性格というか、特性というようなものです。今、こうしておくといいなぁと思いつつ何もせずに放置して、あとからひどく後悔し、自分自身のデキの悪さを責めて一人沈んでいく、ということを半世紀以上にわたって何度となく繰り返し続けているわけです。

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 リヴィングルームの隅に据えられた書棚の上に、おそらくは10年以上放置されていた箱。2008年の9月に拙Blogを始めてから購入して記事にした記憶もあります。その後、そこら辺にほったらかしにしてあって、邪魔ですし、何かに紛れて行方不明にならないようにと妻が書棚の上に上げてくれたのでしょう。以来、毎日のように目にしながら触ることもなく、10年ほど棚の上にあったことになります。

 この夏、妻が入院したので、「仕方なく」家事全般に手を出した私。特にお盆にはお坊さんが来て拝んでくれるので、イヤでも部屋を綺麗にしておかなければなりません。そのとき、一連のお掃除の流れの中で棚の上からおろしてきて、びっしりと周りを覆っていたホコリを取り除いたところ、重ねられて上の方になっていた箱は色褪せ、下の方になっていた箱は当時の色を残している、と判明した絵わけです。

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 上の方にあった色褪せている箱をひっくり返すと、もとの色が出てきます。下になっていてもとの色が残っていると思っていた箱も、側面は守られていなかったのできっちり色褪せています。この箱たちの上にもなんやかんやと載っていましたし、箱自体、接着が剥がれて崩壊し始めております。中身は大丈夫なのだろうかと心配になります。

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 箱を開けると、ちょっと上等そうな布袋が出てきます。右の方、ホコリがより多くついているのが上にのっていた方の箱の中身。そして布の袋だというのに、触ってみると紙袋のようなカシャカシャという音がします。ただの布ではなくていくつかの素材を重ねて重厚な感じを出しているものなのでしょう。その、おそらくは芯材として入っている紙か何かがカシャカシャした感覚の原因なのだと思われますが、幸いにも枯葉の如く砕け散ってしまうということはなく、袋としての形、機能を保っております。

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 ヴィスコンティブランドのレザーペンケース、12本入りと24本入りです。当時、某巨大オークションで入手したものです。今ではよほどの幸運に恵まれない限り、「得した!」なんて思うことのない某巨大オークションですが、当時はまだまだ「開拓者時代」でして、ペリカンのビッグトレドを1万円で落札、なんてことが普通にありました。このケースも、市価で買うのが馬鹿らしくなるようなお値段で手に入れた記憶があります。24本入りの方は、12本入りのものを背中合わせに二つくっつけたような感じになっています。

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 12本入りは単純明快なかたち。同じものを裏返しにして背中にくっつけると右の24本入りになります。このケースに何を入れようかな、と考えている内に棚の上に上げられて幾星霜。よくぞ無事でいてくれました。妻に感謝、感謝、です。まずは12本入りの方に、あのペン達を詰めてみようと思います。

2021年10月 5日 (火)

教師の日

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 洗いたての「ちち(仮名)」さん。お風呂が大嫌いな彼女をお風呂に入れるのは大変です。長男が魔王さながらにワッシと抱きかかえて風呂場に直行し、そのまま洗ってしまうのですが、体にお湯をかけられただけで、彼女は断末魔かというような悲鳴を上げるのです。

 一通り洗ってシャンプーを流し終えたら、風呂場のドアを開けてもらい、それこそ這々の体で脱衣場へと脱出するわけですが、そこには妻や次男が待ち構えていてバスタオルでガッシと捉え、これまた大嫌いなドライヤーをあてられてしまうのです。その後、リヴィングルームへと戻ると、誰に対してでもなくバウバウと抗議の雄叫びを上げます。よっしゃよっしゃ、かなわんかったんやなぁ、と善い人役のお父さんが登場して、おやつを与えてケージに入れると、跡は朝まで起きることなく、それこそ死んだように眠るのです。これはその最中に部屋の照明を点けて撮影したもの。何が起こったの!と寝ぼけ眼で頭を上げて、カメラから逃げることすらできずに呆然としているところです。

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 本日10月5日は世界教師デーです。例によって5日の夜に「自然死」してしまったので、日付変更線より東側の国基準で世界教師デーです、と記事を書いております。教師の萬年筆って何だろう、と考えている内に日付が変わってしまった、と好意的に解釈してください。

 で、私の38年の教師生活の中で、萬年筆を愛用している同僚や上司って、あんまりいなかったのです。以前にも書きましたが、キャップレスを机上に置いてあったら持って行かれ、ボールペン扱いされた揚げ句にゴミ箱の中、なんてこともあったぐらいで、意外に文房具に興味関心のない人とばかり同じ職場になっていたように思います。小声で言いますが、先生って勉強や研究をしない人がけっこう多いので、文房具なんかでも何のヒネリもないものを使っている人がほとんどです。

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 私が敬愛する足澤公彦さんがかつて書き連ねられていた「万年筆が好きである」というBlogの2005年11月26日からの記事に、中学校時代の恩師が机の上のペン立てにモンブラン22を無造作に突っ込んでらっしゃったこと、高校入試の願書は萬年筆で書くよう「強制」されていたことなどを書かれています。あぁ、えぇ話やなぁ、と心を震わせてしまうのは、やっぱり私がヘンタイだからでしょう。

 小学校の職員室で、先生方が握っている筆記具は何か、と観察してみると、圧倒的にこのソフトペンが多いのです。これは二右衛門マスター氏から譲り受けた大昔のソフトペンセット。これで300円ですよ、奥さん。

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 いやはや、スペ「ヤ」-インクですよ。この、プラチナ60、ってのも気になります。60、何だろう、と思ったのですが、今でも普通に#60と表記して売られてるのですね、同社のスペアーインク。

 今では教育現場になくてはならないソフトペン、プラチナの独占市場になっています。で、標準添付のカートリッヂは色が好みではない、などと言って萬年筆用の赤インクカートリッヂを使う人、中学校の教員に多いように思います。萬年筆用のを使う方が、筆記された赤い線が少し濃くなるのです。

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 と、いうことはですね、当然に導き出される結論、首軸の「槍」の部分は萬年筆もソフトペンも一緒だ、ということです。そのことに気づいてしまったヘンタイさんが次に考えることは・・・わかりますよね(ニヤリ)。

 コンヴァータを挿すことができるんじゃないか、ってことですね。で、それならば当然・・・・・。

2021年10月 4日 (月)

性能試験

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 いつの間にか飼い主の枕元に来て眠っている「ちち(仮名)」さん。ゴロンと横になったまま眠りに堕ちてしまった、いわゆる自然死状態の飼い主は、彼女の寝息、いや鼾でこちらの世界に帰ってくることが多いのです。

 本日はご近所である大和西大寺の光明真言土砂加持大法要の日。いや、熱心な信者さんはともかく、一般の人にとっては、西大寺の境内にミラーボールが設置されてライトアップされるのを見に行こう、という日です。

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 で、一部の方がされているようなことをまねてみました。暗いところで撮るので、カメラの性能試験をかねて、軸色が地味なものを選んだのですが、地味とかそういうこと以前に、ピントは合わない(当然です)わ、ブレているわで、残念な結果になりました。撮影者が手にしているのはどのメーカーの何というペンか、おそらくこれでは誰にも判別できないでしょう。

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 西大寺中興の祖と言われる叡尊の遺体を荼毘に付した後、その遺灰から生えてきたのが彼岸花であったといわれていますので、ミラーボールの下にはそれをかたどったオブジェが輝いています。これらが設置されているのは西大寺の東塔の跡で、本堂の正面になります。ブラタモリでそのポイント(転轍器)の多さで話題になった大和西大寺駅のすぐそばに、けっこう大きなお寺が今も続いているのです。

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 奈良で暮らしていると、こういうことは日常です。ひとつ ? だったのは、我が家でも用いている笹竜胆紋、これが西大寺でも使われていたことで、どういう由来なのかな、と気になって調べてみると、その叡尊という人、もともとは村上源氏の出だったそうです。地元に文化財がありすぎて、気にもしていなかった、ということがよくあるのはいけませんね。

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2021年10月 3日 (日)

どなた?

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 あまりにも気持ちよさそうに寝ているのでパシャリ。その音に反応して「アンタ、一体誰?」という感じの「ちち(仮名)」さんです。関西在住のオッサンオバハンにだけ通じるネタかも知れませんね。

 体の構造上仕方のないこととはいえ、こうやって前脚をピーンとしたままグゥスカ眠るというのは、痛くなったりしないのだろうかと心配になりますが、本人(犬)は平気な顔で気持ちよさそうにしているのですから、それでいいのでしょう。

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 本日も家の中を整理していたら出てきたシリーズ。この写真を見て、「あぁ、シェーファーね。」と思った人、残念でした。私自身、なんでぽつんと1本、シェーファーが、と思いました。写真が下手くそなのでわかりにくいのですが、ちゃんとお尻の方が角マルの四角断面になっていますし、黒いボディに金のキャップリング、どう見てもシェーファーです。

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 遠目に見ると、えっ、この軸でトライアンフニブなの?なんて思いますが、そうではなくて、むしろフーデッドニブというかたち。先端部の金色の部分は大部分が「フード」で、その先にちょこんと小さなペン先が顔を出しています。シェーファーやらパーカーやらを合わせたようなこのペン、こしらえた人はどれだけアメリカ好きやねん、という感じですが、そこまで考えてきたら、あぁあの国ですね、となります。

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 老眼なのでルーペを使って観察しても今ひとつよくわかりませんが、ペン先は銀色に見えますので、いいとこステンレスでしょう。切り割りはきちんと真ん中を通っていて、左右のペンポイントも均等。粗悪品とまではいえないものでしょうね。

 問題はこのペン、いつ、どこで、何を思って手に入れたのか、ということです。萬年筆趣味にハマりますと、熱病に冒された人が水を求めるかの如く、とにかく萬年筆の形をしたものなら何でもかんでも手に入れたい、というような時期がありますが、いや、そうではあってもこれは失礼ながら、人が欲しがるような萬年筆ではありません。ネタとして手に入れた、というのが妥当なところでしょう。

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 厚かましいことにソネットなどと名乗っております。こういうところも中華萬らしいですね。いずれにしても、手持ちのペンの中から不要なものを選び出して、どんどん処分していかないと、私がいなくなったあとで困り果てる人が出てくるでしょう。このようなネタのペンは、萬年筆関係のイヴェントなどがあるときに余興の景品として放出したいと思います。

 10月には東京で萬年筆関係のイヴェントがいくつか企画されていますね。TIPSなんてのは、安くない入場料を払ってお買い物をする、というなんとも修行僧みたいなイヴェントですが、その分、しっかりした業者さんやお店が多数出展されていて、それはそれで見応えがあるのでしょう。知りませんけど。私みたいに、欲しいものがあるわけでもなく、なんとなく遊びたい、という場合は、泉筆五宝展とか萬年筆交流会などのやや緩い目のイヴェントが好みです。もちろん、11月20日、21日の神戸ペンショウ、これも楽しいですよ。

2021年10月 2日 (土)

なおす

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 ごろんと横になって、録画しておいた番組を見ているうちに、意識を失っていることが増えてきました。めざめたあとで、無駄にしてしまった時間を残念に思いつつ、こうやってどんどんお墓に近づいていくのだなぁ、などと思います。今日もそうして惰眠をむさぼっていると、聞き慣れた音がして目が覚める、それが、「ちち(仮名)」さんの鼾というか、寝息というか、そんな音です。

 ゴロンと横になったときには、たしか別のところにいたはずなのに、気がつくとそばに来ている、そんなことがよくあります。寝返りを打とうとして背中の方で寝ていた彼女を押し潰しそうになったことも一度や二度ではありません。

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 寝転んでテレビを見る、実に良くない習慣です。今こうしてキーボードに向かっていても、左の肩甲骨のあたりが痛いと感じます。痛いなぁと思いつつキーを叩いていられるのは、改善した証拠。昨日などは、椅子の背もたれにその痛いところを押しつけるようにして、なんとか痛みを押さえ込みながらキーを叩いておりました。

 四十肩、という言葉を現実のものに感じて、それでも以前足首を捻挫して治療して貰ったときの記憶から「ポキポキ」されるのは地獄であると整体を避けつつ、それでも痛いものは痛い。で、痛くない整体、ということで「自然形体療法」なんてものを見つけて通ってみたこともあります。まぁそれなりに効果はあるなぁ、と感じ、なおかつ痛いとか怖いとかいうこともない。そういう印象を持っていたところで見つけたのが「朱鯨亭」という療法所でした。何度かお世話になりましたし、何より診療の記録を萬年筆で書き残している! というところもポイントが高かったのですけれど、人気があってなかなか予約が取れず、その流れを汲む療法所、というところで出会ったのが白樺整体院さんでした。

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 とにかく、ポキポキやらない。痛くない。まぁ目的や状況によっては痛いと感じる操法をとられることもあるのでしょうけれど、1時間ほどとにかく寝ているだけ。痛いと感じているところを直接なんとかして貰うことはむしろ少なくて、むしろ、そこ全然違いますやん、というところに触れて治していただくことがほとんどです。どこそこが詰まっていたので、とか、ここが歪んでいたので、とか、そういうお話を最後にしていただいて、世間話をしておしまいです。あんまり変わってないなぁ、と感じるのですが、家に帰ると大抵眠たくなって寝てしまい、起きるとけっこうすっきりと改善している、という感じです。

 写真のニッポニアはEFのペン先。とんでもなくガリガリだったのですが、少し触って貰って劇的に書き味が良くなりました。書いている本人が、ここが引っかかる、と感じているところ、そこを削ったりすると、たいていの場合、良い結果にはなりません。手前に引くときに引っかかるというので、ペンポイントの手前側の紙にあたるところを削ったりすると、大抵良くない結果に終わります。奥の方、ペン先と紙とがこれでサヨナラ、というところをいじったりするとするするになったり。そういうところが、ペン先調整の面白さ、奥深さなのでしょうけれど、目が悪くて先が不器用な私は、ハナから手を出す気がありません。人にはそれぞれ適性というものがあります。

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 このキャップレスみたいに小さなペン先、これをいじると書き味が大きく変化するなんて、ほんとうに魔法のようです。コロナ禍で人と出会う機会が減り、WAGNERの集まりなどもどんどん中止となって、手元にある具合の良くないペンを調整して貰う機会も少なくなりました。昔は手に入ったペンを片っ端から調整に持ち込んでいたものですが、最近はインクすら通さないまま死蔵してしまっているペンも増えています。

 写真に撮って改めてみてみると、毎日胸ポケットに挿して持ち歩いているだけなのに、クリップがこんなにも傷だらけになっているのか、と驚かされました。ペン先を調整して貰ったら、その瞬間が再興dえ、あろは書き味が悪くなっていくばかり、という話がありますが、それもまた頷ける話です。本日調整して貰った私の体も、また姿勢の悪い日常を経ていたんでいくのでしょう。

2021年10月 1日 (金)

棄却

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 いつものようにひっくり返されてもてあそばれている「ちち(仮名)」さん。もてあそんでいる長男は、毎朝一番に保育園に預けられて、そして最後に引き取られるという生活を月曜から土曜まで続けていた子どもでしたが、立派なおっさんになりました。保育園というのは感染症の巣みたいなところで、月曜の朝には元気でピンピンしていた子どもが、水曜から木曜あたりには鼻をすすりだします。金曜の朝には後ろめたく思いつつ預けて、神仏に祈りを捧げながら仕事をし、土曜の午後に迎えに行くときには神仏のご加護に感謝の言葉を述べながら・・・という生活。途中から土曜日が金曜日に変わったのは本当にありがたいことでした。

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 PILOTのスーパー500とその復刻版であるウルトラ。写真の出来が悪いので「どっちがどっちでしょう」とごまかしておきましょう。今日はさいたま地裁で、いったん延期となっていた判決が出ましたが、それもごまかしとかなだめすかしとか、そんな印象が拭えないものでした。

 公立校の教員が県の教育委員会に対し、未払い賃金242万円の支払いを求めて提訴したことに対して、請求を棄却する、という判決が出たのです。ただ、いわゆる給特法が教育現場の実情に適合していないのではないか、と裁判官が付言したことが話題となっています。

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 私の学校のある先生は、朝8時過ぎに出勤して活動的な服装に着替えるとすぐ教室へ。職員室でずっと座っていた場合、私が次にその先生の顔を見るのは午後3時半頃です。そこから勤務時間終了となる午後5時までの間に残った仕事を片付けて退勤。20分少々の超過勤務ですが、勤務時間が始まる少し前に出勤、というのは社会人にとっての「たしなみ」のようなものですので、あえて問題にはしません。ではこの先生、いつ休憩を取ったのでしょうか。労働基準法34条においては、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分の休憩時間を、それも労働時間の途中に与えなければならない、とされています。なおかつ、休憩時間の間は、労働から解放される必要があります。

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 今年はコロナ禍のため、夏休みが終わったあと少しの間、給食の提供が行われず、児童はお昼までの授業を終えると下校していました。午後からも授業を行うことになったとき、子どもたちは給食が食べられると大喜びでした。本校の給食は一食246円で、実においしいのです。先生方も給食代を払っていますので同じものを食べますが、コロナ禍ですので配膳も先生がすることになっており、やっと全員に給食を配り終えたら子どもたちの様子を観察しながら喫食となります。普通の人と違うのはここのところで、お昼ご飯を食べている間も仕事中なのです。お昼休みになると子どもと一緒に運動場で走り回って遊ばなければなりませんので、私の学校の先生達には実質的に休憩時間がないと言えます。

 この異常な事態、一体誰の責任なのか。それはもちろん、校長である私の責任。つまり、すべての先生が、毎日最低45分、何もせずにいられる時間を確保しなければならないのです。午後3時半に子どもたちが帰ったあとにその時間をとるとすれば、午後4時15分までの間、先生達は学校の外に出て喫茶店で休憩していても良いわけです。ただし、休憩時間が終わったら、勤務時間が終わる午後5時までの間に事務仕事や授業の準備を終えないといけません。うちの先生達が子どもたちに授業をしたり、いろいろな指導をしたり、一緒に遊んだりする、それ以外の仕事をするための時間は1日あたり45分しかない、ということになります。

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 萬年筆のキャップをとったらペン先が見えるはずなのに、実際はこんなものを見てしまったら、びっくりしませんか。キャップについているクリップは可動式で、そのための「逃げ」を確保するための溝がもうけられた白いものと、それに続くタコの脚みたいなもの。これらは本来、キャップの内側に固定されているべきもので、萬年筆の胴軸などと一緒に外に出てきてはいけないものです。

 修理に出せば良いのに、面白がってそのままにしていると思っている方も多いでしょう。実際には一度修理に出したのですけれど、誰でもその名を知っている高名なペンドクターから直々に「そのままお使いください」と返却されてしまいました。この白い樹脂の部分に接着剤を塗ってキャップに突っ込めば問題解決なのでしょうが、それは最後の手段。もしそれをやってしまったら、その先、二度と修復することができない可能性が高いのです。ならば、だましだまし、いたわりながら使ってやってください、ということなのだと理解しました。

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 今回のさいたま地裁の判決、もし請求が棄却されず、一部分でも支払いを命じるという判決が出ていたら、それこそ大騒ぎになります。1日あたりわずか45分という時間で、翌日6時間分の授業の準備をして、ご家庭からの連絡にお返事を書いたり、遠足代やら教材費やらの計算や請求のお手紙作成、業者への精算・支払いなどもすべて終わらせなければなりません。もし午後5時を過ぎても仕事が終わらなかったら、それは残業とは認められず、「教員が自主的に」つまり、やらなくてもいい、誰もやれとは命じていない仕事を教員が勝手にやっている、という前提で、日本中の公立学校は運営されているのです。そして、小さな声で言いますが、先生って、仕事の進め方が非効率的な人がけっこう多いのです。残業なんか認めたら、それだけで47都道府県中、少なくとも40くらいは財政破綻してしまうでしょう。だから裁判所も、残業代なんて認めるわけにはいかなかったのだと思います。

 そんなもん、学校だけじゃない。いや、民間企業はもっと大変なんだ。イヤなら教員やめればいい。それが世間の皆さんの大多数の声です。だから私は、教育実習に来る学生にも、「本気か? 大丈夫か?」と言ってます。この状況で教員を目指すなんて、頭がおかしいのです。先生達がみんな、アホくさい、やってられるかぃ、と言ってやめてしまったらいいと本気で思っています。そうなったらはじめて、政府も国民も、この問題が、自分たちがバカにしている先生たちのわがまま、ではないことに気がついてくれるでしょう。あと半年で私は教育の世界から消えてしまい、先生達、みんな大変だろうなぁ、と思うだけのただの老人になります。今回の請求棄却は残念ですが、裁判官が付言してくれたことは少しだけ評価できると思っています。

 あ、修理されず返却されたスーパー500のキャップについては、面白がりながら使い続けます。これは生き死にに関係ないですから。

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