染まる
クッションに鼻先を突っ込んで眠る「ちち(仮名)」さん。犬の嗅覚は人間の数千倍、なんて言われますが、この状態で寝ているワンコ自身には自分の匂いの染みついたクッションから、ものすごい匂いが鼻腔に流れ込んできているはずで、それで大丈夫なんだろうか、と要らぬ心配をしてしまいます。匂いの問題はまだしも、息苦しくないんだろうか、とも。私なんぞは、夏の日にマスクをしているだけでも発狂しそうになります。
先日、神戸ペンショウで使うスタッフ用のエプロンを洗濯するときに、他のものと一緒に洗ったらエラいことになるかも、と思いました。例えばこの白いワンコみたいなぬいぐるみをあの濃い緑色のエプロンと一緒に洗ったら・・・恐ろしいですね。
一方で、染まれ染まれ、何とか染まってくれと願いつつ3年かけて開発した、というOita Madeのジャパンブルー萬年筆です。すばらしい色だけれどもお値段が・・・と躊躇しておりましたが、縁あって中古品を手頃なお値段で手に入れることができました。アルミの軸やキャップを天然の藍で染めよう、という発想がそもそもヘンタイです。つるんとしたボディではもの足らないと考えたのか、槌目模様まで。ヘンタイの二乗ともいうべきものですね。
で、ものとしてはセイラー萬年筆なわけです。天冠の錨マークもそのままです。かなり昔、「セーラー万年筆を買う際の7つのポイント」というYouTube動画がありました。購入前に店頭でここをチェックすべし、という内容だったのですけれど、その動画ではクリップと錨マークとがズレていないかどうかチェックしなさい、と説かれておりました。天冠を自分に向け、クリップが時計の12時になるように持ったときに、錨マークの頂点にある「〇」も当然12時の位置にあるべきで、これが11時だったり13時だったりするものを買ったら大変ですよ、工場へ送って修理してもらわないといけませんよ、と注意喚起する内容でした。
ちなみに、その後セーラー萬年筆の製造にもかかわったことがあるという人に聞いてみたところ、天冠をねじ込んで固定する際の力加減の問題であって、そりゃ多少ズレてるものもあるでしょう・・・というお話でした。もの作りには公差ってものがありますからね。
土召し上げにしてあるのはヘンタイとは言いつつ、現物を見ると、これがつるんとした軸だったらインパクトはないなぁ、とも思います。実際に、普及価格で売られているボールペンなどにも、このような発色のものはいくらでもあります。
槌目まで施した,手のかかった表面だからこそ、クリップも廃したのでしょう。これなら、13時にも11時もなることがありません。
クリップがないので,持ち歩いて使用するにはシースやケースに入れる必要があります。ずっしりとした重みのある軸に細字のペン先。さてインクは何を入れましょうか。細字ゆえ、濃淡がどうのこうのということもないので、くっきりとした青い線、あるいは落ち着いた黒い線など、さて、何がいいかなぁ、などと考えるのも楽しいものです。器用な人に調整してもらって、じっくり使い込んでいこうと思います。
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