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2021年8月

2021年8月31日 (火)

世代交代

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 早々とお休みになった「ちち(仮名)」さん。お母さんの姿が見えない我が家、長雨の続いたお盆と、彼女にとってはけっこうなストレスのかかる時期を通り過ぎて、ようやく体調やメンタルが安定してきた感があります。明後日になれば、お母さんも帰ってきますので、さらに落ち着きを取り戻すのではないかと思います。

 基本的に寂しがり屋さんのワンコの中でも、柴犬は比較的我慢強い方だと言われておりますが、ここ2年ほど、日中のほとんどを一緒に過ごしていたお母さんの姿が見えないのは、相当なストレスであったようです。とにかく家族にやたらとくっついてくるのがその証拠です。

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 美しいPCを作ろう、というコンセプトで組み上げた1台。何よりも見た目を優先してしまったので、あらゆるところが扱いにくく、開けて中を見る気もしません。神戸で萬年筆関係のイヴェントが開かれていたときに、たまたま覗いたお店に現品処分品として展示されていたケースに一目惚れ。むさ苦しいオッサンですが、小さくて可愛らしいものが好きなのです。

 ABEEという、今は亡きブランドのPCケース。メタリック調の空色の外装、Mini-ITXのマザーボードとストレージがギリギリ収まるコンパクトなボディ。当然、電源を内蔵することはできず、ACアダプタアダプタ駆動のデスクトップPCという変なマシンです。

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 大きさ比較のために登場してもらっているのは、丸善のニューセンチュリーです。プロフィット系のシェイブ、スターリングシルヴァーのボディにブルーチタンコーティング、という重たいペンです。実物は後ろのPCがネットよりも美しい色ですけれど、同系色なのでそうは見えないのです。もちろん、写真を撮った人の腕が悪い、というのが一番大きな理由ではありますが・・・。

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 で、こいつの中身にはこんなパーツが組み込まれています。グラフィック機能を統合したCPUがオンボードというマザーボード。そのままでは絶望的にグラフィックが弱かったので、ロープロファイルで収まってファンレスでそこそこの描画性能があるもの、ということで選ばれたグラフィックカード。リヴィングルームに隣接する部屋に設置して家族が使うマシンとして作成したものです。何とも貧弱な構成ですが、組み上げた当時は割とキビキビ動いていた・・・ように感じられました。最近、久しぶりに電源を入れて使ってみたところ、文字通り時が止まったかのような感覚に襲われました。これはもう、イラチの私には実用できないレヴェルのものです。我慢できません。

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 ですので、退役してもらうことにいたしました。手持ちの電源とケース、なぜか未使用のSSDを活用し、メインPCがネットから取り外したデータ格納用のHDDなども組み込んで、いざというときには予備機として実用できる性能を持ったPCを組み上げます。あと必要なパーツはマザーボード、CPU、メモリ。これをM800が買える程度の予算で調達すべく、あっちこっち探しておりますが、安くともしばらくの間陳腐化しない、実用できるマシンを作ります。

 ちなみに写真のニューセンチュリー、Bニブ付きで、封筒の表書きなどに活躍してもらっていますので、こちらは今後も現役続行です。

2021年8月30日 (月)

らくだ

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 いつものことながら、寝ているところをひっくり返され、お腹をさわられている「ちち(仮名)」さん。お腹をなでなでされているのが気持ちよくて、半分目をつぶりそうになったところがウィンクしているかのように見えますが、単に年老いたワンコが気持ちよくなって目を閉じようとしているだけです(身も蓋もない)。

 全国の学校で、新型コロナウィルス感染症が猛威をふるっていて、その原因として疑われているものの筆頭が部活動です。マスクをしないで集まって大声を出す。都道府県境を越えて練習試合や公式戦に出かける。新型コロナウィルス感染症感染拡大防止のため「やってはいけない」とされていることをすべてやっているのが部活動の実態で、確認されている以上に、あちこちでクラスターが発生しているはずです。

 部活動で練習試合や公式戦に出かける際は、ある程度の人数が,ある程度離れたところへ同時に移動します。そうなると、公共交通機関を使うよりもバスを借り上げて移動する方が便利なので、以前は大型自動車の運転免許を所持している教員がレンタルしたバスで生徒を運ぶこともよくありました。部活動の引率なんてご免だ、という私ですら、バスが運転できるというので喜び勇んで協力していたものです。

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 生徒をたくさん乗せてバスを運転するのは、ものすごく緊張するものです。信号も、「黄色は、止まれ」という原則をしっかり守ります。このペンケースに入っているペン、青、黄、赤。私の中で信号セットと呼んでいる、まともなペンのセットです。

 大分県でしたか、高校の先生が部活動の引率でバスを運転中に事故を起こして以来、全国の学校で教員、すなわち素人がバスなどを運転して生徒を運ぶことが厳に禁じられていますが、いまだに保護者の「好意」で試合会場まで生徒を送る,というような例が山ほどある、というよりそれが当たり前という状況があります。危ないですねぇ。

 やはり、業者に依頼してバスを借り上げるのが最善です。私の地元には、「佐原自動車」という業者があります。経営者が子どもだった頃のあだ名が「らくだ」なので、その会社が運営している旅行業者が「らくだ旅行」というのです。なかなか良くできてますね。

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 ペリカンM640 サハラ。M640シリーズはこれしか持っていません。というか、他のモデルには食指が動きませんでした。神戸は元町にあるこだわりの萬年筆専門店がオープンして間もない頃、店頭にこの万年筆が置かれていて、そのあまりに滑らかなかき心地にノックアウトされて「1本ください」となってしまったものです。

 今にして思えば、あのとき店頭に置かれていたサハラ、猛烈にインクフローが良い個体というか、そのように調整された個体だったのです。ですからカチコチに堅いペン先がいかにもしなやかで柔らかいものであるかのように錯覚してしまったのです。実際には、ペン先の尖ったところから筆記線が出るのではなく、その裏、ペン芯の先あたりから筆記線が出てくるような、ちょっと違和感のある書き味でした。そこでペン先をいろいろと取り替えて、現在はM700トレドについていたものを取り付けてあります。

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 面年筆の面白いところはそういうところで、ものすごく書き味が良くなるように調整されているのに、少しの違和感を感じるだけでそのペンが気に入らなくなる、そういう微妙なところがあります。標準状態のペン先では、いかにフローが良くとも、まだおろしたてのチョークで黒板に字を書いているような、そんな感触でした。そして今は、私にとっては気持ちの良い書き味になっています。

 このところ変なペンばかりご紹介してきましたので、私だってちゃんとしたペンも(少しは)持ってるんですよ、というお話でした。

2021年8月29日 (日)

印度

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 エアコンの風が直撃する場所で眠る「ちち(仮名)」さん。朝は7時前にお散歩に行くのですが、その時点ですでに刺すような日射し。夕方のお散歩は17時頃だったのですが、連れて行ってくれていた妻が入院中であることと、何よりその時間ではまだ路面の温度が高いので肉球を火傷する恐れがある、ということで早くても18時過ぎにずれ込んでいます。

 誰でも知っている大企業の役員を務めている人が印度に駐在されているときのお話を聞いたときに、落語の「嘘つき村」っていうのも事実なのかも、と思ってしまったほどでした。気温50度、きちんとしたホテルでシャワーを浴びた女性が尿道炎になった、などなど、お酒の席での話ですから多少割り引く必要はあるでしょうけれど、この日本ごときで暑いといっていてはバチがあたりそうです。

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 明らかにバランスのおかしいこの萬年筆。件の役員氏がインド駐在中に職人さんに作ってもらったものです。そういう珍しいものが手に入るというので私も私もと何人もの人が希望して、それをまとめて現地でオーダーしてくださったものです。とにかく,小さいのです。極端に小さい萬年筆を見るとインクはどうするのかな、と気になりますが、当然(?)アイドロッパー式です。

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 並んでいるのはセイラーのコンヴァータ。この萬年筆はコンヴァータよりも短いのです。けれども、キャップを嵌めた状態で見えている胴軸部分の長さを考えると、おそらくセイラーのコンヴァータよりもインクがたくさん入りそうに見えます。

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 筆記時にはこうやってキャップをポストしますが、それでもPILOTのCON-70よりも短いのです。キャップをポストした上で、チビた鉛筆で書くときのように手の中に抱き込んで書くことになるかと思いきや、以外にも自然な感じに握れてしまいます。

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 まぁ冗談にしか見えませんが、年配の方ならご存じのように、昔は観光地のお土産なんかでこういったマイクロ萬年筆がけっこう存在していたのです。そしてそれらは、さすがの日本製と言うべきか、小さなゴムサックを内蔵しているものが多かったようです。少なくとも私の手元にあるものを見ると、そのすべてがゴムサックつき、あるいはかつてついていたというものです。

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 我が国におけるコンパクトな萬年筆代表との比較。首軸から突き出ている黒い棒状のものがなければ、このサイズのペン芯ではインクを支えることができずにボタボタとペン先から落ちることでしょう。こいつを伝って少しずつペン芯の方へインクを送り込まなければとても書けたものではないと思われます。かつてインクを通してみたときには、意外にも(失礼)ちゃんと書けました。インドの職人、恐るべしです。

2021年8月28日 (土)

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 眠る「ちち(仮名)」さん。撮影者である長女によるネーミングは、「新幹線」です。

 人間とは実に不思議なもので、0系新幹線を見て流麗でカッコいいと思っていたのに、今見るとノスタルジーのみで,カッコいいという感情ではありません。100系や200系は厳つく感じられ、300系は鉄仮面で、ようやく500系で流麗、かつカッコいいと思えたのに、居住性や座席数の関係で冷遇されて、「コダック」と言われた700系の天下に。空気抵抗大きそうですが、耳を無視すればそう見えなくもありません。

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 変な顔なので,本日は変な萬年筆。いや、変といったら叱られます。萬年筆そのものは至ってまともなのですが、これを手に入れて使っていた誰かが変にしてしまったのです。写真を見て正体がわかる人はちょこっとヘンタイかも知れません。でも、あまりにも特徴的なので、これはあいつしかないでしょう、と判別するぐらいのこと、萬年筆趣味の人にとっては初級レヴェルなのかもしれません。

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 ここまで露出したら、わからない人は萬年筆に興味のない人、あるいはこのメーカーの萬年筆に出会ったことのない人ですね。私もこういうデスクペン、広々とした机の上に置いて使ってみたい、とずっと思っていたのですが、念願の広い机が与えられたら,今度は整理整頓が下手なことが災いして、机は広大な物置と化してしまいました。残り半年、なんとか片付けてこのペンを置いてみたいものですが、そうなると今度はペン立てを探さねばなりません。

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 ペン先が乾いてしまうことは萬年筆にとって致命的ですから、誰かが手持ちの中からこのキャップを与えたのでしょう。それがいつしか神戸の鞄屋さんの手に渡り、それを見た変なモン好きな私が強奪した、というわけです。

 WELL と刻印がありますが、ヴィンテージものには全く明るくないので、そういうメーカーを知りません。キャップだけ、このかわいそうなデスクペンに与えられたということは、相方の萬年筆本体は失われたか,壊れていたのか。メーカーや時期が違っても、以外に組み合わせ可能なパーツは多いものです。

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 その昔、国産三社の胴軸、首軸、キャップを組み合わせたショートタイプ萬年筆をお持ちの方に見せていただきました。キャップと胴軸なら径と長さが合えば大丈夫でしょうが、首軸と胴軸とが別メーカーでも合うというのは衝撃でした。その日から、私はその方を尊敬し、その方と同じレヴェルのすごい人がいるのかどうか、いればそれを認定する、という役割を自任することになりました。それが二右衛門半認定委員長という肩書きの由来です。現在までに認定されている「半」は3名。三重県と広島県に分布しています。皆さんの近くに、「半」はいませんか。

2021年8月27日 (金)

だいだい

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 獣やなぁ、と感じてしまう「ちち(仮名)」さんのお姿、その2です。男の子はヤンチャ、女の子はおしとやか、なんていう、古くから受け継がれてきた考え方からすると、「ホンマに女の子か,アンタ」と言いたくなるような「おてんば」な彼女。ワンコだって、雌は産み育てる性ではありますけれど、やはり「生存」ということを第一に据えるなら,ジェンダー思考みたいなものにとらわれているわけにはいきません。

 飼い主は昭和な人なので、男の子は泣かない、とか、そういうことを言われて育ちました。しかし今、勤めている自治体では、教員の6割が女性です。小学校となるとさらにその比率は高く、なおかつ、一般に女性の先生の方が真面目でしっかりしていて、いろんな実力も高い傾向にあります。でも、男性の先生にはまた違った面で優れたところがあって、それらがうまく組み合わさっているのが私の職場。教員生活の最後に、優秀な人がほとんど、という職場に勤めることができて、本当に幸せです。言うならば、ON時代の巨人の監督しているみたいです。

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 大部分がオレンジ色に変わってきたゴーヤの実。しっかりとオレンジ色になったものは、食べると甘いのだそうですが、それ、人間の味覚で甘いと感じられるのか、それとも鳥たちにとってなのか。苦いものですらゴーヤを食べない私には、確かめてみる勇気もありません。

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 で、これはある程度鳥に食べられたか、あるいは種が地面に落ちたあとの姿。種も真っ赤な衣装をまとって、おいしいよ、とアピールしています。で、それを鳥が食べて飛び立ち、どこかで体重を軽くする、そのことでゴーヤは新天地に居を構える可能性を得るわけです。

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 見落としてしまいそうですけれど、鳥ではない来訪者も。ただとまっているだけなのか、あるいは汁を吸っているのか。毎年のようにゴーヤを使ったみどりのカーテンが作られてきているのに、こんなにしっかりと観察したことはほとんどありませんでした。そして、そういうものを身近に感じられるのも、小学校の良いところです。

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 だいだい色というよりは朱色というべきかも知れません。本日の萬年筆は仙台大橋堂の1本。私のように文字を書くのが大嫌いな人間が教員をしているのは罪悪なのかも知れません。しかも、大人のそれとは思えない稚拙な文字を書くので、職務を完遂する意欲を自らの手で押し潰すということになります。かつては何でもかんでも手書きで、特に年度末、担任する生徒一人一人について指導要録に所見を書くという業務は、いろんな意味で苦痛以外の何者でもありませんでした。

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 ちょうどそういう作業が行われる頃、毎年1月から2月に、地元の百貨店で「東北物産展」なんてものが開催されていたのです。そこに大橋堂さんも参加されていて、まだお元気であった植原さんが実演販売をされていました。指導要録の用紙を持ってそこへ行き、この紙に気持ちよく書ける萬年筆を、と植原さんに何本か出してもらい、これだ、となったら次に軸を選ぶのです。書き心地が良ければ軸なんて何でもよい、と思って売り場に赴くのですが、帰りはいつも分不相応な立派な軸を持って帰る,こういうことを毎年繰り返していたのです。

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 その頃手元にあった萬年筆は、残念ながら1本も残っていません。30代後半で赴任した職場では、100円そこらの透明軸のボールペンに誰もが自分の印鑑を捺した紙片を入れて使っていました。きっちりした人たちやなぁ、と思っていたのですが実際はその逆で、とにかく目に付いた筆記具を拝借して元に戻さない、それが当たり前の職場だったのです。

 当然、誰もが筆記具を人の目に触れないところにしまっておくようになる訳ですが、手近な抽斗を開けて持っていくので対策にはなりません。この職場で,萬年筆を数本失いました。今では手に入れることが不可能なものもありましたから,大変に残念なことです。大橋堂の萬年筆を手に取るたびに、その職場のことを懐かしく、いえ、苦々しく思い出してしまうのです。

みどり

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 可愛い可愛いといいつつも、やっぱり「ちち(仮名)」さんは獣なのだなぁ、と感じる1枚。この直前まで、飼い主の横にピタッとくっついて寝息を立てていたのですが、おっ、もう寝る時間だ、と体内時計に教えられてケージへと入ったところです。それだけなら単に賢いワンコ、なのですが、彼女の場合、ここからワンワンとうるさく吠えるところが難儀です。

 彼女がおばあちゃんと呼ばれるようになる前、夜が更けてもなかなかケージに入ろうとしないので、ケージに入ったらおやつをあげます、という作戦をとったのが失敗のもと。以来彼女は、その「賢さ」を遺憾なく発揮して、ケージに入って寝てやるからおやつ寄こせ、となったのです。最近は体力の衰えとともに、ケージに入ってしっかりと寝たい、ということで、寝たいからおやつ寄こせ、となっているわけです。

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 ツルレイシ(ゴーヤ)の花。中心部がオレンジ色ですから雄花でしょうか。そうであればこの花の枯れたあとに実はなりません。夏休みも終わろうかというこの時期ですが、まだまだ花は咲きます。ただ、受粉させてくれる虫の都合もありますから、実がなるかどうかは?です。

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 ニガウリという別名が素直に頭に入るこのヴィジュアル。人間はこの苦い状態の実を食べますけれど、当のゴーヤはそんなことを想定していたわけではなくて、このあと熟して甘くなる時期に実の色もオレンジ色になり、実を食べる鶏から見たらおいしそうな感じになるわけです。

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 知らない人はゴーヤがオレンジ色になると「腐った!」などといいます。まぁ完全に間違いではないですけれど、そろそろ食べ頃ですよ、ということを鳥たちにアピールすべく、よく目立つオレンジ色になるわけです。緑色のゴーヤを有り難がるのは人間だけです。ゴーヤにすれば、繁殖可能な種が準備できたところで鳥に食べてもらわないといけませんから、その前に食べられないよう、苦くしているわけですが、人間はそれを喜ぶという皮肉な結果です。

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 ということで、まともな人間もヘンタイさんも喜ぶ緑のペン、ペリカンのM400です。吸入式ですから、インクの色を替えるときなど綺麗に洗おうと水につけておくと、この美しい縞模様のボディがぶよぶよになってしまうことがあるそうです。実際この個体の胴軸も、人間でいうところの肌荒れみたいになっています。

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 こんなんで餌もらえるんかいな、という10本アニメの出来損ないみたいなひな鳥。昔のペンは良い、絶対的に良い、なんて人もいるようですけれど、このあたりは古さと新しさのバランスがとれているんじゃないでしょうか。最新のペリカンはすばらしいけれど,でもちょっと前のものはもっとすばらしい。それではさらに前のものは・・・と遡っていくと、もうこんなのは実用品としてどうなのよ、ということになります。なので、あまりにも古いペンには手を出さないようにしているのです。

 

 

 

2021年8月25日 (水)

えんぴつ・外伝

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 颯爽とお散歩に出発した「ちち(仮名)」さん、15分後のご様子です。我が家の門から玄関まで、階段を5段ばかり上る必要があるのですが、登頂成功を目前に精も根も尽き果ててしまった、というお姿です。お婆さんですから、これも仕方のないことでしょう。

 笑ってはいけないと思いつつ笑ってしまうのは、散歩の途中にこのように腰砕けになったとき、前脚だけで前進しようとするところです。まるで後ろ脚に支障が出て動かなくなったかのように、ズルズルと引きずりながら数歩進んだら、今までのことが幻であったかのように後ろ脚でしっかり腰を持ち上げて元の姿に戻るのです。これも遠からず、後ろ脚が立たないようになってしまうのだろうなぁ、と我が身のことと重ねて寂しく思ってしまう飼い主です。

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 カトウ製作所のペンシルフォルダー。小脳の匂いを嗅ぎながら萬年筆の尻軸のようなパーツに短くなったえんぴつを収め、綺麗に削り上げた芯を保護するためにキャップをかぶせます。フォルダーとキャップとはネジ式嵌合。国産のショートタイプ萬年筆のようなプロポーションですが、キャップをとればえんぴつがこんにちは、というわけです。

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 転がってしまうので、2本を寄り添わせて転がる前にあわてて撮影、というのがこの写真。よくよく見ると、クリップや天冠部分など、別物とわかります。こんな色のセルロイドがあったのでいろんなものを作った、という感じなのでしょう。

 遠い昔には、この萬年筆にもインクを入れて使っていたのだろうと思います。それは私がまだ「はしか」にかかっていた頃。とにかく萬年筆の形をしていれば何でもパクッといっていたという時代。おそらく、その時代に手に入れたものと思います。一応これでも金ペンなのです。

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 実に汚い。アップに耐えられませんね。インクを軽く洗い流して拭き取りもせずほったらかしてあったのでしょう。それでも金ペンだったおかげでひどいことにならず今に至っているわけです。やはり萬年筆というもの、マメな人のものです。少なくとも、普通のことを普通にできる人のものです。私のように息をするのも面倒臭い、なんて言い出しかねない人間に保護されてしまった萬年筆は、なんとも不幸です。

 今、どういうわけかわからないけれど、なぜか手元の萬年筆が増える一方だ、という方、ご注意くださいね。

2021年8月24日 (火)

えんぴつ

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 なかなかにりりしいお姿で「いざ、行かむ!」とお散歩に臨む「ちち(仮名)」さん。お盆前から続く長雨の期間には調子が良くなくて、わずかな雨の止み間を狙ってお散歩に行っても為すべきことをせず、家に帰って部屋の中でやらかす、という感じだったのですが、夏休みが明けて飼い主がしっかりとお仕事に行くようになってから、俄然お散歩の際の様子が良くなりました。

 調子が悪いときには、胴輪を付けてもカビゴンさながらに「重くなる」の技を使って家から出ようとしなかったのですが、最近は声をかけると玄関までトコトコ歩いてきます。そしてドアを開けて外に出るとこのお姿、となるわけです。

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 いつどこで、いかなる理由で手に入れたものか忘れてしまったえんぴつ。特徴としては,とにかく大きいこと。そして大きいにもかかわらず、いろんな意味できちんとえんぴつとしての機能を持っているところが立派です。

 拙Blogを書くときに飼い主が座っている椅子に置いてみました。身長170センチ、座高は昭和生まれにつき非公開の飼い主が座って、背もたれに体を預けたときに頭も支えてくれる、というほどの大きさの椅子です。ほとんどの椅子は、座ったときに肩の辺りまでしか背もたれがないものですが、これはあちこち探して背もたれの高い、それでいてお値段お安いもの、ということで買った椅子なのです。

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 一番手前はカトウ製作所の萬年筆。その奥は同じくカトウ製作所のペンシルフォルダー。単にセルロイドの色がえんぴつと似ているというだけの理由で引っ張り出されてきました。巨大なえんぴつゆえ、短くなっても、このペンシルフォルダーの助けをかりることはできません。

 このえんぴつを手に入れたときには、拙Blogでも取り上げたはずなのですが、もう過去記事を検索するのも面倒です。2008年の9月16日から書き始めて、2020年の1月半ばまで毎日更新を続けていたのですが、どうもその当たりでどこかのネジが緩んだらしく、1年半ほどほったらかしにしておりました。最近、部屋の整理をしていたら出るわ出るわ、ホコリとともに大量の萬年筆、ということで、少しずつでも紹介していこうか、という気になったというだけの話なのです。

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 黒鉛の芯で文字を書く、これはえんぴつの本来の機能。お尻に消しゴムがついていれば、書き損じた文字などを消すという機能も加わり、さらに六角形の軸を持つものであれば、授業中に野球ゲームをするときに欠かせない道具ともなります。ここらへんの目が出ているうちは良いのですけれど、ヘタに良い目が出て「うぉ~」なんて雄叫びを上げてしまうと、ゴルゴ13並の正確さで覇者されたチョークに眉間を打ち抜かれてしまう、ということにもなりかねません。

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 職業柄、子どもがこんなものを持っていたら「ぼっしゅぅうぅ」と主審さながらに宣言してしまうわけですけれど、心の中は平穏ではありません。まぁ自分の授業がえんぴつに負けたわけですから、さらに芸、もとい授業の腕を磨かなければ、などと思っていたことでした。

 高校生の頃、ロッキード事件で一躍その名を馳せた「鬼頭判事補」そっくりの容貌を持つ国語の先生から、授業中に内職するんじゃない、やらねばならないものなら机の上に出して堂々とやりなさい、と教えられたことが忘れられません。こういうのを薫陶というのでしょう。

 次回は、本日の脇役を主役に据えてお送りします。

2021年8月23日 (月)

聖地へ・2

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 自然死してしまった飼い主と、その傍らで笑う「ちち(仮名)」さん。飼い主はだらしない人なので、気がつくとこうやって自然死しておりますが、その近くにそっと寄ってきてお尻を押しつけて眠る、それが彼女のお気に入りであることは確かです。例によって、こういう写真は長女が撮影したもの。だいたい、飼い主がカメラを向けるとササッと横を向くくせに、長女にはそういうそぶりを見せないのです。

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 これ、鉄道事業者としてはある意味、度胸のいることだったでしょう。京浜急行が自分のところの駅名を片っ端からふざけた名前に変えていたことがありましたが、これなんかは変えた名前がそれもなくはないなぁ、というモノですから、かえってややこしいわけです。しっかりと製作会社の名前も入っているので、天竜浜名湖鉄道さんもうまくコラボレーションしたということなのでしょう。駅名票の塗り替えだけでも相当な支出になりますから、単独でやろうとすればなかなかしんどかったはずです。

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 文化財である駅舎にも、この通り。実物を間近で見ると、木の香りがする美しい一枚板、そこに墨痕鮮やかに「第3村」です。関数でないところがまた、アニメの世界、現実では無い世界という感じを出しているように感じられます。

 新所原から1時間以上かけてここまでやってきて、降りてしまうと次の列車まで1時間。しかしうまい具合に、ここからららぽーと磐田を経由して東海道線の磐田駅まで走るバスがあるのです。天竜浜名湖鉄道や遠州鉄道経由で東海道線に出るより便利でお安いのですから、地方鉄道がどんどん赤字になって廃線へと至るのも当然のことなのかも知れません。

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 で、第3っていうと、手元にあるものではシェーファーのPFM Ⅲ、そしてLAMYのダイアログ3ぐらいでしょうか。この2本には他の萬年筆とはあまり被らない共通点があります。そんなの簡単やん、と答えられたあなたは立派なヘンタイさん。もっと他の有意義なことにお金を使いましょう。ちなみにPFMって何の略かと書いたら、女性の権利を向上させるために頑張ってる人たちから攻撃されそうですので伏せます。

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 では答え合わせ。この2本の共通点は、回したら出てくる、でした。しょうもないオチですみません。以上、いかにも自分が行ってきたかのように2回にわたってお送りしましたが、ワンコと萬年筆を除き、写真は知人から提供を受けたもの。大雨で飯田線も中央西線も不通ですし、もうこの夏、残っている青春18きっぷは金券ショップに売りに出すかヤフオクで処分するか、しかないのかもしれません。まぁ自分は感染はしないだろう、と思っていてもそんな保証はどこにもないし、何より、休みの日に列車に乗ると部活がらみの中高生が大量に乗り込んでいて大声でしゃべっている、それが怖いのでお出かけができないのです。

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2021年8月22日 (日)

聖地へ・1

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 お誕生日を迎えた「ちち(仮名)」さん。一応それらしく、ワンコ様専用のバースデーケーキをご用意したのですが、美しい形も何も、彼女にとってはお味だけがすべてなので、ご飯をもらった直後というのに一部を除いてペロリといってしまいました。にんじんやブロッコリなども入っているのですが、彼女は見事、にんじんだけを食べ残しました。写真では3個ばかりにんじんが見えますが、そのうちの一つだけ、どうもお味がお気に召さなかったようです。

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 いつもですと長男と次男の朝ご飯をこしらえて、雨が降っていれば次男を駅まで送って、という生活なのですが、本日は次男がお休み、長男も遅めに出勤するという千載一遇のチャンス。こんなときこそ、青春18きっぷの旅に出たいところです。

 とにかくすいている交通機関、人が集まりにくい場所、そういうところを狙います。本来は山口県方面へ向かう予定でしたが、先日来の大雨で路線が寸断されているところがあるので、本日は東海道線を東へたどってみました。

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 戦時中に沿岸部を走る東海道線が攻撃を受けた場合の迂回路、ということで建設された路線は、その後第三セクターによる運営となっています。その成り立ちからして、とにかく山の中を走ります。新所原駅を出てすぐに感じるのは、沿線の木々が天然のトンネルになっていて、それが延々と続くこと。途中、あぁこの駅、かつては交換設備があったのだなぁ、とか、いろいろと見所がありますし、国鉄時代から残っている駅舎や設備などは文化財に登録されているものなどもあって、本来ならば朝から1日かけて、途中下車しながら乗り通すべき路線です。しかし、いったん降りてしまうと次の列車が来るまで1時間は覚悟しないといけません。本気で取り組むならば、まず1日目は沿線のどこかに宿泊して、朝早くからじっくりと乗り始めるのが良いでしょう。朝の時間帯は列車の本数も多いので、途中下車するのにも好都合です。

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 本日、お世話になったのはKATANA号。この路線には、いろんなラッピング車両が走っております。もともと需要がそんなにないところに線路を作ったのですから、そりゃ赤字路線になるのも当然。国鉄末期には、採算のとれない赤字路線が山のようにあって、廃止されたり第三セクターに引き継がれたりしましたが、そうした第三セクターでなんとか続いているところは、それこそ血のにじむような営業努力をしてなんとか続けているわけです。そんなにたくさんの人が来るわけでもないので、応援のためにも乗ってあげたい路線です。

 この鉄道会社にとっては、自分たちの本社もある駅が映画に出てきてびっくり、だったそうですが、そこはしっかりと乗っかっていって、いろいろな仕掛けをしています。この駅も、本来はこんな駅名ではないのですけれど、来月ぐらいまではこの駅名でいくそうです。本日は雨のため、肝心なところを見て回ることができなかったのですが、それでも十分、雰囲気は味わえました。長くなったので、詳細は明日に送ります。

2021年8月21日 (土)

デカくはない・2

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 昨日と同じく、ひっくり返されても嫌がるどころか、むしろ喜んでいるかのような「ちち(仮名)」さん。クッションにうまく収まって寝ているところへ家族が来て、「よぉいしょ」などと言いつつひっくり返すのですが、嫌がるそぶりは見せません。今は亡き「くま(仮名)」さんの場合は、日頃から自主的にへそ天で寝ておりましたが、「ちち(仮名)」さんの場合、自分からへそ天になることは全くありません。おばあちゃんだから家族のすることに寛容なのか、ひっくり返って寝てみると案外気持ちが良かったのでそのままなのか、本人(犬)のみぞ知る、というところです。

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 Easy Clicにインクカートリッヂを装着するの図、です。手前、紫の個体は、最大限に開いた状態です。まずはこのようにしておいてカートリッヂを装着します。こうした子ども向け萬年筆は多くの場合、胴軸側にカートリッヂを入れ、そのまま首軸と結合することで槍の部分がカートリッヂに突き刺さるようになっています。これも基本的に同じなのですが、斜めにパカッと開いてしまう関係で、カートリッヂの先端部分、槍にささるところをきちんと位置決めするようになっています。奥側、青い方の個体には実際にカートリッヂをセットしてありますが、紫の個体と見比べてみればよくわかるかと思います。金属製の部品に、カートリッヂの先端部分をしっかりとはめ込むようになっています。

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 あと、安価な子供用の萬年筆とはいえ、しっかりとBICのロゴが入っています。ペン先はもちろんのこと、首軸にも。このボールボーイが抱えているボールペンは、やはりオレンジ軸でキャップがインクの色になっている、例のアレでなければいけないと思うのですが、残念ながら廃盤ということになってしまいました。

 お別れ企画として、こんな商品を作ってしまったところもあります。個人的には,オレンジの軸には青いキャップ、と思っていまして、市場に在庫があるうちに買っておこうか、なんて思ったりもするのですが、最大に問題は,自分はボールペンなんてめったにつ買わない人であるということ。ましてや青インクのボールペンとなると、まず使う機会はないでしょう。買っても書けなくなるまで死蔵されてしまうだけでしょうから、むしろかわいそうですね。

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2021年8月20日 (金)

デカくはない・1

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 ひっくり返されたのに怒るわけでもなく、撫でられてうっとりしている「ちち(仮名)」さん。長男や長女は頻繁にこんなことをやっているようで、本人(犬)にとっては「またかぁ・・・」ぐらいの感じなのでしょう。とにかく撫でてもらえたりおやつをもらえたりすると満足なので、時にはそのままへそ天で眠ってしまうこともあるようです。

 本日、妻が脳腫瘍の種実をしてもらった病院からリハビリ専門の病院へと転院をしまして、その移動の途中、自宅によってひとしきりワンコを撫でておりました。実は入院して以来、毎朝長女が「ちち(仮名)」さんの写真を撮っては妻に送るということを続けております。

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 汚部屋の片付けをしていて出てきたものシリーズ。BICの筆記具セットですが、かの有名なオレンジのボールペンは含まれていません。同社を代表する製品ではないかと思うのですが、今般廃盤になったことからも、あれはあくまで実用品、普及品であって、我々が思っているほどには(少なくとも現在の)同社にとって大事なものではなかったのかもしれません。そういえば、同社の使い切りのライターも、国産品の台頭と、喫煙人口の減少に従って影が薄くなりましたね。

 同じ名前の家電量販店がありますが、そちらの社名はBIG由来なのだそうです。対してこの会社は創業者Marcel Bichの名前に由来するものであろうと想像されます。

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 拙Blogを萬年筆のBlogだと思ってくださっている方もありますが、正しくは「萬年筆など変なモンが出てくる柴犬のBlog」なのであります。いずれにしても、ヘンタイのBlogであることに変わりはありませんね。けれど、なぜか萬年筆が出てくる頻度が高いのです。本日はBicの文具セットの話題ですので、同社の萬年筆に登場してもらいました。

 Easy Clicという名の萬年筆です。写真のような色のほかに、赤や緑もあったようですが、私が手に入れることができたのはこの2色だけでした。もう少し早く存在と販売されていることとに気づいていたならば、全色コンプリートしていたことでしょう。他の欧州製萬年筆と同様に、指がかかるところがくぼんでいますから、おそらくは子供用なのでしょう。サイズもそれなりに小さくて、PILOTキャップレスのノックボタンを取り除いたぐらいの長さです。

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 青い方、一部が開いて臓物が見えておりますが、この状態にしてから、ペン芯の側へグッと折り曲げるようにして開いてインクカートリッヂを装填します。適合するのは例によってヨーロッパ標準のショートタイプです。

 LAMYのサファリにしても、先日ご紹介したポーランド製のEasy Writerにしても、やはり子ども向けとしているだけに、カートリッヂの装填が簡単にできるということを重視した設計です。大人にとっては、カートリッヂを槍に刺さるようにグッと押し込むことはそんなに難しくはないのですが、子どもたちにとってはトラブルのもとになる難しい作業でしょう。なので,よく見えるところで普通にはめ込んで、軸を筆記できる状態にすればカートリッヂが装填される、いってみればこれも、ユニヴァーサルデザインですね。次回はこの装填方法をもう少し詳しく診ていただきます。

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2021年8月19日 (木)

歴代の・・・

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 器用にクッションを丸めて寝心地の良い枕を作った「ちち(仮名)」さん。それは良いのですけれど、思っているような造形にならないときはキュンキュンと鳴きながら作業を続けるところが笑わせてくれます。ご本人(犬)は必死なので、それを笑っては失礼だと思いつつ、つい顔が緩んでしまいます。

 飼い主も相変わらず汚部屋の片付けを続けていますが、なんとなく体がだるいように感じられて今ひとつはかどりません。よくよく考えてみればもうすぐ主治医の診察があるため、それに備えてお食事をググッと控えめにしているのも影響しているのかもしれません。うまく回っていれば蛋白質や脂質中心、糖質ほとんどゼロの食生活で元気はつらつ、となるはずなのですが、お盆休みの期間に結構好きなものを食べていたのが響いて、ただ今「ケトフルー」な状態なのでしょう。

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 本日は萬年筆の発掘はなく、代わりにこんなものが出てきました。歴代Windowsのなかでも比較的影の薄いバージョン8。でもこれはわざわざ買ったものでした。目的としては、Windows10へのアップグレードをするため、ただそれだけ。それでも、思っていたより最近のことなのですね。この可愛らしいパッケージ、別にそういう趣味でもないのですけれど、このパッケージが災いしたのでしょう、売れ残って投げ売りされていたのです。

 たしかこれに,ジャンクなメモリーがくっついていたと思います。その後、Windows10についてはインストールするだけなら何の縛りもなくフリー(に思える)ような状態になりました。私もかなりの台数のPCを飼育してきましたので、今やライセンスには困りません。新しいOSをインストールするためにわざわざ使いもしない古いOSを買った、なんて、いい昔話になりそうです。

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 ホコリまみれで出てきたのがこちら。これは懐かしいです。その当時、日本で「コンピュータ」といったらNECのPC-9800シリーズでした。へそ曲がりの私はEPSONの互換機を中心に使ってましたが、80386が載っているマシンにサイリックスの486並のCPUを載せるなんていう、今で言う魔改造もやりました。思えばそのとき、CPUにはたくさん足があるので、ヒートガンを使って半田を溶かして・・・なんてやっておりました。今、萬年筆の修理をされる師匠がヒートガンを使ってらっしゃるのを見て、その昔を思い出します。

 で、Windows95から98へのアップグレード、これが実に大騒ぎで、日本中で「できない!」ってお父さんが大量発生したのです。自体を重く見たマイクロソフトさんは、全国紙に2面見開きだったか、1面まるごとだったか、とにかくでっかい広告を載せたのです。「がんばって」とか「おちついて」とか、そういうメッセージだけで、具体的なアップデート方法が書かれているわけでもありませんでしたが、それで励まされたという人も少なくなかったようです。なにせ、フロッピーディスクを何枚もとっかえひっかえしながらやっていくのと、マシンの処理能力が低くて反応も鈍いので、ハングアップしているのか処理中なのかもよくわからない、という難儀な作業だったことを覚えています。

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 何でこれがうちにあるのか、正直よくわからないのですが、こんなのも出てきたのです。Windowsについては、2,11の頃から触っていましたけれど、この3.1なんて、マインスイーパーやってたなぁ,ぐらいしか記憶にありません。そもそも、これをインストールすべきマシンが私の手元にはなかったはずですから、なんでこれがうちにあるのかわからないのです。

 当時よく目にしたのが、「修復不可能なアプリケーションエラー」でした。Unrecoverable Application Errorで略してUAE、アラブ首長国連邦が出た、なんて言ってる人もいましたが、とにかく、今のPCがネットでブルースクリーンが出る、その数倍とか数十倍の頻度で出てくるので、もうこれは仕様なんだな、と笑うしかありませんでした。スカイマークエアラインが就航したときにスポンサーがマイクロソフトで、機体の塗装がWindowsだったので、「シャレにならん、堕ちるやんか。」とブラックな冗談を言ってたことを思い出します。

 思えばこの頃、とにかく文字を書くことが嫌で嫌で、通知票とか成績関係の書類とか、そういうものを手書きしなくて済む方法ばっかり考えておりました。で、手書きの書類をヤマほど書かなければならない年度末に、近所の百貨店で東北物産展が開かれて、そこに大橋堂さんが来るというできすぎたお話。毎年毎年、大橋堂の萬年筆が1本ずつ増えていった、そんな頃でした。

 

2021年8月18日 (水)

当たり!

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 おいしい口の「ちち(仮名)」さん。何を食べたらそんなにおいしそうにペロリとできるのでしょうか。実は彼女、巨柴であることを差し引いても体重過多で、お医者様にかかるたびに痩せなさいと言われてしまいます。ワンコは飼い主に似る、といいますが、飼い主もお腹を突き出して歩いていて、これまたお医者様に痩せなさいと言われ続けている身ですので、彼女の辛さはわかるような気がします。

 妻と長女、そして次男は、痩せなきゃいけないんだからご飯以外に何も与えてはダメ、という姿勢。飼い主と長男は彼女に何か訴えるような目で見つめられるとつい・・・なので、家族の中ではワンコの敵と認識されております。

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 キャップレスLS。世の中には萬年筆を筆記具ではなく自身を飾るアクセサリであると考える人が一定数いて、そういう人たちにとって萬年筆はジュエリーなどと同様、ある程度のお値段がするものでないと話にならない、このぐらいのお値段はして当然でしょう、などというところなのかも知れません。エルメスのノーチラスなどは、キャップレスであることに変わりはないのにペリカンのトレドが買えてしまうようなお値段ですが、キャップレスLSは、ノーチラスの面影というか、ちょこっとだけ雰囲気を味あわせてくれるモデルです。カチャッとペン先が出てくるところは同じですが、それを収納するときの無音でエレガントな動き。そこだけは、なんとなくノーチラスな気分ですね。

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 マットブラックが良い、と思っていたのですけれど、マットブラックにはこの部分、キラキラに輝くリング状の部品がありません。たまたま日本で一番古くから続いている文具店に立ち寄ったときに顔見知りの敏腕店員に出くわしてしまい、「フライング発売でっせ」とすすめられてしまったのがこの1本。そのお店のムーディーで落ち着いた照明に照らされて、パープルがひときわ美しく見えたところまでは記憶にあるのですが、その後気絶してしまったようで、気がつけば手提げ袋を持って阪神電車に揺られておりました。

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 この部分をスッと押せば、静かに回転してペン先が収納されますが、ここ数ヶ月、どうもこの回転がネットリと重たく感じられ、またペン先を出すためにノックをするにも今までより大きな力が要るようになっていました。そんなところにこの告知です。宝くじなど当たったことはないのですが、こういうのには良くあたります。いわゆるアーリィアダプターだからかもしれませんが。

 まぁ、治してもらえることは確実なのでそれはそれで良いのですけれど、対応してもらえるまでにあと3ヶ月ほど待たないといけませんし、ユーザも結構いることでしょうから修理完了までとなると相当待たなければならないでしょう。毎日胸ポケットに挿して出勤し、しっかり使い込んでいるペンだけに、来春、定年退職するまでに戻ってくレバいいのになぁ、などと思っているところです。

2021年8月17日 (火)

ハイテク・2

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 降り続く雨の中、わずかな止み間を狙ってさぁお散歩、とリードを付けたところ、イヤ柴になってしまった「ちち(仮名)」さん。柴犬は本当に不思議な生き物で、もう長い時間、おしっこを我慢していて辛いはずなのに、こんな時間にお散歩なんてない、と思ったらテコでも動きません。結局このときは、ガサッと抱きかかえて玄関まで移動し、むりやり外に出してお散歩に連れて出たのですが、ご本人(犬)はおかんむりで、わずか数歩歩いては立ち止まってこちらの顔を見る、という抗議行動を繰り返しておりました。マルかバツでいうと、マルではないですがバツとも言い切れない、サンカクとバツの間ぐらいでしょうか。

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 採点ペンシステムのペンフォルダーには、小さなボタンが付いています。見にくいですが、写真の青いボタン、これをおさえながらマルを打つ動作をすると、PCは「サンカク」と判断するのです。

 採点作業に入る前に、「解答用紙・配点の登録」という作業が必要でした。解答欄の並びを登録し、それぞれの解答欄が正解なら何点、サンカクの場合は何点、ということを登録しておきます。そして、あらかじめ決めた順序に沿ってマルバツを打っていきます。第1問から最後の問題まで一気にマルバツを打っても良いし、大問ひとつにマル打ちしたら次の生徒の答案に移る、ということも可能でした。

 当時、技術や数学、理科などを担当する教員を中心に、マークシート方式をはじめ、採点作業の負担を軽減する試みが盛んに行われていたのですが、惜しむらくはPCの性能が今では考えられないぐらい低かったので、結局すべて手作業でやった方が早い,という結果に終わることがほとんどでした。そんな中、慣れは必要でしたが、この採点ペンシステムはかなり優秀だったと思います。実際私も数年間にわたって使い続け、Windows版がリリースされた後はそれに乗り換えましたが、いつの間にか、採点前の準備作業が負担になって使わなくなりました。

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 採点ペンシステムの問題点としては、写真の下の方、ごくごく普通の事務用ボールペンしか使用できないことがあげられます。ボールペンで採点するとマルバツの筆跡が次の生徒の答案用紙にも残るので、生徒からは不評でした。先生がよく使うソフトペンは、そういう意味でも優秀ですが、径が太いので採点ペンシステムのフォルダーに収まらず、また、紙へのアタリがソフトすぎることはマルバツの判定にも影響するので実用的ではなかったのです。

 やがて私は、採点ペンシステムに使用をやめ、採点作業そのものを快適にするべく、萬年筆でマルバツを打つという方針に切り替えました。写真の上の方に移っているのは、神戸の鞄屋さん、ル・ボナーの松本氏にお願いしてPILOT823にシャークスキンを巻いてもらったものです。これに偶然手に入れたコースのペン先を装着し、マル打ちに特化した調整を師匠にお願いしたスペシャル版です。インクもたっぷり入りますので、これで採点すると実に快適。ただ、質の悪い更紙やコピー用紙では筆記線がにじんでしまうので、ペンに悪いことは承知の上で顔料系インクを使用しておりました。プラチナのローズピンクとセイラーのストーリア・ファイヤーを試しましたが、ストーリアの方がにじみが少なく優秀でした。しかし,油断するとペンを再起不能にしてしまうという怖さもあります。

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 もはや採点をすることもなくなりましたので、写真でわかるようにインクを抜いて保管しております。革の色が薄いところが本来の色調で、赤黒くなっているところは、ペンを水洗いする際に濡れてしまうことが重なって、こんな色になってしまったものです。

 萬年筆で採点することのメリットとして、生徒による答案の改ざんがほぼ不可能、ということがあげられます。こんな特殊なペンを持っている生徒はいませんので、同じような筆記線を出すことができません。何より私は、採点済みの答案用紙を全数コピーして保管しておりました。生徒に答案を返す前に、そのことを公表し、ゆえに、家に持ち帰ってから採点間違いを見つけた場合、遠慮なく持ってきなさい、コピーがあるからあなたの不正ではないとわかりますから、なんて言っておりました。生徒も先生も双方嫌な思いをしないための工夫です。

 これから先、採点作業をする機会はさらに減っていきます。CBTの導入は待ったなしで、保守的な人が多いこの業界でも、楽で早くて間違いが少ない、となれば否定派の方がどんどん減っていきます。萬年筆で採点していた、なんて、昔話になってしまうのですね。

2021年8月16日 (月)

ハイテク・1

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 夜のお散歩から帰ってきてしばらくたつのに、まだ息が整わない「ちち(仮名)」さん。元気なワンコですが寄る年波には勝てません。この先どのくらい元気でいてくれるのでしょうか。飼い主の年齢を考えると、この子が最後の飼い犬になるのは確実です。

 私の勤務している自治体では、夏期休暇として7月から9月の間に5日間休めることになっているのですが、学校勤務の場合、わずか5日、それも児童生徒が学校に来ないはずの夏休みを含むのに、なかなか消化できないという実態がありました。そこで、8月15日を含む5日間を「学校閉鎖日」とすることで、休みを取得しやすくしようということになっております。私の勤務先では、本日がその明けの日。管理職と事務職員、学校業務員の合計4名に、教員が3名。非常に夏休みらしい職員室のようすでありました。大変に良いことです。こうやって先生方が夏休みをしっかりと取り、2学期に向けて「充電」しておくことが子どもたちにとっても良い結果につながるからです。

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 連日のお片付けで、こんなものを発掘してしまいました。平成一桁時代に個人的に購入、というか、モニター募集ということで大安売り価格だったものに飛びついて使っていたものです。開発・販売元は日立中部ソフトウェア。当時は、この木なんの木のCMで流れるテロップにも会社名が出ておりました。

 その頃から、いやもっと昔から、採点業務というのは先生にとって大きな負担でした。テスト問題を作るところからして、「なかなか神様が降りてこない。」などと言いつつ天井を仰いで時間を過ごし、ようやく作成して刷り上がったテスト問題には時として致命的なミスがあったりして、そういう障害(といってもほとんど作問者自身が蒔いた種)を乗り越えてテストを終え、採点作業に入るのです。

 マル付け、マル打ち、などと呼ばれる作業は、子どもたちにとっては憧れの対象らしく、小テストなんかを子どもに採点させると大変に喜ぶものです。しかし大多数の教員にとっては苦行ともいうべきもので、ようやくそこを通過すると、今度は「採点」をしなければなりません。

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 RS-232Cポートに接続するケーブルの先に、謎の箱がくっついていて、そこには3.5サイズのイヤホンジャック様の穴。そこに挿す線の先には、これまた妖しい装置がくっついている、というのが採点ペンシステムのハードウェアです。

 当時のOS(オペレーティングシステム)はMS-DOSでした。この頃、「パソコン」といえばNECのPC-9800シリーズで、天の邪鬼な私はEPSON製の互換機を使っておりました。今は雑誌の名前にだけ残る「DOS/V」なんてものもけっこう出てきていた時期ではありましたが、バリバリパソコンを使っている人、っていうのはワープロなら「松」か「一太郎」、ヘンタイさんなら「P1-EXE」で、表計算ソフトはもちろん「Lotus 1-2-3」、ちょっと凝ったことをする人はデータベース「桐」という時代。一太郎が勢力を伸ばしていたので、例によって松を使っていた私でした。

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 マニュアルはコピー用紙をホチキス止めしたもの。当時はこんなにわずかなメモリでコンピュータが動いていたのです。ちなみに、ここにも登場しているLotus 1-2-3はその後Windows版も世に出て、いまだにWindows10上で何の問題もなく動いています。いわゆる、お行儀の良いソフトウェアの代表格と言えるでしょう。MS-DOS版は当初、98,000円という驚異の価格で販売されていて、しかもコピープロテクトつき。要するに、1台のPCにインストールしたら、他のPCには物理的にインストールできないような仕様だったのですが、Windows版はその20分の1の価格になっています。

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 で、先ほどの謎の箱に挿し込む線の先の方がこれです。ボールペンを固定できるフォルダになっていて、この部分に、ジャイロか何か、そんな仕掛けが組み込んであって、マル、バツを打つ手の動きを感じ取ってPCに送る、という仕掛けでした。コツをつかむと、正確にマルかバツかを判断してくれました。当時としてはけっこう頑張った装置だったと思います。

 で、マル打ちというと、マルかバツか、の他に、△というのもありますし、同じマルでも、問題によってマル一つで何点か、ということもあるわけです。この採点ペンシステムは、答案用紙にマルバツを打ち終えたら合計得点がPCがネットの画面に表示され、それがそのままデータとしてLotus 1-2-3に流し込まれる、というのが一番の売りだったわけですが、長くなりましたので、そのお話は次回に。

 

 

 

2021年8月15日 (日)

見つけた!

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 姿が見えないなぁ、と思ったら、長男がいつも過ごしている部屋に立ち入っていた「ちち(仮名)」さん。長男が脱ぎ捨てたパジャマを枕にして寝ておりました。お休みで人が家にいるのに、誰もかまってくれない。そんな寂しさからでしょうか、長男が部屋を空けた隙に侵入して、大好きな匂いのするパジャマに寄り添っていたのです。

 飼い主は8月6日が妻の手術日でしたのでお休みをもらい、土曜日曜振替休日と来て、そこから4日間の平日は、放っておくとまったく休みを取らない先生方への対策として「学校閉鎖日」としておりましたので、率先垂範で完全休業。さらにこの土曜日曜で10連休。けれども、お盆のお祀りとかいつ終わるとも知れない部屋の片付けなどで、家にいるだけで全くかまってもらってない、と言いたいところなのでしょう。

 手術を受けた妻は元気そのものなのですが、結構長い間、脳腫瘍に圧迫されていたのでリハビリと経過観察が必要、ということで入院継続中ですから、匂いのするものはあるのにお母さんがいない、というところが、彼女の寂しさの最たるものでしょう。

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 この大きな紙袋は何? とか、正体不明! の段ボール箱とか、そういうものと日々格闘しているわけですが、本日、段ボール箱の中から出てきたのは100年ほど前に作られたパーカーのデュオフォールド。何も知らない私が、ただ安いというだけで飛びついたものの師匠に修理していただいたものです。この記事などは、私の個体を修理していただいたときのことなのかな、と思うほどよくあてはまっています。

 ジェイドグリーンの軸は今も美しい緑色を保っています。当時のゴムサックが収まったままですと、胴軸の方だけがもっと黒くなっていたはずです。実際、キャップだけ美しい緑色で軸は結構黒っぽい、というヴィンテージものをよく見かけます。

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 バキューマティックに移行する前のプッシュボタンフィラー。お尻のキャップを外すと現れるボタンを押すことにより、内部のサックに沿うように設置された金属製の部品(Iバー)がサックを圧迫して吸入を行うものです。

 基本的に、ヴィンテージものの萬年筆にはあまり興味をひかれないのですが、これなどはあまりの軸色の美しさについ、ということでしょうか。当時、何を思って手に入れたのか、さっぱり記憶がないのです。

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 吸入用のボタンは真鍮製でしょうか。きちんとしている人はこういうところもちゃんと磨いているはずですが、私にそれを期待するのは無理というものです。私が子どもだった時代には、今日、ADH(D)やASDなど、自閉的傾向のある子どもについての認識があまりなく、ただ変な子、落ち着きのない子、で済まされていたように思います。小学校時代に懇談会があったのかどうかも不明ですが、とにかく学期末になると母親が怖い顔をしていたことはよく覚えています。そういう人間なので、今も整理整頓したり物事を順序立てて考えたりすることは苦手で、さらには衝動性も強いのです。「欲しい!」となったら即、というのはその最たるもので、このペンもそんな感じで手に入れたのでしょう。

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 せっかく見つけたので、こんどこそしっかりと整理・保管して、インクも吸わせてあげたいところです。今、こうしてBlogの記事を書いている部屋の中は、いろんなものが散乱している状態。まずはこれを整理して、捨てるものは捨てて、収納するものは行方不明にならないようにきちんとなおす。それを済まさないと、今夜は眠ることすらできそうにありません。明日からは仕事ですし、「ちち(仮名)」さんの寂しい思いはさらにつのるでしょうから、そちらもケアしてあげないといけませんね。

2021年8月14日 (土)

10セット

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 プルプルプルッ、としている「ちち(仮名)」さん。今は亡き(おそらく)淀川五郎さんの首振りぐらいならなんとか撮れますが、さすがにこれだけ高速で振られると捉えることはできません。

 お盆の期間中はとにかく雨、雨、雨で、その中でわずかな止み間を狙ってお散歩に連れ出すのですが、私は今行きたくない、というのがよくあって、いわゆる「イヤ柴」の態勢をとることもよくあります。家族が一人欠けている、なのに定期的にいない人の匂いのするものがある、というのに違和感とか寂しさのようなものを感じているようで、このお盆、やたらと人にくっついてくる彼女です。

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 いわゆる100均ショップで買ってきた小さな抽斗。100均とはいえ、税込みで一つ220円です。100均ショップで買い物をすることは世界の貧しい国で搾取気味に働かされている人たちをさらに苦しめることになるからやめましょう、なんていう主張もありましたが、品質や使い勝手など、こいつでないとなかなか、というものもけっこうあるのでついつい購入してしまうのです。

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 で、これが出てくると、皆さん、あぁ、アレね、と頷かれることと思います。終活ということも含め、とにかく自室を中心に家の中を片付けているのですけれど、あっちからもこっちからも、とにかく出てくる筆記具、特に萬年筆。手は2本だけだし、そもそも字を書くことが大の苦手でできるだけ避けてきたというのに、なんでこんなに萬年筆が出てくるのか不思議です。

 もう何年も前に、名古屋の「でらくろ」さんが、これも100均などでよく見かける、A4サイズの書類を収めるためのプラケースに緩衝材としてスポンジを貼り付けて萬年筆のケースにする、というアイディアを形にされていましたが、私は不器用だし発想も貧困なので、すでに形になっているもの組み合わせて安直に萬年筆の整理と収納をすすめよう、というわけです。一応アクセサリー用のトレーで、110円です。

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 左の方から、M1000、149、そしてM800。余裕で収まっております。4本収まるトレーを3段の抽斗それぞれに仕込んで12本。苑組み合わせで550円です。バカみたいにハマってしまって、とりあえず10セット、数店舗を渡り歩いて確保しました。総額5500円で、萬年筆が120本収納できます。果たして120本分のトレーをすべて埋めることができるのかどうか。写真に登場しているようなペンについては、もう少し上等な、本来萬年筆のケースとして製作されたもので保管しますので、このケースに収まるのは面白がって集めた国産の少し古いもの、かつて普及品として実用されていたものたちになります。

 今はあちこちに押し込められ、放置されている萬年筆たちをきちんと整理しておくプロジェクト。飽きっぽい私のこと、120本分埋まるまで続けられるのかどうか、我がことながら心配です。そしてもっと重要なことは、このケースを置く場所を産み出さなければならないということです。クリスマスまでに目処が付くのでしょうか。

2021年8月13日 (金)

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 本日も朝から雨。少しの止み間を狙ってのお散歩から帰って来たのに、いつもと違ってエアコンを運転してもらえず、網戸から入ってくる空気をサーキュレータでかき回すだけの飼い主。いつもと違うよ、と寝顔で訴える「ちち(仮名)」さんです。

 本当によく降ります。青春18きっぷもあと3回分残っているのですが、使い切るか、どなたかにお譲りするか悩むところ。妻は手術後の経過も良く、本日は手術跡を固定していた「ホッチキスの針」が取れたと喜んでおりました。毎日病院へ行って着替えなどの交換をしなければなりませんので、始発で出発して最終で帰る、という18きっぷの日帰り旅はなかなか難しいところです。

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 仕方がないのであちこち片付けに励んでいたら、PCを置いてあるラックの上の段にポンと放置されておりました。逆ポーランド式の電卓と言えばこれしかない、というほどの名器、HP-12Cです。これもいただきものです。アンタやったらこんなん喜ぶと思って、などと言いつつ、変なモンをあれこれお譲りいただけるのは嬉しいのですが、ますます家の中のエントロピーが増大していくのは困りものです。

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 逆ではない、普通にポーランド製の萬年筆です。同国のSAD PES社が手がけるブランド、CRESCOの Easy Writer というモデルです。他にもいくつか萬年筆を出しているようですが、とりあえず手に入ったのがこれだった、というだけのお話です。プラスチック製の本体、ステンレス製のペン先。他社のものと同様、握ったときに親指と人差し指とがかかる窪みが設けられておりますので、学童用の可能性も高いですね。

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 手元にある個体はペン先の寄りがキツいように見えますが、実際にインクを入れてかいてみたわけではないのでなんとも言えません。なんともあっさりとしたペン先です。ガチガチに硬い感じですので、インクフローを良くして柔らかいタッチにしないと使い心地が悪そうです。

 しかし、これ以上インクの入ったペンを増やしても仕方がない、というか面倒見切れないので、これはこのまま保管しておいて、イヴェントの景品にでもする予定です。

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 ヨーロッパ標準タイプのショートカートリッヂが2本付属しますが、この2本をお尻あわせで胴軸にいれ、そのまま首軸と結合して締め込んでいくと、写真からもわかるように、首軸側のカートリッヂに槍が刺さるようになっています。こういう手間なしな設計も、このペンが学童用であることの証、ではないでしょうか。

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2021年8月12日 (木)

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 今日はお寺さんがお盆のお参りに来てくださるというので、朝から仏壇のあるお部屋を大掃除。それを「みんなで遊んでるっ!」と解釈して邪魔しまくりの「ちち(仮名)」さんだったのですが、徹底的にブロックされて最後にはフテ寝してしまいました。どういうわけかお盆の期間中、彼女は仏壇の置いてある部屋で過ごすことを好みます。家族の者はそれを見て、仏さんに遊んでもろてんねんなぁ、えぇなぁ、などと言っておりますが、案外本当にご先祖さんにかわいがってもらっているのかもしれません。

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 昨日ご紹介した謎のキット、組み立てはやはり電子工作ですから、半田ごてが必要です。家に何本か転がっていたはずなのですが、あまりに片付けすぎて(とりあえずどっかに突っ込みすぎて)見つかりませんので、乾電池式のものを調達しました。白光ブランドのものですからとりあえず信頼できそうです。黄色い部分が電池ボックスで、ここに単三形のアルカリ乾電池や充電池などを4個入れて使用します。

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 黒いプラスチックに何本も串が刺さっているような部品、これを真ん中で半分に切ります。長く飛び出している方の端子を金色の縁取りがある穴に差し込んで裏側で半田付けをします。その際、部品が浮いてしまわないようにマスキングテープでおさえておきなさい、という実に親切な解説。そう、半田付けを終えて表側を見ると部品が変に浮いていた、なんてのはよくあることなので、マスキングテープでおさえておくのは良いアイディアですね。

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 半田付けをしてみたところ。一番上は熱不足気味ですね。乾電池式ですからそんなに熱くないので、しっかりとコテ先をあてておく必要がありますが、老眼なのでうまくできたかどうかがよくわからないのと、使用した半田、ヤニたっぷりすぎる感じで、これも見るのに邪魔です。

 こうやって足8本を半田付けした後、電卓の液晶ディスプレイと電池ボックスの端子を半田付け。半田付けはわずか14回で終了です。

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 黄色いアクリル板2枚で基板を挟むようにして完成。最上部の「RPN CALC」の文字が誇らしげ(?)です。この電卓、通常の電卓とは違い「=」のキーがありません。代わりに「ENT」があります。言わずと知れたエンターキーですけれど、PCにおけるエンターキーとは少し違って、デリミタ(セパレータ)として機能します。

 1+2=3 という計算を、日本語で言うと、「1と2を足す」です。「足す」の記号(演算子)は「+」だなんて、小学1年生でも知っていますが、この電卓で1+2を計算する際は、1 ENT 2 + という順番でキーを叩きます。「ENT」を「と」、「+」を「足す」と読むと、日本語そのままですね。こういう感じで計算式を記述する方法が逆ポーランド記法、Reverse Polish Notation なのです。

 何やら中途半端ですけれど、長くなってきたので今日はここまで。明日はこいつが萬年筆につながる・・・のかな。

2021年8月11日 (水)

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 お散歩から帰ってハァハァやっている「ちち(仮名)」さんを、長女がパシャリ。毎朝こうして写真を撮っては入院中の妻の元へと送ってくれているのです。「ちち(仮名)」さんにしても、何か変だな、とは感じているようで、病院から妻の洗濯物を持ち帰ると入念に匂いを嗅いでいます。何より、昼間は誰も家にいないので寂しいらしく、飼い主が帰ってくるとべったりくっついて離れません。暑いし匂うし毛が付くのでやめて欲しいところですが、やはり彼女の精神の安定も大事ですので我慢しております。

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 夏休みといえば「工作」です。私の勤務校は、この夏休み、保護者から「先生たち手抜きや!」と思われているのではないでしょうか。夏休みの宿題、問題集やドリルみたいなものに加え、自由研究とか、作文、書写、絵画に工作など、各種コンクール等に応募しましょう、なんていう宿題がたくさん出るのが通例です。この夏休み、校長権限(?)でそういうのをバッサリ切り捨てました。呆れるぐらいたくさんの団体から学校に「作品募集」の依頼があります。それらの半数以上は、学校で作品をとりまとめて名簿付けて期限内に送ってね、という条件付きです。

 そういうものをすべて受け入れていると、夏休み明けに1週間ほど、子どもたちの作品を整理するのに費やすことになります。夏休みの工作の場合、作品を指定日時に展示会場に搬入し、展示後は引き上げること、なんて上から目線の条件を付けてくるところも少なくありません。一体どれほど教師が暇だと思っているのかわかりませんが、そういう募集をかけてくるところは相手にしないことにしました。今年は、子どもたちが自分で応募できるものに限って、「こういうのがありますよ」と紹介しております。どの学校もそういう風にすれば、作品を募集する団体の方でもやり方を考え直してくれることでしょう。しんどいしんどいと言うのなら、自分たちでも改善策を打つべきなのです。

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 で、私の夏休みの工作、この写真と同じような機能を持ったものができあがる予定です。写真の電卓、見る人が見れば「あぁ、アレね」とわかるものですが、わからない人には何のことやらわかりませんね。でも、キーをよく見れば、どことなく普通の電卓と違う感じがしませんか。

 写真の電卓は「加算器方式」というタイプのもの。国内で製造販売されているのはこれを含めて1~2機種ぐらいでしょうか。私が夏休みの工作で作ろうとしているのは、タイトル通りのものです。「加算器方式」だけでも結構ヘンタイですけれど、これはこれで役に立つヘンタイ。業種によっては、あるいは使い慣れている人にとってはなくてはならないヘンタイ計算機なのです。

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 まぁそれでも、計算機を作る、なんてことだけをネタにしていたんでは嫌われるので、このお写真。最後にはここにつながる予定です。乞うご期待、というところでしょうか。

2021年8月10日 (火)

不明

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 こちらを見つめる「ちち(仮名)」さん。飼い主がゴロンと寝転がっていると、寂しくなったのか、何も言わずに近づいてきたのです。ここで無視していると、スマートフォンを持っている飼い主の手を「ツン」と鼻ですくい上げるような動作をします。彼女にとってそれは、遊んで、撫でてという合図なのです。そこで適当に首筋をもみもみしてあげると、満足そうな顔をして、そして飼い主に寄り添うようにドテッと寝そべるのです。当たり前の日常。繰り返される日常。でもそれがとてもありがたいものだと、改めて思いました。

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 京都手書道具市で、我らがY.Y.Pen倶楽部がワークショップを開催することになったので、メイン講師のどーむさんをお手伝いできたら、ということでいろんな萬年筆をケースに詰めて持ち込みました。両者ともにシェーファーが好きというヘンタイなので、萬年筆のインク吸入機構について説明するため、という名目でプランジャーからタッチダウン、スノーケルは当然として、両用式でもイントリーグなんてヘンタイなペンを持ち込んでいたというのはお約束です。

 レバーフィラーの萬年筆について説明するのに、この中にチューブが入っててね、なんて言うのは簡単ですが、聞いてる方は今ひとつわからないだろうというので、手持ちのこんな萬年筆を。メーカーもモデル名も、いつ頃のものかも不明です。

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 胴軸を取り外すと現れる吸入部。インクを保持する部分はケースに収まっていますが、その後ろの部分を指でつまんで吸入する仕組みです。受講者の方にこれをお見せして、「今はここだけプニュプニュやってますけど、この金属に囲まれた部分も全部こんなチューブだと思ってください。そこに添え木みたいに金属の棒をあてて、全体的に押しつぶしてから離すとインクが吸い込まれますよね。」とやってから、レバーフィラーの萬年筆をお見せしたり。まぁ、よほどのマニアにでも鳴らない限り、回転吸入式がいいところで、ほとんどの方はコンヴァータを使うかどうか、っていうところまでなのでしょうけれど、蘊蓄なんてものは少々余分に持っていても良いものなので。

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 結局、名前も知らない萬年筆、私がご説明させていただく際には大活躍でしたが、クリップに彫られたPOWERの文字だけが手がかり。いつ頃の何という萬年筆なのでしょうか。ご存じの方があれば、ぜひご教示ください。

 

2021年8月 9日 (月)

アンティーク

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 お昼寝中の「ちち(仮名)」さん。お昼寝と言っても、朝起きてご飯を食べ、お散歩から帰ったらハァハァして、それが落ち着いたら夕方までほとんどの時間を寝て過ごしていますから、彼女にとってはホンマもんの睡眠です。犬は一日に14時間程度は寝手過ごすものだそうですから、老境にある彼女の場合はそれ以上寝るひつようがあるのかもしれません。

 昨今の異常なまでのガラスペン人気、私のような年寄りは「なんで?」という感じで見ています。子供の頃、大人たちが使っている机や本棚の抽斗を開けると、そこにはたいていガラスペンや萬年筆が入っていました。たまにボールペンやメカニカルペンシルを見つけると興奮したものです。今とは全く逆ですね。余談ですが、父の本棚には吉川英治の宮本武蔵とか、江戸川乱歩全集なんかが収まっていました。小学生の頃、あまりにも本を読まない私に業を煮やし、私を椅子に縛り付けて、この本を読み終えるまでは解放しない、と宣言した母も、ちちの本棚にある本を読むことは厳に禁止していました。そう、そこにある抽斗を開けることも・・・。

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 某巨大オークションでこんなものを見つけたので入札しておいたのですが、京都手書道具市から帰って来たら落札してしまっておりました。セイラー万年筆謹製のガラスペンとインクのセットです。前述のように、我が家にはガラスペンがたくさん転がっていました。父は教員でしたので、当然、私の家は大変に貧しかったのですが、そういう筆記具類と印刷原稿を作成するための鉄筆とヤスリなんかはたくさんありました。今も昔も、学校の先生というのは生活よりも授業の準備に部活動、って感じなのです。

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 ペン先はすべてガラス製、という表現。では軸はどうなのか、というと、持ってみた感じでは樹脂っぽいです。子供の頃に家に転がっていたガラスペンは、小筆みたいな感じで、軸は竹製というものが多かったように思います。ペン先にしても、写真の白い方、予備のもののようなシンプルな形状のものでした。インクの保持力もそれほどではなかったような記憶があります。

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 京都手書道具市でのワークショップでも、ガラスペンに関する質問が結構ありました。それに答えることができてしまう自分たち講師陣も難儀な人たちだと思いつつ、丁寧にお答えしたつもりですが、かつてはこんな風なシンプルなものがほとんどでした。で、ペン先は摩耗しますし欠けることもありますので、予備のペン先が付属していたり、ペン先だけ買い求めて付け替えて使っていたりしたのです。今時の華麗なガラスペン、大量生産ではなく、作家さんが丹精込めて造られたものであっても、やはりペン先調整は必要でしょうね。

 ちなみにこのインクボトル、なかなかに可愛らしい見た目です。蓋を取ると、インナーキャップが付いています。まぁ恐ろしいので開けてもいませんし、使ってみようとも思わないのですが、そのうち気が向いたら開けてみるかもしれません。

2021年8月 8日 (日)

伝える

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 今は亡き「くま(仮名)」さんと背中合わせに眠る「ちち(仮名)」さん。今から4年ほど前の冬に撮った一枚です。二頭はとにかく仲が悪く、しょっちゅう喧嘩をしておりましたが、先住犬である「くま(仮名)」さんがケージに逃げ込むことで最終的には収まる、というのが日常でした。しかし「くま(仮名)」さんはなかなかにしたたかで、「ちち(仮名)」さんが少し食べ残した餌を隙を見て食い逃げするという「特技」の持ち主でもありました。もうすぐまた、お盆です。

 本日も暑かった京都。京都文化博物館で開催された京都手書道具市は、本日もたくさんの来場者で賑わいました。お買い物を済ませて、あるいはお買い物の前に私たちY.Y.Pen倶楽部の「萬年筆初心者講座」に参加いただいた皆さん、ありがとうございました。ちゃっかり拙Blogの宣伝もしましたので、今日は「クマ(仮名)」さんの写真を載せてみました。このワンコが、拙Blogの名前の由来となっております。

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 もとは日本銀行京都支店であった建物で、写真右の方、巨大なエアコンが設置されてはいますが、まったく効いている感じがしません。歴史ある建物ですから、大幅に弄ることはできないのでしょう。会場となったメインホールから、「秘密の」階段を上ると、ワークショップ会場。スタンプラリーのついでに、じゃ、いっぺん聞いてみるか、とご参加いただいた方、ありがとうございます。私たちも勉強になりました。

 昨今はきれいな、あるいは特徴の強いインクを使いたい、どうせなら美しいガラスペンで、という人が増えているようで、こうしたイヴェントが開かれると、限定インク、ガラスペン、そして木軸のメカニカルペンシルといったあたりが「三強」で、これを手に入れるべく早くから会場前に並んで待たれる方も多くなってきました。皆さん、今回はお目当てのものが手に入りましたでしょうか。

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 会場内ではスタンプラリーも開催されておりました。ワークショップ会場がある2階には、人気のガラスペンのスタンプが置かれていて、何気に難しかったのがメカニカルペンシル。京都手書道具市のロゴには、らせん状の模様が描かれていますが、ワークショップにお越しくださった方には、「萬年筆の試筆をするときは、ぐにょぐにょぐにょ、って書くだけじゃダメですよ。」とお伝えしておりました。

 試筆用紙を持ち帰る前提で、自分の名前や住所など、おそらくは一番多く書いているであろう文字を書いてみるのです。そういう文字は誰もが書き慣れている文字ですから、「萬年筆で字を書いた感じ」がつかみやすいはずなのです。

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 トルコのガレンレザー製ペンケースが驚きのお値打ち価格(会場限定)で売られておりましたので、すかさず手に入れました。一応、出展者側の人間になりますから、一通り皆さんが買い物を終えられたあとで、残っていた中からえらばせていただきました。で、なんで団扇が一緒に写ってるの? と言いますと、あまりに暑かったのでエアコンと扇風機だけでは足りず、団扇でバタバタやっていたという次第です。せっかくなので、京都文化博物館内にある紙もののお店で手に入れました。

 私たちはこれまで、萬年筆に関していろんなことを教えてもらって、今、こうして人に「こういうことなんですよぉ」なんてお伝えできるようになっています。なので、これからも機会があれば、萬年筆に興味はあるけれどよくわからないことも結構ある、っていう人たちにどんどんお伝えしていきたいと思っています。もらったものは、後から来た人に残し、伝えていく。結構大切なことだと思います。

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2021年8月 7日 (土)

暑い!

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 もしこの写真から音が聞こえるなら、ハァハァという荒い息づかいが聞こえてきます。お散歩から帰ったばかりの「ちち(仮名)」さん。お婆さんなので、少しのお散歩でも体力を使い果たしてしまい、エアコンの効いた室内に入ってもしばらくは荒い息をしています。

 本日は京都文化博物館の別館ホールにて、「京都手書道具市」なる催しが開催されていたのですが、午前10時の段階で滝の汗となるほどの暑さ。それでも、すでにかなりの数の方が列を作って正午の開場時刻を待ってらっしゃいました。大変な熱意ですね。

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 主催者からも案内されていたオリヂナルグッズ、貼り箱ペンケースに、入場者特典のノベルティグッズ、特製メモパッドを収めたところ。実は横着して午後3時半からの第二部にお邪魔すべく電子チケットを購入していたので、二つとも手に入れることができました。

 ノベルティ、そして貼り箱ペンケースともに、催しのロゴマークがエンボス加工されています。0多分つ買うことはないと思うのですが、この日このとき、この場所に行ったぞ、という記念の品として、我が家のどこかに紛れ込んで秘蔵されることになるのでしょう。

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 あと、ハガキを一枚もらって、その通信面に合計5つのスタンプを捺して回るスタンプラリーも行われていました。そのうちの一つがメイン会場から階段を上っていった先の2階、ワークショップ会場に置かれています。今日と明日、このワークショップ会場で「初めての萬年筆」と銘打ったレクチャーが行われますので、そのお手伝いに入っておりました。

 初めて萬年筆を握ったのは小学生の頃でしたから、もう40年近くの付き合いになりますが、万年筆は一本も持っていないとか、買ったのだけれどあまり使ってないとか、そもそもどうやって使っていけば良いのか、今ひとつよくわからない、そういう人たちに現物をお見せしながらいろいろとご説明をする、これ、なかなかに楽しい経験でありました。

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 明日もワークショップ、お手伝いに参ります。講師陣はいずれ劣らぬヘンタイ、すなわちけったいな萬年筆の持ち主ですが、Y.Y.Pen倶楽部というのはその正式名称を「良識あるヘンタイ倶楽部」と言いますので、人間的にはそうそう危ない人たちではありません。凝り固まった考えを押しつけたりするのではなく、どんなことが知りたいですか、何かお困りのことはありませんか、というところからお話に入って、質問大歓迎ですすめていきます。随時受付ですので、入場チケットをお持ちの皆さん、お目当てのお買い物が終わったら2階へ上がってきてください。

2021年8月 6日 (金)

いっぷく

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 お散歩中に小休止している「ちち(仮名)」さん。大体において、こういう「いい写真」は長女が撮影したものです。写真というものは対象物を写すのではなく、撮影している人の心を写すものだと思います。なので、邪念に凝り固まっている私にはよい写真は撮れないのです。純粋にワンコが好きな長女が、あ、これは、と思って撮る一枚、これが良いのです。

 後ろ脚がかなり弱ってきてますので、この段差のあるところ、前脚だけ降りた状態で座り込んでこんな風になっているのかと思います。暑いので完全に日が暮れてからのお散歩、というより、この日は入院している妻の手術に関する説明を受けていたので帰宅が遅くなり、一足先に家に着いた長女によるお散歩。なればこそこの一枚が残ったとも言えます。

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 ここ2週間、実にめまぐるしい毎日でした。先週火曜日の夕方、妻が出先で意識不明となって救急車を要請した、という連絡が長女から入って、水曜日には主治医から症状についての説明を受け、来週金曜日、つまり本日、開頭手術を行うと通告されました。このコロナ禍に即時入院することができたのも幸運なら、妻の症例に関して経験豊富なドクターが在籍していて手術予定も空いていた、というのも幸運でした。本日、無事に手術が終わり、術後の経過も良好です。お盆を前に、ご先祖様に感謝の気持ちでいっぱいです。

 さて、写真の萬年筆は、10年ほど前に我が家に来たTWSBIのダイヤモンド。2009年あたりから話題になり始めたもので、2010年頃はまだ、eBayでのみテスト販売されているような状況でした。秋田の萬年筆屋さんあたりが輸入販売を開始する前でしたので、私が5本10本とeBayでまとめ買いをして、それを仲間に実費頒布、なんてことをしておりました。

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 インク汚れが残っていますから、嬉しがって使っていたのにそのうち飽きて放置、といういつものパターンかと思います。当時からそうですが、萬年筆本体の出来も良いけれど、オマケに付いてくる工具が欲しい、ということで購入した人も少なからずいたようです。ペリカンM800の尾栓部分に挟んでピストンユニットを引き抜くのに使える、ガニ目などと呼ばれる工具が付属していたのです。逆に言うとこのペン、M800互換とも言えるピストンユニット機構を持っているわけです。透明な軸の萬年筆、どうしても安っぽく見えがちですが、こいつはポリカーボネイト製で表面が傷つきにくく、かつずっしりと重みも感じられます。手に取ってみると、しっかりしたペン、という感じがします。

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 当時はこのダイヤモンドのペン先を金ペンに取り替える遊びが流行しておりました。この個体もPILOTのペン先に交換してあります。最近は皆さん、必ずしも金ペン先にこだわらないようですが、10年前は「鉄ペンの調整はやりません!」なんて方もいたほどで、やっぱり萬年筆は金ペンでないと、という雰囲気が今より強かったように思います。

 さて、明日は京都手書き道具市というイヴェントがありますね。私が所属するY.Y.Pen倶楽部でも、これから萬年筆を使っていこうという方を対象に基本的な取扱いなどをレクチャーするワークショップを開催します。すでに入場チケットは完売してしまったそうですが、チケットをお持ちの方は、ぜひ、ワークショップ会場の方も覗いてみてください。

2021年8月 5日 (木)

チラり

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 シャイニング・・・な「ちち(仮名)」さん。長女が撮影した1枚です。電気が消された薄暗い台所のその奥、風呂の脱衣場からじっとこちらを見ています。一応、家の中は彼女の縄張りらしく、定期的にこうして巡回しているのです。ただ、彼女はお風呂が大嫌いなので、脱衣場に人がいるときには絶対に寄って来ません。そんなことしたら抱きかかえられて洗われてしまう・・・と知っているのです。

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 本日は彼女同様、チラりとした萬年筆を。ご存じ、LAMY2000です。バウハウスのゲルト・ハルト・ミューラーが西暦2000年になっても通用するものとしてデザインした、なんて話はあまりにも有名ですね。私より5つ年下なので、世に出て55年ほど経っていますが、機能も見た目も何ら見劣りするところはありません。

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 チラりと出ている14金のペン先。分解してみるとわかりますが、そこそこ大きいペン先です。吸入式ですので当然、インク窓もありますけれど、パッと見ではすぐにそれとわかりません。写真の黒い軸部分、ちょうど真ん中に見える白っぽいところがそれです。この萬年筆の美点はとにかく当たり外れなく、誰にとっても普通にいい萬年筆であるところでしょう。重すぎず軽すぎず、長すぎず短すぎない。各部の造りも確実ですし、耐久性にも問題はありません。逆に、そういうところが欠点でもあると思っています。面白みに欠けるのです。

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 これまた右の黒い軸の部分、真ん中のあたりに、銀色の小さな突起のようなものが見えます。こんな突起で、きちんとキャップがハマっているのです。こいつを分解してきれいに洗うときに、一番なくしやすいのもこの部分。LAMY2000を洗うのは、洗面器の中などでやりましょう。

 最近のモデルは、ペン先の裏側も銀色になっているようです。ここからインク漏れすることがあるからと一体化したようですね。より一層良くできた萬年筆になったということですが、それは同時により一層面白くない萬年筆になったということでもあります。

 ずばり、お手頃価格で買えて見た目も良く、何でも付いてて、故障はしないし燃費もいい。これは私の大嫌いなあるものとそっくりです。まるでトヨタのクルマですね。クルマの購入でアドヴァイスを求められたら、トヨタしか薦めません。萬年筆を使ってみたいという人にはやはりLAMY2000を薦めます。その素晴らしさはわかっているのですが、面白いかどうかと言われると、いいえと答えてしまうのです。

 こんな私のような人は、やっぱりヘンタイです。LAMY2000を買ってすごく気に入り、永年にわたって使い続ける、そういう人こそまともなのです。皆さん、萬年筆とはまともなお付き合いをしましょうね。

2021年8月 4日 (水)

おちついて

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 明るい表情の「ちち(仮名)」さん。もし写真に音声がのるならば、これはとてもやかましい一枚です。飼い主の躾が悪いので、トーストを食べる長男に寄こせ寄こせと強訴しているところなのです。面白いもので、長女や次男、妻に対してはほとんどこういう要求をしません。彼女に狙われるのは、押しに弱いお父さんと長男だけなのです。

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 別に毎日、萬年筆ネタで行くつもりはないのですけれど、そこら辺に転がっていた一本。いつ、どういう経緯で手に入れたものか記憶が定かではありません。今ではこういうものをほとんど見かけません。しかし、私がまだ若かった頃には、こういう「プラス1」な商品と言えば時計つき、だったのです。そういえば、ゲームウォッチなんていう、時計なんだかゲーム機なんだか今ひとつはっきりしないものが幅をきかせていた時期がありました。

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 まだ生きているのです。萬年筆の場合、カートリッヂなどインクを入れたまま放置して、やがてペン芯のあたりでインクが固まってしまい、いざ使おうと思って新しいカートリッヂを入れてもインクが出ない、なんてことはよくあります。同僚がそういうものを持って来るので、ぬるま湯にペン先をつけてゆらゆらやるとインクがでるようになって、「つきみそうさんに直してもらった!」なんて言われることが多々ありますけれど、ただのお掃除似すぎません。逆に言うと、そういうことすら知らない人が結構多い、ということなのかも知れません。

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 これはどういうものか、どうやって使うのか。いずれ機会があれば詳しい人に聞いてみたいと思いますが、ボタンのようなものがあって音符が描かれている、おそらくここを突くと何か起こるのでしょう。それと、クリップに突起があるのも気になります。で、押し込んでみると、時計の表示がいろいろと変化するのでした。腕時計における竜頭のような機能を持っているようですが、こんな場所ですと知らない間に押されてしまっている、ということが心配です。当時、実用していた人たちはどう感じていたのでしょうか。

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 ペン先はステンレスかと思います。ボールペンでも何でも、スリムなのが大流行した時期がありましたから、これもしっかりとスリムな軸で世に出ています。けれど、萬年筆の扱いに慣れていない人には、何の説明もなしにこのペンをつ買ってもらうわけにはいかないかと思います。Img_9250

 カートリッヂの端っこに食い込んで「穴を開ける」役割を担当するのが、写真右端の部分。「槍」などと言われます。通常、この部分は周囲を筒状に囲まれていますから、ユーザーは筒の中にパートリッヂを押し込めばすむわけですが、こういう形状ですと、カートリッヂを押し込む際のガイドになる部分がほとんどないわけです。落ち着いて、まっすぐ、しっかりと(by アーチャー船長の父)押し込む必要があります。どこかでこういう萬年筆を手に入れる機会があったら、思い出してください。

2021年8月 3日 (火)

書く道具・3補

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 くしゃっと潰れて眠る「ちち(仮名)」さん。かつては、彼女の他にもう一頭、ワンコがいたのです。26歳ぐらいの頃、職場(学校)に迷い込んできた子犬を家に連れ帰って、「タマ」と名付けて犬小屋にも表札をかけたのですけれど、そんな名前の犬はおらん、と家族に猛反対されたので一画減らして「クマ」にしました。その後、妹が嫁ぐのに際して実家を引き払い、私が戸建て住宅に移って面倒を見ることにしたのです。そのいきさつから、同僚から「犬御殿」と呼ばれる我が自宅ですが、実態は掘立て小屋です。

 その後「クマ(実名)」さんが亡くなり、その一周忌のお墓参りの帰り道、ペットショップに寄ってしまったのが運の尽き。そのときに連れ帰ったのが「くま(仮名)」さんです。女の子でもあり、実名をネット上に公表することは避けたいので(仮名)。私がリアルでも仮名で彼女を呼ぶので、家族はおかんむり。それでもイチビるのをやめない私は、「日めくりみたいに毎日「くま(仮名)」さんの写真を載せるBlogを開設する!」なんて宣言して、本当に実行したのが2008年9月。以来、2020年の1月13日までは何とか毎日更新していたのですけれど、機器の不調もあって突然にお休みすること1年半。そしてまた、気まぐれに再開したという次第です。ですので拙Blogは何なの、と聞かれたら、萬年筆なんかが出てくるワンコのBlog、と答えるようにしています。

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 いきなり薄汚いオッサンのシャツ。私はどんな良い服でもおろしたその日に破ったり穴をあけたりするという特殊能力の持ち主なので、着るものに関しては無地で地味で安いもの限定です。このワイシャツも生地が薄くなってしまってますね。遠からず裂けてしまうことでしょう。

 しかし、胸ポケットに挿さっている萬年筆は上等です。クリップの長い、というか普通の長さのものがセイラーの18K、異様なまでに短いクリップの方はご存じ、シェーファーのタッカウェイです。軍人さんの制服でポケットにフラップが付いている、そういうところに挿すのに便利なミリタリークリップと呼ばれるモデルと一緒くたにされたりもしますけれど、別のものです。もとは女性用でクリップそのものがなかったものでしたが、その後、申し訳程度のクリップをつけたモデルも出た、ということでしょうか。

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 セイラーの方は、私が子供の頃大流行した日本ならではのミニサイズペン、その中でもより短い方だと思います。ご覧のようにタッカウェイとほぼ同じ長さ。だから引っ張り出されてきたのです。こういうことをうだうだ書くので、長くなりすぎる、と昨日は切り上げました。

セイラーのキャップは刀の鞘みたいにペン本体がするりと収まってしかも抜け落ちないという「バネかつら嵌合」。シェーファーの方はネジ式嵌合です。では、よくあるパッチンと音がするやつは・・・。それは、「落とし込み嵌合」というのだそうです。世間一般、じゃない、萬年筆趣味の界隈では、パッチン=嵌合式、なんてことが暗黙の了解になってたりするようですが、キャップと本体とが組み合わさること、それが、「嵌合」なのです。嵌め合い、って書くんですから、そりゃそうですね。

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 アップにするとお肌の荒れが目立ちます。かといってこの軸を磨いてしまうと、貴重な白い文字も消えてしまうかも知れません。ですからそのまま大事に使います。タッチダウン式のインク吸入機構は生きていますので、インクを吸って筆記することが可能です。

 一方のセイラーはカートリッヂ or コンヴァータの両用式です。小さくて軽い、持ち運びに便利、ということからは、やはりカートリッヂ式に勝るものはないですから、今日、このタッカウェイを持ち歩いて日常使いする、というのはあまりないでしょう。こんなに小さなクリップで縁にしがみついているのですから、ちょっとした弾みで胸ポケットからどこかへ飛んで行ってしまう可能性も低くはありません。

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 筆記時の長さ比較。これもセイラーの勝利、でしょうか。こういう、収納すると短くなって筆記時には十分な長さになる、ほぼ日本独自の萬年筆かと思いますが、こういうものが一時期廃絶したのは、やはり萬年筆が書くための道具として主流ではなくなったからなのでしょう。今日私たちは、萬年筆趣味という実に奥深く、そして危険なものにハマっているわけですが、このことの幸せをしっかりと噛みしめるべきですね。

 あ、そういえば、シェーファーは現在、昔ほどヘンタイではなくなってしまっています。というか、ごく普通。古いシェーファーばっかり何本も家に転がっている人って、やはり度の過ぎたヘンタイなのでしょうね。

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2021年8月 2日 (月)

書く道具・3

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 えっ、誰? 誰が帰って来たん?!と顔を持ち上げた「ちち(仮名)」さん。朝から晩まで家にいて撫でてくれていたお母さんの姿がずっと見えないので、寂しくて仕方がないようです。ワンコはワンコなりに、家族が欠けていることを認識して不審に思っているのでしょう。

 夏休み中ですので、飼い主はもちろん定時退勤。教員の世界がいかにブラックであるかということは、広く世間に知られるところとなりました。けれども、教員の仕事をブラックなものにしているのは教員自身でもあります。自分の仕事ではないことを押しつけられても文句も言わずに黙って受け入れるとか、子供のためになるのなら、とひたすらいろんなことの完成度を高めるように無償の時間外勤務を続けるなど。校長たるもの率先垂範、サッと帰らないといけません。それでも、帰りに妻の入院先に寄って洗濯物の受け取りと着替えの補給などをしておりますから、帰宅するのは午後7時近くになります。毎日午後5時頃にご飯をもらってお散歩に出ていた彼女にとっては、それもストレスでしょう。

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 萬年筆研究会WAGNERの地方大会にあちこち参加していた頃は、現地で宿泊することもあって、そうなるとその日のBlogをどうするかということになります。PCを持って行ったり、ホテルでの共用PCで書いたり、いろんなことをやってみて落ち着いたのがiPad。ただキーボードがないのは不便なので、Bluetooth接続のキーボードを用意することになります。写真のものは2代目。初代もコンパクトで電池保ちのよいものだったのですが、行方不明になってしまったので買い直しました。例によって今回もUS配列のキーボードです。

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 折りたたんだ状態。非常にコンパクトですので苦になりません。大体、泊まりがけで出かけるのに着替えを持って行くのを嫌がる私。うまく客室に洗濯乾燥機がついているホテルが見つかればそれだけでそのホテルに決定。入浴前に来ているものを洗濯換装機に放り込んで、ホテルに備え付けの寝間着で寝てしまえば、翌朝にはきちんと乾いております。この味を覚えると、着替えを持っての旅行は面倒でやってられません。

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 本日もごそごそお掃除をしておりましたら、変なキーボードが出てきました。赤いポッチはどこかへ飛んでしまってますが、ThinkPadのそれと同じようなキーボード。残念なことにPS2接続ですが、トラックポイントがついていますからPS2接続2のコネクタも2つ付いています。

 しかし、このキーボード、US配列ですらありません。

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 スペイン語配列という、なんともけったいなキーボードです。おそらくその頃の私が面白がって買ったのに違いありません。ただ、使い途があるのかと問われると黙してしまいます。純粋にスペイン語を必要とする人が使うのでなければ、面倒で使いにくいだけですね。

 結経余計なことばかり書いてしまいましたので、本日登場予定だった萬年筆については、また後日。

2021年8月 1日 (日)

ダブル・2

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 寝ている写真ばかりでは彼女の名誉にかかわりますので、たまには起きて笑っている「ちち(仮名)」さんを。元気なときにはこうしてニコニコしておりますが、問題はそれが長続きしないこと。今日などはお散歩に出たかと思ったら、おしっこだけしてすぐに家に帰ろうとせがむ始末でした。元気ではありますし、食欲も旺盛なままなのですが、確実に老いてきている彼女です。

 昨日の記事でご紹介した刈谷日劇。全国的に極限られたところだけで上映されている映画をぜひ観たいと思っていて、日帰りでいけるところでやっているところはないかと探したところ、一番自宅に近いのが刈谷日劇だった、というわけです。

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 昨年の今頃は、まさかこうしてDVDが発売されるとは思っていませんでしたので、上映されているうちにぜひ観ておかなければ、と思ったのです。じっくり自宅でDVD鑑賞というのも悪くありませんが、映画はやっぱり映画館で観るべきものではないかと思うのです。

 このDVDのジャケットで、赤ん坊を抱えて三島の隣にいる男、これが芥正彦。映画の中でも、何かこう、自分は別だよ、みたいな感じで話をしていて、正直なところ気に入らないオッサンなのですけれど、実際彼も、三島がこの世にいないことを無念に思っている、寂しがっているんではないかというふうに、勝手な解釈をしながら観ておりました。

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 刈谷日劇、そう、子供の頃に地元にあった、そういう映画館が今も生き残っている感じで、とても嬉しく、懐かしいところでした。こじんまりとしていて、チケットを売ったりもぎったりするのも家族で回している、そんな実に昭和な感じ。それでいて、かける映画については一定の基準を持ってしっかりと選んでいる、まさしく映画屋さんというところも気に入りました。探せばこういう映画館、まだまだあるのでしょうけれど、うまく出会えるかどうかはけっこう運次第で、私はやっぱり運が良かったと言うべきでしょう。

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 で、この萬年筆。これとほぼ同型で、軸が濃いグリーン、金具がゴールドという仕様のものを三島由紀夫は使用していて、あの日、市ヶ谷の自衛隊に出向く前に、お気に入りだった下田の日新堂にそれを置いていったという話があります。グリーン軸のものをずっと探していて、ないのであればせめて同じものを、という過程で手に入れたのがこの2本なのです。

 このキャップレス、ペン体(インサート)を軸に入れる際にも、自分でしっかりと向きをみて入れなければなりません。軸の方にある切れ込みにペン体の突起を合わせれば良い現行品とは違います。また、シャッター部分の機密性が今ひとつでペン先が乾燥してしまい、インクの出が悪くなるということから、グリセリンを混合したインクを入れた専用のカートリッヂが用意されていました。

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 こういうものが家に転がっていると、当局の手入れがあった際にヘンタイということがバレてしまいます。このカートリッヂ、経過している年月を考えるともう少し中身が減っていそうなものですが、そこはやはり混入されたグリセリンのおかげなのか、見る限りではしっかりと中身が残っているように思われます。

 このダブルスペアーを使用する萬年筆は、今でもオークションなどに良く出てきますが、ウォーターマンのCFほどではないにせよ、インクを入手することは極めて難しいように思います。けれどもそこは天下のPILOTだけあって、ちゃんと対応策がとられております。

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 コンバアタW。型番や名称は変わらないのに、実は2種類あるらしく、自分のペンに合うかどうかは運次第・・・というか、時折、合わないこともあるようです。それでも、よほどのヘンタイさんでもない限り、好んでこういう古いペンを使おうとは思わないでしょうから、困る人はそんなにいないはずです。我が家には結構な本数、そういうのが転がっておりますけれど、幸いなことに実用しておりませんから、別段困ることもありません。

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 こんな風に、ペン体を軸に入れる際は、正しい向き、というか、角度というか、しっかりと見なければいけません。そして、正しく入れることができたとしても、ペン先を出すためのノックは重たいですし、収納するときのノックはさらに重くて渋いので、自分が何か間違った扱いをしてしまっているのではないか、という不安にかられてしまいます。

 我が家にはこのほかにも、キャップのついたままのキャップレスとか、下手な人がノックするとペン先を出した状態で固定できないものとかおかしなキャップレスが転がっておりますので、いずれご紹介することもあるかと思います。

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