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2021年7月22日 (木)

書く道具・2

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 せっかくおうちに入って寝ようとしているのに、身勝手な飼い主がまた写真を撮りに来た・・・と塩対応の「ちち(仮名)」さん。彼女は夜の8時を過ぎると妻に寄ってきて、じっと顔を見つめるのです。もうそろそろお休みの時間なの、と訴えているのですね。それだけなら、勝手におうちに入って寝なさいよ、ということなんですが、まだ彼女が勢いのあった頃、ケージに入れようとするとおやつで釣るしかなかった、その名残というか弊害というか、そういうものが残っているのです。彼女としては、家の人がおやつをくれたらケージに入る、という習慣を逆手にとって、おうちに入りたいからおやつをせがむ、という風にうまく利用しているわけです。

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 静かで速くてWindows11が出ても対応できる新PCはようやく完成したのですが、土壇場でまさかのマザーボード変更というドタバタのせいで、長年慣れ親しんできた東プレのRealForceが使えなくなってしまいました。PS2接続で配列の106キー。いまどきWinキーすらない代物ですが、我が家ではキーボードと言ったらRealForce、あれにもこれにも、とにかくデスクトップPCにはすべてつながっています。一昨年の春に異動して以来、職場で使っていたデスクトップPCを廃止したこともあって、PS2接続でUS配列という変態RealForceが3枚もあるというありえないぐらいヘンタイなおうちなのです。

 USB接続のRealForceに買い替えるのが王道ですけれど、最近歳のせいか、45gのキー押下が重く感じられるようになっていました。その昔はIBMのバックスプリングのやつをガチャンガチャンと叩いていたことを思うと、相当に衰えたものです。キーボードの世界ではこれもまたこだわりの名器と言われているリベルタッチがなぜか我が家にもあったので、これを引っ張り出してきました。RealForceの静電容量方式とは似ても似つかぬ、むしろ安物の代名詞ともいわれるメンブレンの仲間ですが、押下荷重35グラム、メンブレンだけれどばねも使っているというヘンタイっぷりで、何より、持ち上げてみるとRealForceより重たいのです。底に鉄板入ってますから、暴漢が侵入してきたときの武器にもなります。

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 こちらはお仕事の日には必ず胸ポケットに挿さっている多面体キャップレス。ペン先は特殊合金ですので現役時代には5000円で売られていたものかと思います。何本か持っていたのですが、この地味な見た目とノック式ということから、文房具には全く無知な人がほとんどの職員室の机上に置いてあったものは100パーセント持ち去られてしまいました。持って行った人はその辺で走り書きのメモに使って、何やこのペン、書きにくいなぁ、とそこらへんにポイっと投げ捨てる、という感じでした。何度も回収したのですけれど、何本かは帰らぬペンのままでした。

 この個体はまた、インサートのインク詰まりがひどく、ほとんど書けない状態でした。ペン先は「親方1週間バージョン」なのでので完璧なのですけれど、インクが出ないことにはその官能的な書き味を味わうことはできません。今はペン先形成人という看板を挙げている兄貴には工場のエアコンプレッサーでプシュッとやってもらったりもしたのですけれど解消せず。ずっとずっと長い間、ロットリング洗浄液やらライニガー洗浄液などにつけおいて放置しておいたところ、ある日ある時、突然に潤沢なインクフローが戻ってきたという伝説の1本です。

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 PILOTという刻印の両側、光が当たっているだけではなく、黒い塗装が剥げているため、白っぽく見えているのです。このままずっと使い続けていけば、いずれこのクリップをはじめ、金属部分はすべて銀色になってしまうことでしょう。ポケットに挿されている状態でもクリップは外に出ているので、あれやこれやといろんなものにぶつかって擦り傷だらけです。

 普通の人がボールペンでしゃしゃっと何かをメモする、そういう場面で私はこのペンを使います。中学生でも小学生でも、ノックして出てきたペン先が見慣れたボールペンのそれとは違う形をしているので興味を示し、自分にも書かせてくれと手を伸ばしてくるのですが、萬年筆と奥さんは人に貸すもんじゃない、と昔から言われておりますし、ましてや相手は子供ですから、決して触らせてはいけないのです。中学校に勤務していたころは、注意事項を述べたうえで触らせたこともありましたが、小学生には絶対NGです。触らせるにしてもサファリあたりでしょう。

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 そのペン先が出てくる部分、穴の縁も盛大に剥げております。この部分は文字を書いているときには何ともないのですけれど、持ち歩いているときには一番ひどい目にあっている部分なのだということがよくわかります。

 そして何よりこのペンは軸が多面体断面であるということ、これも剥げやすさに拍車をかけております。ふつうのペンはどこにも角がない丸い軸なのに、こいつは稜線があるので、どうぞここにこすれてください、剥げていきますので、と言っているようなものです。

 ZIPPOのライターなんかは、ぴかぴかの新品をわざとこすって傷をつけたり、ぶつけてへこみをつけたりして使うという流儀もある、などと聞いたことがあります。萬年筆使いにもぴかぴかの美しい軸より、剥げてみすぼらしくなったほうが味がある、なんて人もいるのでしょうか。私の場合は、何度も人の手によって失われては仕方なくまた手に入れる、ということを繰り返したペンですから、剥げるほど長く使っていられることを喜ぶべきなのかもしれません。

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