虚しさ
ぱたん、と倒れてそれっきり熟睡の「ちち(仮名)」さん。飼い主が帰ってくるとしっぽをちぎれんばかりに振ってお出迎えしてくれるのですけれど、ここのところは毎晩遅くに帰ってくるので、待ちきれずにケージに入ってしまっていることも少なくありませんでした。
時間外勤務を月に45時間、年間で360時間以内に抑えなさい、というお達し、実に結構なことと思います。民間企業であれば、このラインを守っていない場合には立ち入り調査やら罰則などもあるとのこと。しかし、私たちの業界ではそれは不可能な数字と思えます。朝、わが子が学校に行こうというときに、どうも顔が赤いと思ったら熱がある、そうなると、保護者としては学校に「休みます」と連絡を入れますね。そういう連絡は7時半ごろから入り始めます。教員の勤務時間は7時間45分。私の職場では8時25分から16時55分までですが、さて、7時半に担任の先生を名指しで呼び出す電話がかかってきたらどうするか。まだ出勤していません、と答えるとトラブルになりがちです。
中学生の部活動は、日の長い時期ですと午後6時ごろまでやりますので、そこから帰宅した生徒が自宅につくのは6時半ごろ。これを過ぎて家に帰らない場合、心配した保護者が学校に問い合わせの電話をかけてきます。当然のことですが、さて、だれが電話をとるのでしょう。
深夜、日付が変わってから車に乗り込むと、窓ガラスが凍っていました。教員の場合、月に8時間は時間外労働があるという前提で、給料の4パーセントが手当てとして上乗せされ、その代わり、残業代は一切つきません。月に8時間。まず無理な数字ですね。
で、解決策は実に簡単なことで、学校に警備員さんを雇うのです。就業時間外の電話の応対をお願いすれば、先生も保護者も安心です。実際に留守番電話を導入する学校も増えてきていますが、いまだに夜中の10時11時に職員室の電話が鳴る実態を考えると、世間の人は教員も交代制勤務で、早番、遅番があるのだろうと考えているようにも思われます。児童生徒を預かっている施設なので、時間外だから知りません、というのもなかなか言いにくいところ。要するに、学校単独の努力ではどうしようもなく、行政も含めて考えて制度設計してくれなければ無理なのです。朝で1時間、夕方で1時間は確実に時間外労働しなければ絶対に回らない職場に、月45時間を超える時間外勤務は禁止、なんてことを言ってくるのは、頭がいかれているとしか思えません。日本中の先生という先生がみんな病院送りにならない限り、だれも真剣に考えないのでしょう。そしてそれは、一見規制を守っているように見えてサービス残業を敷いている民間企業とて同じこと。働く人はみな、自分の命と家族の生活、それを第一に考えるべきでしょう。
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