カスタム
眠る「くま(仮名)」さん。人間風に言うなら、トイレで倒れている高齢者、ですが、彼女にとってここは非常に快適な寝床の一つなので、あえてそのままにしてあります。ここにペットシーツを敷いてもらって、うんうんとうなりながら排便していたのは15年ほども前の話。答辞、飼い主は黒板に向かって字を書くときには背中に神経を集中しておかないと怪我をする、というほどに荒れた学校で勤めておりました。その頃教えて子どもたちも30歳と、今や立派な大人。当時を懐かしんで呑んだりもしていますが、未だに記憶は色あせません。今の職場の記憶なんてすぐに薄れてしまうと思いますが、あの頃の記憶はいつまでも鮮明なまま残り続けることでしょう。
今のところ、その学校での1年目というのが、私にとって学級担任をした最後の年でした。新しい職場と言うことで気合いを入れて、そして験を担ぐ意味もあって、緑のマーブル柄のキャップレスを買ったのですが、半年たたないうちに行方不明になりました。実はその前の職場では、マットブラックの多面体キャップレスと大橋堂のエボナイト軸を同僚に持ち去られた苦い思い出があって、それもあっての験担ぎでしたがあえなく失敗。数年のちの草刈り作業の最中、私が担任していた教室の窓の下にある草むらから、変わり果てたキャップレスの胴が出てきました。インサートの方は今も行方不明のままです。
PILOTの古い萬年筆に興味を持ち始めたのもその頃から。万年筆とメカニカルペンシルのセット、本当に役割を果たすのだろうかと思える儚げなペンシースとともに、これもバロンの中で眠っていたものです。
カスタム楓、萬年筆と油性ボールペン、そしてメカニカルペンシルのセット。スマートなケースに収まっていますが、ペンとケースはそれぞれ別々に入手したものです。確かこの萬年筆にはインクを通していないはずです。銀軸のカスタムばかりを使っていたので、こちらまで手が回らず、そうこうするうちにしまい込まれてしまったものです。
やはり萬年筆は使ってナンボ、ですから、もっと積極的に使わなければならないのですけれど、字を書く、というより事を書くふりをして遊ぶ時間も取れない現状ですので、死蔵されているペンたちにはもうしばらくお待ちいただくしかないのかと思います。
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