伸びる
よほどのどが渇いていたのか、写真を撮っていても構わず飲み続ける「くま(仮名」さん。お顔だけしか映っていませんが、もちろんお体は寝そべったままです。人はそれを横着な飲み方といいますけれど、給水器を目いっぱい高く取り付けてもこの位置で、立った状態ですと首をひねるようにして飲まなければなりません。スポーツ後の少年が校庭の足洗い場の蛇口に口を近づけて水を飲むような、そんな感じです。なので、寝そべって首を伸ばしつつ水を飲むというのは、横着というよりは生活の知恵なのかもしれません。
本来であれば3月に済ませておくべき身辺整理に、今頃になって取り組んでいます。過去に手に入れた変なものがいろいろと出てきて、中には手に入れた経緯や意図すら不明になっているものもありますが、このボールペンはよく覚えています。色がきれいだから赤と緑をセットで買ったのです。
どうしてこのボールペンだったのかというと短いから。サファリと比べてみるとその短さがよくわかります。短いボールペンは取り回しがよいので、どこへでも持ち歩いて、ササっとメモが取れるように、ということでしたけれど、使う本体の方にメモを取る習慣がない、ということにまでは気が回りませんでした。
春はフレッシュマンの季節。遠い昔、私にもフレッシュマンだったときがあって、県の施設にある大ホールに集められて教育長はじめお偉方の講話を拝聴する、という新人研修に参加したのですが、壇上で話している人と妙に目が合うなぁ、と思っておりました。
やがて、壇上の人は、「社会人たるもの、人の話を聞くときにはメモぐらい取るのが当たり前です。」と、それまでの話の流れをぶった切って、私の顔を見つつおっしゃったのでした。周りの仲間たちは、なるほど、熱心にメモを取っています。人の話を聞いてるんだから顔を上げたらいいのに、と思っていた私でしたが、ここに至って、そうか、あの壇上の人は私に言ってるのだな、とようやく気付いたのでした。メモを取ってない奴がいるな、と気になっていて、じっと私のほうを見ていたのでしょう。道理で目が合うはずです。
まぁしかし、今ここで急にメモなんぞ取り始めたら、それもまたちょっと・・・などと思った私はそのままメモも取らずにお話に集中しておったのですが、壇上の人はそれが気に入らなかったようで、改めて、今度は私の顔を覗き込まんばかりの勢いで畳みかけてこられたのでした。
「もう一つ、社会人として大切なことは、注意を受けたら素直に改める、ということです。」その瞬間に、もうこれはクビやな、と覚悟した私でありましたが、どういうわけか、今日まで首はつながったままです。
新社会人の皆さん、お気に入りの筆記具とメモ帳を持ち歩いて、いつでもどこでもメモをとるようにすると、きっと伸びると思います。
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