飴色
なぜか前脚をあげたまま眠り続ける「くま(仮名)」さん。お約束通りに、大事な餌鉢を抱えるように寝ていたのですが、「おぉ、肉球かわいいのぉ」と飼い主に「ぷにぷに」されたのですが、解放された後もそのままの形で固まってしまったものです。
飼い主はといえば、羊さんが逃げないように囲っている柵の支柱がぐらついてるよぉ、という近所の方からの通報を受けて、まずは支柱の補修。木の杭の土中に入っている部分が腐ってしまっていたので、いったん引き抜いてナタで「鉛筆削り」をして、再度打ち込むという作業を何本か繰り返しました。
作業が終わって職員室に引き上げてくると、今度はトイレの排水不良の連絡。水を流すとゴボゴボと音がするというので、トイレから流れていった先の排水枡の蓋を開けて確認すると、枡一杯に水がたまっています。それではとその下流、さらにその下流と次々に排水枡の蓋を開けていくこと7個、ついにきれいな枡にたどり着きました。ということは、その一つ上流の枡が怪しいということになります。
排水枡はコンクリート製ですが、長い年月の間に木の根が中に侵入していて、たっぷり養分を含んだ水を吸って大きく生長し、その結果、流路をふさいでしまったのです。それにしても、枡の中にあるものを取り除いて日の当たるところに出すだけで周りに迷惑がかかります。教室からは臭い臭いという訴えが出ますし、見た目にも最悪です。浚渫する前に周辺に穴を掘り、そこに汚泥を入れて土をかぶせる、という作業を続けました。
もう今日は早く帰って風呂に入ってビール飲んで屁こいて寝る、と宣言しつつ職員室に戻ると、今度は体育館の汚水ポンプに異常があるよぉ、とブザーが鳴り響きました。時代劇に出てくるような樽型の棺桶がすっぽり入るような汚水タンクの中にポンプが沈めてあるのですが、それがよく異物を噛み込んで止まるのです。鎖につながれた重たいポンプを引き上げて異物を取り除き、再度設置しますが、以上表示ランプは消えません。結局、修理費用節約のもくろみは破れ、お金を払って業者さんに直してもらうことになりました。学校にはこういうのを修理するお金すら十分にはないので、教頭は色々できないと務まりません。
で、これ以上トラブルが起きる前にと早めに帰宅。ビールを飲んで寝るのはやめて、部屋のお片付けをしていたら、久々にシャルロッテさんに出会いました。以前にお会いした時は銀色に輝いていたはずですが、いいあんばいに飴色になっています。海辺の町で漁師として暮らしていたのか、というほどの焼け具合です。こいつには3Bのニブがついているので、これでぬらぬらと書いてみれば濃淡がきれいに出て気持ちよくなれるはずです。実際、付けペン状態で悪戯書きをした筆跡を見ると、濃いところと薄いところがはっきりとわかります。
こういう感覚、久しく味わっていなかったなぁ、と思い出しました。やはり時折は萬年筆にインクを飲ませて、特に何を書くでもなく、ただただ徒に時を過ごす、というのも大切です。家に帰ると寝転がって何となくTVを見ている内にそのまま自然死、なんていう日常は感心されません。
おうちに帰ったらどうされてます? と聞かれて、寝転がってそのまま朝まで、と答えるのと、お気に入りのペンでそこはかとなくあれこれ書いてます、と言うのとでは、違うでしょ。
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