失われた過去
こたつの中に潜っている「ちち(仮名)」さんを撮ったらこんな感じに。夜行性のワンコならでは、タペタムが光り輝いております。
最近彼女は、どういうわけか首から先だけこたつの中へツッコむのが気に入っているようです。別にこたつの中に何があるわけでもないのに、気がつくとこういうことをしています。
妻の現在の職場は、かつて私が勤めていた職場なので、私もひょっとしたらこれを見ていたかもしれません。けれど、当時の私は一担任であって、月行事予定表なんてものは見せてもらうだけでした。これは、月行事予定表をつくり、教育委員会事務局に提出する立場の人、すなわち教務主任などが使う用箋です。ですので、何も記入されていない未使用の用箋を見るのはこれが初めてです。
この職場は、大橋堂の黒軸とマット軸のキャップレス、2本の萬年筆を紛失、いや持ち去られてしまった忌まわしい思い出のある職場でもあります。職員室の机上に置いてある筆記具は持ち去れて返ってこないのだ、と気づいたのは赴任してからだいぶ経った頃でした。
1本100円もしない透明軸の事務用ボールペンの軸の中に、自分の判子を押した小さな紙片を入れている先生がほとんどだったのは、そういう風土だったからなのでしょう。3年間勤務しましたけれど、どうにも好きになれない職場でしたので、生徒数減で自分の教科が過員になったとき、自ら志願して異動させてもらったのです。
で、異動した先は市内でも有数の荒れた学校。どんどん先生が減っていくので、私のような者が教務主任になったのも仕方のないことだったのです。けれど、小学生にも負けてしまう稚拙な文字しか書けない私のことですから、行事予定表はPCで作成して、この用箋とは縁のないままでした。昔の先生は、こんな用箋に1ヶ月分の行事を、萬年筆やボールペン、あるいはキコキコと書きづらいロットリングのパイプペンで書き入れていたのですから、尊敬するしかありません。
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