羊の遠足
斜面に広がって草を食べる羊さんたち。彼と彼女たちの活躍により、私の職場にある広大な法面からは雑草がほとんどなくなり、夏でも冬でも、ゴルフ場のラフ程度に保たれています。今、羊さんたちが草を食べている場所は、その法面の東半分。法面の最下部は用水路に接しているため、西半分の法面には柵がこしらえてあるのですが、ここ東半分は柵がない状態のままです。そのため、用水路に羊さんが落ちる心配があり、放牧できません。
実に恐ろしい画です。この用水路に推定体重100キロ超の白丸くんが落ちたりすれば、おそらくサルベージ不可能でしょう。用水路の中に洗車台のようなものを設置して、そこに彼を押し上げた上で法面側から体の毛を掴んで引っ張る、というシミュレーションはできておりますけれど、実際には誰もやりたくない作業です。
しかし、彼ら、彼女らが暮らす西側の法面は草が枯渇気味で、夏休みということもあって給食室からの野菜くずの供給もない状況です。もちろん、飢えているわけではなく、羊さんが生きるのに必要な栄養、エネルギーは十分に得られているのですが、ご近所の皆さんは草がほとんどないことを心配して、あちこちから草をかき集めてきて与えてくださっているような状態です。
踊り場から下へ降りてしまうと、そこは自動車が頻繁に通過する住宅街に沿った道路。なので、羊さんたちには脇目も振らずにこの踊り場を通り抜けてもらう必要があります。階段の踊り場が白っぽく見えるのは、大好物の米糠がまいてあるからなのです。
踊り場を通り過ぎれば、そこはご馳走の海。羊さんたちの大好物である葛の、それも新芽が山のように生えています。こちらの目論見通り、羊さんたちは米糠に釣られて踊り場に出てきた後、すぐに草の海に気づき、一目散に走り込んだのでした。
慣れない場所に、最初はおどおど、協力者である業務員さんの近くに固まって草を食べていた羊さんたち。写真奥の法面と草のようすを見比べてもらうと、羊さんたちのうれしさが伝わるのではないかと思います。
用水路に落ちて大騒ぎになった「ももちゃん」ですが、全く懲りていません。用水路ギリギリのところを歩き、用水路の方へ垂れ下がっている草を食べようと首を伸ばすので、おっさんたちは冷や冷やしながら見守っているのですが、実際は冷や冷やどころか、容赦なく照りつける陽射しで滝のような汗を流しております。
羊の可愛いところは、満足すると戻ってくるところです。明らかに食べるペースが落ちたところで米糠を見せて引き寄せ、元の柵の中に追い込みました。次回は用水路に沿った部分を綺麗に刈り上げてから、首に縄を付けての半放牧を試してみようと思っています。
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