
写真を撮られても気づかないほどに熟睡している「ちち(仮名)」さん。飼い主夫婦はおかげさまで26回目の結婚記念日を迎えることができました。結婚式の日取りを語呂合わせで11月18日(いい日や)と決め、9月初旬から式場を探し始めたものの、その日は大安吉日。3年前から予約入ってます、と憐れむようなまなざしで見られつつ、どこの式場でも断られました。
親切な人には、こういうのはいくら遅くても半年前には予約するものですよ、と教えてもらい、これってボージョレィ・ヌーヴォーを探して酒屋を回ったときと同じやなぁ、などと笑いつつ、仏滅の11月23日なら開いている式場があり、学校も休まずに済むなぁ、と決めた日です。でもまぁ、カレンダーに赤々と結婚記念日が印されているというのは良いものです。

そんな結婚記念日の今日、妻と二人、某所に出向いて相談事をしていたらすっかり体が冷えてしまったので、薪ストーヴのあるお店で茶がゆ定食をいただきました。我が奈良県では、夏の早朝にお粥を炊き、それから畑に行って一仕事。家に帰っていい具合に冷めた冷たいお粥をすする、というのが一般的ですけれど、熱々のお粥も捨てがたいものです。
寒いので、給食の牛乳が毎日大量に余って、これを先生方が職員室の冷蔵庫に保管されるのですが、3日ほどで冷蔵庫がぱんぱんになります。暑い時期だと放っておいてもみんなが飲むので減るのですが、この時期はそうもいきませんので、職員室の担任こと教頭が処分することになります。

お粥をいただいて帰る道々、いったん家に帰って、夜になったら職場へ行って牛乳の始末をするか、と考えていたのですが、どういうわけか、気が変わってそのまま職場へ直行したのでした。車を降り、玄関を入ろうというところで、何やら怪しい人が近づいてくるので、顔を合わせないようにして中に入ろうとしたら声をかけられてしまいました。それも、懐かしい声を。
思い起こせば15年前、当時、市内で最もあれが激しいと言われた職場に異動した際、誰も受け持とうとしない学年を担当することになった私。怪しい人物は、その学年の主任を務めていた先生だったのです。今から2年ほど前、突如仕事を辞められて一切の消息がないままでしたので、再開に大喜びしたのですが、頬はこけ、やつれきったそのお姿に驚かされました。

日々の業務に欠かすことのできない相棒、天窓くん。これを横着棒などと呼ぶ人も少なくないのですが、ほんならあんた、横着せんと戸締まりして回ったらどうやねん、と言いたくなります。件の先生は、この天窓くんの開発者なのです。毎日消耗しきるような日々、それでも、少しでも先生たちの負担が軽くなるように、と常に考え、実行していた先生でした。
伺えば、2年前の7月、膵臓がんで余命3ヶ月と告知されたものの、奇跡的に抗がん剤がよく効いて今日まで命をつないでこられたとのこと。私の職場に訪ねてこられたのも、ご自宅周辺の掃除をするのに便利な道具を作りたいから力を貸りにきた、ということでした。
それにしてもピンポイント。私が職場に着いたとき、その先生も車で構内に入ってこられたのです。もし、気が変わらなければ、そのとき私はそこにおらず、先生とも再会できなかったわけです。何か大きな力が先生に引き合わせてくれたのだ、と思って、柄にもなく今夜はしんみりとしております。
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