青龍殿
よほど眠たかったのか、ひっくり返された状態のまま目を閉じてじっとしている「ちち(仮名)」さん。彼女は自分でこの姿勢になることも、ここから元の姿勢に戻ることも上手にはできません。けれど、やはり背骨をつけた姿勢というのは気持ちが良いものらしく、何事もなければしばらくの間はこうして寝ているようです。
彼女はまだ若いだけあって、物音その他に対する反応も鋭いので、ちょっとしたことで目を覚まします。そして、何とか元通りになろうともがきまくって、運が良ければうつぶせの状態に戻れるのです。
部活動の引率をしなければならない妻と荷物を送り届けて、体が空いたのが朝の8時過ぎ。せっかくレンタカーを借りているので乗り倒してやろう、というわけで、東大阪から京都まで、高速道路を使わずにゆらゆらと走ってみました。国道1号線をまったりと流して京都市内に入り、清水寺をかすめて山道を登ると、京都の絶景スポット、将軍塚です。
五山の送り火を見るのに絶好のスポット、という話は聞いたことがありますが、祇園祭とか五山の送り火とか、そういう行事が行われると京都は人の塊で身動きできない、と思っているので、これまで来たことがありませんでした。
以前、妻と京都市内を歩いていたとき、四条大橋だったかどこかで山の上に輝く大屋根を見て、あれは何だろう、と話していたのです。調べてみれば、そのあたりが将軍塚と呼ばれるところで、そこにはお寺がある、ということを知りました。
平安京を造営する際、人形に甲冑を着せて埋めた場所、と言われている将軍塚ですが、そのすぐそばに、北野天満宮前にあった京都府警平安道場を移築したものです。もとが道場ですから、中はだだっ広く、その奥にご本尊(の複製)が祀られています。ご本尊そのものは、この建物の奥に新築された奥殿に安置されているということです。
そしてその裏手には、清水寺のそれに対して4.6倍の広さを誇るという大舞台。京都市内が一望できます。交通が不便なところで、一応バスも走ってはいますが、観光客であれば実質、タクシーで来るしかなさそうです。そういう観光客を案内している運転手さんのお話を小耳に挟んで、あぁ、あそこがそうか、などと眺望を楽しんでおりました。
今の時期限定で、大舞台の中央にガラス製の茶室が展示されています。
夏場など、このガラスの腰掛けに座ると冷たくて気持ちよさそうです。果たして実際にこの茶室の中で「お茶」ができるのでしょうか。写真のベンチには座ることができませんが、この茶室の周りには触れたり座ったりできるガラスのベンチが何脚か置かれています。実際、座っている方もありましたが当方はあまりに冷たそうなので遠慮しておきました。期間限定展示、ということですが、既に1年近く展示されているようです。まだの方、お早めに。
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