ジャンク
深夜、飼い主が撮影のために炊いたストロボに反応して少しだけ目を開けた「くま(仮名)」さん。明日は自分が担当する教科の中間テストですが、今回は少し早く、午前2時過ぎに問題作成を終えました。いつもは払暁と言うべき時刻まで粘っていることを思うと、ずいぶんと早い仕上がりです。
中間テスト1日目にお休みをいただきたい、という申し出があったので、一度できあがった時間割をいじって試験監督の割り振りを変更したのが1週間ほど前のこと。お休みをされる先生が気を遣って「明日、休みます。試験監督の割り振り、大丈夫かな・・・・・」と同じ学年の先生に声をかけた、それが、すべての始まりでした。
試験問題ができあがると、クラス分ごとに試験監督の先生の名前などを明記した封筒に入れて保管し、テスト当日、試験監督の先生に「監督よろしくお願いします。」と手渡す、という流れになります。修正された時間割を配るより早く、試験問題を収めた封筒に「表書き」していた先生がいたならば、本来の試験監督ではない先生に試験問題が手渡されてしまう可能性がありますが、普通は「最終確認」ということをするのが常識ですから、それほど大騒ぎすることではないはずです。
しかし今日は様子が違いました。試験監督なんてものは、一旦決めたら変更すべきではない、と超ベテランの先生が言い出して、そこから話がふくれあがり、だいたい、ちょくちょく時間割が変更されること自体が問題である、ウチの学校は時間割をいじりすぎる、という話になったのです。
実際、金曜日のお昼に「来週の時間割できました!」と先生方に配ったものが、その日の夕方には使い物にならないほど変更されている、なんてこともあります。私の勤務している学校はさまざまな「役付き」の先生が多く、各所からの出張依頼が山のように届くのです。今の時代、先生がいない状況で生徒だけが教室で勉強している「自習」というものは認められませんから、どんなに困難であっても、時間割を変更しなければならないのです。
しかし、大ベテランの先生のご意見は違っていました。時間割の係である私が、さまざまな時間割変更の要望に対して「安請け合い」しすぎることが一番の問題である、というわけです。出張するから時間割を変更してね、と言われたときに、ホイホイと請け負うのではなく、「その出張、できたらやめてください。」くらいのことは言うべきだ、とおっしゃるのです。
さすがにそれは、「いやいやいやいや・・・・・」です。キラ星のごとく立派な先生が居並ぶ中、ただ一人浮いている、いや沈み込んで泥の中に潜っているような私ごときに、そんな偉そうなことが言えようはずもありません。出張依頼文書が届いたときに、その出張を認めるかどうかは校長の権限であって、校長が認めている出張を一介の時間割係ふぜいがどうこうできるわけがないのです。
加えて、昨今はどなた様もみな忙しいらしくて、出張依頼文書がギリギリに届くことの方が多くなってきています。早め早めに時間割を変更しておいても、「あさって、出張やねん。時間割変えて頂戴ね。」と言われるなんてのは普通にあることで、もう慣れっこになっています。
そこら辺のことで大ベテランの先生と押し問答になり、気がついたらとげとげしい言葉を吐き捨てて職員室を飛び出しておりました。興奮して鼻血を出さなかったのが何よりでしたが、半日以上経っても胸の中にあるどんよりとしたものは大きくなるばかりです。すべては自分が時間割を作るのがヘタで、そのことで周りに迷惑をかけているかと思うと大変に情けなく、半日上もテスト問題作りに着手できずにあれこれと思いを巡らせておりました。
ほんま、自分ってジャンクやなぁ・・・・・と情けなく思いつつ、みんな退勤して静かになった職員室でテスト問題を作ろうと教科書を開いたら、そこにはアヘン戦争の説明と図版が・・・・・あぁ、これぞ本家、ジャンク船ですね。
声がデカイ奴が「例え実力がなくても」罷り通るというのは、職場ではよく見られる光景です。そんな奴にはいつも「じゃあ、お前がやれ!」と「心のなかで」叫んでいます(笑)。言い負かしても自分のレベルが相手と同じと見られるのが嫌なので。
投稿: すいどう | 2015年5月31日 (日) 19時57分
すいどう さん
言い負かすこともできませんので、時間割をいじることそれ自体をやめることにいたしました。これまではすべての先生、すべてのクラスについて、授業の時間数がきれいに揃うように腐心してきたのですが、これからは最低限の補充だけを行うようにします。そうすれば、時間割がころころ変わることもなくなるでしょうから。あわせて、誰が何と言おうと、ギリギリまで時間割を発表しないようにしたいな、と。
投稿: つきみそう | 2015年5月31日 (日) 23時45分