« もみぢ | トップページ | ただ乗るだけ »

2014年11月29日 (土)

あとのまつり

20141129_002628

 自分も眠たいけれど、これだけよく寝ているワンコの写真も撮っておきたい、そう思って半分夢の中で撮った1枚だったような気がします。深夜のリビングルームで、ふと目覚めたときに、スゥ~、スゥ~という気持ちよさそうな寝息が聞こえてきたのです。寝息の主はもちろん「くま(仮名)」さん。ときおり、おやつをくれない飼い主に抗議している夢でも見ているのでしょうか、ワン、と小さく吠えることもあります。

 私もワンコたちもみんな眠りに落ちていたというのに、テレビは白黒の時代劇やってますし、照明も煌々と点いたままです。お互い、こういう環境でよくもこれだけ眠れるものです。テスト問題を作るのに追われて、その最中に動かなくなったPCの再生に時間をとられて、ようやく迎えた週末はカーニバル。そう、祭典ならぬ採点で多いに盛り上がりましょう、という、世の先生たちにとっては至福の時がやってきたのです。

20141130_003942

 手近にあった水色の封筒の上に、私の職場で使っているPPC用紙を2種類並べてみました。普通に使うのはもちろん右側。再生パルプをたくさん混ぜた、お前、ゴンボ(牛蒡)と一緒に風呂入ったんか? というほどに浅黒い紙です。これでも、普通学校で印刷用に使われる更紙(いわゆる「藁半紙」)よりもよほどマシなので、問題用紙は更紙、解答用紙はPPC用紙に印刷することが一般的です。

 お値段はそれほど変わりませんから、コスト的には左の真っ白な方を使ってもいいのですけれど、お役所が白くて綺麗な紙を使っていると市民からの苦情がものすごいことになるので、たとえ値段が高くても浅黒い再生紙入りのものを使う、ということになっているのです。実際、再生紙入りのPPC用紙が不足して価格が高騰したときには本当に難儀しまして、最終的には「これこれの事情でこんな紙使わせてもらってます・・・」なんて断り書きを入れた印刷物を生徒に持って帰らせたこともありました。何にも考えず調べもせず、TVで見聞きしたことや思い込みだけで苦情を言える人が本当に羨ましく、また腹立たしく思えます。

20141130_004249

 上は、私の愛用するPILOT823コースニブ付き萬年筆でマルを打ったもの。下はおなじみ、学校の先生のマル打ちといったらこれでしょう、というプラチナの採点ペンでマルを打ったものです。妻は定期テストには採点ペン一本槍なのですが、その理由は筆跡が太いからというもの。そんなに違わんだろう、と思っていて、実際比べてみるとだいぶ違います。

 ただ、萬年筆でマル打ちをするときには、逡巡というものがあってはなりません。少しでもペン先をひとつところに留めると、赤インクの海ができてしまいます。それに対して採点ペンの方は、少しぐらい立ち止まってもさほど大げさなことにはなりません。よく見ると、採点ペンの方はチップの先端が黒くなっていますが、鉛筆で書かれた解答の文字や印刷された解答欄の線などをこすりまくっているうち、このように色が付いてしまうのでしょう。使い込んでいくとペン先がより太くなり、交換しなければ使えないようになるそうです。

20141130_004406

 私が採点ペンを使わないのは、ひとえに素の「音」に原因があります。ペンで紙をこするわけですから、何でやっても音が出ますが、フェルトを固めたようなペン先で紙をこするときの音がどうにも好きになれないのです。興味の菜k人や気にしない人が聞いたら、たいして違わないと思うのでしょうが、シュルシュルという音には、すりガラスをひっかいたときの音にもつながる気持ちの悪さを感じてしまうのです。

 萬年筆を使おうがどうしようが、採点という作業は苦痛以外の何者でもありません。マルやペケなどを大量に書くこと、そしてそのマルの数を数えて点数を計算すること。この点数を読むのを採点といい、その前の段階はマル打ちと言うのだ、と古い先生に教わったことがありますが、どちらも嫌いな作業であることに変わりはありません。

20141130_004411_2

 プラチナの採点ペンには、萬年筆用とそっくり同じ形のカートリッヂを使います。ちゃんと例の玉も入っているのですが、なぜか少しだけピンクがかった色のインクが詰められていますので、それを嫌って萬年筆用のカートリッヂを使っている人もいました。それをするとペンに良くないから絶対にするな、などと書いてあるのですが、その先生は何十年もそういうことをやってきてなんの問題もなかった、と主張されています。

 そもそも採点ペンというもの、調子が悪くなったらインクフィードと一体になったペン先チップをすっぽり取り替えてしまうのですから、インクが原因で何か具合が悪くなっても、それがインクによるものか、ペン先の摩耗その他によるものかはわかりづらいことでしょう。いろんなやり方はありますが、おそらくこの週末は、全国の先生方が赤ペンをふるっていることだろうと思います。

20141130_004350

« もみぢ | トップページ | ただ乗るだけ »

コメント

多くの一般大衆は「何にも考えず調べもせず、TVで見聞きしたことや思い込みだけで」行動しています。いまに始まった話じゃない。TVのない20世紀のドイツでもそうでしたよね。

 くーべ さん

 人間は自分に似たものを憎むと言いますから、私も同様
なのかもしれませんが、そう思ってはいても憎んでしまい
ますね。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あとのまつり:

« もみぢ | トップページ | ただ乗るだけ »

2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    

最近のトラックバック