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2012年11月 5日 (月)

流されるまま

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 にゃんこ先生とのツーショット、という写真を撮ろうとする飼い主のヤラセに付き合わされている「くま(仮名)」さん。お座りとか伏せとか、そういうことはあまりやらないのですけれど、声をかける人の手に食べ物があるときだけは別です。片手に乗るような小さな頃から、本当に食べ物にだけは敏感に反応する子でした。彼女にしてみれば、家族と仲良く、楽しく暮らすことが出来て、おいしいものがもらえればこの上なく幸せ、ということになるのでしょう。ある意味、真摯な生き方ですね。

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 10月1日に流されてしまった木津川流れ橋。左岸となる八幡市側から見たところです。橋のたもとはすでに堤防の外側(川に近い方が堤防の外側です)で、実際に川の流れから市街地を守ってくれる堤防よりも低い位置にあります。ですので、堤防の高さに迫るような水が出たときにはこの橋全てが完全に水の中ということになります。

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 全長350メートルを超えるこの橋は、橋桁は八つのユニットに分割されていて、それぞれのユニットがワイヤーで橋脚に係留されています。復旧する際には重機で橋桁を持ち上げて橋脚に載せるだけでOK、となるわけですが、今回はいろんなものが流れてきて橋脚に絡んでおり、それらの撤去も必要とあってあまり復旧が進んでいないようです。

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 法事からの帰り、妹の子供たちにこの橋を見せようと立ち寄ったらこの有様で、それを見た妹は「なんでこんな橋にしとくの?」という疑問を口にしておりました。大水が出るたびに流れてしまうような橋に存在意義なんてあるのか、という当然すぎる疑問ですが、これでも地元の人にとっては便利な生活道路です。この橋が出来るまでは渡し船で川を渡っていたそうですが、堤防から堤防まで本格的な橋を架けようとすると、おそらく400メートルを超える立派な橋となり、費用も相当なものでしょう。何より、日本一の長さを誇る流れ橋ということで地元の愛着も深いものですから、そう簡単になくしてしまうわけにもいかないのでしょう。

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 この橋には固定ファンも多くいます。私の車を見て「兄ちゃん、奈良のどこや?」と声をかけてきたおぢさんは、よくよく聞いてみればご近所の方でした。この橋が大好きで、しょっちゅう見に来てらっしゃるのだとか。一緒にいるたくさんのおぢさんおばさんたちはと聞きましたら、これが地元の方々。あまりにしょっちゅう橋を見に来るので、すっかりお友達になってしまったのだそうです。橋が人を呼び寄せ、人と人をつないでいるのですね。そう考えると、流されてばかりの橋ですけれども、やっぱりこの姿でここになくてはならないのだと思えてきます。

 何度も流されながらもゆるぎない存在感を持ち続けているこの橋を前にすると、 実に半世紀もの間、ふらふらと流され続けて惰性で生きてきた私はとても恥ずかしくなります。難儀やなぁと思いつつも、どうすることも出来ず、またどうするつもりもなく、このままいつまでも、どこまでも流されていく私。あきまへん。もうちょっとしっかりしないと、生かされている意味がありませんね。心がバカになったときには、また流れ橋を見に行こうと思います。

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コメント

うーん、つきみそうさまは御自分に厳しいのですね。流されようと何だろうとこんな難しい時代に後進の育成という非常に困難且つ報われない事を生業として励んでおられる事自体充分ご立派だと思うのですが…。

 すいどう さん

 もし私が営業職だったら・・・なぁにひとつ売れないでしょうね。そういう意味ではこの職業で良かったのかもしれません。今すぐ結果を、なんて求められることがない仕事ですから・・・・・というのは過去の話になりつつありますね。これからの時代、この業界でもすぐに目に見える結果を求められることになります。すでにそういう風になりつつあって、うちの子の成績が悪いのを明日にでも何とかしろ、なんてことを平気でいう保護者も少なくないのです。ずばり、先生招いての同窓会って、この先、減るのじゃないかと思ってます。

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