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2012年11月 6日 (火)

つまらないペン

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 首輪に噛みついている「ちち(仮名)」さん。長女が散歩に連れ出すために首輪をつけようとしても、興奮のあまり暴れまくってうまくつけられない、という場面です。見えているのは私の手で、こうして首輪を噛ませて気をそらしてからササッと巻き付けるという作戦が成功しました。いつもは目をそらすカメラにも気がついていませんね。

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 シェーファーのルックオブレザー。握った感じもペン先の滑り具合も最高に好みなのですが、ある時期からインクの詰まりがひどく、ほとんど書けない状態で放置されていました。某ペンドクターにお願いして高圧空気でバスッとやっていただき、一度は改善したかに思えたのですが、どうも詰まった部分の一部が貫通しただけだったようです。わずかに空いたインクの通路にまたもインクが詰まって、再び「革張りっぽい棒」に逆戻りです。

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 何度も洗浄を繰り返した後、もう色水も出なくなったというところでアルカリイオン水を首軸に入れて見るとこの通り。首軸の内部にはまだまだたっぷりとインクが残っているようです。根気が続かない私ですが、意地になるのは得意です。首軸にたっぷりとアルカリイオン水を入れ、おまけに超音波洗浄機の洗浄槽も同じ液体で満たしてスイッチオン。何度も何度も洗浄を繰り返します。

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 さすがにボンッという音こそしませんでしたが、半流の方の萬年筆を洗ったときのような見た目。黒いインクだけではなく、なにか油っぽい感じのものも浮いています。放置していた間にインクが変質してしまったのかとも思いましたが、それ以前からの汚れのようにも思えます。

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 10分ほどで自動的にスイッチが切れるのですが、その時点でこんな様子です。ほとんど首軸が見えなくなっています。ここで水を取り替えて同じように洗浄すると、洗浄槽の中は再び真っ黒になります。しつこい汚れが少しずつ、少しずつとれてきているということなのでしょうが、この調子でいくとどのくらいかかるのでしょうか。

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 おなじみ、こちらの方にも登場していただきました。顔料インクを使っているわけではないので、本来ならこの方のお世話になる必要はなさそうなものですが、インク関係の汚れ全般にお強いということでお願いしてみました。アルカリイオン水を使ったときにも増して黒い水がどろどろと出てきます。

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 タバコをくゆらせたときのように、インクがゆらゆらと出てきます。ロットリング洗浄液でこういうことをしますと、材質によっては色が変わったりすることもありますので、大切なペンではやらない方が賢明です。このペンの場合、放っておいても使える見込みがないわけですから、いわゆる生け贄状態で実験を兼ねての洗浄です。

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 おかげさまで、見事書けるようになりました、と報告したいところですが、世の中そんなに甘くはありません。この記事を書いている今も、超音波洗浄機はブーンと鈍い音を立てて運転中です。果たしてこのペン、再び書けるようになるのでしょうか。じっくりと洗浄を続けたいと思います。

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コメント

今思い出したけど、学生時代の実験の時
ガラス機器の洗浄に重クロム酸ナトリウムの
水溶液を使った事を思い出した。
濃度は何規定だったかなあ?
ボディは木工ボンドを予め塗っておくと。

 マオぢぃ さん

 昔懐かしい六価クロムのお仲間ですな。怖い怖い。

間尺に合わないので、ニブ・ユニットを分解してしまってから洗浄しては如何でしょう。

首軸をゴム板で握り、ネジ切りしてある部分を別のゴム板で握って左方向にねじれば、まずネジの切ってある金属部分が外れ、ペン芯も抜けると思います。

インレイド・ニブって、かならず真ん中のダイヤ部分のプラスティック部分にジワ~っとインクが浸透して、いつまで洗浄してもインクが落ちないんですよね。

 monolith6 さん

 実はこの個体、異様にその辺りが固いのです。首軸にはペンチで挟まれたときについた歯形が残っています。ゴムで挟んだのではとても回らなかったので、壊すのを覚悟でゴムの上からプライヤーでつかんで回そうとしたのですが回りませんでした。呉のペンドクターNさんも回すことが出来なかったようで、故に高圧空気でバスッとやってくださったようです。

 貴重なロットリングクリーナーをたっぷり使っただけのことはあって、おかげさまで・・・・・という結果になりました。少なくとも今日のところは、というのがつきますけれど。

ロットリング洗浄液は持っていませんが、プラチナの洗浄液は時々使っています。こちらの方が一応万年筆専用なので万年筆には優しいのかも…とは思っていますが真実や如何に!?好きな量だけ使えるという意味ではロットリングの方がコスパは良いかもしれません。

 すいどう さん

 ロットリングクリーナーでは以前、セーラー・プロフィットを漬けておいて首軸のリングが真っ白になる、ということ経験していますので、あまり優しくないのだろうなとは思います。プラチナのはいいのですけれど、地方では売ってませんねぇ。

私はもっぱらアスコルビン酸(ハイC錠剤)を使っています。レポートではブルーブラックインクの汚れがとれるとのことでしたが、黒インクや特に掃除がやっかいな赤インクにも効力抜群です。ロットリング掃除液とは違い、成分と作用機序が明白なのも安心です。何よりもまず、人が口に入れるものですから、万年筆にも優しいだろうと思います。

 yerkes さん

 それ、遣ってみたいもののひとつです。あの錠剤を溶かして使うというところも面白そうです。いろいろある中で、はて、どの錠剤が良いのでしょうか。

蟄居閉門の身の上なので投稿は憚られますが、ご参考まで。
これと同じモデルのSheafferは所持していないので分解経験はありませんが、首軸のシェル部分は、中のペン芯の向きを一定方向に揃えるため必ず接着剤で固定してあるハズです。
少なくとも同じインレイドニブのPFMでは、松脂とヒマシ油を混合して生成した接着剤が使われており、ヘアドライヤーなどで摂氏60度に加熱すれば軟化開放できます。(耐熱温度計必須の作業)
Sheaffer製品は、分解修理を容易にするため必ず加熱開放出来る「松脂接着剤」か「シェラック」が使われているはずです。
ただし、再度組み立てる際に位置あわせのため再び接着が必要になります。(シェラックで代用出来ます)
忘れてはいけないアドバイスとして、つきみそうさん自ら分解されるのはお勧めできません。

ビタミンC含有と書いてあれば、どこのメーカーのものでも大差はないでしょう。私はカートリッジ式愛好なので、ビタミンC500mg含有の錠剤を50mlの遠心チューブのぬるま湯に溶かしたものの中に首軸を入れてそのまま一晩放置というのがいつものやりかたです。錠剤は砕いてから投入していますが、顆粒タイプならこの手間を省けます。ペン先のくすみなどもきれいになりますよ。

 Mont Peli さん

 ご教示ありがとうございます。何より私は人並み外れて不器用ですので、もとより分解しようなどとは考えません。軽くひねって外れるならば外したいな、ぐらいでして、それ以上のことは怖いのでやりません。

 アメリカ的な設計思想というか、合理的ですね。普通の人が普通に使う分には外れないが、専門家がそれなりの器具を使えば外せる。ある意味フェイルセーフですね。

 yerkes さん

 わざわざありがとうございます(とかいいつつ回答期待してましたが)。

 休日にドラッグストア巡りかな。

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