おしぼりの日
ワンコは賢いので人間の言葉を覚えます。同じ単語でも、文脈や言葉が使われている状況の中で判断することも出来るようです。立ち上がって「まぶしいにゃぁ」と目を細めている「ちち(仮名)」さんの場合は、「さんぽ」とか「ごはん」などの単語には無条件で反応します。親が子供たちに向かって「何かあげなさい」などと言うのを聞くと、それおやつが来る、と臨戦態勢を取りますが、そうではないシチュエーションで「あげる」「やる」なんて言葉を使っていても無反応。消化管が肉と毛皮で巻かれている生き物、なんて馬鹿にしていますが、なかなかに賢いのです。
たしか、もう見られないはずのこの光景。手前のテーブルあたりに透明のがっちりしたパーティションが作られて、タバコのみを隔離するようになってしまいました。これこそが聖地「おしぼり喫茶」こと、神戸にしむら珈琲店梅田店です。注文を取りに来た店員さんは伝票に書き込んだり小型端末に打ち込んだりはしません。ただただ数人のお客の注文を聞き、しっかりと覚えて帰っていきます。冷コー、何もなしで・・・・・と注文してシロップ入りの甘いのが来た、ということが一度ありましたけれど、ほぼ確実に注文通りの品が来ます。
今日10月29日は、10(てを)29(ふく)からおしぼりの日だとか。おしぼり喫茶のおしぼりはこのような白いタイプで、インクのついた手など拭こうものならはっきりくっきり青や黒に染まります。
タバコが吸えるから偉い、と親方にも褒められた名古屋のコメダ珈琲では、こんな感じの茶色いおしぼり、それもお店の名前入りのが出てきたと記憶していますが、私の住んでいる近所にあるコメダでは紙のおしぼりです。
そういえばこのエリートも、おしぼり喫茶で調整してもらったのでした。このあたりのペンを使っていると、最近のものはバカらしくて使う気になれません。安価で性能が良く、耐久性も決して犠牲にされていない、そういうペンを作れるだけの技術があるからこそ最近の豪華なものが作られているのだということはわかるのですが、主力となるカスタム系でもう少し艶っぽいというか、ヘンタイも喜ぶというペンを出していただけると嬉しいのですが、ま、出してもきっと売れないのでしょうね。
近くの阪急百貨店や阪神百貨店で買ってきた萬年筆を持っておしぼり喫茶に入ると、することは決まっています。まずはペン先の品定め。これはあたり、これは微妙、こいつは外れなど。とはいえ国産なら、たとえ外れと認定されてもそこそこのレヴェルまでは持って行ってもらえます。おしぼり喫茶の決して大きいとはいえないテーブルの上で、ちょいちょいと「いらんこと」をしてもらうだけで、見違えるようなペンになるのです。
おしぼり喫茶のおしぼりは萬年筆のインクで真っ青になる、なんていう都市伝説がありますが、それはウソです。おしぼりは手を拭くものですから、その手にインクがついているとおしぼりにもインクがつく、というだけのことです。顔や首筋はおろか、脇の下とか胸とか、そういうあたりまでガシガシと拭いているおじさまたちと一緒だとは思われたくないものですね。おしぼり喫茶でくつろいでいるのは、「良識ある」ヘンタイさんなのですから。
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この「良識」という概念はとても解釈が難しいですね。
とある万年筆関連のサイトを覗いてみたら恐らくWAGNERの事だとは思うのですが酷い書かれようでした。
曰く「非常識団体」、「同じ場所に居るだけで吐き気がする」、「○○で連中を見掛けた。この地も汚された」等々。正直言うとかなりショックを受けました。
私も良識に沿って活動しているつもりなのですが、いつの間にか他人に嫌悪感を抱かせる様な行動を取っているのかもしれません。
客観的に自分を見る事が出来る様に今後は更に慎重に活動したいと思います。
投稿: すいどう | 2012年10月30日 (火) 21時54分
すいどう さん
私はWAGNER会員で、森さんもよく知ってるのだ。だから値引きしてくれ、とか、他のお客さんに対して「そんなことも知らんのか!」と言ったりそういう態度をとったり、あと、集団でお店を訪ねるという行為も嫌われるようですね。
吐き気がした例としては、産まれて初めて萬年筆を使うという人に必死になってモンブランの2桁をすすめる人を見たとき、なんていうのがあります。そういう人はいかに萬年筆に詳しくとも尊敬できませんね。
ちなみに当ブログも嫌われてますねぇ。私らが出入りする店には行かないようにしている、なんて公言されているブログなんかもいくつも見ます。そう書かれるとよけいに虫が騒いで、私ゃワグナーでっせ、と宣伝しちゃいますけど。
投稿: つきみそう | 2012年10月30日 (火) 22時53分