
エスカルゴの助手席で自宅の玄関を見つめる「くま(仮名)」さん。シャンプーから連れて帰ってもらって、ようやく自宅ガレージの到着したところです。彼女は車に乗るのが苦手で、必ずといっていいほど鼻を鳴らしながら運転している私の膝の上にのってくるので、正直困ります。
クルマそのものも大嫌いですが、車に乗せられるということはすなわち医者やシャンプーに連れて行かれる、もしくは最悪の場合、家族が旅行から帰るまでホテルに預けられる、ということも知っているのです。

あ、この風景、見たことある、っていう人も多いのではないでしょうか。来週末に迫ったWAGNER神戸大会、もし二右衛門半(固有名詞)さんが自力参加されるならば、車窓にこの風景を見ながら近鉄特急で難波へ、そこから阪神電車に乗り継いで元町へということになりますね。
近鉄大阪線の榊原温泉口駅下り(伊勢中川方面行き)ホームから撮影したもので、ピラミッド型の屋根をもつ建物はルーヴル彫刻美術館です。自由の女神もまぁフランスつながり、ということなのでしょう。奥には金色の大観音像が見えますが、そこには宝珠山大観音寺というお寺があるのです。

全長108.9キロメートルに及ぶ近鉄大阪線のなかでも、伊賀上津からこの榊原温泉口、そしてその東の大三駅までの区間は山深く、特急列車をのぞくと列車密度もきわめて低い区間です。西青山駅などは年間の乗降客数が一桁という年もあるほどですし、東青山駅もかつて線路が通っていた土地を活用した「四季の里」というのどかな自然公園があるほかは、近くの私立高校の最寄り駅というほどの意味しかないように見えます。
この両駅、その間にある全長5652メートルの新青山トンネルを守るための駅、という性格が強いように思います。営業的には無人駅でもいいはずなのに、どちらの駅にも人がけっこういるのはそういう意味があるのでしょう。

大観音寺のことは知っておりましたが、その手前の妖しいものは何なんだ、とずっと思っておりました。あまりにお天気が良かったので、ついふらりと電車に乗って、気がついたらいつものように宇治急に乗っていたのです。しかも本日の宇治急は5200系というおまけつきでご機嫌でしたので、榊原温泉口でいったん降りて妖しい風景を撮影し、駅員さんにアレは何ですかと尋ねて積年の疑問が解けたというわけです。

大三駅から伊勢石橋駅あたりになると、再び風景が開けてきます。このあたりは三重県一志郡、かつて松阪から名張を目指して建設が始められ、伊勢奥津で途切れてしまったJR名松線と最も接近するあたりで、またも車窓に妖しいものが現れます。
伊勢中川方面に向かって右手の車窓に、一瞬、ピラミッドが見えるのです。これを過ぎるとすぐに川合高岡駅、そしてその次の伊勢中川駅までが大阪線、そこから先は山田線となります。

これはぜひ調査せねば、と伊勢中川駅に降り立ったその刹那、大阪方面行きの普通列車がホームを出て行きました。次の列車までは小一時間。それでは日が暮れてしまいますので、変に近代的な駅前からタクシーを雇ってピラミッドを目指そうとするも、あんなに妖しいものなのに客待ちの運転手さんたち、誰もご存じないとか。ちなみに、乗せてくれた運転手さんは上流へ行って川を見るのがご趣味という「川をたく」だとかで、「変わったモン好きな人はよそにもおるんやなぁ。」と感動されてしまいました。

仕方なく川合高岡の駅前で降ろしてもらい、近所の人に聞きまくるも「?????」の連続。ようやくガソリンスタンドのお兄さんに「あ、マックスバリュの裏。何もやってないけどね。」と教えていただいてたどり着いたのでした。マックスバリュというスーパーを背にして撮った1枚です。駐車場の奥に、件のピラミッドが鎮座しております。

左奥、青いクルマとワンボックスカーの向こうに見えるのがマックスバリュの壁。駐車場の反対側、ピラミッドの周辺は、建築関係の資材置き場みたいな感じになっておりました。このブログ記事で取り上げられているほかは、何の情報も見つけられなかったのですが、たしかに、この中には何かがお祀りされているようです。

この中、とにかく乱雑にものが放り込まれている感じで、こんなところにお祀りされたらかなわんだろうなぁ感じです。エアコンの室外機が見えますので、この中に人がはいって活動することもある、あるいはあったものと思われます。

おそらくは地域の人たちが何かをお祀りしているものなのでしょうけれど、普段はこういう状態、あまり手がかけられているとは思えません。夕日を浴びて輝くこのピラミッド、何かうら寂しい感じすら漂います。手前のゴミが何とも、ですね。
まぁそれでも、片道1300円ほどの電車賃であぁだこぅだと遊べたんですから、良しとしなければいけないのでしょう。晴天に恵まれたみどりの日は、こうして暮れていったのでした。

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