いぶし銀
タイトルと正反対の表情をみせる「くま(仮名)」さん。犬の知能は3歳児程度、などと言われますが、なるほど、こういう可愛らしい表情を見せては「かわいがってやらねば、世話してやらねば」と思わせるあたり、3歳児にも通じるものがありますね。我が家の2頭に限りませんが、犬というものはなぜ、「くぅん、くぅん」と鳴くのでしょう。あの声を聞くと、一発でやられてしまいますね。
亡くなった父は、家ではほとんどしゃべりませんでした。たまに口を開いても、低い声でボソッと、必要最低限のことを言うだけでした。あるときテレビで、ゴルフの杉原輝雄プロを見て、なんと父に似た人もいるものだと思いましたが、聞くところによると父と同い年。私の記憶にある父と同じくらいの歳になりましたが、人間とは、憧れるものから遠ざかるように成長していくものなのか、と思うばかりです。
この日の記事に登場した萬年筆。二右衛門マスターから、おそらくはプラチナのリビエールであろうとコメントをいただいて名前を知った1本です。お世話になっている名古屋の渋~い社長も同じものをお持ちなのですが、そちらは漆を塗ったように黒光りをしております。
聞くところによると硫化液につけては磨き、と繰り返した結果だとか。硫化液の誘惑に負けそうになることもあるのですが、やはり銀製品は自然にくすんでこそ。美しくくすみ、黒ずんだ銀軸は歳月の賜物、と、私にしてはめずらしく我慢をしているのです。
これです。琳派の絵師が描いた襖絵みたいになっておりますね。銀色の部分は見事に黒くなり、金色の部分も沈んだ感じになってきております。名古屋の社長が手に取らないように死守すべき1本です。
ピカピカに磨き上げてしまうと、このペンの軸やキャップに施された繊細な模様が、単に表面が荒れてがさがさになっているかのように見えてしまいます。こうして落ち着いた色合いになって初めて、あぁこんな模様だったんだ、何とすばらしい、と思いました。手に入れたときは何とも思わず、それほどの愛着もなく、引き出しの片隅に放置してあったからこそ、この風情が出てきたというのは、何とも皮肉なものです。
そして何より、おぉいい具合になった、と頻繁に使ってしまうと、どうなるかわかりません。磨けてしまう部分も出てくるでしょうし、もっといい感じになる部分もあるかもしれません。触らずに放って置いたら偶然いい感じになった、というものだけに、普段使いするのがためらわれます。
ここしばらくはこれまでと同じ環境で保管しつつ、インクが固まらない程度に使っていくようにしようか・・・・・などと考えていて、思い出したことがひとつ。これは私のペンではなく、妻の萬年筆だったのでした。
コメント
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ほ~2年の歳月は渋い汚れ方に変貌を遂げておられますなぁ~磨いて良し燻して良しの見事な一本だと想われます。是非この手に取って触ってみたい誘惑にかられます(笑)
投稿: 夢待ち人 | 2010年9月 7日 (火) 06時48分
おそらくじゃなくてもリビエールでしょう。
この時代のペン先は、現在の物よりは柔らかいらしいですね。
うらやましいところです。
名古屋の社長がさっそくコメントをよせられていますな。
早っ!
投稿: 二右衛門半 | 2010年9月 7日 (火) 07時38分
ちょこっと教えてください。
本文中にある硫化液と言うのはなんですか?
硫化ナトリウムの水溶液?
だったら危険物だと思うけど、一般市民はどうやったら手に入るのだろう?
水溶液に塩酸とか硫酸を入れると、最近問題になっている
硫化水素がでてくると思いますけど?
投稿: マオぢい | 2010年9月 7日 (火) 07時59分
夢待ち人 さん
だめです、ぜったい。磨かれてしまいますぅ・・・。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 08時49分
二右衛門半 さん
はい、写真にもキャップのRっていう文字が写ってますし。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 08時50分
マオぢぃ さん
文系なのでわかりまへん。
ハンズなどのクラフトコーナーなどで売られてます。ジュエリーを磨く布とかがあるコーナー。確かめて教えてください。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 08時52分
何か記憶が、、と思ったらムトーハップだった
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E4%B8%80%E3%80%87%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%97#.E6.88.90.E5.88.86" rel="nofollow">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E4%B8%80%E3%80%87%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%97#.E6.88.90.E5.88.86
今は販売していないらしいが、思った通り、、、、
投稿: マオぢい | 2010年9月 7日 (火) 10時19分
マオぢぃ さん
そう、そのたぐいのものです。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 11時15分
大熊猫というものはなぜ、「わん、わん」と鳴くのでしょう。
投稿: くーべ | 2010年9月 7日 (火) 20時03分
おお、わたしのは、もう少し金色の面積が少ないような気がしますが、ぼろくその革ペンケースにいれていたら、
指でこすると真っ黒い粉がくっつくほどになってました。
ちょっとやばい。
ので、その中華ペンケースから銀は3本とも救い出しました。
なめした薬品でも残っていたのでしょうかねえ。
投稿: 白髪猫 | 2010年9月 7日 (火) 21時20分
くーべ さん
ええっ? 大熊猫というものは、山羊が馬のヒヒーンというのを物まねしたような鳴き声を出すのではないのですか?
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 21時28分
白髪猫 さん
まぁ写真の撮り方もありますからねぇ。金色の部分の面積、同じようなモンではないでしょうか。似たような模様なのによく見るとちょっと違う、というのがあったような気がしないでもないのですが、それなんでしょうか。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 21時29分
なめした皮は知りませんが、プラスティック製品と一緒に
銀製品を容器に入れておくと銀製品が黒くなるようです。
タブン、プラスティック/ゴムに入っている安定剤にイオウが
含まれているからだと思います。
投稿: マオぢい | 2010年9月 7日 (火) 22時54分
マオぢぃ さん
いいことを聞きました。さっそく、いろんなパターンで試してみようと思います。
投稿: つきみそう | 2010年9月 7日 (火) 23時07分