ちょっとカジった・・・
とりあえず目につくものはかじってみる、それが「ちち(仮名)」さんの基本方針です。まぁそれがワンこというものでしょうけれど、彼女は特にガシガシかじりまくってストレスを発散するタイプのようです。
かじられているキャップは、ケージを構成する金属棒の先端部で犬が怪我をしないようにかぶせられているものですが、すでに表面がボコボコになっております。それでも破れたりせず、しっかりと役目を果たし続けているあたり、さすがペット用品大手の製品、と感心させられるところです。
モンブラン・ノブレスと思われる萬年筆。中学から高校にかけての頃の私は、暇さえあれば近所のダイエー(懐かしい!)に行って、文具売り場のガラスケースをのぞき込んではため息をついておりました。そこに鎮座していたステンレス軸のノブレスが猛烈にかっこよく見えて、欲しくて欲しくてたまらなかったのです。
年が明けると、そう、子どもの特権、お年玉です。三が日が終わるのを待ちかねてダイエーに向かう私。今日ばかりはため息ではなく深呼吸を一つして、「これください」と胸を張る私。胸を躍らせながらまっすぐ帰宅した私。けれども、愛すべきノブレスは一筋のインクも流そうとはしなかったのです。目の前の白い紙は、下敷きを使わすに書かれたノートの次のページのようでした。
ステンレスのボディにマッチする銀色のペン先。まさしく鋼鉄、何をどうしてもそこからインクが流れ出てくることはありませんでした。買ったお店には冷たくあしらわれ、親にはお前の書き方が悪いからペンがダメになったのだと叱られた、悲しく、情けない萬年筆デビューでした。
某オークションでこのペンを見て、痛い記憶がよみがえりました。どこにもノブレスと書かれていませんでしたが、金張りで金ペン。あの日のノブレスより数段上等なペンです。梱包を解くと、これも重厚な茶色いケースの中に、写真のような状態でペンが収められていました。
「おぉ、何と珍しいコンヴァータだ!ショートタイプでこんなのがあるのかっ!」と胸躍らせながら胴軸を外すと、そこにも見慣れたコンヴァータが挿さっておりました。
さっそく慣れた(?)手つきでノブを回すとあら不思議。ピストンが降りていくのではなくノブがせり上がっていき、ポロリと外れてしまいました。30年の時を経て再び降りかかるノブレスの呪いなのでしょうかっ・・・。
と、焦っているのは私だけ。珍しいコンヴァータに思えたのは、ショートタイプのカートリッヂにコンヴァータのリムが被さっていたもの。おそらくは前のオーナーが、しばらく使わず放置しておくうちにネジがゆるんで外れたものでしょう。何かわからないけれどどっかの部品だからいっしょに入れとくか、ってなことだと思われます。正解は次の写真です。
落ち着いたところでペン先を水洗いすると、真っ青な水が流れ出てきます。色が薄くなったところで蛸壺に浸けること3日。恐ろしいことに蛸壺は真っ黒な水で満たされておりました。
少なくともブルー系とボルドー系のインクが使われていたようです。ボルドーではなく黒インク、あるいはその両方が使われていた可能性も否定できません。アルカリイオン水やらロットリングクリーナーにつけ込んでは超音波洗浄、ということを続けること1週間。ようやく、透明な水しか出てこないようになりました。
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つきみそうさんのところの銀色ノブレスはインキが出てこなかったんですね。
うちの父が購入した銀色ノブレスは、紙にペン先が付いた途端、ペン先から水滴・・・ならぬ、インキの塊が飛び出してきます。
使えませんねぇー(笑)。
投稿: 二右衛門半 | 2009年9月 5日 (土) 08時02分
二右衛門半 さん
そういえば当時はまだ、今ほどモンペリって崇められてなかったですね。パーカーとかが「萬年筆」って感じだったと思います。
投稿: つきみそう | 2009年9月 5日 (土) 08時09分
私もノブレスには、思い出がありますねぇ。
高校生のとき父のお古をもらったのですが、基礎的知識が完全に欠如してたので、何度も落としてリノリウムの床に突き刺さってましたっけ。
投稿: su_91 | 2009年9月 5日 (土) 08時29分
su_91 さん
ノブレスならリノリウムに刺さるぐらい平気でしょうね。これにはまだインクを入れていないのですが、どんな書き味になることやら・・・。
投稿: つきみそう | 2009年9月 5日 (土) 09時35分