かけあし聖地巡礼・山陰編
この時期、月に1、2度しか会わないような人、たとえば散髪屋の大将なんかに必ず聞かれるのが「夏休み、どっか行った?」です。夏休みはけっこう忙しいのだといかに力説しようとも、今は学校が夏休み→この人は学校の先生→いっぱい休めるんや、ええなぁ っていう固定観念というか、世間一般の常識は容易に覆りません。
公立学校に勤める先生は夏休みの期間も給料をもらっていますから出勤するのが当然です。民間企業に勤めていても与えられる可能性のある、いわゆる夏休みは5日間で、これを消化しないとさまざまな圧力がかかります。ならば、と休みをとると、今度は世間の皆様からお叱りを受けます。仕方がないので書類上だけ休んだことにして実際には出勤する、ということが多くなります。
しかしながら土曜と日曜については、休んでいてもお叱りを受けることは少ないので、チャンス、とばかり前々から気になっていた場所を駆け足で訪ねてまいりました。
まずは鳥取駅前の万年筆博士さん。田中晴美さんが工房で轆轤を挽かれているところを拝見することができましたし、渋い先代とイケメンを地でいくような三代目、お二人ともにお会いすることができました。
天の邪鬼な私は、みんなが絶賛する万年筆博士のペンを敢えて避けてきたのですが、お店にお邪魔してサンプルを握ってしまったのが運の尽き。早くて二年待ちというペンを発注してしまうのではないか・・・と怯えつつも、軸の素材、形状、大きさなどまったく決めることができない優柔不断な性格が救いとなって思いとどまることができました。今は眼福をもってよしといたします。
因幡麒麟獅子とお別れして国道9号線を西へ。普通ならここで出雲大社にお参りするのでしょうが、時間が限られておりますので今回は遠慮させていただきました。
数年前に山陰地方を旅した時からすればかなり道路整備が進んでおりましたが、基本的に追い越し不可能な道が延々と続きますので我慢我慢。それでも比較的スムーズに走って松江に至ります。
松江といえば万年筆の中屋さん。じっくり店内を拝見すると、発売されて間もないペリカンの青スケルトンが5、6本。もうすぐ消えるかも?などと噂されている競走しそうなボトルインクも5、6本。さらには初めて見るアウロラのルナ。京阪神でもこれほど品揃えが充実しているお店は少ないと思います。
また、店主ご夫妻にはお忙しい中、いろいろと興味深いお話を聞かせいただくことができました。何もかもネッ上に流れる、というのも風情がありませんので内容はおきますが、昔はよかった、というお話だけではなく、今、お客さんがどういったペンを求められているのか、といったことを的確に把握され、要望に応えられているところに、このお店のすごさを感じました。
おそばも食べて、名実ともにお腹いっぱい、さぁ帰ろうかと思ったところで、松江にはもう1軒、以前から訪ねてみたいと思っていたお店があることを思い出しました。土曜、日曜はお休みということで最初からあきらめていたのですが、念のため、と電話してみると今日は営業されているとのこと。さっそくお邪魔して、かの有名なコレクションなどをじっくり拝見させていただきました。
原文(はらぶん)パピロ21さん。こちらのお店にも萬年筆をはじめ魅力的なものがたくさんあったのですが、時間とお金がいくらあっても足りませんので後ろ髪を引かれつつ退散。いつの日かまた、じっくりと時間をかけてお邪魔したいお店です。
それにしても、実に12時間近く車を走らせていたことになります。無駄な道路整備があちこちで問題になっておりますが、必要なところはしっかり整備していただきたい、と感じた1日でした。
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なかなか慌ただしい旅にもかかわらず、数多くの収穫を得られたようですね。
私も遅ればせながらETCをつけることにしましたが、元を取るには長距離ドライブをしなくてはなりません。
投稿: ペリカン堂 | 2009年8月30日 (日) 00時11分
ペリカン堂 さん
鳥取ナンバーのクルマのETC装着率はあまり高くないそうです。それもそのはず、山陰自動車道も供用されているのは無料区間がほとんど。鳥取自動車道もまだまだこれからという状況では、よほどあちこち車で出かける人でないと元が取れないのでしょう。
最近はしかし、ETC装着率装着者が増えてきたことに加え、バーが開くのを遅くする、という対策もあってETCレーンの方が混んでいたりしますね。
投稿: つきみそう | 2009年8月30日 (日) 00時30分
おお~行きたい行きたいと想いながらお邪魔出来ない所ばかり・・この3件だけは達者なうちに行きたいもの、それにしても博士は今は2年待ちとか、私の時は10カ月程でしたが、やはり人気は衰えないようですね。でも車での長旅とてももう真似は出来そうもありませんよ、車も買い替えの時期はとうに過ぎていますが、怠け者の私には運転する事を考えると躊躇してしまいます。
投稿: 夢待ち人 | 2009年8月30日 (日) 08時05分
相変わらずフットワークが軽いですね〜つきみそうさんに掛かると交通の便が悪い(ご当地の方々、すみません……)山陰地方でも「ちょっと隣に!」くらいの感じになってしまいますね(笑)!
万年筆博士、中屋万年筆、パピロ21いずれは行ってみたい名店ばかりで……うらやましい!
出石の皿そばも食べたいぞ〜〜(涎)!
投稿: たがみ たけし | 2009年8月30日 (日) 08時16分
すごいですねー。
私は車だと、大阪より西とつくばより東は行ったことがありません。
今回ご紹介のお店も行ってみたいのですが、何せ気力と根性、おまけに体力とお金が無いので、ちょっと無理ですねぇ。
投稿: su_91 | 2009年8月30日 (日) 09時04分
夢待ち人 さん
博士?手作り?それより有名なメーカーの限定品でしょう、ってなことでスルーしていたのが悔やまれます。私は田中さんの作にこだわらないので、三代目が本格的につくられるようになったら1本、などと思っております。
投稿: つきみそう | 2009年8月30日 (日) 09時19分
たがみ たけし さん
おくの細道、の出だしではありませんが、何かムシがうずくのですね、行きたい行きたいと。
皿そばはおいしかったですよ。20皿食べると認定証をもらえるのですが、25皿くらいはいけそうです。このお店で男性は100いくら、女性は60いくらが最高記録だそうです。
投稿: つきみそう | 2009年8月30日 (日) 09時22分
su_91 さん
体力気力って、飛行機やバスで行けば楽勝ですよ。寝てればいいんですから。
鳥取と島根の間というのは、高速バスとJRの競合区間のうちで唯一JRが勝ったところだそうです。それほど道路事情が悪いということですね。
投稿: つきみそう | 2009年8月30日 (日) 09時24分
将に神出鬼没ですね!
それにしても皿の数が凄い・・・・。
蕎麦は季節物ですから、良い時期に食べないとね。
投稿: 二右衛門半 | 2009年8月31日 (月) 08時17分
二右衛門半 さん
思い立ったら我慢できない性格なんですね。それにしても山陰の空はずっとねずみ色でした。
そばは一人20皿、まだまだいけそうでした。
投稿: | 2009年8月31日 (月) 10時18分