可搬箱型収納什器・零
うらやましくなるほど気持ちよさそうに眠る「くま(仮名)」さん。これを撮影している飼い主に向かって「ちち(仮名)」さんが激しく吠えておりますが、「くま(仮名)」さんは知らん顔です。「ちち(仮名)」が我が家に来た頃は、「くま(仮名)」さんの心理状態も不安定だったようで、餌をあまり食べず、適正体重にまで痩せました。思わぬ効果と喜んでおりましたが、いつしか慣れてしまい、普通に食べるようになって再び「太ましく」なってまいりました。
印刷室の片隅で、かつてのスター選手を見つけました。どれくらいの時間、黙ってホコリを被っていたのでしょうか。その当時は便利だともてはやされたであろうポータブル謄写版(とうしゃばん)です。一般的にはガリ版という方が通りがよいでしょう。非常にプリミティブな孔版印刷の道具です。
頑丈な木枠にはめこまれた鉄製の「やすり」の上に蝋原紙を置いて、鉄筆でカリカリと文字を書いていく。父も同業でしたので、幼い頃から見慣れた光景でした。書き損じたところを修正するために塗る液体の刺激臭が今もよみがえってくるほどです。
私が高校生から大学生だった頃にはボールペン原紙という簡便なものも普及しておりましたが、シャープな印刷結果を得るためにとあえてボールペン原紙に鉄筆で製版しておりました。原紙の繊維に鉄筆が引っかかるのをうまく捌きながら書いていく、それが「通」っぽくて自己満足していたものです。
できあがった原紙をスクリーンに張り、紙の上におろして上からローラーでインクを塗り込む。プリントごっこの親分みたいなものですね。そういえばプリントごっこも廃番になってしまったと聞きました。原紙の切り方からインクの塗り込み方まで、それぞれの段階でさまざまな技やコツがあって、うまくまとまるとうっとりするような印刷物ができあがるのです。実際、孔版印刷部なんていうクラブ活動もあったほどです。
この謄写版でB5版の印刷が出来ます。修学旅行に持って行って現地で学級通信を作って配る、なんていうすごい先生もいたと聞きます。モバイルだとかユビキタスだとかいう言葉すらなかった時代でも、リアルタイム、旬を大切にしてこういうものを活用していた先人達のすごさに敬服、であります。
で、捨てられる運命にあったこの謄写版、肝心の中身を取り外して、ガワだけ活用しようと拾って参りました。あえて拾ったままの汚い姿を写真に収めたあと、ぞうきんでこすって持つ手が汚れない程度にきれいにしました。ぺらぺらの材料で作られてはいますが、コーナー部分の造りなど、最近のものより手間をかけてあります。
これをこのまま捨ててしまうのは惜しいので、萬年筆ケースに仕立ててみよう、というわけです。これから毎週木曜日に進捗状況を報告していく予定です。しかしながら全日本三日坊主協会専務理事でもある私のことですから、途中で挫折して放り出してしまう可能性も少なくありません。あらかじめお含み置きください。
特徴的なパーティションライン。蓋を閉めているときは直方体ですが、身と蓋、それぞれの部分はスラントした形状です。この構造が、萬年筆ケースとして使うには問題になるかもしれません。
さらに、こいつは使用時には蓋の部分を完全に取り外せるようになっています。したがって、キャッチだけになっているヒンジもはめ殺しのものに取り替える必要がありますし、ケースの口金の部分も非常に頼りない金具ですので、持ち手ともども取り替える必要があるでしょう。
なるほど、ヤフオクでもたま~にこの手のケース付きの謄写版売っていますが、そういう利用を考えておられるとは。。
思いつかなかった。。
小学校では使っていたような覚えがあります。
投稿: 二右衛門半 | 2009年6月 5日 (金) 08時12分
二右衛門半 さん
今や、ノートPCとA4対応の小型プリンタで出先プリントできますし、FAXをプリンタ変わりに使う、という手もあるので、修学旅行などでその手を使っている同業者もおります。
投稿: つきみそう | 2009年6月 5日 (金) 08時17分
私も、小学生の頃、これを使っていました。バネが壊れていて、ガリ版を装着した部分を手で開け閉めしていた記憶があります。
万年筆収納に関しては、ほぼB4版の大きさの箱をどのように使われるのでしょうか。ゆったりとしたものか、ぎっしりと詰められるようにするのか、一体何本入りの万年筆収納になるのか、興味津々です。木曜日の報告を楽しみにしております。
投稿: Bromfield | 2009年6月 5日 (金) 09時35分
Bromfield さん
例によって行き当たりばったりです。これから中身を取り外して、洗浄して、寸法を測って計画を立てるという・・・・・こういうのを関西ではかち割り大工といいますね。
投稿: つきみそう | 2009年6月 5日 (金) 12時11分
昔の物は造りが違いますね、釘とかネジを使用せずピタリと固定するなど、人の成せる技なのでしょう、先生の技を拝見するのが楽しみです。どうも私は安物買いの銭失いと申しますか、何度も同じ物を買ってようやくいい物に当たるという無駄な浪費癖があるようです。これを避けるには自分が職人になるのが一番なのでしょうが・・(笑)ところで名古屋WAGNERはお見えになりますか?
投稿: 夢待ち人 | 2009年6月 5日 (金) 12時44分
夢待ち人 さん
名古屋大会に行ったりすると、大宮のミニペントレで売れ残ったモノが出ていて・・・・・なんていう期待いえ恐怖感がありますね。
さて、どんなケースができるのか、はたまた、ただの木くずの山に変身させただけで終わってしまうのか。
投稿: つきみそう | 2009年6月 5日 (金) 14時59分
例によって目玉が売れ残りました。もうひとつの【ふしだら系】です。
投稿: pelikan_1931 | 2009年6月 6日 (土) 22時57分
pelikan_1931師匠
今し方、じっと薬指を見つめておりましたが、萬年筆とつながっている赤い糸は見えないように思いました・・・と信じたいですね。
ふしだらなことはいけません。神戸の鞄屋のオヤジはどんどん乱れて行っております。
投稿: つきみそう | 2009年6月 6日 (土) 23時08分
先日、兵庫県北部のとある古い文具店をあさって、埃まみれのガリ版刷りのヤスリと原紙を手に入れてまいりました。
・・・がしかし、この印刷機(?)がなければ、刷ることができないのですね。。。
と思いつつ、刷る道具は後で何とかなるかと手に入れ、いろいろと調べているところでございます。
古い道具類の木の表情などがたまらないですね。
この箱がどのような万年筆ケースに変わるのか、楽しみにしております。
完成までが待ち遠しいです。
・・・と、プレッシャーを(笑)
投稿: 聖祥 | 2009年6月 7日 (日) 23時29分
聖祥 さん
もしよろしければ、この中身はそっくり差し上げます。私が必要としているのはガワだけですので。受け渡しは神戸のお店でも使わせてもらいましょうか・・・と勝手に(笑)
どのようなケースに変わるか、って・・・見た目そのままでしょうね。あとは内部のレイアウトを工夫してどれだけ詰め込むことができるか、蓋になる部分にもしっかり収納するための工夫、あたりでしょうか。
いずれにしても、できあがるのは秀作ではなくて習作ですよ、習作・・・と予防線。
投稿: つきみそう | 2009年6月 8日 (月) 00時29分
中身は既に処分されてしまったのかと思っていました。。。
大変、厚かましいのですが、もし本当に中身は使われないのでしたら、譲っていただけると嬉しく思います。
一気に私のガリ版体験が現実化してきた気になっております!
つきみそう様のメールアドレスが分かりませんので、当方のメールアドレスを記しておきます。
大変勝手を申しますが、一度メールを頂戴できたら有難く思います。
よろしくお願いいたします。
投稿: 聖祥 | 2009年6月 8日 (月) 12時37分
え~っと、それが見えないので・・・。当方のBlog、リンクの最後にメールを送信、というのがありますのでそちらからどうぞ。
できる範囲で掃除してお送りします。あとは、学校関係者なんかをあたって、インク残ってないか?と聞きまくりましょう。
投稿: つきみそう | 2009年6月 8日 (月) 13時45分