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2009年5月18日 (月)

重み

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 痛くないのかなぁ、というほどケージに食い込んでいる「くま(仮名)」さん。人間だとすぐにカタがついてしまいそうですが、この子は平気です。大昔に飼っていた雑種犬が巨大な土佐犬に首を噛まれて「あぁ」とあきらめたときも無傷でしたから、こういった二重毛の犬種、毛がクッションの働きをするので、体の重みも平気なのでしょう。

 昨日は飛び込みでレアロのお話をしましたので、今日は元町ペントレでの戦利品のお話。なんでしょう、と話を振ったのがこれでした。
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 これは何なのかといえば、当然「キャップ」です。問題は何のキャップなのか、というところです。材質は指でつまむと変形するほど柔らかな樹脂です。

 このキャップ、内尾をのぞいてみるとこんな風になっております。ピントが他へいってしまいましたが、キャップの内側に何かあります。内側に向かって出ている突起ですが、これが重要なのです。
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 萬年筆を買われるお客さんがこれを目にすることはほとんど無かったそうです。お店まで萬年筆を輸送するときに保護するためにかぶせておくキャップだからで、ほとんどはそのまま捨てられてしまったため、現存しているものは少ないということです。これだけでも変なもの好きの血が騒ぐのですが、そこに関西人の血も騒がせる要素も入ってくるので大笑いなのです。
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 ずばりこれは、キャップレスのキャップです。おちょくってんのかっ!ってところがいいですね。これがついているのは、いわゆる自重式のキャップレスで、輸送中の振動でペン先が露出して傷むのを防ぐために装着されていたものなのだそうです。

 穴を下に向けてクリップの部分をスライドさせると、インサート自身がその重みで下がり、ペン先が出てきます。収納するときは穴を上に向けてクリップをスライドさせます。
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 これを持って六甲アイランドに行き、重度感染者の鞄屋さんに「これ、普通の人でないとペン先が出てこないペンなのです。」といいながら手渡します。ご本人は「おれ萬年筆興味ないモン」が口癖ですので、「そりゃ出るでしょぉ」とチャレンジするもペンは沈黙したまま。それを見ながら「ほぅれ、萬年筆菌体中に廻ってますよ」とひやかしておりました。

 これをお譲りくださったNさんが、「え、知らない?」と言いながら操作法を教えてくださったことにヒントを得てのいたずらでありました。キャップレスだけでも奥の深い世界ですが、キャップまで存在したとは、恐るべし・・・・・です。
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コメント

先生の好奇心の探求はどこまでも続きますね、ペン先が出て来ないキャップレスに必死になるのはまさしく、重度感染者の方ならでは・・加えて患者の心で遊ばれる先生は、重度感染者のお手本。ところで、この萬年筆の名前はキャップ付キャップレスではいかがでしょう?(笑)

 夢待ち人 さん

 重度感染者ばかりのツアーにお付き合いいただきありがとうございました(笑)。
 キャップレスのキャップを見つけて大喜びしてるのは、相当に深いところまで病気が進んでいるのでしょうね・・・。

このキャップは、昨年のWAGNER表例会でNさんと、もう一方によるキャップレスの展示がなされた時に、初めて拝見しました。

海外のコレクターにaurora_88さんのホームページに掲載されたその時の写真を見せたところ、このキャップレスのキャップばかりは持っていないと悔しがっておりました。

ツアー参加の一人ですが、私、重度感染者との自覚症状が全くございません。これが一番恐ろしいのかも・・・・。

 Bromfield さん

 自覚症状のない病気は怖いのです。傍目には立派に病気なのに、本人にだけ自覚がないのはもっと怖い。
 私の伯父も実はちょっと知られたコレクター(ペンではありません)なので、そういう血が流れておるのだな、と。

このキャップレスは見た時に人を惹き付ける「何か」を持ってるように感じました!その仕組みを見てみて「成程!」と得心した気がします!


昔のモノには今のモノに付いている便利な機能はありませんが、その時代でしかあり得ないユニークな機能がありマスね!


そう言ったモノに惹かれる自分はすでに引き返せない所にまで来ているのでしょうか……

 たがみ たけし さん

 お持ちのペンを拝見しても、すでに相当きてますね・・・。前進あるのみかと存じます。

名古屋でキャップレス展示がされていたときに見ていたはずですが・・・操作法までは見ていなかったなぁ。
さすが先生は、目が高いですわ。

 二右衛門半 さん

 難儀なことにNさんが挑戦してくださるのですよ、これはどうだってな感じで。
 今回、他にも危ないものはあったのですがこのくらいにしておきました。

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