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2009年2月20日 (金)

聞香

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 ケージからお鼻を突き出してふて寝している「くま(仮名)」さん。1億倍に薄めた酢酸の匂いを感知できた、ということで、人間の1億倍の嗅覚を持つといわれる犬。人間にとっての「嫌な匂い」でも、平気なのだそうです。反対に、柑橘類の匂いなど、犬にとって刺激的なものはだめなのだとか。このことは、人間にもある程度まではあてはまるようです。フナ寿司とかなれ鮨、納豆やクサヤなど、匂いだけで失神しそうな人がいるかと思えば、「ん~たまらん」と大好物にしている人もおりますものね。

 神戸元町のPenandmessage.では、毎月第3金曜日、営業時間が延長されます。今日はその時間を活用して、香を聞く会がもたれるということで、いそいそと出かけてまいりました。よくわかりませんが、何となく雅な雰囲気に興味津々でありました。

 お店のスタッフを含めて「生徒」は9人。みんな神妙な顔で講師のお話を聞き、香炉を回して順番に香を聞いていきます。ぐぅ~っと吸い込んでは「う~むぅ」と唸るのですが、よくわかりません。甘い香り、ぐらいはわかりますが、無味であるとか、潮辛いとか、そもそもどういう匂いなのだ?というようなものが続きます。何より、それぞれの違いすら、私などにはよくわかりません。

 しかし、しかしです。なぜこのような催しが萬年筆専門店で開かれ、いずれ劣らぬ「悪魔」や「準店員」たちが神妙な顔をして聞き入っているのか。それは、萬年筆趣味と香道に共通点があるからに違いない、そう確信するに至りました。Butudan_7709801zu_2

 わからないほどの微妙な違いの香木は、それぞれ数グラムで数万円。鼻は一つしかないでしょ・・・でも香木は数限りなく存在します。腕は2本しかないのに萬年筆が星の数ほど存在し、しかも良いお値段。何となく似ていませんか。香りの聞き方も人それぞれで、萬年筆の寝かせ方も人によって違う。とりあえず香が焚きしめてあればよい、という人もいれば、この香木でなければ、という人がいるのと同様、書ければよい、という人がいれば下品な書き味はごめんだという人もいる。お金のかかる趣味というのは似てくるものなのでしょうか。

 講師の先生が、いっぱい香を聞くことです、それで高まることができます、とおっしゃってましたが、いっぱい手に入れてあれこれ書いてみる、調整までしてみると高みに堕ちることができる・・・・・というのも同じ精神ではないでしょうか。

 予定の午後9時を遙かにオーヴァーしても、まだまだ話は尽きません。挙げ句に、香道具のカタログをめくりつつこれが良いだのあれが欲しいだの・・・・・何とも旺盛な物欲であります。その成果の一つ、ハイレグ三姉妹が集まったところを撮りました。左からスタッフKさんの強奪緑軸つきしなやかペン先、真ん中は元祖「天狗」ペン、カルロゴルドーニ、右端はPILOT823森山スペシャル。先端恐怖症ではありますが、細く伸びやかなペン先は大好きです。
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コメント

私の友人のアメリカ人、お香の趣味があります。日本滞在中集めてきたお香を、彼女の自宅で聞かせていただきました。その際、箱から鳩居堂のレシートがぽろり。私はしっかりと金額を見て、その額に驚きました。当人は、慌てて亭主の目に触れないように隠していました。

私の場合、もしカミさんの前で万年筆の箱から、レシートをぽろりと落としてしまったらと想像。趣味の世界の行動様式は、同じようです。

 Bromfield さん

 今日も、外国の方の中にも日本的な鼻の持ち主がいる、というような話が出ておりました。きっとその方、日本的なお鼻の持ち主なのでしょう。
 知らない人には本当の値段がわからない、信じられない。お香も萬年筆も同じです。

Bromfieldさんがおもしろいお話をよせられていますね。

聞香まではやらないなぁ、陶器の方でいっぱいいっぱいです!
とんがり帽子のペン先、すさまじいですね、うちの手元にはどうだっただろう??
セーラーのスチールニブでとんがり帽子ならあるけれど。

聞香の会、行かれたのですね。
私も加わりたいと思いましたが、急だったので。。。
何やら盛り上がられたご様子で、羨ましく拝読しました。
また、やってもらえないかしら。

ハイレグ3姉妹、いいですね。
Kさんのは先日書かせてもらいましたが、うっとりするような書き心地でした。

昨日のくまさんのお写真。
あまりにかわいいので、PCデスクトップに飾らせて頂きました(^^)

伽羅とか白檀とかしか知りませんが、聞香って優雅って感じがしますよね!しかしセンセも仰るようにこれも極めようと、際限なく堕ちていく無間地獄のような気がします(笑)!


写真の加減で一番左の823がウェーバリーに見えました!一瞬これ何!って思いましたが、本文見て分かりました!

 二右衛門半 さん

 なかなかどうして、陶器というやつも話しかけてくるそうですから、聞いてやらねばならぬはず。その辺、がさつな私にはとても無理ですなぁ。


 聖祥 さん

 ありがとうございます。ピントばっちりの写真が欲しいと思っていても、少しばかりブレたことで思わぬかわいらしさが出ることがありますし、写真も難しいものです。

 いろいろ理由はあったようですが、アウロラがこのペン先をやめてしまったことは本当に残念。しかも、この形のペン先だからああいう書き味だとは限らないところが難しいのです。


 たがみ たけし さん

 シャッターがおちる寸前に、コロッと右の2本が動いたのです。参りました。お店も混んでおりましたのでこの1枚きり。言われてみれば確かに、変態なペン先に写っておりますね。

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