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2008年9月19日 (金)

警報発令

Rimg0301_2  むしろ、ケイホーと書いた方が雰囲気が出るかもしれません。私の暮らす県では、何らかの気象警報が発令されると、公立の学校は休業となるところがほとんどです。台風接近のニュースがあるときや、普段とは違う大雨の時など、学校中が「ケイホー」「けいほー」です。

 職員室では、テレビや、リアルタイムの台風情報を表示するWebページがつけっぱなしです。ひとたび警報発令となれば、まずは対応策の協議。教職員を職員室に招集する放送が流れると、子どもたちは歓喜の叫びを上げるのです。

 朝、登校前に警報が発令されている場合はともかく、子どもたちが学校にいる時間に警報が出ますと、いろいろと考えなければならないことがあります。ただ帰宅させるだけでは、むしろ危険な場合もありますから。実際、数年前に、警報発令で帰宅させた子どもが、増水した川は獲物がいっぱい、と川辺で遊んでいた、ということがありました。背筋が寒くなりますが、本人たちは涼しい顔で、「水増えたらザリガニめっちゃ捕れるねん」と。参りました。

 対応策が伝達されると、学級担任は教室へ向かい、その他の者は校区内の巡視に出かけます。用水路が増水しているなど、危険な場所がないかをチェックして、下校してくる子どもたちを見守ります。

 この時点で、何人か、有給休暇を取って学校を出る職員もいます。自分の子どもを迎えに行くのですね。

 警報を出すと、気象台にはけっこう苦情が寄せられるそうです。子どもを保育所に預けて仕事をしている人などは、警報が発令されるとお仕事を休まなければならず、しかもそれが給与に響いてしまう、という人も少なくないのです。ケイホー出たっ!と喜んでいる子どもの親御さんがそういう境遇、ということもあります。

 かといって、警報発令が遅れると、場合によっては死ぬ人も出てくるわけですから、気象台の人たちのプレッシャーも相当なものであろうと想像しています。

 で、世間一般の皆さんが興味を持つのは、警報が出て子どもたちを帰らせたあと、先生は何してるんだろう、ということでしょう。結論から言うと、そのまま仕事を続けています。外回りの営業が仕事の中心、というビジネスマンが、今日は客先に行かない、来訪もない、という状況に似ているのではないでしょうか。お客さん(子どもたち)への対応がないので、めいめい自分のペースで仕事を片付けています。一段落ついたら情報交換。こんな風に教えたらうまくいった、あれはまずかった、などなど。若い先生は、このチャンスを逃してはいけません。宝物のような情報がどんどん出てくるのですから。

Rimg0322_3

 ここまで書いてきて、あぁ、と気づいたのですが、結局、どの業界でも同じなんですね。早くから仕事をしている者が、後からきた者に伝承していくということ。その伝え方や、受け止め方に、その業界ならではの文化があるのでしょう。

 写真は、PILOTの万年筆。奥から、菊の模様、そして冬木立です。一番手前が松竹梅で、これだけが現行品(シルバーン)写真の撮り方で遠近感が出てしまっていますが、松竹梅だけが、奥の2本よりやや長いですね。クラシカルで、ころんとして手になじむ、いいペンです。工場では、この軸に模様を彫る技術などが、熟練の職人から若手へと受け継がれているのでしょう。

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コメント

>警報を出すと、気象台にはけっこう苦情が寄せられるそうです。
>かといって、警報発令が遅れると、場合によっては死ぬ人も出てくるわけですから、気象台の人たちのプレッシャーも相当なものであろうと想像しています。

そのとおりです。警報にはきちんと基準がありますから、機械的に出せるのですが、「狼少年効果」などがあるので本当に気を使っております。
気象庁の業務で最も大切なのは防災業務ですが、そのうち、一般の方によく触れるのは警報・注意報です。…警報の日というのは仕事が多いのですが、しかし、人命第一ですから、苦情等も仕方がない訳です。「公」の泣き所なのかもしれません。

 発令の基準はハッキリしていても、判断は人間がするところ、そこに難しさがあるのでしょうね。機械的に出せばいいってものでもないでしょうし。
 これからの季節、大変でしょうね。

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