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2015年10月 3日 (土)

大魔王

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 なぁに? とこちらを見やる「くま(仮名)」さん。彼女には爪を思いっ切り噛むという悪い癖があって、この直前も写真に写る後ろ脚の爪を噛んで、まるで強靱なスルメを引きちぎるかのようにぐぐぐっとやっていたところでした。飼い主や家族が見とがめて強い語気で名前を呼ぶと、叱られているのだということを察知して、こんなふうにごまかすのです。

 今日は運動会。昨夜は早くに寝落ちしてしまい、日付が変わってすぐに目覚めたので、出勤時刻となる午前6時まで起きて過ごしているしかない、と思い定めてPCに夜伽をさせておりました。強い陽射しの中、校門に立って来場者の整理を担当するのがメインのお仕事でしたが、夜型人間らしく、普通にお勤めができて、めでたし、めでたしでした。

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 ネット上にあった、ぴったりの1枚を拝借してしまいました。すみません。実に美しい、理想的なフォームで綱引きをしております。チームの全員がこういうフォームで引けば無敵です。そのほかにもいろいろと気をつけるポイントはあるのですが、まずはこの姿勢になること、この姿勢をとれることが大切です。

 子どもの頃、綱引きといえば「おーえす、おーえす」と言いつつ引っ張るものというイメージがあります。オーエスの語源には諸説ありますけれども、「オー・イス(Oh, hisse)」というフランス語だというのが比較的有力視されています。フランス語の動詞 hisser は「(旗や帆などを)巻き上げる」というような意味があるそうで、「さぁ、ひっぱれ!」というかけ声が日本人にはオーエスと聞こえた、ということらしいですが、最近は聞きませんね。

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 運動会では小中学校全体で600名ほどの児童生徒を赤青黄白の4つに分けて競うのですが、今回、私のチームは青色。チーム分けが発表になると、生徒たちは出会う教師たちに「先生、何色?」と聞きまくります。ありがたいことに私の場合、同じ色の生徒に「よっしゃ!」と喜んでもらえることが多いのです。つきみそう先生は綱引きに強い、というイメージが定着しているからなのです。

 上の画像はダメダメな綱引きの様子。まん中の水色のシャツの人が一番マシでしょうか。右端のグリーンの人も、まだマシな方です。こういうことを瞬時に見てとり、生徒たちが理解・実践できるように指導できる先生がいると、そのチームが綱引きで勝つ可能性が高まります。これを綱引き大魔王と言って、私の勤務先では私を含め3名ほどがその称号を持っています。

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 なるほど、スパムというものは強いですね。量的にもまさっていますし、防止する側は苦しそうな顔をしています。この画像、背の高い人が綱の中心から遠いところにいますが、これは大間違い。チーム構成員の背の高さに差があるのなら、背の高い人、ゴツい人を前に配置するのが鉄則です。よくある、相撲取りみたいな人を綱の最後に配置して重しにする、というのは思ったほどの効果が得られません。綱の中心を自陣に引き込むのが目的ですが、中心から遠いところでいくら引いても、綱が伸びてしまい、効果が薄いのです。

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 できるだけからだをまっすぐに、ピンと伸ばして、思いっきり後ろに倒れることが大切です。そのためには前後の間隔を適度に開けなくてはなりません。綱の横についたら、まずすべきことは「前にならえ」です。小学校以来ずっとやっているので難しいことはありません。そして、自分たちが引く綱の一番後の方、綱の延長線上に何か目標物を設定し、そこにまっすぐお尻を向けるように指導します。これでOKです。

 あとは、ピストルの音と同時に「背泳ぎのスタート」です。相手も綱夫引っ張っているのだから恐れることはない、思いっきり後ろ向きに倒れるのだ、と繰り返しイメージトレーニングをさせます。試合が始まったら、倒れろ、空を見ろ、思い切り突っ張れ、そら来た、綱がこっちへ来てるぞ・・・・・です。

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 第一回目の予選の日は、外せない出張が入ってしまい、生徒たちに指導できませんでしたが、それでも最強と目されるチームとの対戦で引き分けに持ち込んだ、ということを聞き、優勝を確信しました。第二回目の予選では前述の綱引き必勝法を余すことなく伝授して、最終的には予選一位通過となりました。

 このとき観察していてわかったことは、最強と思われる赤色チームが真剣に強いということでした。黄、白と対戦した赤は、「よいしょ、よいしょ」のかけ声とともにぐいぐい綱を引っ張り、圧倒的な勝利を収めていたのです。実に気持ちの良い勝ち方ですが、私はそれを見ながら自分のチームに言いました。あれは、強いチームが格下と認識した場合にとる戦法である。すなわち、赤はめちゃくちゃに強い。だいたい、3人いる綱引き大魔王のうち2人があのチームにいて、選手の「引く力」も強い。自分たちは科学の力であのチームに勝とうではないか、と。

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 赤色は、こんな引き方で勝ってしまうのです。まん中の男の子などは、お尻が綱に対して斜めの方向に向いています。これは良くありません。さらには、よいしょと言いながら引っ張っているようです。手前に引こうとすれば、その予備動作として必ず前方への体重移動が起こります。わが青色は、その瞬間を捕らえて自陣へ綱を引き込もうというわけです。だから、ピストルが鳴ったら後に倒れて、あとはひたすら耐える、突っ張るのみ、なのです。

 決勝は3本勝負。初回は我が赤色がグランドの東側、わずかにつけられた水勾配の低い側ですから、これで勝てなくては話になりません。要するに青色有利なのですが、それでも赤色は「引っ張って」きました。何を舐めたことを、とサクッと勝利して、サイドを交代して2本目。生徒には言いませんでしたが、指揮官としてはこの2本目は落とす覚悟でした。しかし、ピストルが鳴ると嬉しいことに「よいしょ、よいしょ」が聞こえてきます。「よっしゃ、いけるぞ、空を見ろ!」と声を限りに叫ぶと、はたして綱は自陣のほうへとゆるゆる動き出しました。「いてまえ。早よ赤を楽にしたれっ!」と、教育者とも思えない言葉を吐きつつ、ストレート勝ちでした。

 綱引きは科学です。そしてその理論を実践につなげることができるように生徒たちに伝える力、それが綱引き大魔王の実力なのです。

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