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2014年10月 8日 (水)

笠置山

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 くつろぐ「くま(仮名)」さん。カメラを構えるまでは、この姿勢のまま、顔をこちらに向けていたのですが、カメラを向けたとたんに横を向いてしまいました。そのまま硬い表情でじっとしていたのですが、欠伸をしてぺろりとやった瞬間をおさえることが出来ました。

 世間は秋の遠足シーズンですが、遠足には少しほろ苦い思い出があります。小学生の頃、遠足、っていうぐらいだからと、学研の科学という雑誌の付録だった万歩計をいそいそと組み立てて持っていこうとしていたのですが、当日の朝、母親に見つかって没収となりました。父が学校関係者でしたから、学校の行事である遠足に「おもちゃ」を持って行くなんて、ということでした。

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 遠足の目的地は笠置山。鉄道利用で行ったのか、貸し切りバスで行ったのか、今となってはそれすら思い出せないのですが、さぁ学校出発、というときに何かを渡された記憶があり、それが窓越しだったことから、おそらくは貸し切りバスを利用しての行程だったのでしょう。

 手渡されたものは例の万歩計でしたが、見慣れない緑色のリボンが結ばれていたので、私のものではないと思われました。何より、渡してくれたのが近所に住む幼なじみの女の子でしたので、彼女が手配してくれたものだろうとそのときは思ったのです。片思いではありましたが好きな子でしたし、彼女も私には割と優しく接してくれていたということもありました。

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 万歩計と言っても、しょせん子ども向けの雑誌の付録です。小さな弁当箱ぐらいの大きさの箱の中に錘のついたアームが仕込まれていて、この箱を手に持って元気に振りながら歩くことで、カタカタと音がしつつ歩数をカウントする、という仕組みでした。親が絶望するほど不器用な私が、なぜかミスらずに完成させられた、数少ない付録のひとつです。

 遠足の目的地は京都府何部にある笠置山。坂道を上りながら、勢いよく手を振って、歩数がカウントされるのを喜んでおりました。そう、今にして思えば、歩かなくてもシャカシャカ振るだけで歩数が稼げたのです。半世紀以上生きてきてもバカが治らない私ですから、小学生の頃はもっと強烈なバカだったのです。

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 そうこうするうち、愉しかった遠足も終わり、学校に戻った私は、幼なじみの「せっちゃん」に万歩計を返そうとしたのですが、彼女は黙って手を振るばかり。ケロ御大よりも静かに、かつ毅然として「いやいやいや」という反応を示したのです。困った私は、万歩計を担任の先生に手渡して、これ、誰のものかわかりませんと告げて家路につきました。

 帰宅した私のリュックサックから弁当箱などを出しながら、次第に険しい表情をみせる母。そして私を座らせると、万歩計はどうした、と聞くのです。聞けば、私が自宅を出た後、近所のお母さん方との井戸端会議の中で、どこの家の子も万歩計を持って出ていることを聞いた母が、幼なじみのせっちゃんに託してくれたのです。私のものだとわかるように、私が大好きな緑色のリボンをつけて・・・・・。

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 翌日、担任の先生に、あの万歩計は自分のものでしたと伝えたのですが、他の忘れ物と一緒に処分されてしまった後でした。その日の家路は本当に足が重く、できることなら帰りたくないと思いつつ帰宅して、きっちり雷を落とされました。まぁそれもそうです。どこの世界に、可哀想な小学生に万歩計を届けてくれる他人がいるでしょうか。しかも手渡してくれたのが幼なじみで近所に住んでいるせっちゃんなのですから、あぁ、これは自分のものだと思うのが普通です。そんなことすらわからない馬鹿な小学生は、50年近く経ってもまだ馬鹿のまま、いや、むしろもっと進化(深化)した馬鹿になっているのかもしれません。

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 せっちゃんが引っ越していったのはその翌年。寂しかったですが、意地悪で口が悪く、ことあるごとに私を攻撃していたせっちゃんの妹と顔を合わせなくて済むようになったのは何よりでした。そして、成人式を迎える頃、せっちゃんが自ら命を絶ったという報に接しました。今でも笠置と聞くと万歩計、そしてせっちゃんを思い出します。クラスは違いましたが、一緒に笠置山に登っていたはずなのに、笠置山の思い出といえば大きな岩がゴロゴロしていたことと万歩計をふりふり歩いていたことだけです。

 今、そのときの私と同じ年齢の子どもたちを教える立場になって、やっぱり小学生というのは違う種類の生き物なんだ、と実感することしきりですが、あの頃の私も、相当にけったいな生き物だったようです。

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コメント

深夜の京都遠征お疲れ様です。
人形だと表情が鮮明ですね。

 赤点半 さん

 般若寺で見たのは、このモニュメントを撮影したものだったのですね。実物はなかなか迫力があります。

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