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2014年10月22日 (水)

幇間

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 先週土曜日にもご紹介しました、欲も得もなく眠る「くま(仮名)」さん。土曜日曜に体育の日と、ご機嫌でお休みをしたのが祟って、火曜日から金曜日まで目の回る、いや目を回している暇もないほどの忙しさでしたが、その最中に持ち込まれた「ご相談」というのが、何とも厄介そうな、それでいて魅力的なものだったのです。

 初期導入OSがWindows Vistaだった、最後のIBMロゴ付きThinkPadが火のように熱い排気を出し、頑丈なキーボードを撓るほどに叩いているときに、「ちょっといいですか。」と寄ってきたその人に、あからさまに冷たい態度をとってしまった私でした。

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 写真は、その時に「こういうの、作ろうと思うんですけど・・・・・」と見せてくれたもの。失礼にもキーを叩きながらちらっと一瞥しただけの私は、何かを置く台なんだな、と思いつつ、この丸い形が面倒くさいだろうなぁ、とも思いました。ものを見た時に、これを作るとしたらどうやるのがいいか、とすぐに考えてしまうのは悲しい性です。

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 思った通り、和太鼓を置く台でした。どこかの教頭先生が製作されたものを太鼓と一緒に借りてきたのだそうです。他にもう一台、生徒に叩かせるために和太鼓を借りてきたのだけれど、そちらには台がなく、地べたにおいて叩かせるわけにもいかないので台を作ろうと思う、というお話でした。さらには、このようにして作ろうと思うけれど道具や場所、さらには技術的なサポートがほしい、ということでした。

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 丸い太鼓をのせるのだから、丸くカーヴした形に木を切りたい。となると、やっぱり電のこですかねぇ・・・・・なんてことを私の横で話されているのですが、時刻はそのときすでに夜9時を過ぎていて、私のしている作業はあと3~4時間はかかりそうな状態。どちらにしても今日中に帰れる見込みはないので、PCの画面をにらみつけていた顔をその人の方に向けました。

 「そんな面倒なこと、本当にするんですか? それに電のこって、電動糸鋸盤やったら、うちの技術教室にはないんですよ。太鼓が丸いからいうて、なにも丸ぅ切らんでも・・・。」

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 と、その日はそういうネガティブな話ばかりで、見かねた別の先生がカタログを見て太鼓の台を買う算段を始め、あまりにけっこうなお値段がするのでどこかの学校に借りるしかない、ということになって、この話はいったん終わりました。

 週明け、少し時間に余裕ができたので、技術教室に転がっていた廃材をかんな盤にかけ、面倒くさいので4本同じ長さに切って巴につないで土台のできあがり。これに載せる太鼓を叩く子どもはけっこう背が高いので、見本よりも高さのある台を作りたい、なんて話を思い出したので、高さを稼ぐために切り落とした部分を再利用して脚にしました。そうやって行き当たりばったりに作ったので、実にフランケンシュタインなできばえです。

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 このまま太鼓を載せると、よほど上手に位置を合わせない限り、太鼓の縁が四角い枠の内側に落ち込んでしまいます。ぴったりな位置に置いたとしても、叩いている間にズレてくるとガクッと太鼓が傾いてしまうでしょう。なので、太鼓の位置決めをする部材が必要です。

 手近にあった角材を土台の外側に合わせて置いてみると、まさに奇跡、ぴったりです。この角材をストッパとして周囲に取り付けてやれば、その枠の中に太鼓を置くだけで太鼓の動きが規制できるはずです。

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 で、よせばいいのに八角形です。こんなに周囲ぐるりと枠をつける必要はありません。何となく角材をくっつけているうちに、ついつい凝ってしまい、気がついたらこうなっていました。例によって現物合わせなので、仕上がりは酷いものですし、いざ太鼓を載せてみると、ほんの少しだけキツくて、太鼓が完全に枠の中に収まりません。きっちりはまり込まないので、太鼓がぐらついてしまいます。ならば、枠の角材を少し削ってやればよい、とこれまた行き当たりばったり、現物合わせの連続です。

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 手工具で削っていくなんてことは端から考えず、唐草模様の風呂敷包みを解いてグラインダーを出してきました。萬年筆の軸やら何やらをぴかぴかに磨き上げるために迎えられたのに、相性が合わすにすぐにお暇を出されて私の手元にやってきたこのマシン。ずっと暗い倉庫の中で眠っていましたが、ここに来て大活躍です。師匠、本当にありがとうございます。

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 工作はとっても苦手なんですけれど、何とか克服したいので是非教えてください、なんてことを口走った若手がいたので、速攻拉致して来てケロ御大の代わりに磨いてもらいました。

 角材の角を面取りして、さらには平面の部分も綺麗にすべすべになるまで磨いてもらって、最後はぬれぞうきんで拭き取りと水分補給をして完成です。できあがると嬉しい反面、なぜか寂しさを感じてしまいます。

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 磨き作業を手伝ってくれた若手は、「こんだけ適当に作ってるのに、なんでガタガタしないんでしょうねぇ。」なんてことを平気でいうので、おらおら、脚のところなんぞ磨きが適当やんけ、と言い返しておきました。この台には脚が4本ありますから、少しずつ脚を削っては様子を見て、というのを数回繰り返せばガタつきも収まるのですが、あえて伏せておきました。

 何事も修行ですから、「材料費ゼロでこんなに簡単にできるんやったら、もう一つお願いしようかな。」なんて言われたときも、いやいやいや、次はこの若手が作ります、と答えておきました。でも、大丈夫でしょうか。何となく、手出し口出ししてしまいそうな気が・・・・・。

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コメント

なるほど、こういうふうに使う物だったんですね。
自動車のボンネットがピカピカに・・・なんていう実演販売を見て、エボナイトにも使えそう!と考えて購入しましたが、説明書を読むのが面倒で、そのままにしてました。
木材に使うという発想はありませんでしたなぁ。

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 回転する土台の部分こそ、モーターの入った本体にガッチリとネジ止めされていますが、対象物を削るための円盤状の紙ヤスリはベルクロテープのようなものでベリベリと付けはずしするようになっています。木を磨くと、少しだけ焦げ臭い臭いがして、そしてツルツルに。けれどもこれで木軸の萬年筆とか、光り輝く自動車のボディパネルなどを磨く度胸はもてません。あっという間に対象物をすり減らしてしまうので、力加減がむずかしいのです。「とーちゃん」のベースに使うのも無理でしょう。

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