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2014年2月13日 (木)

たるさん

 当Blogには、まともな中身や信頼するに足る内容などは一切ありません。きっと作成者が馬鹿なんだろうな、まぁしょうがないな、と諦めて、暇つぶしにお楽しみいただければ幸いです。

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 飼い主の都合でケージに閉じ込められることがあるとはいえ、日がな1日寝て過ごして、朝夕の散歩付き、食事も保証、というのは実に羨ましいご身分です。「ちち(仮名)」さんも年齢が上がるにつれ、少しずつではありますけれども落ち着きが出てきました。

 受験生を担当していると、この時期、どうにも落ち着きがなくなってくる生徒たちをどう指導したものか、ということを考えます。この仕事を30年やっていて、そのうち20年は中学3年生の担当ですから、慣れているといえば慣れているのですけれど、生徒たちは生もの、毎年毎年違います。それがこの仕事のおもしろさだといえばそうなのですけれど、失敗できない一発勝負、というのは肝の据わっていない私にはしんどいところです。

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 初めて中学3年生を担当した年、その頃の萬年筆というとこれになるのでしょうか。当時は萬年筆を使うどころか、机に座って文字を書くということすら難しいような毎日でした。いわゆる教育困難校に勤めて3年目。教師として当然できなければならない事務仕事もロクに覚えず、ただただ生徒を追いかけ回している毎日でした。

 ある日のこと、私が担任している生徒が下級生に暴力を振るい、私たちが指導しようと制止するのを振り切って学校から出て行ってしまう、ということがありました。当然のことながら、被害者側の生徒を担任していた女性教師は職員室で涙ながらに私を責めました。今にして思えば、それはもう、ヒステリックとしかいいようのないもので、その内容も無茶苦茶でしたけれど、当時の私はただただうなだれて聞くばかりでした。自分に指導力がないことは重々承知していたので、そもそも生徒が暴力を振るったこと自体、担任である自分が悪いのだという風に思っておりました。

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 荒れる学校にありがちなことですが、当時は「学校が3つある」状態。それぞれの学年がそれぞれのやり方で事を進め、他の学年のやり方を批判し合う、という毎日でした。職員室で公開処刑されて深く落ち込む私に、隣に座っていた大酒呑みの先生が「まぁ・・・・・な。」と声をかけてくださったのでした。「薄木」とかいてススキと読む、大酒呑みの先生は、その体型から「たるさん」と呼ばれておりましたが、人生の機微というか、そういうことがよくわかった、本当の意味で優しい先生でした。

 今はもう、鬼籍に入られているその先生が、当時、道徳の授業で何を題材に、どんな授業をしたらよいのかと悩んでいた私に紹介してくださったのが「元服」という作文でした。不合格になって落ち込んでいる生徒も、合格して天狗になっている生徒もいるこの時期、どのように毎日を過ごすのがよいのか、という話をひととおり、生徒にしてあげる。そして、最後の5分でこの作文を読んで聞かせてやり、ちょうど読み終わったところで終業のチャイムが鳴る、それがえぇんや、というお話でした。

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 当時の私は、ただ読んで聞かせて、それで終わりにする、というところが良く理解できませんでした。けれど、信じている先輩がそう仰るのですから、とりあえず言われた通りにやってみたのでした。それから毎回、中学3年生を担当してこの時期を迎えるたび、この作文を読んでいます。ただ難儀なことに、読んでいて自分が泣きそうになってしまう、それがいまだに克服できていません。そういう意味では、読み終わったところで終業のチャイムが鳴る、というのはいいことなのかもしれません。

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コメント

「元服」を真面目に正面から受け取ることができる15歳がいるならば、少し未来に希望がもてそうです。

全ての生徒がこの話を聞いて胸にストンと落ちる訳ではないのでしょう。
でも、その内の誰か一人でも何かのタイミングで、この話を思い出し壁を乗り越えたり自らを省みることが出来たとしたら、それが授業成果だと思います。
報われることさえ期待しない、しかし全身全霊で生徒へ伝える..やはり教育とは崇高な行為であるということが改めて理解できました。頑張ってください。

 Bromfield さん

 どうでしょうねぇ。元服をとうに過ぎた若者でも、
首をかしげるようなのは一杯いますから。でも、
私がこの作文を読んでいた5分ほどの間、しっかりと
静かに聞いてくれていたので、それだけでも良かった
と思っております。

 すいどう さん

 ま、そういう仕事ですね。それはまぁ、どんな
仕事にしろ、その場ですぐに報われたり答が出る
というものばかりではないでしょう。

 ある日あるとき、卒業生に声をかけられて、その
顔が笑顔だったら、「良し」と思うことにしています。

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