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2012年12月16日 (日)

紙の記念日

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 おぉい、おぉいと呼ぶのですが、カメラの方を見ようとはしない「ちち(仮名)」さん。正面を向いた一瞬を狙ったものは、ことごとくブレたり流れたりピントが来ていなかったりとさんざんなデキで、こんな1枚でもその中では一番マシなものでした。

 真っ白な紙の上で好きなようにペンを走らせる。綺麗な字が書けるわけでもなく、絵心どころか幼稚園児でももうちょっとマシな絵を描くだろうという程度の「インク痕」しか残せない私ですが、なぜか萬年筆を握ってのいたずら書きは大好きです。

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 今日は紙の記念日。1875(明治8)年の今日、澁澤榮一が大蔵省紙幣寮から民間企業へと独立させた東京・王子の抄紙工場で営業運転が開始されたのを記念して、ということだそうです。地名からもわかるように、これって王子製紙の前身ということですね。

 書き心地に優れる紙、ということでは、いまだにその気持ちよさが私の体に染みついて離れない紙、というのが存在します。サトウキビの絞りかすを原料として作られた「バガス」という紙で、それ自体はトイレットペーパーなどいろいろなところで用いられているのですが、そいつを高級な製本ノート用の紙として使おう、という酔狂な試みがかつてあったのです。

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 こちらはPen and Message.さんのWebページから拝借した画像で、ここに写っているものは2代目、これもオリヂナルの萬年筆に最適な紙を使用した上製本ノートです。これの初代というのが、もう夢心地になるようなバガス紙を使ったものでした。ベージュの表紙と紺の表紙、2種類あるのを2種類ともに妻に「誕生日プレゼント」ということで買って貰って、結局しまい込んで使っていないのです。多分あそこにある、というのはわかっているのですが、取り出すのが難儀な場所なのであきらめました。文字通りの永久保存版になりそうなノートです。そういえば、そのノートを買う前に「こんな紙なんですよ」と試筆させていただいたペラのバガス紙は、いろいろ訳のわからない文字やら模様を描きまくって、それでも捨てられずにどこかに残してあるはずです。

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 これはどこで手に入れたものか、とにかく、私の身の周りにある萬年筆がらみの紙の中では一番紙質が劣るものであることは確かです。百貨店の萬年筆売り場でカウンターに置いてあるような、メーカーのロゴが入った試筆紙は、試し書きをして捨ててしまうのがはばかられるような上等な紙ですけれど、それらに比べるとずっとずっと「普通の紙」です。

 

 実際、あまり具合の良くない萬年筆でこの紙に何かを書きますと、切り割りに繊維が入り込むのが目に見えます。写真のプラチナは余裕のペン芯性能でどんどんインクを送り出しますので、その潤滑性に助けられて特に問題を感じることなく書けました。安い紙にこそ上等なペン。不出来なペンで悪い紙に書くのは最悪です。

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 このロゴを入れるために貴重な20文字分を潰したというWAGNERの原稿用紙。その筋ではよく知られた相馬屋さん謹製の逸品です。金魚の柄なので通称「関西バージョン」と言われるものですね。こいつを地方の会員さんの元に送り届けるために、4月のペントレ会場でレターパックに詰める作業をお手伝いしましたが、そのとき、レターパックの封緘部の剥離紙で爪と指の先を何度も突いて痛い思いをしたのも良い思い出です。

 あれからもう半年たつわけですが、ペントレではきちんと物欲をコントロールしてたいしたものを買わずに会場を出ることが出来たので、それなら年末大バザールをのぞきに行っても大丈夫かな、などとも思いますが、その日は銀座あたりの誘惑に満ちたお店が軒並み開いてる日なので、むしろそちらの方が危険かも知れません。

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 判読できる限界まで速く動かして書いてみたら、ミミズでももうちょっとまっすぐに這うだろうというようなインクの痕跡ができました。もはや、文字と言える代物ではありません。文字には人柄が出る、だから綺麗な字を書きなさい、とさんざん言われて育ちましたが、結局、ろくでもない人柄の大人に育ったことがこのインクの痕跡からわかります。黒板に書く文字もひどいものですけれど、何とか読めるようには努力して書いております。

 結局、万年筆で書く文字が一番ダメダメ、というのが情けないところですね。その原因のひとつがサササッと慌てて書いてしまうこと。手の性能が悪いのですから、飛ばすとボロが出るのはクルマの運転と同じです。サラサラっと書く、という幻想を捨てて、じっくり、ゆっくり、萬年筆のペン先がわずかにしなるのを感じ取りながら書く、というのが良さそうです。そうでなければ萬年筆が気の毒ですし、何より、訳のわからないインクの痕跡をにじりつけられる紙が可哀想です。

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コメント

全ての人が100%の性能を引き出して早く走る為にスポーツカーに乗る訳ではありません。そんな事を言っていたら日産GTーRなんて誰も乗る資格がないことになっちゃいます。
万年筆も同様だと思います。
私如きが字の良し悪しを語ることは出来ませんが、つきみそうさんの字は思うまま字が走っていて気持ち良さそうに見えます。

29日 WAGNER忘年会 出席されますか?
出席決定ならば 色々準備して 自分も出席します。

 すいどう さん

 ありがとうございます。字は汚いですけれど、良いペンのおかげでとっても気持ちよく書けるので、ついついスピードが上がって余計にのたっくた字になって・・・の悪循環です。悪循環だけれど、書いている本人は気持ちが良いという不思議。だから萬年筆は危険なのですね。

 紙様(敬称込) さん

 実は1月26日辺りは身動きとれなくなっていそうなので、この際、29日に出張っていこうかなと思っております。お会いできるのを楽しみにしております。現在、以前ご依頼のあった物を準備中ですが、整理が悪いのでどこにしまい込んだのやら・・・・・

連絡ありがとうございます。

では 29日 会場で
よろしくお願いします。

何か見たいものなど
リクエストは ありますか?

 紙様(敬称込) さん

 楽しみにしております。いちばん見たいものは、もちろん、紙様その人です。

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