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2012年8月16日 (木)

備前長船・2

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 最近、実に悪い癖がついた「ちち(仮名)」さんです。お散歩から帰ってくるとすぐにはケージに入ろうとせず、しばらくは家族のいるリヴィングで「くつろぐ」のです。ひとしきりケージの外でこうしてベタッと座ってすごすと納得して自らケージに入るのですが、彼女の内面ではこの行動、いったいどういう意味があるのでしょうか。

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 こちらは初号機仕様の脇差。これの大きな特徴として、時代劇などでよく見る脇差と違う、「右手指(めてざし)」という造りになっていることがあげられます。要は、刃を下に、柄が後ろになるように腰の右側に挿して持ち歩くように作られているというのです。

 白兵戦になって敵と取っ組み合った場合、左腰に差した刀を抜いて切りつけるというのは不可能に近いですが、右手指であれば、右手で後方に刀を引き抜いて切りつけることが可能です。刀が実戦に用いられた時代にはむしろ主流であったようですが、今ではそういうものがあったこと自体、ほとんど知られていない、ということです。確かにその通りですね。

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 エヴァに関係する資料の一つとして展示されていた写真。ここに写っているロンギヌスの槍は、おそらく、そうたいしたものではないでしょう、というのが学芸員の方のお話。女性が軽そうに持てるようなものですから、造りもそこそこでしょう、ということでした。今回の展示でメインとなるロンギヌスの槍は、日本に18人しかいないという「無鑑査」刀匠の一人、三上貞直師の作。かの月山貞一師に師事されていたという実力で、みごとロンギヌスの槍を打ち上げられたのです。

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 刀を打つときは、実物大の図面を作るのが基本なのだそうです。完成したロンギヌスの槍は、長さ3.3m、重さ22㎏という壮大なものですが、事前におよそ3分の1のサイズの試作品を作ってから本格的な制作に入られたものだそうです。あまりの大きさゆえ、三上師の工房では扱いきれなかったため、工房から作り直すという手間をかけてようやく完成したもの。性質の異なる複数の金属を層状に重ねて打つダマスカス鋼の技術を用いて作られています。

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 見えるでしょうか。ひねられた槍にはしっかりと層状の模様が見てとれます。三上師はエヴァンゲリヲンなどというものに全く接点がなく、まずはその世界観を知ることから始められたそうです。日本刀の原材料となる玉鋼を作ることにかけては第一人者である三上師ですが、ダマスカス鋼を扱うのは初めてのことで、何もかも初めてづくしの中、試行錯誤を重ねて完成されたものがこのロンギヌスの槍なのです。

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 赤熱された材料をギリギリとひねることでこの形状を作り出されています。前回も紹介しましたが、博物館併設の特設ショップでは制作の様子を収録したビデオが流されていて、この写真の部分をどのように作ったのか、ということもつぶさに見ることができます。

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 聖書から都合のいいところを適当に持ってきてでっち上げた、現実離れしたアニメ、と言ってしまえばそれまでなのですが、こじつけもうまくやるとなかなかのもので、ふむふむとうなづいてしまうほど、見事な設定(こじつけ)がされているのもこのアニメの特徴。中でもロンギヌスの槍は、聖書にはそんなこと書いてへんやろ、というぶっ飛んだ設定ですが、それだけに作中では印象深いアイテムとなっているのです。

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 エヴァ以降のいわゆるロボットアニメでは、ロボットが白兵戦用の武器を持つ、という設定がぐっと減ったように思います。しかし、エヴァといえばこれ、プログレッシブナイフです。いくつか制作されていたうちの一つがこの剣型(丸)です。剣ですから、当然両刃であり、それを造形的に、また日本刀としてうまくまとめあげるところに苦労があったとのこと。確かに、刃を研ぐにしても対称に仕上げなくてはならず、とても苦労されたということです。

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 個人的に、展示物の中で最も興味をひかれたのはこれでした。隕石の中にある鉄分、すなわち隕鉄から作られた刀です。もともと日本刀の材料には適さない素材から、見事な刀にまとめ上げられています。

 今回、残念なことに写真を撮れなかったものが一つあって、それが砥石。萬年筆のペン先調整にも砥石やペーパーなど、「研ぐ」ためのものが使われますが、日本刀も実に多くの種類の砥石を使い分けて研ぎ上げられている、ということがよくわかるように展示されていました。もういっぺん見に行こうかな、なんて思っていたりするほどで、萬年筆はともかく、刀剣なんぞにハマると危ないよぉ、と周囲から脅かされております。

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コメント

刀剣やられるのでしたら、

やはり町井先生のところですかね。

http://nihontou.jp/syuushinryuu/choice05/hispeed/hispeed.html

私なんぞは、ドンくさいので、鯉口を切るだけで

指を切ってしまいそうです。

 ひろなお さん

 ご紹介いただいたようなものは、技術云々ではなく、高い精神性が求められるため、ダメですね。もう少し精神が育っておれば、もうちょっとだけマシな人になっていたのかもしれない、と思うことがありますが、ま、無責任に思うだけなら誰でもできますから。そこを超えて精神を鍛えられる人こそ、尊敬されるに値する人、なのでしょう。

右手指の抜刀がどうしてもイメージできません。そもそも片手で鯉口って切れるの?そして鞘引き無しで抜ける長さとも思えないのですが。
まぁそれは置いておいて。
万年筆と日本刀って共通点がとても多いと思いますよ。一番上等なモデルはヴィンテージ(古刀)である所などは特にそんな感じがします。

 すいどう さん

 時代劇など見ていますと実感がわきませんが、実戦では下緒でしっかりと帯などに鞘を固定していますので、鯉口が堅くても鞘共々抜けてしまうことはなかったようです。

 実際、抜きやすいようにあえて鯉口を堅めに造り、柄が下を向くように身につけていた武士もいたそうです。

 萬年筆も刀も、研ぎで性質変わりますしね。

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