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2011年7月 4日 (月)

開けてない

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 ここ数日良いお天気が続いていたと思ったら、夕方からけっこう強い雨。どこか遠くで雷が鳴っているのも聞こえました。犬というのはおもしろいもので、飼い主が目に見えるところにいるときに雷が鳴るとクンクン鼻を鳴らして怖そうなそぶりを見せますが、犬たちだけにしておいてそっとドアの隙間から覗いてみると、案外平気な顔をして寝そべっていたりします。そこは飼い犬ですから、うまく飼い主に甘えるのも仕事のうち、なのかもしれません。

 世を挙げてクールビズなどとうるさくいわれていますが、私の業界では昔からずっとクールビズでした。午後には35度近くになる教室で生徒がお話を聞いてくれるのですから、暑いなんて言ってられません。職員室にはエアコンがありますが、スイッチを入れるのは生徒が下校してからです。言われなくてもクールビズにならざるを得ないのですが、そこはそれ、常識的な線というものがありますから、あんまりひどい格好も出来ません。

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 服装に気を遣うとはいっても、ただ無難な格好でありさえすれば良いというのがウチの業界のありがたいところです。先日、萬年筆仲間と呑んでいるときに、「ウチは出勤前に奥さんの服装チェックがある」という印刷屋さんとか、「出勤すると女性上司がチェックを入れてくる」とか、「デザイン関係の仕事をしている奥さんがトータルコーディネイト。自分が持っていた服はすべて捨てられた」なんていう保険関係の人なんかのお話を聞いて、我が身の幸せを痛感しました。

 結婚前、死んだ母親の代わりを務めてくれていた妹と叔母に百貨店に連行されて、着るものを見立ててもらったことがあります。放っておけないほどひどい格好をしていたということらしいです。母親に「お前は何を着せてもダメやなぁ。ホンマに難儀な子や」と吐き捨てるように言われ続けて大きくなった私は、こういう服が好きとか、色や柄の好みとか、そういう感覚が全く無い欠陥人間なのです。結局、妹たちに見立ててもらった服も、なかなかおしゃれなものだったので恥ずかしくてほとんど着なかったように思います。

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 開けていない梱包。もちろん中身は萬年筆ですが、我が家には開けていない服、なんてのもけっこうあるようです。あんまりひどい格好をしているのを見かねたさる生徒の保護者が、お仕立て券付きのカッターシャツの生地をくださったのです。「先生は生徒のあこがれの対象でないといけません。先生は地味すぎ。センスもなさ過ぎます。そこそこのものを着てくださらないと。」というのが、生地をくださった理由でした。

 もったいないから仕立ててもらいなさいという妻と、自分がシャツをオーダーするなんて許されない、3枚1000円のが分相応で一番合うのだという私。結局押し切られて採寸はしてもらいましたけれど、ボタンはどうするだの、襟はどうするだの聞かれて、「全部普通に。一番安いのでいいです。」と答えたときの担当者の顔が忘れられません。あんた、何しに来たの、って感じでした。結局、出来上がったものは生地が上等なだけで既製品のカッターと何ら変わりないもので、「ワシにはもったいない」と押し入れに押し込んだきり、十何年見ていません。今頃は黄色くなってしまっているかと思うと、誰かに生地をあげればよかった、と反省しています。

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 神戸の高名な鞄屋の親父さん曰く、萬年筆好きな男に格好のいいのはほとんどいない、のだそうで、その理由を、ファッションアイテムにかけるべきお金を節約して万年筆購入に充てているからだろう、と分析されていました。でも、私の場合、もし大金持ちだったとしても、着る物にお金をかけることはないと思います。姿勢も体型も最悪なので、お金をかけてもまったく効果が無いからです。

 私が着るものを買うのは年に1度あるかないか。近所のスーパーに人気の無い22時頃に行って、売り場にある一番地味で値段の安いのをパッと掴むと、レジでささっとお金を払って帰るという、まるで中学生がいかがわしい本を買うときのような感じです。いい服はそれなりに作り手の心がこもっているはずですから、それを私みたいな者が着るのはよくありません。作り手に失礼です。自分が気に入ってきているブランドなんかを、見るからにダサいオッサンが汚らしく着ていたら嫌な気分になる人もいるはずですから、せめてそれぐらいの気は遣おう、と決めているのです。

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 「どんだけエェもん着せても、全然エェように見えへん。ホンマにあんたはあかんなぁ。」といつも言っていた母。全身舐めるように見た揚げ句、「お前、ホンマに何着ても似合わんなぁ。感心するわ。」と正直な感想を述べてくれた大親友。いつも天の邪鬼な私ですが、それらの言葉だけは全部素直に受け止めています。ですので、若いころからずっと、見るからに安物とわかるもの、それも極力地味なものを買って、ひっそりと着る、ということを心がけているのです。

 そうなると、じゃぁこれはどうなんだ、と突っ込まれること必至なのが萬年筆。希代の悪筆なのに、けっこういい萬年筆を持っている。それは作り手に失礼じゃないのかっ、と言われると、返す言葉もありません。でも幸いなことに、萬年筆に関心のある人が少ないですし、いい萬年筆を使っていても、「わっ、ペン高そうやのにめっちゃ字ヘタやん」と笑われる程度で済みます。人に迷惑はかからないので問題ない、と考えることにしています。

 ただひとつ残念でならないことは、長男がまったくおしゃれをしようとしないところ。お父さんにだけは似るな、と言い続けてきたのに残念です。そのくせ、萬年筆には見向きもしません。若いんだからまだ間に合います。萬年筆を愛して、なおかつ格好良くなろうという努力をする人になってくれたら。ささやかなおっさんの願いはかなうのでしょうか。

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コメント

いやいや,きっとそんなことないと思いますよ,先生。

服なんて自分の好みで好きなように着ればよいものだと思いますが,「何着ても似合わない」とかそんなことないと思います。

別に高価でなくても,お好きなメーカーとか何かしらのブランドで,きっとつきみそう先生に,お似合いになられるものがあると思います。

確かに私も女性なのに,万年筆と革小物やカバンのためにファションのための経費をかなり節約していますが…。

しかしながら,よく考えてみたらつきみそう先生は今のままでも充分魅力的な方だと思いますけどね。

わかります。私も先生と全く同じタイプの人間です。

私の母親は服飾(町の婦人服仕立屋)デザイナーで、子供の頃から着る服は常に母親任せ。
自分で選ぼうと決意した頃も有りましたが、自分で選ぶと母親が、
似合わないだのとうるさく言う始末。結局母親の選んだ服を着ておけば無難な為、
服は自分で決めると言う意識が無くなってしまいました。
結婚してからは、嫁さんに全て託しっぱなしです。毎日選んで貰った物を着るだけ。

家計が大変だろうと自分で買う事も有るんですが、イエラーな私は、黄色の服
(黄色のネクタイ・黄色のポロ・黄色の靴・黄色のブリーフ&トランクス等)
しか選びませんので、結局嫁さんが買うことになります。
息子も先生ところと同じで、私に似て、しゃれっ気全く無しで育っているようです。

先生と私が違うところは、先生はセンスの良い万年筆を購入されてますが、私は黄色の万年筆ばかり購入してしまうところ。
このセンスの無さは、まだまだ続きそうです。(笑)

 another person さん

 切り詰めてらっしゃいますか(笑)。いやぁ、ブランドって、知ってるのは萬年筆と自動車ぐらいですのでお話になりません。お恥ずかしい限りです。世間の人は良く行くらしいですが、ユニクロなんてものも怖くて近寄れません。

 少し前に教師にも制服を、って話があったんですが立ち消えになったみたいで、残念に思っています。思えば、制服だった中学高校の6年間は本当に楽でした。妻は完全にあきらめていますが、息子に関してはあきらめないで指導してもらうようにお願いしようと思ってます。

 J-ROADCREW さん

 奥様の選ばれたものを着られているだけ立派です。私なんぞ,何を買ってきても「いらん」と放置するので、あきれた妻は服を買ってくることもなくなりました。黒か灰色で安いもの、っていう基準に合うのが意外と無くて困ります。

 49歳なので、考えてみれば、服を着て外に出るのも,長くてあと15年ぐらい。糖尿もちなんでそれまでにさよならしてる可能性も大ですから、あと1、2回、服を買う苦痛を我慢すれば済みそうです。

 本当は萬年筆も持ち手を選ぶんだろうなぁ、と密かに思っていますが、あえて気づかないふりをしています(笑)。

えっ!えっ! つきみそう先生って、49歳ですか?
ひょっとして「丑」ですか? 西暦は上下逆にしても同じ数字で読める年ですか?
……ちょっと意味深々な驚き!!!

糖尿もちって、ランタスの力だけでは駄目で、アピドラにお世話になってるとか言います?
……さらに意味深な驚き!!!

今度お会いした時には、ゆっくりお話しさせて下さい。(笑)
7/2は、Pen and messageにて少しだけお話しさせて頂いただけでしたから…。

 J-ROADCREW さん

 そうですね、西暦逆さまでもそのまま読めますね。気づいてませんでした。

 幸いにして、いまのところ内服だけで済んでます。ヘモグロビンは最大瞬間風速9.8まで行きましたので、気づかないところで合併症が進行してるんでしょうね。親父も同じだったので、そう長くはないと思ってますが、寝たきりになるよりはポックリ逝きたいです。

 弁天町、楽しみにしてます。

 

1枚目、最近のくまちゃん写真の中の傑作の1枚。可愛い。
わが子には噛まれそうになりながら、先ほど耳の薬注入しました。

オーダーワイシャツ、若い頃何度かしたことがありますが、意外と既製品以下のできばえというのが多かった。革靴も同じ。オーダーがいいのは、よほど何度も注文して微調整していないと無理と思いました。

万年筆の好きな人はかっこの悪い人が多いというのは、これは研究テーマとしてていただき、こんな命題いただくの大好きです。

ただ、私の考えだと、書斎派で運動しないためのメタボではと。あまりスポーツ派兼用という人は聞かないこの世界です。

 ペリカン堂 さん

 そういうことでしょうね。ですので、これからも私は地味で目立たないようにやっていこうと思います。

 ところで、前からお聞きしたかったのですが、自転車というのはどの程度運動として「効く」ものなのでしょうか。職場の廊下の突き当たりに鏡があって、授業から帰ってくるときにいつも写し出される我が姿に目を背けつつ、という毎日なので、おなか周りだけでもそぎ落としたいのですが。

 

詳しくはNHK出版、生活人新書、高千穂遥著「自転車で痩せた人」定価700円参照。

ドイツの有名な格言、「トラック1杯の薬よりも1台の自転車」

どんな運動より楽して痩せられます。まずはママチャリで十分ですから、通勤から始めてください。腰痛、糖尿あっという間に治ります。血圧は難しい(自分)

 ペリカン堂 さん

 ご教示ありがとうございます。さっそく取り組んでみようと思います。

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