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2009年9月 5日 (土)

卑しさと優しさ

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 昨日紹介しましたノブレス。洗浄したもののまったくインクが出ませんので、JR京都伊勢丹で開催中のペンクリニックで川口師に診ていただきました。劇的な変化で、たいへん気持ちよく書けるようになったことに感謝。そのあと夕食を摂り、さぁ帰ろうと近鉄京都駅から特急に乗り込んだのが20時15分。下車駅まで30分、自宅へ着くのは21時頃の予定でしたが、20時30分、電車は本来通過するはずの駅で停まりました。

 京都市の南部、伏見にほど近いこの駅。停車した特急の車内から撮った1枚、地元の人ならこの写真の不思議さに気づかれると思います。京都方面行きのホームに、反対方向へ向かう列車の案内が出ております。ほぉ、夜遅くなるとここで折り返す列車があるのか・・・とも思いましたが、そういう不自然な列車はありません。結局列車が来ないままこの表示は消え、ホームの照明も落ちました。

 次駅との間の線路沿いで火災発生のためしばらくお待ちを、とのことでしたが、やがて送電が止まり、車内も駅構内も非常灯のみという状態になりました。その非常灯も時間の経過にともなって消え、冷房の切れたまっ暗な車内で、駅前のコンビニエンスストアで買い込んだ清涼飲料水を謝罪の言葉と共に乗客に配る車掌氏。
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 しかし、ペットボトルを受け取りつつ、感謝ではなく罵声を浴びせる人々。そのほとんどが勤め人であれば役職者だろうと思われるオッサンたちでした。同じオッサンとして大変に悲しく、情けなく思われて、iPodの音量を上げて目を閉じました。

 やがて、混乱に備えて駅に派遣されていた警官から、運転再開の見込みが立たないので全員タクシーで帰宅するようにとの指示がありました。

 駅前広場に降りる階段にまで人が並ぶ状況。整理と案内のためそこにいた車掌氏に、またも容赦なく罵声が浴びせられます。運転打ち切りは沿線の火災によるもので近鉄に問題はありません。むしろ切符を買った、すなわち輸送契約を交わした人々を何とかすべく必死に動いてくれているのですが、なぜ電車を動かさないのか、とか、さっさと火を消せだとかの無理難題。
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 ひとしきりがなり立てると、傍らにいた奥さんと娘に「へっ、言うたったぁ。あほ車掌、これぐらい言うたらなわかりよらへんねん。」と胸を張るオヤジ。

 それを見ていて、なぜだか無性に腹立たしくなって、「オッサンええ加減にせぇや。何を訳のわからんこと唄うてるねんっ!」とつぶやいてしまいました。これが思いの外良く聞こえてしまったようで、オヤジではなくその奥様とお嬢様に目で殺されそうになりました。

 オヤジは周りにいた人々にも自分の正しさ(?)を訴えかけ、味方を増やそうとしておりましたが、運良く到着したタクシーに捨て台詞と共に乗り込んで去っていきました。無茶苦茶言うオヤジにも腹が立ちましたが、その腹立ちを口にしてしまった自分もあのオヤジと同じように卑しく、情けないのだと思って、少し落ち込みました。

 その時、ある女性が声をかけてくださいました。聞けば教え子のお母様。知人に迎えに来てもらったからいっしょに乗って帰らないか、というお誘いです。思わず、ありがとうございます、と言いそうになりながらも、気になることがあったので適当に誤魔化して辞退しましたが、本当にありがたく、温かい気持ちになって、先ほどまでの腹立ちは雲散霧消してしまいました。
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 気になること、というのはお腹の具合。これはタクシーに乗っても時々止めてもらわねばならないかも・・・と思っておりましたので、同じ方面へ帰る人たちが乗り合いでどんどん出発するのを見送って、列の最後尾についていたのです。やがて、私と青年、最後の2人となって、彼と私は同じ方向へ帰ることがわかりました。

 お先にどうぞ、私は次ので、と譲っても乗ろうとしない青年。それではと彼といっしょに乗り込んだタクシーが、彼の降りる駅に到着したとき、彼は、財布の中の紙幣をあるだけ出して「何とかこれで」と言ったのです。そう、彼はこのタクシーが鉄道代行輸送と知っていましたが、その中身がどういうものかを理解しておらず、所持金が少ないのが気になってタクシーに乗れなかったのです。タクシー待ちの列の先頭近くにいながら財布を覗いては列の後ろへ回る、ということを繰り返していたのは、そういうわけだったのです。運転を打ち切った列車の乗客、腹具合を気にしていたオッサンと懐具合を気にしていた青年とが最後に残った、というわけです。

 偶然とはいえ、彼と同じ車に乗り合わせたことを喜びました。聞けば彼は電車が動くまで待つしかないと思い詰めていたそうです。ほんの少しだけですが、彼を助けることができて、思いやりで言葉をかけてくださった教え子のお母様の気持ちにもお返しができたように思いました。
 

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コメント

近鉄京都線、私は通学のため6年間利用しておりました。通学で利用し始める前年、痛ましい踏切事故があり、不通になったことがありますが、私が利用していた時期には、このように電車が止まったという記憶がありません。向島に特急が止まっているという、今まで見たことのない情景です。

いまは携帯電話もあり、このような事態に対応するのは、以前よりも容易になったように思います。ただ、何時の時代も、非常事態の時ほど、人間性というのが出るものですね。

つきみそうさんや、Bromfieldさんが仰るように、危機の時ほど、人間性が出ますよねぇ。
もちろん、訓練されている人は別ですが。
前に、乗っていた電車が緊急停車したとき、一目散に車両の先頭、運転席のある付近まで走っていくおじさんがいました。
人身事故か何かだと思ったのでしょう。
さいわい、事故ではなかったですが、万が一の時に、とっさに動ける人ってそうはいませんよね。
韓国大邱(てぐ)市の地下鉄火災のような状況にはなりたくないものです。

世の中、怒鳴り散らして自分の優位性を確認しないと落ち着かないようなタイプの方がみえるようですね。
まあ、大概は哀れみの目で見てあげることにしてますが、それが自分の上司だったりしたら大変でしょうねぇ。

 Bromfield さん

 向島から新田辺までの間で運転が休止されていたようです。携帯電話に配信される情報系のメールなどには振り替え輸送云々と記述されておりましたが、火災現場近くを通る国道24号線が大渋滞となっていたため、裏道を通れるタクシーはOKでもバスは手配できなかったようです。

 出張帰りのビジネスマンの一団と隣り合わせでしたが、電車が止まってからも「イタリアの方ですか?」っていうほど陽気に騒いでおりまして、ふだんなら腹立たしいのですが逆に良い雰囲気を作るのに貢献しておりました。

 二右衛門半 さん

 こういう時、先頭車に走っていくのは救護の助けになろうという志の高い人か、はたまた野次馬か。これも見るとわかりますね。肩を揺すってゆっくり車掌室へ向かうのは大抵が「早く何とかせんかい」なんて言う、邪魔なだけのヤカラですね。

 振り返って私はどうだろう。。。って考えてしまいますね。

 su_91 さん

 萬年筆店でも怒鳴り散らす方がいらっしゃるようですよ。感心しませんね。

まず、悪いのはどこかというのを冷静に分析すればこの分の「おっさん」のようにはならないのだと思うのですが、やり場のない怒りをどこかにぶつけねば…ということなのでしょうか。自分のメールや手紙がそうなっていないか、人のふり見てわがふり直さねばと思うのです。

最初はどうなるのかとドキドキしながら読み始め最後は優しい気持ちになりました。

先日中国出張の時、セントレアで2時間、中国の国内便の空港で2時間飛行機に乗ってから飛ぶまで1時間、目的地に着くまでに5時間予定が狂いましたよ。でもどうせ人が造ったモノ、予定通り動いて事故に合うようりはマシと考え待ち時間をどうやって楽しむか、いろいろ考えます。落ち着いてみると意外に面白いつぶし方もありますよ。いつも夢を待ってる気持ちで時間と友達になるのもいいものです。友達なら許してやっても苦にはならないかも?・・

私はここ数年で2回の新幹線停車を体験しました。
1回目は地震。その時は昼で品川駅を発車したばかりだったので、いざとなれば何とでもなると思っていました。

2回目は暴風雨で、富士川が越えられず、数時間の足止め。
朝一番の上りであり、社内販売もほとんどなく、乗車時にたまたま持っていたお茶だけで凌ぎました。
すくなくとも、ペットボトルの水ぐらい配ってくれてもいいのにな〜と、正直思ったりしました。
結局、目的地の東京には辿り着けず、名古屋駅で乗車して8時間後に名古屋駅に帰着、全額払い戻しとなりました。
初めて乗ったN700系の思い出でした。

 達哉ん さん

 おっしゃるとおりで、あいつ何を言うかと怒っている自分がひどい人になっていることが往々にしてあるので注意せねば、と特に私などは思います。

 しげお さん

 実は橋上駅からタクシー乗り場への道のり、階段がいっぱいでしたのでさっさと止まっているエスカレータを降りました。このままタクシーに早く乗ったら顰蹙やなぁ、と思いつつ、みんなお互い様、誰も責める人もおらず、私も順番抜かさずという、非常にいい感じでした。いい場面もいっぱいあったんですよ。

 夢待ち人 さん

 電車が止まったとき、駅前にタクシーが居るのも見えてましたし、送電が止まった以上、火災がおさまっても送電開始前のチェックなどに時間がかかるだろう、という思って、さっさとタクシーで帰る選択肢もありました。それこそお金ですむ話です。

 でも、家に帰って寝るだけですし、不謹慎ながらこんな経験めったにできませんので、これはどうなるか見届けよう、とむしろ楽しんでおりました。気持ちの持ち方ひとつで余裕が出るものですが、状況が少し違ったらどうなっていたか、自信ないですね。

 foolsbook さん

 新幹線に乗るときに天候不順であれば、清水の舞台から飛び降りる気でグリーン車を選びます。足止めで閉じ込められたときに少しでも生存空間が広い方がいいから、という軟弱な私です。運休を知らされずにICカード乗車したときにはこの手が使えず焦りましたが、遅れてやってきた指定列車はN700系。余裕時間を使い切る俊足ぶりで、定期ダイヤより短い時間で走りきったのでした。なかなか得難い経験です。

せまい日本そんなに急いで何処へ行く!ですか?まあ人は人、己は己、と割り切れればいいのですがね〜〜小さい人間は立ち位置を確認しないと不安なんでしょうね!


つきみそうさんは普通の生活をされているはずなのに何故にそんなにブログのネタになる様な出来事が身近に起こるのでしょうか?不思議です……

 たがみ たけし さん

 悲しいことですが、電車が止まった時、最初に考えたのは「ネタになる」ということでした。いつ動くんだろうとみんなが不安を感じている車内でぱちぱち写真を撮ってるオッサン。変ですね。

 ホームの行き先表示器に「通過」と出ていて、そのまん前に特急が止まっている。こりゃおもしろいぞとホームに出てカメラを構えた瞬間、送電が停まって真っ暗になりました。

 学級担任をしていた時は、毎日学級通信を書いていたこともありましたが、生徒が40人もいるのでネタにはこと欠かないはずが、何も書けない日というのは必ず出てきました。Blogもよく似てますね。

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